新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.855 高齢者の勘違いを利用


投稿者 お竜さん  投稿日時 2010.2.22 PM 8:28


ゲンさんはじめまして。

新聞契約で困ってしまい、ネットを覗いた所ゲンさんのページに行き着きました。

アドバイスをいただければ嬉しく思います。

我が家では親戚がいた為に何十年も同じ地方紙を購読しています。

しかし、昨年8月高齢の母が1人のときに勧誘の方が来てA新聞の契約書に署名をしてしまったようなのです。

購読は1月1日からとなっており、新聞が届いて1週間後に「間違って入っているので止めてくれ」とTELをし、その後も継続して配達される為、再度TELをしたところ「契約書がある」と販売所の人に言われ、コピーを持ってきたため、初めてその事に気がつきました。

契約書では住所と名前と電話番号と契約者のサインのところに母が記入しており購読内容や日付等は全て勧誘の方の字です。

購読内容の印鑑のところはサインしていません。

半年も前の出来事で、母には全く記憶がなく、たぶん、耳が遠くなってきた母が現在の新聞の継続契約だと勘違いして署名したものと思われます。

正直、勘違いにつけ込んだとしか思えません。

もちろん、契約書の控えは渡してちゃんと説明していると言っておられますが、こちらには景品も契約書の控えもありません。

それを見越して半年先の購読として契約書も渡していないのではないかと思えるのです。

高齢ではありますが、母はボケてはいませんので、ちゃんと説明があれば気づいたと思うのです。

我が家では他紙を購読することは考えられないことなので、販売所に話したところ、投函した1か月分の新聞代(1週間めに止めるようにTELしたが入り続けた)、勧誘の人に支払ったカード料(?)を支払うように言われました。違約金はとらないから・・・と。

合計で1万円くらいです。

納得いかないのですが仕方ないのでしょうか?


回答者 ゲン


『半年も前の出来事で、母には全く記憶がなく、たぶん、耳が遠くなってきた母が現在の新聞の継続契約だと勘違いして署名したものと思われます』というのが、はっきり「錯誤」の上の契約と言えるものやったら、消費者契約法の「不実の告知」または「断定的判断」での錯誤に該当するものとして、その契約の取り消しを主張することができる。

「不実の告知」とは、事業者(販売店)が勧誘する際、事実とは異なることを告げ、消費者が告げられた内容を事実と誤認して契約を結んだ場合を指す。

お母さんに、その勧誘員が「地方紙の契約延長に来ました」と言うてたら、それがそれに当たる。

「断定的判断」というのは、同じく事業者が勧誘する際、不確実な情報を確実なものと誤認させる判断を消費者に与え、契約を結んだ場合を言う。

お母さんが「いつもの新聞屋さん?」と聞いているのに、それを否定せず、「そうです」と返事していたら、それになる。

ご高齢のお母さんに対して、『正直、勘違いにつけ込んだとしか思えません』という、あんたの気持ちも分かるし、『納得いかないのです』という思いも理解できる。

もし、悪意があってのものやったら、とんでもないことやさかいな。

ただ、それを裏づけ、正当な主張とする場合には、それなりの根拠と証拠、証明があった方がええ。

そのためには、今回の件を客観的な立場で検証してみる必要があると思う。

『契約書では住所と名前と電話番号と契約者のサインのところに母が記入しており購読内容や日付等は全て勧誘の方の字です』というのは、通常の行為で何の問題もない。

契約書には、最低、契約者の直筆での氏名の記入が必要で、住所と電話番号がお母さんの筆跡なら、それは正規の契約書として扱われる。

『購読内容や日付等は全て勧誘の方の字です』というのは業者側が書くべきもので、これもそれで問題はない。

『購読内容の印鑑のところはサインしていません』も、契約者欄に直筆でサインされていれば、その契約書に書かれたすべての事項を容認したものとされるから、契約書の体裁としては特に必要とはされない。

通常、印鑑を押しているか、その場所にサインがあるかというのは、その販売店が、その契約を正規のものとして勧誘員の取ってきた契約を買い上げるかどうかの判断基準になるだけのことやさかいな。

その販売店が正規の契約と判断すれば、それがなくても契約書の体裁としては特に問題はないということや。

『こちらには景品も契約書の控えもありません』というのは、契約者が紛失、あるいはどこかに置き忘れているということも考えられるから、『契約書の控えは渡してちゃんと説明している』という業者側の言い分を否定する根拠としては弱いと思う。

その言い分が通るのなら、その契約を破棄しようと思えば、例えそれがウソであっても『こちらには景品も契約書の控えもありません』と言えばええということになるさかいな。

通常、契約者が契約書を紛失した場合、業者側に契約者の直筆で書かれた契約書しかないケースでは、それが優先される。

あんた、およびお母さんには酷な話かも知れんが、それを紛失したというのは契約者の落ち度とされ、その控えをその場で貰ってないというのも、迂闊(うかつ)やったということになる。

もちろん、後者の場合、勧誘員が意図的に『それを見越して半年先の購読として契約書も渡していない』というのが事実なら論外な話やけどな。

ただ、この業界には半年先の契約を結ぶというのは往々にしてあることやから、それを立証するというのも難しい。

もっとも、その半年先の契約というのが、長年講読している地方紙の契約が切れる時期と時を同じくして、その契約を結んだというのであれば、あんたの主張に信憑性があると判断されやすいがな。

そのA新聞の勧誘員が地方紙の勧誘員を偽って契約した。つまり、業界で言う「ひっかけ」たということになるわけや。

加えて、『我が家では親戚がいた為に何十年も同じ地方紙を購読しています』、『我が家では他紙を購読することは考えられない』ということが、具体的に実証、この場合はその地方紙の販売店に「長期間講読していて、それまで他紙の介在する期間がなかった」と証明して貰えれば状況証拠にはなる。

そういう家からは、「錯誤」の契約でないと他紙であるA新聞との契約は結んでなかったはずやと。

しかし、それも、ワシ自身、長期購読者を翻意させて契約を貰ったというのは相当数あるから、そういうことがあり得んという実証になるかどうかまでは何とも言えんがな。

『半年も前の出来事で、母には全く記憶がなく』ということと、『高齢ではありますが、母はボケてはいませんので、ちゃんと説明があれば気づいたと思うのです』というのが、どうリンクするのかという問題もある。

一般的に高齢者への勧誘が問題視されるのは、その高齢者の理解、判断能力が欠けると承知してながら、そうする行為に対してで、例え高齢者の方であっても、しっかりされた方なら問題はないのやないかと思う。

『ちゃんと説明があれば気づいた』というほどの人なら、実際にその契約書にサインしたのは、ほぼ間違いないから、『全く記憶がなく』というのも考えにくいのやないかという気がする。

ましてや、お母さんも今回のことで揉めているというのは承知されとるはずやろうから、例え一時的に忘れていたとしても思い出してもええと思う。

お母さんが、『地方紙の契約と間違ってサインした』、『その勧誘員にそう勘違いさせられることを言われた』と自信を持って言える状態なら、方法はある。

そうでなければ、今のところ、そちらの主張が認められる可能性は少ないやろうと思う。

当然やが、「錯誤」は、その「錯誤」をしたという人間がその状況を説明できんかったら、その主張をするのは難しいさかいな。

ちなみに、お母さんが、そのときの状況を完全に思い出して、「錯誤の契約」に間違いないとなれば、それを新聞社の苦情センターに言うてみるという手もある。

現在、新聞社も違法、不法な手段による勧誘に対しては、かなり厳しい姿勢で対処するケースが多いから、あんたの側の言い分が正しいと思えば、その販売店にはきつく指導するはずや。

そうなれば、その契約を解除すると、その販売店が言う可能性がある。

ただ、現在でも『投函した1か月分の新聞代(1週間めに止めるようにTELしたが入り続けた)、勧誘の人に支払ったカード料(?)を支払うように言われました。違約金はとらないから・・・と』ということで、大筋では解約することに同意はしとるようやけどな。

もっとも、あんたは、そのための費用が『合計で1万円くらいです』というのが、納得いかんようやがな。

確かに『勧誘の人に支払ったカード料(?)を支払うように言われました』というのは、あんたが負担すべき種類のものやない。そんな請求はお門違いや。

まあ、それが分からず、そう言う販売店もまれにあるがな。

ただ、話し合いで契約を解除する際、正当な契約解除理由がない場合は、そのペナルティとして解約違約金を要求されるケースは多い。

今回のケースは、『違約金はとらないから』とは言うものの、実質的にはその意味合いの深いものやと思う。

その場合なら、解約違約金を含む総額が1万円というのは、それほど高いとは思えんがな。

この業界では、その程度で済まそうというのは、むしろ良心的な部類の販売店やないかと考える。

あんたの場合、お母さんがその勧誘時の状況を思い出され、はっきり「錯誤」の契約やったと主張できるようであれば、それを伝えることで新聞社からの指導で「解約違約金なしの契約解除」になる可能性がある。

その場合は、投函された1か月分の新聞代プラス、その契約時に貰った物を返還すればええとなる。ただ、それでも数千円程度は必要になる。

その貰った物がないとか、分からないという状況やと、それでまた揉めることになるがな。

通常、そのA新聞が契約時に、他の契約者に渡している景品と同等の物をお母さんにも渡して受け取って貰っているはずやというのが一般的やと考えられる。

契約を結んだ勧誘員が、契約者に何も渡してないというのは普通は考えにくい。なぜなら、景品を渡すという行為が、その契約を確定させる、縛るということにもつながるからや。

景品を受け取っているのやから、断ることはできんはずやという理屈でな。普通の勧誘員なら、そう考えてその景品を渡す。

どんな景品を渡したかということにもよるが、その総額が1万円ですべて終わるというのなら、それほど悪い話ではないと思う。

契約があんたの望むとおりに解除できたとしても、実際に配達され受け取った新聞代の支払いと貰った景品は法律的にも返還する義務があると考えられるさかいな。

その販売店の要求している1万円から(投函された1か月分の新聞代+景品の額)を差し引いた金額が、実質的な「解約違約金」 ということになる。

アドバイスさせて貰う立場からすれば、その程度で済むのなら、揉め事が長引くことを考えれば、そうした方がええのやないかという気はするがな。

法律的にも、サインしたという事実はそれなりに大きいから、あんたの願う結果になるとは限らんということもあるしな。

ただ、それが納得できんということであれば、争える事案でもあるから、とことん争うという選択肢も当然ある。

いずれを選ばれ、どうされるは、あんたの方で判断されるしかないと思う。


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