新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.839 このような状況下の私に何か助言なりアドバイスや打開策はありますか?


投稿者 八木さん 某全国紙拡張員  投稿日時 2010.1.25 PM 11:46


先日は適切なアドバイスをありがとうございました。

また、今はこのサイトしかすがるものがない自分がいることをお許し下さい。

今日はこの前もっと具体的にとご指摘がありましたので、その後新たな展開がありましたので、この場を借りて再度ご回答頂けたらと思いましてメールしました。

現状を包み隠さず報告しますので適切なアドバイスがございましたらお聞かせ下さい。

実は、この前ゲンさんからご回答戴いた後、サイトも拝見させて頂いていたので仕事中お客様に対しては笑顔を絶やさずもっと前向きに頑張ろうと思いインターフォンを押しドアを叩いていましたが、それは自分にとっては偽りの行動だということにやっと今日気付きました。

というのも、今私が一緒に就かせて頂いている二人(MとSとよばせてもらいます)のやり方はお客様への入りの時点から完全にY新聞を装ったひっかけですのでそれが嫌で今まで我慢してやっていた自分に遅ればせながらやっと今日気付いたのです。

ですから今日は自分はMとSがやっているひっかけトークの営業では廻らず先日ゲンさんにアドバイス戴いた「◯◯新聞店で寄らして貰いましたが」というやり方で廻ってみました。

結果はドアが開いて応対してくれたお宅は数軒でしたが全く話しを聞いてくれないお宅ばかりではなかったので叩いたエリアが新築ばかりの新興住宅地で留守宅も多かったことを思えばカードは上がらなかったですが自分自身納得できました。

終わってみればMとSは2枚ずつ上げてきて帰りの車の中ではいつものように上がらなかった私に対して「俺達はプロなんだからカードが上がって当然だけどあんたは素人なんだから上がらないならもっと練習しないでどうする」みたいなことから始まって車から降りるまで説教されなじられっぱなしでした。

私もひっかけは嫌だし向いていないということがようやくわかりましたし、今までMとSに就いて嫌々ながらやっていた自分にも気付きましたのでひっかけトークの練習やロープレをするつもりもありません。

MとSにも今日の終わりにはっきりと「自分はひっかけは苦手でできません。今まで仕方なく我慢してやっていました」と言いました。

そうしたところSから「いまさら何言ってんだ。嫌ならもっと早く言え、ひっかけが出来ないならA新聞ですけどって入ってみればいいさ、枚数上がらないから。俺らのやり方が一番カードがあがるんだよ。」ってなじられ「俺が身柄扱ってんだから団の責任者には俺の方から言っとくよ」と言われたので、敢えて私の方から団へは話していません。

またMからは「自分達のやり方(ひっかけ営業)が嫌だったら団の別のチームと何か別のやり方でやってみたらいいですよ。ただしその時に俺らのひっかけトークを使っていたら怒りますよ」ときつく言われました。

私としてみればこの二人から言われたことは予めわかっていたので納得できたし、二人に就いて嫌々ながらやっていた自分を解放できたという気持ちが強かったので何だかとてもふっ切れた思いです。

捨て材にタオルを使い他紙を装ってお客様を騙す様なやり方は私にはやっぱり出来ないのです。

然しながら、私の置かれている現状は厳しくお金もありません。お世話になっている団にも社長以下こんな境遇の私を拾ってくれた義理があります。

明日朝、事務所に行ってどういうように処理され指示されるのかわかりませんが、ゲンさん、こんな状況下の私に何か助言なりアドバイスや打開策はありますか?

最後に本日は長文になったことをお許し下さい。

どうかよろしくお願いします。


回答者 ゲン


『私もひっかけは嫌だし向いていないということがようやくわかりましたし、今までMとSに就いて嫌々ながらやっていた自分にも気付きましたのでひっかけトークの練習やロープレをするつもりもありません』というのは、それでええ。正解や。

以前のワシなら、「ヒッカケ」については感心せんとは言えても、止めとけとまでは言えなんだ。

しかし、今は去年の2009年12月1日『特定商取引に関する法律』の改正法の施行が開始されたことにより、それではあかんようになった。

法律的にも、この「ヒッカケ」のように偽って勧誘することが禁止されたさかいな。法律違反と認定されたものを公の場で肯定するわけにはいかんから、はっきりと否定するしかない。

この改正法の第3条ノ2第1項「勧誘の意志の確認」で、


販売事業者又は役務提供事業者は、訪問販売をしようとするときは、その相手側に対し、勧誘を受ける意志があることを確認するよう努めなければならない。


と規定された。

これにより、これからは、「新聞の勧誘をさせて頂きますけど、よろしいでしょうか」と確認してからでないと勧誘したらあかんということになったわけや。

この「勧誘の意志の確認」の中には勧誘する人間の身分を明らかにしてということも含まれるから、それに外れたことをする者にとっては、ただでさえ厳しい拡張がさらに辛くなると考えられる。

加えて、「不実の告知」の禁止も強化された。消費者契約法の中にも同様のものがあるが、それがさらにバージョンアップされたものやと思えばええ。

虚偽や事実と異なる説明をすることで、告げている内容が客観的に事実と異なっていればすべて違反となる。

事実に反する内容すべてがそれに該当する。

この違反例が最も多いと考えられている。

それまでは「ヒッカケ」のような身元を偽る営業手法そのものを直接規制する法律がなかったから、「感心せんやり方やな」で済んでいた部分もかなりあった。

新聞社や販売店が公然とそれを取り締まることもなければ、ペナルティを加えるということもなかったさかいな。

半ば容認されていたようなところがあった。

そのため、それを一つの営業手法やと誤解している勧誘員も多いのやないかと思う。

それなりに効果のあるやり方やから、その程度のことは、別にやっても構わんのやないかと。

あんたの言われる、M氏とS氏の二人のように。今以て、そういう拡張員は依然として多いと聞く。

しかし、違法行為に基づく勧誘は無条件で契約解除の対象となる。しかもこれは、その証拠云々を問題にされることも少なく、ほぼ契約者の主張をそのまま取り上げる可能性が高いという。

少なくとも、業界関係者の間では、そういった勧誘方法が横行していたというのは公然の事実として認識されとるから、敢えてその真偽を質す必要もないということやとは思うがな。

事実、新聞社の苦情センターや新聞インフォメーションセンターあたりでは、そういった判断のもとに各販売店指導しとるということやさかいな。

つまり、その「ヒッカケ」があったと契約者が言えば、その契約は無効になり、その勧誘をした勧誘員も某かの処罰をされ、その勧誘員を使った販売店、拡張団も叱責される可能性が高いということや。

現在は、まだその法律が施行された直後で、それほどの危機感もなく、その「ヒッカケ」を続けとる者も多いようやが、はっきり言うて、それは先のないやり方や。

そんなものを勉強しても何の役にも立たん。自分の身を危うくするだけやさかいな。

『明日朝、事務所に行ってどういうように処理され指示されるのかわかりません』ということやが、その「ヒッカケ」をするのを拒否したことで何らかのお咎めがあったというのなら教えてほしいと思う。

それはそれで、大問題やからな。

まあ、拡張団の上層部には、その法律が施行されたのを知らん者はおらんはずやから、それを理由に叱責するとは思えんがな。叱責されたとしても、成績が悪いことに対してやと思う。

ただ、ひと言、忠告しとくが、例えその行為が違法やとしても、あんたの口からはそれは言わん方がええよ。

『「自分はひっかけは苦手でできません。今まで仕方なく我慢してやっていました」と言いました』というのは、ええ。

しかし、「それは法律違反ですよ」と言えば角が立つ。あんたの立場では言わん方が無難やと思う。その行為で将来的に困るのは、それをしとる人間やから、ほっといても近い将来、そのうち自滅するか行き詰まるはずや。

それにその忠告、忠言をしても「そうなんですか」とは絶対ならず、「何言うとんねん。喧嘩を売っとんのんか」となるだけの話やしな。つまらん。そんな親切な真似はする必要はない。

『サイトも拝見させて頂いていたので仕事中お客様に対しては笑顔を絶やさずもっと前向きに頑張ろうと思い』というのを続けられたら、今はあかんでも必ず好転するときが来ると思う。

その思い、熱意というのは必ず相手にも伝わるはずやさかいな。

『こんな状況下の私に何か助言なりアドバイスや打開策はありますか?』というのは、その姿勢を大事にされることが、それになると考える。

このサイトやメルマガで勉強されるのはええが、そのすべてがあんたにとって有意義なものになるとは限らんから、まずは取り入れられる方法から取り入れていくことや。

そして、壁に当たり、迷われたら遠慮なく、またここに相談されたらええ。あんたに即したアドバイスをしたいと思う。

最後にひと言。

『然しながら、私の置かれている現状は厳しくお金もありません。お世話になっている団にも社長以下こんな境遇の私を拾ってくれた義理があります』というのは良く分かるが、その悲壮感というのは、あまり漂わせん方がええで。

そういう雰囲気は相手(客)も敏感にそれと察知するさかい、引かれるだけや。

あんたは真面目そうな人やから、ちょっと砕けるというか、ジョークを飛ばすタイプの人やないのかも知れんが、できたら、そういった笑いも取り入れて笑顔を作ることも大切やと思う。

メルマガに『第167回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■ゲンさんの拡張ジョーク集 Part1』や『第175回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■ゲンさんの拡張ジョーク集 Part2』 、『第82回 ゲンさんの新聞業界裏 ■ゲンさんの初笑いジョーク集』 というのがあるさかい、それを見られて参考にしたらどうやろうか。

面白くなかったら、ごめんなさいと言うしかないけど。

とにかく、何でもええから、笑顔で客と接するのやったら、あんた自身も楽しい気分にしとくことや。それが、今のあんたにとっては一番のアドバイスになるのやないかと思う。


書籍販売コーナー 『新聞拡張員ゲンさんの新聞勧誘問題なんでも選集』好評販売中


ご感想・ご意見・質問・相談・知りたい事等はこちら から


Q&A 目次へ                                 ホーム