新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.836 新聞の店着時間について


投稿者 たか坊さん  投稿日時 2010.1.24 AM 6:39


ゲンさん、ハカセさん、明けましておめでとうございます。

今回は新聞の店着時間の事で、お話したいと思います。

朝刊の場合、一番早いと12:30、遅いと3:00を過ぎる場合もあります。

自分は、東京、神奈川、埼玉、千葉で仕事をしてきましたが、朝刊の終了時刻が5:30まで、遅くとも6:00までという感じでした。

その時刻までに配達を終了するためには、2:00ぐらいまでに店着しないと、かなり厳しいと思います。

雨が降ったり、輪転機が故障したり、事件事故などが起こると、配達が遅くなります。

新聞が早く配達されて、怒る人はいませんが、遅いと怒りますよね?

各新聞社は、配送の時間を変える気は無いんでしょうか?

新聞を各家庭に、ある時間までに配達する。基本が出来なければ、どんなサービスをした所で、無駄だと思います。

その限界が2:00ぐらいだと思うのですが、ゲンさんはどう思いますか?。

因みに夕刊も14:00ぐらいが、ベストだと思います。

長々とすいません、ゲンさんのお考えを聞かせて下さい。


回答者 ゲン


『朝刊の終了時刻が5:30まで、遅くとも6:00までという感じでした』というのは、何も関東方面に限ったことやなく、ほぼ全国的に共通した認識やろうと思う。

これは、販売店だけやなく、一般購読者も同じような感覚で、それまでに入ってないと「遅い」、「入れ忘れた」と考えるのが普通や。その時刻以降になると、「まだ新聞が入ってない」と言って苦情の電話がかかってくることが多いさかいな。

通勤事情もあるやろうが、たいていは午前7時くらいまでに、その新聞を読んでから家を出るという習慣になっている勤め人が多いから必然的にそうなる。

そういう人たちからすると、それまでに入ってないと、その新聞そのものの値打ちが何もないと考えるわけや。

たった一度、それがあっただけで「もうお前のところの新聞は止める」と言い出す客もいとるくらいやさかいな。そう言われると販売店としては、ただただ謝るしかない。そして、それが度重なれば、本当に解約されても仕方ないと考える。弁明のしようがないと。

あんたの言われるように、『新聞を各家庭に、ある時間までに配達する。基本が出来なければ、どんなサービスをした所で、無駄だと思います』ということになるわけや。

それくらい朝の最終配達時間というのは重要になる。

それを厳守するためには『2:00ぐらいまでに店着しないと、かなり厳しいと思います』という、あんたの言い分は良く分かる。

それから以降、前日にセットされた折り込みチラシを、その配送された新聞に、その配達区域毎の部数に差し込む作業が必要になる。

雨や雪が降っているか、その配達中に降り出すと予想される場合には、そのセットされた新聞を一部ずつ、濡れを防ぐためにビニール包装機でラッピングするという作業もせなあかん。

たいてい専業と呼ばれる販売店の従業員が、その仕事をする。自分の配達区域だけやなく、アルバイトの配達員の分もすることが多い。

それをした上で、配達前の単車の点検、主にガソリンの有無なども確かめとかなあかん。まあ、これは配達員各自に任せるという店が多いようやがな。

その販売店の規模、扱い部数、区域数、および専業員の数にもよるが、たいていはその準備に1時間前後の時間がかかる。

配達の所要時間は、その配達軒数や各販売店、各地域の事情、個人それぞれの能力など様々な要因が複雑に絡むが、たいていは2時間前後と設定されている。

それが『遅いと3:00を過ぎる場合もあります』では間に合わん可能性が大やから、遅すぎるとなるわな。

『雨が降ったり、輪転機が故障したり、事件事故などが起こると、配達が遅くなります』という内の『雨が降ったり、輪転機が故障したり』というのは、客に対して遅れた理由にするのは難しいやろうが、『事件事故などが起こると』に関しては、それと分かれば、理解して貰えるとは思う。

それに加えて、台風や大雪、地震などの大きな災害などのときも分かって貰える可能性は高い。

まあ、それでも遅れんように配達員は懸命に努力するもんやけどな。

もっとも、『第71回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■悪天候時の新聞配達の見直しについて』で話したように、その悪天候、悪条件を押してケガされたり亡くなられたりされる方もおられる。

いろんな意味で過酷な仕事やと思う。

『各新聞社は、配送の時間を変える気は無いんでしょうか?』というのは、配達する側からするとそう言いたくもなるやろうが、新聞というのは作る側の事情というものもあるから、そう簡単なことやないわけや。

新聞には降版時間というのがある。紙面の掲載情報を工場の印刷に送信するタイムリミットのことをそう呼ぶ。

ある新聞社のある印刷工場では、約40ページの新聞を、毎分最高約1500部のスピードで印刷するという高速輪転機が2セット10台あり、僅か2、30分で数十万部の新聞が印刷できるという。

ここでは『輪転機の故障』という一台くらいの故障ではどうということもないし、いくらでも対応できるとのことや。もちろん、日々のメンテナンスもしっかりしとるから、そういう事が起きる可能性はほとんどないという。

そして、これに関しては日本国内の新聞印刷工場では、ほぼ同じようなものやと聞く。

ワシが『輪転機の故障』が遅れる理由にならんと言うのも、それがあるからや。

そういう所では、たいていは午後11時から午前0時までを最終降版時間とすることが多い。

そうすれば、普段の大して大きな出来事のない日は問題なく、その『2:00ぐらいまでに店着』するはずやが、大事件、大事故があるとそうもいかん場合が生じる。

それが起きた時間にもよるが、降版間際やったら、新しい記事の挿入をして、ミス(誤字、脱字)の確認やレイアウトの手直しなどを、その都度行なわなあかんから、その差し替えにどうしても手間取ることになる。

そんなときは若干の遅れが生じる。それが、『遅いと3:00を過ぎる場合もあります』ということになるのやろうと思う。

ただ、新聞社もまったく販売店の配達時間を無視するということでもない。その印刷工場から遠い販売店には、予定の降版内容、もしくは変更を最小限にしたものを印刷して早々に発送するというさかいな。

しかし、時間に比較的余裕のある近場の販売店へは、大幅な記事の組み替えをして印刷して発送することもある。

大事件、大事故というのは短時間のうちに様々な情報が順次刻々と入ってくるから、その都度、その組み替えをして、影響の少ない近場の販売店には、ぎりぎりの内容のものを送るわけや。

新聞というのは、すべてに同じ内容の記事が掲載されとると考えておられる人が多いと思うが、実は同じ新聞社の新聞でも地域により、また同じ地域でも印刷工場からの遠近により、違う紙面になっているというケースが結構多いもんなんや。

印刷工場より遠い販売店に届けられる新聞は、早い降版時間で刷られたものやから、その突発的に起こった出来事に関しての記事の完成度は低い。

反対に、最も遅い降版時間の新聞は、完成度が高くなっていると考えられる。

つまり、遅いというのは、何も同じ新聞紙面が配られるのが遅いという悪い面ばかりやなく、内容の濃いものになっている可能性が高い場合もあるわけや。

遅いが故の利点というやつやな。

そのあたりのことは『第31回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■映画「クライマーズ・ハイ」に見る新聞報道の現場 前編』、 『第32回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■映画「クライマーズ・ハイ」に見る新聞報道の現場 後編』 を見て貰えれば良く分かるのやないかと思う。

新聞の右上、ないしは左上に第○版というので、その日の新聞が何版、つまり何度差し替えられたものかが分かるようになっている。

新聞紙面を製作する側は、少しでも新しい情報、スクープを掲載しようとやっきになる。それが使命と考えて。

日々、そのぎりぎりの状態で送られて来るのが新聞やと考えといてほしい。

配達する側の事情もあるやろうが、作る側の事情もあると。

もっと言えば、トラックで新聞を配送する人間の事情もあると思う。

それは、あんたが配達する際、配達員個々に発生する事情を考えらたら分かると思う。

寝過ごすこともあれば、特定の新聞を積み忘れることもある。部数の数え間違いもあるかも知れん。車両の整備不良による故障もある。あってはならんことやが、人間がする限りはそういうことも起きる場合があるということや。

そのデッドラインとされる、午前2時以降〜3時までに配送されるケースで困るという場合は、そのことを新聞社に告げれば多少はトラックの配送順路の変更などでカバーして貰えることもあると聞く。

販売店の配達員も、配達時間にうるさい、または配達時間を指定してくる講読客には順路の変更で対処するのと同じようにな。世の中、アピールすれば何とかなる場合が多い。

ただ、こういうことは、その地域毎で長年の慣習になっている場合が多く、それで何とかやっていけてる限りは、そのシステムはそう簡単に変わるようなことはないやろうと思う。

新聞社は配達する側のことを考えた紙面作りをし、配達する者は新聞を作る側の事情を汲み、その遅いときには、いつもより頑張って早めに配達を済ませる努力をする。

お互いがお互いを思いやるという姿勢が大切やとは思うが、なかなか双方ともに、そこまで考えのおよぶ人間は少ないやろうと思う。誰しも、自分の立場を優先させて物事を考えるさかいな。

ただ、そのための苦情を受けるのは常にその末端の配達員には違いないから、あんたがそうボヤきたくなる気持ちは良く分かるがな。

その状況を打破するには、やはり新聞社へのアピールをすることや。できれば販売店の協力会といった組織としての申し入れがベストやと思う。それが聞き届けられるかどうかまでは保証できんけど、何も言わんよりかはマシなはずや。

もっとも、このサイトはその新聞社の上層部も含めて多くの関係者がそれなりに見てチェックしとるようやから、あんたのこの意見がその彼らに届く可能性はある。

今のところ、よほどの大問題にならん限りは、それで良しとするしかないのやないかな。


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