新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.85  契約を結んでしまったのは早まったでしょうか?


NO.85 契約を結んでしまったのは早まったでしょうか?

投稿者 ショーンさん 男性 会社員 投稿日時 2005.3.30 PM10:24


前略、初めてメールを送らせていただきます。「新聞拡張員ゲンさんの嘆き」を拝見して、疑問が起きたので、メールを送らせていただきます。

本日、ある新聞の拡張員氏が来て、新聞の勧誘を受けました。現在新聞を取っているというと、その後でいいからといって、今の新聞の契約が切れる平成18年2月の契約を結ばされることになりました。

とはいっても、アパートで1人暮らしのサラリーマンですので、それまでに転勤になることもありますし、そうでなくても引っ越すこともあるでしょう。結婚してもっと広いところに家を借りることもあり得ます。

1年後の自分がどうしているなんて、全く想像もできません。そんな不安定要素のある契約で、拡張員氏はメリットがあるのでしょうか。

また、会社を辞めるなど経済状態が変化して購読ができないので契約を破棄したい、今読んでいる新聞を続けて購読したいので契約を破棄したいと来年になってから言っても認められるのでしょうか。

今となってみたら、契約を結んでしまったのは早まったかなと思っています。

最後に、もう一つだけ質問です。今日はサッカーの代表戦があったので珍しく早く帰ったので新聞の拡張員氏に会うことになり、普段のときに会うことがなかったのですが、やはりある程度の時間以後は訪問を自粛しているのでしょうか。

いきなりのメールで失礼いたしました。貴HP、今後も読ませて頂きます。 草々


回答者 ゲン


『1年後の自分がどうしているなんて、全く想像もできません。そんな不安定要素のある契約で、拡張員氏はメリットがあるのでしょうか』

これは、この業界が普通にしとる契約の一つや。新聞購読契約を貰うというのは、普通の営業から比べてもかなり難しく厳しいものがある。

大抵はどこかの新聞を取っているし、無読の人間も信念でそうしとることもあるから、急な新聞の切り替えや新規契約というのは、拒否されることが多い。

特に現読は、契約書で購読期間の設定があるのが大半や。即日購読開始ということになると、一時期に2部の新聞を取ることになり嫌がる。必然的に、その契約期間満了後の契約しか出来ん場合があるから、そういう契約の割合も多くなる。

これが、他の営業と違う大きな点や。この契約形態は、新聞販売店も認めとることやから、契約を結べば、通常の契約料が発生する。当然、拡張員も成績となり収入が得られるからメリットはある。

ワシの知る限り、4,5年先くらいまでの契約は普通や。業界では、こういうのを「先縛り」と言う。あんたの言う、1年先どころの騒ぎやないわけや。

しかし、こうでもせんと、この業界は顧客の確保が難しいのは確かや。これから、益々こういう傾向は続くやろうと思う。

一つには、少子化という問題がある。現在、自立する人間の数が、その少子化に伴い、年々減少傾向にある。ということは、完全新規客が少ないということを意味する。

そうなれば、必然的に現状の購読客の奪い合いになる。地域によれば、その奪い合いが熾烈になる。勢い、契約が貰えるなら、何年先でも構わないとなる。

極端な例は、10年先、15年先というのもある。しかも、そういう契約を結ぶのは、かなりの高齢客の場合が多い。失礼な言い方やけど、それこそ、その契約時にその当人が生きてるかどうかさえ分からんわけや。

それでも、契約として成り立つところもあるから、不思議と言えば不思議な業界や。面白いところでは、生涯契約というのもある。死ぬまで読みますということや。生命保険やあるまいしと思うがな。

もっとも、これには半分洒落も入っとる。しかし、この業界はただの洒落で済まんところが面白くて怖い。半分は真剣やからな。

その真剣度を計るエピソードとして、この生涯契約の拡材が、新車の乗用車1台というのがあった。信じられん嘘みたいな話やが、これは『拡張の歴史』の中でも紹介しとるから、暇な時にでも見てくれたらええ。

『契約を破棄したいと来年になってから言っても認められるのでしょうか』

これは、難しいやろなと思う。一方的な自己事由による契約解除の申し入れは法律的には難しい。その販売店と話し合いの上でないと出来んとされとる。

拡材の返還は、契約解除を申し入れる場合は当然のこととして、その上に、契約違約金を請求されることもある。その辺の所はQ&A NO.57 でも説明しとるから見て貰うたらええ。

ただ、直前、あるいは購読期間中に突然引っ越す事態となった場合は、大抵は、受け取った拡材の返還だけということで、契約の解除が認められる事が多い。ほとんどの、販売店がそれに対して異を唱えることはない。

しかし、どうしても、考え直して嫌ということであれば、クーリング・オフで解除することは出来る。これは契約日から8日以内に書面で申し入れることになっとる。昨日の契約ということやから、まだ十分間に合う。

そのことの詳しいことは『ゲンさんの勧誘・拡張営業講座 第1章 新聞営業の基本的な考え方 法律・規則編 その6  特定商取引に関する法律・クーリングオフについての考え方』やQ&Aの NO.24 NO.39 NO.41 でそれぞれ説明しとるから、参考になると思う。

ただ、それらの中でも言うとるが、そのクーリング・オフの意志を販売店に伝えるだけで、大抵は契約解除には、すんなり応じると思う。今ある契約書の控えにでも「解約済み」と書いて貰えば、それでええ。

その上で拡材の返還さえすれば、それで終わる事の方が多い。但し、販売店もいろいろあるから、その対応次第で書面による通知をした方がええ場合もある。

ワシが、拡張員やからというわけでもないんやが、あんたの所に訪れた人間に悪い印象がなかったら、少し、考えて貰えたら有り難いと思う。

例えば、期間短縮程度のことなら問題なく移行出来ると思う。冒頭でも言うた通り、この新聞営業には厳しいもんがある。その契約に来た拡張員が、真面目やと思えるのなら、せめて、考えるだけでもそうして欲しい。

もっとも、どうするかはあんた次第や。あんたが、どういう結果を出そうとそれはそれで正しい選択やと思う。

最後の『ある程度の時間以後は訪問を自粛しているのでしょうか』ということやけど、これは、新聞各社の申し合わせのようなもので、それぞれの販売店に通達されとる。

原則、午後9時以降の訪問勧誘の禁止、自粛や。しかし、これは、そうわざわざ通達されんでも、大抵の販売店は勧誘員にはそう指示しとる。

それには、販売店の従業員も、そう遅くまで拡張員に付き合えんということがある。少なくとも、夜の9時までには終わって貰わんと寝る時間がなくなる。

ほとんどの新聞配達は朝の3時過ぎから始まる。従業員はそれまでに、紙受けというて印刷工場から出荷される新聞を受け取る時間は、それ以前やから、起き出すのは朝の2時くらいが普通や。

せやから、ほとんどの販売店では、勧誘時間を夜の7時から8時くらいまでと決めとる。販売店は拡張員の仕事が終わるのを店で待たなあかんからな。

それから、「監査」と言うて拡張員の持ち帰った契約カードの確認をする。その方法の多くは、顧客への確認電話や。あんたの所も拡張員が帰った後、あったのやないかな。

その監査でOKとなって初めて、そのカードに拡張料が発生する。大抵は、その場で販売店からその団の現場責任者に拡張料を現金で支払う。拡張員は、そこから貰うことになる。

貰う額やシステムはその団毎に違うが、多くはその契約の拡張料の半額が、当日もしくは翌日に拡張員に渡る。

その販売店と拡張団のやり取りを「カードの引継」と言う。その引継にほぼ1時間くらいかかるから、逆算で遅くとも夜8時までと決めとる。

これを過ぎると、拡張員はその日の成績や金にはならん。せやから、それ以降は、拡張員もほとんど仕事はせん。

それでも、中には、それ以降もする奴はおる。やはり、遅いと苦情が出る。その苦情が新聞社に持ち込まれると販売店は叱責される。

法律的には違法ということではない。しかし、新聞社のこうした通達は、販売店や拡張団、拡張員にすれば、ある意味、法律以上の力を持つ。新聞社からの販売店や拡張団への要請とか指示というのは、実質、命令のようなもんや。逆らえん。

拡張員も、その所属拡張団や販売店の指示には逆らえん。例え、法律に逆らうことがあったとしても、その指示に逆らう拡張員はおらんはずや。

せやから、あんたが、その夜9時以降の帰宅が多いのなら、拡張員と会う機会はほとんどないということになる。

これで、あんたの質問のすべてやが、他に何かあれば、いつでも遠慮なく相談してくれたらええ。


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