新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.850 正常化にともなうクレームについて


投稿者 katigumi さん 某新聞販売店勤務  投稿日時 2010.2.15 PM 1:14


はじめまして。早速ですがアドバイスを頂戴したいのです。

このたび正常化の流れが本格的に動き始め私の地域ではチケットが使えなくなりました。野球のチケットなんですが・・・

正常化がスタートする前に新刊であがっていたお客様(2月いれ)がチケットをもらえないのは詐欺だといい始めこちらも説明に何度も足を運びました。

もちろんそれに変わる拡材も用意して。しかし足元を見ているのでしょう、訴えると言うばかり。聞く耳さえ持ってもらえません。拡張員のカードです。

契約を白紙に戻したいともこちらから申し出ているのですが納得せずに解約にも応じません。

この場合どう動けばいいのでしょうか。

訴えても意味がないと思うのですが・・・


回答者 ゲン


確かに『野球のチケット』を景品とする条件で結ばれた契約を実行できなければ「契約不履行」ということにはなる。

ただ、「契約不履行」というのは、契約の解除理由になるだけのことで相手に実質的な損害を与えてなければ裁判に訴えるというのは無理な相談や。訴える根拠に乏しいと言うしかない。

その客にすれば『野球のチケット』が貰えると当て込んでいたのが貰えないのは、とんでもない事で腹立たしい限りなのは良く分かるが、世の中には守りたくても、その約束を守る事ができんという事態は往々にして起こるもんや。

それに対して、あんたは説明に何度も足を運び、それに変わる拡材も用意して、『契約を白紙に戻したい』とも言うてるわけやから、それ以上のことを要求してもどうにもならんわな。

また、法律上も、それで良しとされる。

『詐欺だ』とその客が言うたのは、腹立ち紛れ、ものの弾みからやとは思うが、本気で詐欺罪が適用されると考えとるのなら、そんなことは絶対にないと教えてあげなあかん。

詐欺罪は、人を欺(あざむ)いて金銭や財物を交付させ、財産上不法に利益を得るという要件を満たしてないと成立しないと。

それからすると、あんたの販売店は、その客から何かを騙し取ったという事実もないし、財産上不法に利益を得たということもないと。

客の中には、「新聞代を支払うことが金銭を騙し取られることになる」と、たまにアホな主張をする者もおるが、それは違う。

『新聞』というのは値段の決まった商品で、その対価は公然の事実になっとるもんや。その新聞代金を支払うというのは、当然のこととして広く認知もされている。

それを支払うことが「詐欺」になるわけがない。新聞を配達せず、その代金だけを払わされたというのなら、「詐欺」になるやろうがな。

それに、その「契約不履行」に対しては『契約を白紙に戻したい』と、業者側が言うてるわけやから、「騙す」という意図がなかったというのも明白や。

その『2月いれ』で現在まで配達した新聞代も、あんたの店では、おそらくいらんと考えとるやろうしな。

『正常化の流れが本格的に動き始め』というのも、その地域では、そういったサービスが禁止になったという事実がある限り、どう転んでも「詐欺罪」などに該当するわけがない。

どの業界でもありがちな、単なる「条件の変更事」にすぎんわけや。

「条件の変更事」については、それに見合う対処をすれば、それでええとされる。それが気にいらんかったら、その商品を買わん、契約を解除すればええだけの話やしな。

あんたが『訴えても意味がないと思うのですが・・・』と言われるとおり、そうしても何の意味もない。

その程度のことも分からん人間がいとるという方が不思議なくらいやと思う。

そう言うても、まだ『納得せずに解約にも応じません』と言い張るのなら、新聞の配達を止めると通告して、あんたの方から一方的に契約解除すればええ。

この場合は、その客の意向などに関係なく、それで通る。

契約の解除権というのは業者側にあって、消費者である契約者は業者側に不法行為があれば、契約の解除を業者に請求できるだけのことや。契約を解除すれば、それで終わる。

相手が「契約不履行」を働いたからと言うて、何の被害も受けてないのに相手側に損害賠償を請求したり、ペナルティを要求したりすることは法律で認められとらんさかいな。

まあ、そうは言うても、その相手もお客には変わらんから、ぎりぎりまで誠意を尽くして説明しといた方がええのは確かや。

それでも尚、『訴えると言うばかり。聞く耳さえ持ってもらえません』のなら、「どうぞ、お好きなようにしてください」と言うて、ほっとくしかない。

この件で、新聞社の苦情センターや消費者センターに相談や苦情を申し立てても、「それは仕方ありませんね」とたしなめられるのがオチやし、「詐欺罪や」と警察に訴えても門前払いされるのが関の山や。

まともに相手にするところなんか、どこにもない。

そのときになって初めて、どうにもならんということに気づくはずや。

世の中には、ごくまれに「客の言うことは絶対や」と大きな勘違いをしとる者がおるが、そういうのは適当にあしらうしかないと思う。関わり合いになっても益になることは少ない。

お客は多いに越したことはないが、質のええお客を集める、付き合いをするというのも、販売店としたら大事なことやと思う。

特に今の時代、何事も量より質に拘(こだわ)った方がええのは確かや。

これからも、その景品、サービスの低下による顧客離れが進行するというのは、ある程度避けられんという気がするさかい、よけいそれを心掛ける必要に迫られるはずや。

あんたのところの販売店の誠意を分かってくれるお客を大事にしていく。それが結果として、あんたの店の評判を高め、生き残っていくための最良の方法になると思う。

ところで、これは苦言になるかも知れんが、『このたび正常化の流れが本格的に動き始め』というのを事前に察知して『野球のチケット』の使用が禁止されるとは予想できんかったのかな。

普通、こういう事態になるまでには、その決定事項がいつから実施されるかという通達があるはずやと思う。

それがあって『野球のチケット』の使用を事前に制限できんかった販売店にも、今回の責任の一端があると考える。

今回の客にも、そのあたりのことを丁寧に説明して謝れば、あるいは分かってくれるかも知れんのやないかな。多分に希望的観測もあるが。


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