新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.84 新聞奨学生は拡張員と上下関係があるのでしょうか?


投稿者 zedさん 投稿日時 2005.3.27 AM 2:28


はじめまして、知り合いや実用以外であまりメール等しないので特にHNも無いのですがここではzedと名乗っておきます。

以前、悪質な拡張員等に悩まされていたこともありとても参考になりました。過去の話ですが自分の体験について質問に答えていただけたらと思います。

大学の寮を出て独り暮らしをはじめて間もない頃、新聞勧誘について何の知識もなかった私はA新聞の当時の営業部の主任(名刺より)から3ヶ月間サービスで新聞を取ってしまいました。

数日後、私が朝8時に家を出て22時を過ぎないと帰ることがほとんどなかったこともあり当時配達をしていた新聞奨学生のI(勧誘員から聞いた話では大学を休学して学費稼ぎでやっていたようでした)が腹の立つことに配達の時間に集金に来ました。その時点では表情などは気の弱そうな感じでした。

その後、契約期間が終了する頃に授業が休講で昼近くまでアパートにいたときIが再びやってきてなにがあったのか「いままでタダで配ったから恩返しの意味で一回とれ。金無くても夏休みにかせげるだろ」というような一応大学に入った者とは思えない台詞をはかれ半ばショックでした。なんだか以前と比べると顔の表情もどことなくズルそうな雰囲気がありました。

それからも、バイクで足を怪我したときに見舞いに来た友人と思ってドアを開けてしまったらヤクザ気取りの拡張の後ろにコソコソ隠れてついてきたり(すきまから思いっきり見えましたけど)、道ですれ違ったらバツ悪そうな顔して目をそらされたりと不快な思い出がつきません…

長くなりましたが本題の質問です。
新聞奨学生は拡張員と上下関係があったりすることがあるのでしょうか?また、奨学生も朱に交われば赤くなるというようでなければやっていけないものなのでしょうか?

最近は悪質な勧誘だけは来なくなり、Iと兄貴分らしき拡張員に対する怒りも収まりましたがHPを拝見させていただいたら当時の感情がよみがえってきてしまい思わずキーをたたいてました。長文失礼しました。


回答者 ゲン


『新聞奨学生は拡張員と上下関係があったりすることがあるのでしょうか?』

と言うことやが、そういう決まりとか、不文律というものは業界には一切ない。この場合は仕事や組織上の上下関係というのも存在しない。拡張員と新聞奨学生は別組織に属しとるからな。

もし、あるとすれば、それは個人的なものや。年齢の差によるものもあれば、その人間本来の性質の違いや当人同士の強弱の差でそういうことが起きる場合もある。

そういうことは、世間一般の関わり合いと大差ない。しかし、普通は、滅多に拡張員と新聞奨学生が仕事上で関わるということも少ない。あんたの遭遇したケースは希や。もちろん、ないこともないがな。

ワシもこの新聞奨学生との関わり合いが過去にもあったが、助け助けられたりのええ関係やったと今でも思うてる。

その時の話をサイトの『新聞勧誘・拡張ショート・ショート・短編集 第5話 新聞奨学生マタやんの憂鬱に掲載しとるから、見て貰うたらええ。新聞奨学生の実態もある程度分かるはずや。

確かに、あんたの話を聞く限り、その新聞奨学生のIという者は人間的にも、もう一つの所があると思う。しかし、ある程度、ワシにはそのIの行動も理解は出来る。ええ悪いは別にしてな。

新聞奨学生と言うても、する仕事は他の販売店の従業員と同じようなもんや。配達、集金、営業がその業務や。一般から見れば、同じようにしか映らんし、実質も大差ない。しいて言えば、正社員と期間社員との違い程度やと思う。

あんたが迷惑やという、まだ寝てる時間に集金に来るということやが、普通に集金出来る時間がなかったからそうしたのやと思う。

新聞販売店の一般的な通常の集金は、大抵は毎月25日から翌月5日くらいの間で、時間は夕刊配達後の夕方5時くらいから夜の8時くらいまでというのが多い。それ以上遅いと、翌朝、配達までに寝る時間が取られんということがある。

このIも何度か通常の集金日時にあんたのところにも行ったはずや。しかし、あんたとは会えんかった。当然やけど、この集金業務というのはどこの販売店でも厳しい。

会えませんでしたから集金出来ませんでは通らん。販売店によれば、その集金が出来なければペナルティを課す所もある。集金出来れば、1件いくらのマージンもあるがな。

それで仕方なく朝ということになったのやろ。もちろん、Iもそれはしたくはなかったと思う。それでも、例え、どういう事情があれ、常識というものは考えなあかん。

その時間帯が相手にとってどうかというのを考える必要がある。そういう意味で思慮に欠けてたと言われてもしゃあない。

この問題で、購読者が怒り出して「解約や」と言い出すことも結構多い。そこまで行かんでも、あんたのように、気分を害したという人はかなりいとる。

この場合、Iのベストの行動は、新聞と一緒にメモを入れておくことやったと思う。

「集金に寄せて頂きましたが、お留守のようでしたので、ご都合のよろしい日時を教えて頂ければそのように致します」という一文でかなり、あんたの受ける印象も違ってたはずや。

ワシは客と契約する時は常に、この集金日時のことを確認するようにしとる。あんたのように、時間的に難しいという客ばかりやなく、その日時に拘る人間も結構いとるからな。

決まった日、決まった時間に来んというだけで怒り出す客も珍しいことやない。せやからワシは、契約書の空欄に客がそれを希望すれば、その日時も書き込むようにしとる。あんたのように集金が難しいようなら、銀行振り込みの話も勧める。

『Iが再びやってきてなにがあったのか「いままでタダで配ったから恩返しの意味で一回とれ。金無くても夏休みにかせげるだろ」というような一応大学に入った者とは思えない台詞をはかれ半ばショックでした』

これは、頂けんな。喝勧というて脅かして勧誘するやり方や。これ自体は弁解の余地がない。どういう経緯であれ、あんたは現読なわけでれっきとした客や。

それが、例え購読料が本当にタダやったとしても、販売店がそう認めとることなら、このIが口を挟むことやない。余計なお世話やからな。

ただ、販売店によりやけど、この新聞奨学生にも勧誘のノルマを課している所がある。ノルマがクリア出来んとかなり厳しく叱責される。

ノルマというても、ほとんどがあんたの場合と同じように継続を頼むという事が多い。普通にその継続を頼むべきやったんやが、このIは勘違いしたんやろ。新聞の勧誘とはこうするもんやとな。

その意味で言えば、程度の悪い拡張員と連んどった可能性はある。おそらく、その拡張員に、拡張の手ほどきでも受けたと考えられる。それとも、この人間の性質がそうさせたのかも知れんがな。

後日、そのIが『ヤクザ気取りの拡張の後ろにコソコソ隠れてついてきたり』ということのようやが、これは、単に業務としてそうしていた可能性の方が高い。

あんたは、新聞の継続を断ったからヤクザな兄貴分の拡張員を連れて来たと思うとるようやけど、1件の契約だけのためだけにそうすることは考え辛い。それが、嫌がらせ絡みやとしてもな。

この場合は、普通に考えてIは、案内拡張をしていたんやと思う。拡張員を勧誘エリアに連れて行く業務の一つや。これも、販売店によりそうしとる所がある。

その時、案内の1軒にあんたの所があったということや。こそこそしていたわけやないやろと思う。案内なら普通について来る。まあ、それでも、気の利いた者なら、客の視界に入るようなことはせんけどな。

もっとも、後で『道ですれ違ったらバツ悪そうな顔して目をそらされたり』ということで、何かの引け目をそのIが感じていたのか、あるいは単にあんたが客にならんから相手にせんようにしてたのかは、当人にしか分からんことやけどな。

いずれにしてもこのIは程度のええ人間とは言い難いのは確かや。

『また、奨学生も朱に交われば赤くなるというようでなければやっていけないものなのでしょうか?』

これも、当人次第で、すべての奨学生がそうやということはない。そうでない人間も圧倒的に多い。その職業で人間性が失われるというのは、その職業の特質というよりも、個人の資質によることの方が強い。

このサイトで事ある毎にワシが言うてる『どこで何をしていようが、ええ人間もおれば、悪い人間もおる。それが、人間の社会やということや』ということに尽きる。

確かに、あんたはこのIのように、程度の悪い男と関わったかも知れん。悪い奨学生に出会い悪辣な拡張員を知れば、その職業に携わる者全体がそうやと思い込む。

それも、ある意味仕方のないことかも知れんが、あんたも何かの縁でこのサイトに辿り着いたのやから、今日からはその考えに疑問を持って欲しい。

そうでなければ、あんたは偏見というものに取り憑かれることになる。人間は理屈では、この偏見はあかんということは知っとる。しかし、そのことに常に意識を向けてなかったら、ついその偏見による見方をしてしまいがちや。

例えば、あんた自身、その意識すらなく思った『一応大学に入った者とは思えない台詞』ということからも、そのことを垣間見ることが出来る。

あんたの意識には『大学に入った者』は、そういうことを言うはずないという思い込みがある。その裏付けは何やろ。難しい試験に合格したから賢いと言うのやろか。

ワシから言わせて貰えば、勉強出来る賢さと人間性は全く別物やと思う。ワシも半世紀、生きて来た。それなりに、いろいろな人間とも出会った。特に、ワシはその人生の大半を営業で生きて来たから、知り合った人間の数は半端やない。

某一流大学の教授も知ってるし、高名な政治家も知ってる。懇意にしとる知識人、芸能人、有名人も上げたらキリがない。皆、一様に学歴も高い。因みに、ワシは定時制高校卒やけどな。

しかし、そのすべての人間が素晴らしい人間かというと必ずしもそうやない。また、世間で思われとるほど賢いということもない。ましてや、その人間性に至っては、正に千差万別や。

ワシのような拡張員をしとる人間から見ても、何としょうもないアホやと思えるような人間はざらにおる。もちろん、それ以上に、本当に素晴らしい人間もおるがな。

ワシが何を言いたいのかというと、そんな表面的なことに捉えられとると、肝心なものを見落とすことになるということや。その最たる障害が偏見によるものなんや。あんたには、そんな偏見で物事を見て欲しいないと思う。

このサイトにも、元新聞奨学生をしておられたという方からの投書も多い。ある元新聞奨学生の中には、現在も尚、ボランティア活動を通して素晴らしい行いをしとる者もおられる。

メルマガ『新聞拡張員ゲンさんの裏話 NO.21 年の終わりにの中で、新潟中越地震にボランティアで参加された読者の話を取り上げた。このメルマガには言及してなかったが、この方も実は元新聞奨学生の方や。

ワシはこの人が単にボランティアでそうしとるから素晴らしいと言うてるんやない。この人はそのことを何の自慢にすることもなく、その中で他人の行為を投書として知らせてくれてる。

読んで貰うたら分かるけど、こういうことはなかなか出来ることやない。そして、有り難いことにこのサイトには、そういう人たちが数多く投書してくれとる。

あんたには、少し耳の痛い話やったかも知れんが、このあんたへの苦言は、ワシ自身への戒めでもあるんや。人間、それは分かっておっても、あらゆる場面でその偏見を覗かせることがある。

聖人君子でもなければ、聖者、賢者でもないワシのような人間は、常にそれを自分に言うてないと、ついうっかりということがある。

偏見の目で見る世界は狭い。そういう目だけは持ちたくないと思うからな。


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