新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A
NO.848 先付け契約の解除について
投稿者 アダチさん 投稿日時 2010.2.13 PM 9:36
はじめまして。アダチと申します。
新聞の契約解除について調べていてこちらのサイトにやってまいりました。
他の方の質問をいくつか拝読したのですが、こちらの事情がややこしいため相談させていただきます。
我が家は2世帯住宅で、祖父母はK新聞を、私の両親はY新聞を、それぞれ別に購読しています。(購読期間はどちらも今年4月まで)
2紙購読するのも不経済なので、今後はどちらか1紙だけにしようという話になったところ、M新聞の勧誘員と、今年の5月から4年間(最初の1年間は無料)の契約を母親が結んでいたことがわかりました。
M新聞を読むつもりは毛頭ない上、契約時の状況や契約書におかしい点があることから解約したいのですが、可能でしょうか。
おかしな点というのは、
@勧誘員に、「先日訪問した際に、ご主人(父親)が『後日契約する』と言ったから来たのだ」と言われたのでサインをしたが、父親に確認したところ、勧誘員には会ったがそんな口約束はしていない。
Aサインしたのは昨年7月だったが、契約日は昨年4月の日付になっている。
母親は、父親が同意していなかったとわかった時点で解約しようと思ったが、契約日は4月付けになっているからクーリング・オフは使えないと思ったので、諦めて黙っていたそうです。
@は完全にウソですし、Aもクーリング・オフを使えなくさせるための悪質な手段だと感じられます。
しかし、母親の証言以外、何も証拠はありませんし、どちらにせよとっくにクーリング・オフの期間は過ぎています。
契約書にサインをし、今まで黙っていた母親の自己責任と言われれば仕方がありませんが、今のうちに解約するにはどうすればよいでしょうか。
母親は「販売員は知人だったので、顔をつぶさないように数カ月だけ購読して断ろうと思っていた」とのことですが、無料サービスだけ受けて解約するのは手前勝手な話ですし、断るのなら早いうちがいいかと思います。
また、断る理由も、証拠のない@Aのような話はせずに、「今まで2世帯で分けて取っていたが、今後は祖父母世帯といっしょにするので、こちら世帯の契約は破棄したい」と言った方がいいでしょうか。
よろしくお願いします。
回答者 ゲン
『母親は「販売員は知人だったので、顔をつぶさないように数カ月だけ購読して断ろうと思っていた」とのことですが、無料サービスだけ受けて解約するのは手前勝手な話ですし、断るのなら早いうちがいいかと思います』というのは、そのとおりやと思う。
その段階での解約は、いろんな面で難しいと言うしかない。
それに『無料サービスだけ受けて解約』したとしても、実際にはその新聞代を支払わなあかんようになるさかい、結果として無料サービスを受けることにはならんしな。
あんたの場合、その1年間の無料サービスを受けられる権利は、4年の購読契約を全うした場合だけやからな。途中解約するというのは、その権利を自ら放棄することを意味する。
それが分からず、その無料サービス期間が終わってから解約を申し出て、その新聞代をまとめて払わなあかんと知り狼狽(うろた)える人は多いがな。
『また、断る理由も、証拠のない@Aのような話はせずに、「今まで2世帯で分けて取っていたが、今後は祖父母世帯といっしょにするので、こちら世帯の契約は破棄したい」と言った方がいいでしょうか』というのは、不利を覚悟の上なら、そう言うのもええが、あまり賢い理由、言い訳とは思えんな。
それやと自己事由での解約依頼ということになり、その販売店次第では簡単に解約に応じて貰えず、「解約違約金」を請求されることもあり得る。
あんたのケースなら、やはり、『@勧誘員に、「先日訪問した際に、ご主人(父親)が『後日契約する』と言ったから来たのだ」と言われたのでサインをしたが、父親に確認したところ、勧誘員には会ったがそんな口約束はしていない』、『Aサインしたのは昨年7月だったが、契約日は昨年4月の日付になっている』という点を突いた方が得策やろうと思う。
@の場合は、「不実の告知」ということになり、「消費者契約法」で違法行為とされとるし、現在、「特定商取引に関する法律の改正法」では、さらにそれが厳しく強化されとるから、そう申し立てるだけでも効果的な場合がある。
Aの場合は、「虚偽記載」での契約以外の何物でもないから、それと認められれば文句なく契約は無効になり解除できる。
あんたは『母親の証言以外、何も証拠はありません』と悲観的やが、それが事実なら、あきらめることはない。
裁判所ですら、証拠云々以外でも「心証」と言うて、「どちらの言い分が信用するに足るか否か」で、その裁定を下すこともあるくらいやさかいな。
真実は何よりも強い。まずは、その信念を持たれることや。
それに、その証拠を得る手段は今からでも可能な場合がある。その方法を言う。
あんたのところに来たという勧誘員への連絡が可能なら、直接、電話をする。
連絡が取れない場合は、その販売店に連絡して、その勧誘員に連絡して貰えるように頼む。
理由は、当面はその販売店には言わず、「契約の事で、来られた勧誘員の人に確かめたいことがありますので」とだけ言えばええ。
その勧誘員とお母さんが知り合いなら、そう言うだけで大して変に思われることも用心されることもないのと違うかな。
その勧誘員と連絡が取れたら、その本人に「あなたは契約される場合、母に父が『後日契約する』から来たと仰ったそうですが、そうだったんですか」と聞く。
「そうだ」と言えば、それが言質になる。そのときは、それを責めるようなことは言わず、次の質問をする。
「あなたが来られたのは、確か去年の7月頃の夏時分でしたよね」と聞く。そのとおりなら、それほど用心もしてないやろうから「そうだ」と答えるはずや。
そう答えたら、「それでしたら、母に渡された契約書の日付が4月になっていたのは、どうしてだったのですか。何か理由でもあってのことだったのですか」と、穏やかな調子で聞く。
すると、その勧誘員は、その場逃れの適当な返事をするはずや。「こちらの成績の都合でそうしただけ」とか何とか言うてな。
それらの会話のやり取りを、電話器に録音機能があれば、それを利用して、なければスピーカーホンなどにしといて、ラジカセなどで録音しとく。
その言質が証拠に使える。
その上で、まずはその販売店に解約したいという意志を伝え、その勧誘員の違法性を指摘する。
販売店によれば、その時点でそれと認め、その契約の解除に応じる可能性がある。
例え、それを認めず不調に終わったとしても、まだ手はある。
@の「不実の告知」について、先ほど『現在、「特定商取引に関する法律の改正法」では、さらにそれが厳しく強化されとる』と言うたが、この法律の施行は実際には、去年の2009年12月1日からで、あんたが契約したという去年の7月は適用外とされる場合が多いのやが、事、この法律に関してだけは少し違う。
実は、「特定商取引に関する法律の改正法」が、2008年6月11日、参議院本会議において原案通り全会一致で可決、成立したことを受けて、6月18日、社団法人日本新聞のHP上で次のような発表があった。
訪問販売にかかわるさらなる自浄努力の具体策 2008.6.18
○新聞セールスインフォメーションセンター(旧・新聞セールス近代化センター)の全国展開
「新聞セールス近代化センター」(平成5年設立)は東京に事務所を置き、在京6社東京本社管内のセールススタッフの登録と教育指導、新聞セールス証の発行などによりセールススタッフの質的向上を目指すとともに、読者からの苦情の受付と処理を業務としている。違法行為が顕著なセールススタッフは登録を抹消され、どの系統も雇用できない。
こうしたセンターの機能を全国に拡充すべく販売委員会(※1)で検討の結果、京阪神・近畿地区と九州地区で同センターが設立されることとなった。あわせて「新聞セールス近代化センター」を「新聞セールスインフォメーションセンター」と改称することとした。これにより、全国紙のセールススタッフについては、北海道から九州(沖縄を除く)までの全国で登録が行われることになる。
地方紙などは、これまでの支部協(※2)への登録を継続し、センターへの参加については、賛同した系統から始める。
東京、関西、九州の新聞セールスインフォメーションセンターの事務局所在地および管轄エリアは以下のとおり。
【東京】〒104−0061 中央区銀座6−7−16 岩月ビル6階
管轄エリア:北海道、東北、関東、東海、北陸の一部
【関西】〒530−0003 大阪府大阪市北区堂島1−1−25 新山本ビル9階
管轄エリア:関西、北陸の一部、中国、四国 ※7月1日業務開始予定
【九州】〒810−0001 福岡県福岡市中央区天神4−7−18 永島ビル401
管轄エリア:九州(沖縄を除く) ※8月1日業務開始予定
○読者からの苦情・相談に関する新聞社ごとの窓口組織の充実
新聞各社の苦情・相談窓口をいっそう充実させるため、以下のとおり、必要とされる条件のモデルを定め、今後、各社はこれらを参考に、窓口組織の充実に努めることとする。
・ 平日は読者からの苦情・相談を24時間受け付ける体制を整備する。土曜日についても、必ず電話に出る体制を完備する。
・ 専用の電話、ファクス、メールアドレスを設ける。
・ 窓口組織の名称はわかりやすいものにする。
・ 紙面の目立つところに窓口組織について記載するなど、読者への周知に努める。
・ 読者からの問い合わせは、当該販売所に連絡し、対応結果を必ず本社に連絡する。
○全国の消費生活センターとの連携強化
・ 新聞協会が加盟各社の苦情・相談窓口一覧を作成し、全国各地の消費生活センターに改めて周知する。
・ 消費生活センターと支部協、訪問販売委員会(※3)との懇談は、今後も定期的に開催するよう、販売・中央協委員長から指示する。
・ 各支部協と二枚看板である訪問販売委員会を積極的に活用し、最低でも毎月1回は、訪問販売委員会を開催するよう義務付ける。その際、特定商取引法の順守、支部協事務局に寄せられた苦情・相談およびその処理結果について報告する。
※1 販売委員会は、新聞各社の販売責任者によって構成されており、毎月1回、新聞販売にかかわる様々な問題を話し合い、販売業務に関する諸事項の処理ならびに調査研究を行っている。
※2 支部協とは、公正競争規約に基づいて地域ごとに設置される組織で、規約の運用を担っている。支部協の委員は、その地域に所在する新聞社と販売業者の代表で構成されている。
※3 訪問販売委員会とは、苦情の受付やトラブルの処理機関として、販売委員会が地域ごとに設置する組織。
というものや。
普通、この手の発表は、かけ声倒れに終わるケースが多いのやが、この件に関しては新聞業界はかなり本気で取り組んでいるようや。
実際、この日を境に、購読者から新聞社に寄せられる苦情の処理に大きな変化が見られるようになったさかいな。
今までは、あんたも危惧されているように『母親の証言以外、何も証拠はありません』という状態の場合、それに該当する新聞販売店が「そんな事実はない」と否定すれば、「その件に関しましては当事者間でお話ください」と言うて逃げてた新聞社が多かったが、今は、どちらかというと、読者の言い分を尊重した判断を下すことの方が確実に増えてきている。
つまり、その事実をそのまま、新聞社の苦情センターにぶつければ、あんたの主張が通る可能性が高くなっているということや。
それに、その勧誘員の言質があれば言うことはないが、なくても何とかなるのやないかと思う。
Aの「虚偽記載」での契約が本当に7月だった場合、その販売店から新聞社へ毎月報告する契約者リストには、あんたのお父さん、もしくはお母さん名義の契約が、その7月に必ずあるはずやから、調べれば、そのウソはすぐ分かると思う。
少なくとも、7月に契約した人間の契約リストが4月に報告されとるということは絶対にないはずやさかいな。そのことも有力な証拠として、その新聞社に突き付ければええ。
保証はできんが、かなりの確率で新聞社からの指導が、その販売店に入るものと思う。指導が入れば、たいていの販売店はそれを重視して解約に応じるはずや。
その際、その契約時に何か貰ったサービス品があるのなら、それを返せばすべて終わる。
ただ、それをする場合、『母親は「販売員は知人だったので、顔をつぶさないように数カ月だけ購読して断ろうと思っていた」とのことです』ということなら、お母さんの意向を良く聞いて、どうするかを確かめられることや。
その話が新聞社にまで及べば、当然やが、その販売員とやらの立場は相当まずい状態になるやろうからな。顔がつぶれるどころでは済まんかも知れん。
その販売員が、その販売店の従業員やった場合、叱責程度で済めばええが、ヘタをすると解雇というケースも考えられるさかいな。
その販売員が拡張員の場合は、最低でもその販売店への出入り禁止、こちらも悪くすると所属の拡張団から解雇されるというケースもある。
それくらい、今の新聞業界は、この手の問題を大きく取り上げる可能性があるということや。
まあ、あんたも『@は完全にウソですし、Aもクーリング・オフを使えなくさせるための悪質な手段だと感じられます』と言うておられるとおり、ワシもそれにほぼ間違いないと思うから、例えそうなったとしても自業自得ではあるがな。
お母さんと、その販売員との付き合いの深さにもよるが、一応、そう警告した上で、何とか『今年の5月から4年間(最初の1年間は無料)の契約』の解除を、その販売員の裁量でして貰えんやろうかと頼むという手もある。
それが一番、穏便な解決策やという気がする。
それにその販売員が応じない場合は、そちらの判断次第ということになる。
その場合は、ご家族で良く話合われてから、どうされるか決めるしかないと思う。
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