新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A
NO.841 どのように対処していいかわかりません
投稿者 八木さん 某全国紙拡張員 投稿日時 2010.1.29 PM 10:37
早速ですが、実は昨日、とある団地でこのM氏とS氏がやっている「ヒッカケ」営業をした(やらされた)ところ、お客様が警察に通報されていろいろ大変だったのですが、私自身このやり方がいかにリスクを伴いイメージの悪い愚策であるかということを実感しました。
相変わらずS氏からは「ヒッカケ」のトークなり営業姿勢なりについて喧嘩越しに怒鳴られ叱責されており、「今度、同じミスをしたら車から引きずり出して殴る」そうです。
そうならないように「ヒッカケ」を一生懸命覚える振りをして、枚数を上げるしかないです。
こんなS氏のような「キレまくり野郎」は私は初めてですし、どのように対処していいかわかりません。私の友人や知り合いにもこんな人いませんのでとても戸惑っています。
ただこの仕事で人を騙す様なこともしたくないですし、新聞の拡張員と言えどもこれからは人としてまともに生きようと心に決めたので、ゲンさんの言われるように自分を見失わず笑って前向きに立ち向かって行きます。
また壁にぶつかったらこの若輩者にアドバイス頂けたら幸いです。本当にどうもありがとうございました。
回答者 ゲン
『「ヒッカケ」営業をした(やらされた)ところ、お客様が警察に通報されていろいろ大変だった』というのは、ありがちなことや。
客にもいろいろおるから、騙された、嘘をつかれたというだけで怒り出すケースも多いさかいな。
おそらく『やらされた』というその状況は、『M氏とS氏』の両方か、そのいずれかが一緒にいてたのやと思う。
その彼らは、その客に反抗的な態度を取ったのやないかな。それで通報された。そんなところやろ。
あんただけなら、その「ヒッカケ」はしてないやろうし、仕方なくしてたとしても、その客が怒り出せば、すぐに謝っていたはずやしな。
どういう結末になったのかは分からんが、このメールを送られておられるところを見ると大した『事件』にはなってないようや。ある意味、運が良かったかも知れんという気がする。
図らずも『私自身このやり方がいかにリスクを伴いイメージの悪い愚策であるかということを実感しました』となったわけやが、これからは他でもそういうケースが増え続けると思う。
今のところ、その「ヒッカケ」を規制する特商法改正法の第3条ノ2第1項「勧誘の意志の確認」の規定は努力義務ということになっていて特に罰則はないが、違反には違いない。
違法行為やから警察を呼ばれても仕方ない。
この団のように、罰則規定のないのを良いことに何の手も打たずに、その団員の好きなようにさせて、今回のような「ヒッカケ」を原因とするトラブルが頻発すれば、早晩、その罰則規定が設けられることになるのは間違いないものと思う。
罰則規定がないというのを「容認」「お目こぼし」と誤解しとる人間がおるようやが、これは、ただの「様子見」というだけで、罰則規定の追加は比較的簡単にできる仕組みになっとるから、甘く考えん方がええ。
その客が、それだけで終わらず新聞社や新聞インフォメーションセンターなどに、その件を通報すれば、かなりややこしいことになるはずや。ヘタをすると団そのものの存在も危うくしかねん事態も予想されるさかいな。
『相変わらずS氏からは「ヒッカケ」のトークなり営業姿勢なりについて喧嘩越しに怒鳴られ叱責されており、「今度、同じミスをしたら車から引きずり出して殴る」そうです』というのは、何度も言われとるが、本当にそのS氏とやらは、そんなことをするつもりがあるのやろうか。
そんなことを言う者は何人も見てきたが、たいていは口先だけの場合が多いけどな。
参考までに、そのS氏とやらが、何度もあんたを「殴る」と言うてるのは何故か、という点について少し触れとく。
多分にワシの憶測ということになるが、まあ、「当たらずといえども遠からず」やないかと思う。
その「ヒッカケ」とやらは、二人でやらなできんコンビ技の類と違うかな。こういう場合のコンビというのは、たいていはどちらが主でどちらかが従という関係になる場合が多い。
おそらく、そのS氏とやらは、M氏の従やった可能性が高い。誰しも従よりは主になりたい気持ちが強いもんや。
その主になるためには、自分より立場の下の者を見つけて教育せなあかん。その対象をあんたにしようとして、そう言うてるだけやないかという気がする。
せやから、単なる脅しだけで言うてることやとは思うが、もし、本当にそんな真似をされて我慢できんというのであれば、いくらでも対処のしようはある。
というか、そういうことがあった場合、我慢せん方がええ。殴られて我慢すれば、そういうことを平気でする人間は必ず、それがエスカレートする。一度が二度、三度となる。どんどん悪いようにしかならん。
そうなれば、いくらあんたが、その仕事を続けるつもりになっていたとしても結局は無理や。辞めるしかなくなる。
それなら、最初のうちに対処しといた方が、あらゆる面で得策ということになる。
その方法を言う。
まず、殴られたという事実を明確にするために病院に行ってその診察を受け、診断書を作って貰うとく。
それを持って、警察署の生活安全課、これはその警察によって、市民相談係(課)、市民生活課、警察相談課などと呼び方は違うが、要するに市民の苦情を受け付ける相談係というところに行って相談することや。
間違っても、いきなり刑事課の刑事には言わん方がええで。刑事課の刑事というのは基本的には事件を少なくしたいと考えるのが普通やから、親身になって相談に応じるケースが少ない。
その刑事次第では嫌な思いをする場合がある。実際にそういう報告も多いしな。
その点、相談係というところは、市民のための警察をアピールするための部署やから比較的、親切な対応をしてくれる場合多い。自らがその捜査をするということがないという気楽さもあるのかも知れんがな。その点が、刑事課の刑事とは違う。
そのケガの程度にもよるが、知人同士のそれは被害届が出て捜査となる場合が多いから、最初の段階では相談したという程度で止めとく。「謝ってくれたらそれでいいので」というくらいにしてな。
被害届はその謝罪要求が拒否された段階でしても十分間に合う。
告訴を必要とする「親告罪」というのがある。あんたの場合、その「親告罪」に該当する「過失傷害罪」に認定されるかどうかは微妙やが、警察が「被害届を出してください」と言えば、その方向に持っていく可能性はある。
その「親告罪」は、原則として犯人を知った日から6ヶ月以内が告訴期限とされとる。その間にしてもええから、その点でも遅くはない。
ただ、純然たる「傷害罪」と警察が認定すれば、告訴を必要としない「非親告罪」、つまり通常犯罪の捜査が警察独自の判断で開始されるかも知れんが、それは仕方ない。
まあ、警察の体質から言うても「親告罪」扱いする可能性の方が高いとは思うがな。
ただ、その場合、できれば、その事の顛末を信頼できる身内か知人に連絡しといた方がええ。それが、万が一の場合の保険になる。
警察に相談に行った後で団長に、その事実を告げる。
その対応次第で次の手を考える。
その団員を叱責して謝罪させるか、それなりの慰謝料を支払って和解するのならそれでええし、一方的にあんたを責め、解雇しようとするのなら、それなりの闘い方をせなあかんやろうしな。
その団長が、その団員の側に立った対応しかせん場合は、そこを辞めるしか、あんたには手はなくなる。そんな状態で、そのまま、そこで仕事をしてもロクなことはないと思うから、アドバイスする立場からも、それを勧める。
そのつもりになって、まずはその団の手の届かん場所から離れることや。
タチの悪い人間なら、あんたの身柄を押さえようとする場合も考えられるさかいな。その場合に、警察に相談した事、身内や知人に事の顛末を連絡した事が生きてくるわけや。
「私に何かあったら、その身内や知人が警察に連絡しますよ」と。具体的には、「今日中に私からの連絡がないとそうなるはずですよ」と。
何かサスペンスドラマのような感じやが、最悪の場合を想定して、そこまで用心しといた方が無難やろうと思う。最後の切り札としてな。
その上で、警察に被害届けを出す。または出すとその団の団長に告げる。
そのどちらにするかは、あんた次第やが、そこまで行った場合は警察に被害届を出して事件化する方がええやろうと思う。
示談にするとか話し合いで謝罪を要求するというのは、その後でもできるしな。
そこまでの腹を決めていれば、日々、そのS氏に怯(おび)える必要もないやろうと思う。
はっきり言うて、世の中、どんな理由があれ、手を出した者、暴力を振るった者の負けや。日本は法治国家やねんから、そんな無法が許されることは絶対にないさかいな。
もっとも、実際にそのS氏がその行動を起こさん場合は、それまで調子を合わせとくしかないやろうがな。
それを防ぐための事前の対処というのは、その手の人間には通用せんやろうし、却って最悪の事態を招く恐れもある。
あんたにとっては嫌かも知れんが、そういう人間は、ただひたすら「ヨイショ」しといたらええ。「アホはおだてるに限る」とでも考えとれば、腹も立たんやろうし、気に病むこともないやろうと思う。
それに警察に相談するにしても、殴られそうやというだけでは動くことはないさかいな。警察は事件が起きた後でないと頼りにはならん。そう考えといた方がええ。
黙って事が起きるまで、そのままにするか、あるいは、その危険から逃れたいのやったら、今のうちに辞める算段をするか、それくらいしか、今のあんたにはその状況を脱する選択肢はないやろうと思う。
どうするかは、あんた次第や。良う考えて決められたらええ。
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