新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.859 拡材規制の流れについて


投稿者 otoko さん  某全国紙拡張員  投稿日時 2010.2.27 AM 3:13


いつも拝見しています。いつも為になる事を盗んでやろうと必死です。質問宜しくお願いします。

今、自分は関東の某、拡張団に在籍しています。特商法の改正や、折り込み広告の激減によって、自分達の営業する各販売店も、拡張団も、変化を求められていると思います。

そんな中で、正常化の流れも加速しています。いままでは拡材の多さで契約する、いわゆる拡材読者も自分達にとっては、なくてはならない存在でした。(まとめやノルマの為に)
また販売店も、多少は目をつぶってくれていたのも事実です。

その状況が徐々に変わり初めています。たとえば6ヵ月契約なら3000円までの拡材しか認めない!もし内緒で、それ以上のサービスをしたらカードを買わない!と、、、正直、自分には、本音と建前の、建前を言っているのだと思っていました。

けれど、実際に規定のサービスを越えて契約した拡張員を出入り禁止にしたり、契約したカードを受け付けなかったりという話を聞きました。

そこで質問です!! ゲンさんは、この流れをどう思いますか?

なかなか一概にいい!悪い!とは言えないとは思いますが、考えを聞かせてください。

宜しくお願いします。


回答者 ゲン


『ゲンさんは、この流れをどう思いますか?』ということやが、これに関しては、あまりええ傾向とは言えんと考えとる。

それは、『正常化の流れ』というのが、誰にとっての、あるいは何に対してのものかというのに疑問を感じるからや。

今更のように、いきなり極端なことをするのは却ってマイナスで逆効果になるのやないかという気がするさかいな。

時代に逆行するのやないかという思いもある。

新聞各社は以前から、拡材を多めに渡しての勧誘には表向き反対の姿勢やったから、その流れを推進したいというのは分かる。

しかし、販売各店はそれでは拡張競争に負けるということで、それぞれ独自のサービスに力を入れ鎬(しのぎ)を削ってきたという長い歴史がある。

それが、ここに来て、その考えを一気に改めようとしとるわけや。

それには、幾つかの理由が考えられる。

1.販売各店の経営が苦しくなったことによるもの。

たいていの新聞販売店ではここ数年、年を追う毎に部数減に陥っているのが現状で、今後もその流れが進行しこそすれ、好転する望みが持てそうにないというのが、多くの業界関係者の共通の認識やと思う。

加えて、あんたの指摘するとおり、その収入の大きな部分を担っていた折り込みチラシが軒並み激減し、その収入が大きく落ち込んで経営難に陥っている販売店が多いという事情がある。

日本のすべての企業がそうであるように、経営が苦しくなれば経費節減、リストラが敢行されるというのは、ほぼ一般常識化されていることや。

今回の『正常化の流れ』が、その例に洩(も)れず、販売店の経費節減という意味合いから考え出されたとすれば必然、当然の流れということになる。

2.法律を守るためという大義名分がある。

新聞業界における「景品表示法」の「6・8ルール」というのは、業界関係者なら誰でも知っとることや。それを新聞社が守るように強く希望しとることも。

新聞社の立場からすれば、各販売店に「新聞業における特定の不公平な取引方法」俗に「新聞特殊指定」と呼ばれとるものに違反したくないという思惑がある。

少なくとも新聞社の姿勢は「新聞特殊指定」の厳守にあるとアピールしたいと。

これの第2項に、『新聞の個別配達をする販売業者(新聞販売店)が、直接、間接を問わず、地域、相手により異なる定価や定価を割り引いて販売すること』というのがある。

つまり、勝手にサービスする行為は「値引き行為」に当たり、その「新聞特殊指定」違反に抵触すると考えられるわけや。

それを懸念する新聞社にとっては、その行為を放置することはできんとなる。

そもそも、この新聞業界における「景品表示法」の「6・8ルール」というのは、新聞各社の要望、あるいは体裁として生まれた法律という側面、事情がある。

新聞勧誘の場合、客に渡せる景品の上限は業界の自主規制によるものとされとる。新聞業界の自主規制が、公正取引委員会の認定を受けることで法律になったということや。

それで、景品の上限の最高額を取引価格の8%又は6ヶ月分の購読料金の8%のいずれか低い金額の範囲と決められた。

ただ、どんな経緯で決められたにせよ、法律であることには違いない。

その法律を「守りましょう」ということやから、正当な主張ということになるわけや。

それに異を唱える方がおかしいと。

3.拡張員、勧誘員による行き過ぎたサービスを制限、監視するため。

特に、これはそちらの関東方面で、その悪質さがより顕著になっとるようや。

このQ&Aにも良くある相談でもあるが、極端な例では「タダにするから」と、その新聞代と同等の金額を払ってまで契約しようとする拡張員、勧誘員がいとるという。

そこまでいかんでも販売店の指示、希望する拡材を大幅に超えたサービスを渡すケースが後を絶たんという現実があるという報告も数多く届く。

拡張員、勧誘員は、その場の1本の契約が取れたらええと考えるが、販売店はそれではあかんわけや。

当然やが、そんな条件で契約した客は、次回もそれを望む。

営利企業(新聞販売店)が、「タダにする」とか「利益を無視したサービス」するというようなことができるわけがないから、その希望は断るしかない。

それによりトラブルに発展し、揉めた末、客離れという現象が起きることも珍しくない。事実、そういうケースは相当数あるものと思われる。

一度でも、その条件で契約した客は、金を払って、あるいは大したサービスもなく新聞を講読したくはないという気になる。そのサービスがして貰えんのやったら、契約したくないと。

「タダにする」とか「利益を無視したサービス」するというような拡張員、勧誘員は、そういう客をどんどん作り出しとるわけや。

そんな客ばかりを、せっせと製造されたら堪らんと考えるのは無理もないわな。

そうであるなら、それができん仕組みを作るしかないと考えるのが必然ということになる。

それが、今回の『正常化の流れ』とやらを徹底させようということに、つながったのやろうと思う。

大体、理由としては、そんなところやないかな。

経営の苦しい新聞販売各店が、そうする以外に生き残る術がないと考えたというのは、分からんでもないが、はっきり言うて、それだけでは後ろ向きの思考にしかならん。

結果も、おそらく悪い方にしか向かんやろうと思う。

それやとサービスが激減することになり客から異論や不満が噴出し、「それなら新聞はいらん」と断られるケースが激増するやろうというのは容易に考えられることやさかいな。

確かに、行き過ぎたサービスによるマイナス要素は大きい。そんな営業は止めさせ、悪質な拡張員、勧誘員を閉め出したいという気持ちも分からんではない。

しかし、そのために規制することしか考えつかんようでは、救いがない。あまりにも芸がなさすぎるのやないかと思う。

新聞は売り込まな売れんという絶対的な事実がある。拡張員、勧誘員はその新聞を売る事で生計を立てとるわけや。

それを理解していたら、如何に新聞を売りやすくしてやるかを考えた方がええと思うのやがな。

規制を強化するのなら、それと平行して緩和策も打ち出さな効果は望みにくい。

そのためには具体的にどうしたらええか。

考えられる事が二つある。

一つは法律を作り直せばええということや。早い話が「改正」やな。

「法律なんか簡単に変えられるわけがない」というのは常識やが、事、「6・8ルール」に関しては、あながちそうでもない。

簡単とまでは言わんが、新聞社がその気になれば変えて変えられん性質のものでもないというのは、先の『2.法律を守るためという大義名分がある』での説明で分かるやろうと思う。

多くの人は、この「6・8ルール」が制定されとる「景品表示法」というのは、「お上(国)」が決めとる法律やと思うとるようやけど、それは少し違うということが。

新聞業界の自主規制が、公正取引委員会の認定を受けることで法律になっとるわけやさかいな。業界の自主申告が法律に反映されとるという希有(けう)なケースと言える。

普通、業界が法律に対して具申するのは「甘めに手心を加えて貰いたい」という意向があって、そうするケースが多いもんやが、これに関しては逆に、より厳しい内容のものやったから、その法律を運用する公正取引委員会としても、その申し入れを無下(むげ)にできんかったのやろう考える。

それが「景品の最高額を取引価格の8%又は6ヶ月分の購読料金の8%のいずれか低い金額の範囲」ということになったということや。

業界で俗に呼ばれとる「6・8ルール」やと。

この法律で言えば、6ヶ月契約以上はすべて同じ金額相当の景品でないと認められんということになる。つまり、6ヶ月契約も1年契約も渡す景品は同じやないとあかんということになるわけや。

これだけでも、良う考えたらおかしな法律やというのはすぐに分かりそうなもんやけどな。

何でその契約期間や取引金額が倍ほども違うのに、そのサービスの上限を同じにせなあかんのやてなもんやさかいな。

多くの販売店も今まで、それについて疑問を抱いていたからこそ、新聞社には内緒で、またその法律に違反しとると知りつつも、客にはサービスに差をつけてきたという紛れもない事実があるわけや。

その法律が制定された当時、公正取引委員会が規制する一般的な業種の景品の上限は、取引価格の10%やった。

新聞業界の自主規制8%というのは、単に「新聞社はここまで厳しく規制してますよ」ということを世間にアピールしたかっただけのことやと思う。そうすれば体裁が保てると考えてな。

その後、その公正取引委員会自体が一般的な業種の景品の上限を20%にまで緩和することになったんやが、新聞業界はその後も以前のまま、その「6・8ルール」に拘(こだわ)り続けとるわけや。

現在施行されとる他業種での正規の景品表示法に照らせば、取引価格の20%までは認められとるわけやから、新聞の場合なら1年契約、朝夕セット版地域の月購読料3925円×12ヶ月分×20%=9420円までの景品サービスが可能という計算式が成り立つわけや。

これやと、たいていの地域の販売店や拡張員たちが渡している今までの拡材の範囲内やないかと考える。

これをそのまま、正規の景品表示法に基づいて「6・8ルール」を「20ルール」とでも改正すれば、今までどおりの販売店のサービスで問題はないと思うのやがな。

新聞社さえその気になって、そう提言すれば、公正取引委員会も否とは言わんはずやから、そうなる公算は大きい。

もともと、公正取引委員会も新聞の景品の渡し過ぎ問題については、それほど大きな違反とまでは考えてないやろうという気がするしな。

その証拠に、平成14年以降、その「6・8ルール」に違反したからという理由で、新聞販売店が摘発された例はないさかいな。容認とまではワシも言い切れんが、それに近い状態やないのかと思う。

まあ、普通に考えて、公正取引委員会全体が20%までの景品付与を認めとるのに、それを8%の違反をしとるからと言うて摘発するというのも変な話やさかいな。

その変な話を『正常化』と称して推し進めようとしとるのが、現在の流れやと考える。

二つめは、それに加えた緩和策として新聞代の値下げといった方向も考慮するべきやないかという点や。

売るためにいかに値下げできるかということに腐心しとるのがあらゆる業種、企業の現状やと思う。

そのコストダウンをするための『正常化』というのなら分かる。

多くの消費者が困ったときに家計のことを考えた場合、真っ先にその新聞代を始末しようというのは昔からあったことや。それが、この長引く不況で当然のように相当数増加している。

それも新聞部数の減少の大きな理由になっているのは間違いない。

その『正常化の流れ』を推進するのなら、その客離れを食い止めることを考えた新聞代の値下げも同時にするべきや。それでないと、今の時代のデフレ傾向には対応できんと思う。

それで、これ以上の部数減を押さえ、新聞離れを食い止められるのやったら、その方がはるかに業界にとってもええはずやしな。

当たり前やが、それやと『正常化の流れ』でサービスが減少しても契約が取れにくいということも少なくなる。

ワシが『時代に逆行するのやないか』と言うたのは、そういう思いからやし、冒頭で、『ええ傾向とは言えん』と言うた所以(ゆえん)もそこにある。

今の新聞各社、及び販売店は、かつてない苦境に立たされたことで慌てふためいて迷走しとるようにしか、ワシには思えん。

結果として、自ら客を減らす愚をせっせと冒しているだけやないかと。

ただ、その苦境に対して「守り」に入るか「攻め」に転じるかは、それぞれの考え方次第という側面もあるから、殊更、それを批判するつもりはないがな。

現在、あんたの方で、「守り」に入っとるというのは、それはそれで一つの選択をしたということになるさかいな。

ただ、「攻め」の姿勢を見せるのなら、先に言うたように、法律の「改正」に向けた運動や値下げをするのもアリということになる。

今回のその『正常化の流れ』に関しては、拡張員だけやなく販売店の従業員たちも同じように契約が取れにくい分、困ることも多いと思われる。

ただ、闇雲に「反対する」と言うだけではあかんが、先にワシが言うたような理由を示せば「なるほど」と法律の改正や値下げに同調してくれる人が増えることは十分考えられる。

その声が大きくなれば、新聞社の方針をも変えられる可能性も出てくるのやないかと。

ただ、それについては、すべての新聞社、新聞販売店が賛同して、一つの方向を向いてない限り不可能やから、その点では、そうなる望みは今のところ薄そうやけどな。

ワシの提案は、新聞業界が一つになって、公正取引委員会とその法律の改正に向けて協議せなあかんと考えるので、その肝心の新聞業界が一つになってまとまってない現状では、それも難しいという気がするさかいな。

今のところ、ワシの考えは机上の空論にしかならんと思う。

全国紙のA新聞、Y新聞、N新聞とブロック紙と地方紙の多くは、その『正常化の流れ』への流れとやらへ傾いとるようやが、全国紙のM新聞とS新聞では、それほどの規制や流れにはなってないとのことや。少なくとも、その輪に加わってないさかいな。

いずれにしても、あんたの方で、その『正常化の流れ』が規制の事実ということなら、それに沿った営業をするしか、今のところ他に選択肢はないと思う。

好むと好まざるとに関わらずにな。

ただ、心配せんでも、どんな状況になっても手はある。

あんたは『いつも為になる事を盗んでやろうと必死です』と言われとるくらいやから、『第84回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■2010年からの新聞営業講座……その2 拡材について』 については、すでに見ておられるものと思う。

その中で『金をかけずに済む拡材サービス方法のあれこれ』と題して語った部分がある。

それが、今回のような事態の参考になるのやないと考える。

念のため、その箇所を抜粋する。


金をかけずに済む拡材サービス方法のあれこれ


1.経験を役立てる。

新聞の勧誘員になる者の多くは、他の仕事からの転職やと思う。

高校や大学からの新卒者の就職希望というのも皆無やないかも知れんが、他企業と比べれば極端に少ないはずや。

他の仕事からの転職の場合、その仕事の内容次第でその経験を活かせる場合がある。

それを考え、利用する。

ワシは以前、建築の仕事に携わっていて、それを活かせた経験が実際にある。

それでこの方法を思いついた。

旧メルマガ『第14回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■ゲンさんの拡張実践Part2 経験を役立てろ』 の中でそのことに触れている。

この中で、大型台風のあった翌日、ある民家の主人が強風で飛んだガレージの波板を直そうと悪戦苦闘していた現場に遭遇したという話をした。

住宅リフォーム会社を経営していたワシにとって、その波板を直す程度は造作もないから、手伝って喜ばれた。

そのとき、その客が謝礼をしたいということやったが、押し問答の末、結局、以前講読していた新聞をワシの勧誘する新聞に切り替えてくれるということで落ち着いた。

このことでワシは、その経験を新聞勧誘に活かせるのやと知った。

これは、ワシ自身にとっても金のかかることやなく、客も業者に頼むより格安に上がったということで喜んで貰えたから、今回のテーマには持ってこいの方法やと思う。
 
これの活かし方については、それぞれの前職での経験、習熟度によっても違うが一考の価値はあるはずや。

それが可能ならば、極端な話、通常の拡材などなくても勧誘できると思うさかいな。


2.オリジナリティのある拡材を用意する。

多くの新聞販売店が嫌う拡張合戦に突入するのは、同じ景品・サービスで競争しようとするからやと思う。

その場合は、その多い少ないでサービスの善し悪しにはっきり差がつくから、どうしてもその競争がエスカレートしやすい。

現在の状況は、まさしくこれやと思う。

オリジナルティがあって、他があまりしないサービス、手に入りにくい希少価値の高いサービスであれば、例えそれが安価なものであっても効果的な場合が多い。

その実例を紹介する。

●ネズミ獲り機。一般ホームセンター価格で千円前後。

これは、サイトのQ&A『NO.15 サービスの景品について教えて下さい』 で話したもので、なかなかユニークなものやった。

ある販売店からこのネズミ獲り機を持って行けと言われた。

当初、こんな物は拡材の役に立たんやろう思うて渋々持って行って拡張したわけやが、ワシが行った家で、話し込んでる内にその家がネズミに悩まされとると言い出した。

結果、そのネズミ獲り機でネズミが捕れたら、新聞の契約をしようということになった。

翌日、あんまり期待もせんとその家に行くと、なんとでかいドブネズミが罠にかかっていた。

それで、その家とは難なく契約できた。

ワシは試しにとその近辺をネズミ獲り機だけで営業をかけてみた。今度は、ネズミを捕まえた実績があるから強気や。

すると立て続けに10軒ほど契約が取れた。皆、ネズミに悩まされてたわけや。

ワシはその販売店の所長を見直すと同時に大事なことをこのことで教えて貰うた。

拡材は、必要な時に必要な人間に用意するもんやと。

▼ネズミ捕獲かご 角型ネズミ捕り販売参考サイト
http://store.shopping.yahoo.co.jp/kaiteki-club/013.html


●しめしめ45 文具 一般ホームセンター価格二千円前後。

これは、ある読者に教えて頂いた情報や。

新聞やケーブルを簡単に束ねられるというふれ込みの代物で、その他にも結構利用価値のあるものやと思う。

【文具王】気分は“必殺仕事人”!? 新聞やケーブルを簡単に束ねられる「しめしめ45」参考サイト
http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/column/20091119/1030320/?P=1


ここで言いたいことは、購読者が役に立ちそうな商品を探すということや。

その目で探せば、それぞれがオリジナリティのあるものを探せるのやないかと思う。


3.特定の場所でしか入手できないもの

メルマガ『第9回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■営業の雑談に使えるUSJの話』(注4.巻末参考ページ参照)の中で、「すぱいだぁ麺」というカップ麺を紹介したことがある。

これは、USJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)のテーマパーク内にある『アメージング・アドベンチャー・オブ・スパイダーマン・ザ・ライド』というアトラクション横のショップで売っていたキャラクター商品の一つや。

さすが大阪人の考え出した、こてこてのオヤジギャグ的発想の商品やがこれは受ける。

そう直感した。

哀しいかな、ワシには、いつどこで何をしていても営業員としての性(さが)を捨て切れんという因果な性分がある。

その因果な性分が、これを拡張の拡材に使うたらどうやと考えさせた。

その「すぱいだぁ麺!!」はスパイダーマンの絵柄入りの細長い箱に3個入って900円。

単に食うだけやと高い気もするが、拡材にするのなら手頃な価格や。

カップ麺自体は、どこにでもありそうな醤油味で、そこそこ美味い。しかも、ナルトの模様がスパイダーマンになっとるのがふるっていて面白い。

それを帰りがけに20ケースほど買った。

後日談やが、僅か3日でそれがなくなった。その分、すべてで成約になった。

今更やが、拡材は何も金をかけるだけが脳やないとつくづく痛感した。

いかに客受けのする物を探し出すかやと。

もっとも、そのアトラクションの内容を身振り手振りで面白おかしく話す雑談の技量も多少は必要やと思うがな。

現在は、これに加えて「スヌーピー」のオリジナルカップ麺「すぬーどる」というのも発売されとる。

こちらも、オリジナルデザインの紙ケースに4個入りで販売価格は900円(税込)とのことや。

これらは、そのUSJのショップでしか売ってない商品やが、入手できれば、その効果は高いと思う。

関東方面なら、ディズニーランドなどのキャラクター商品なんかがええのやないやろうか。

他にも、その気になって探せばいろいろ見つかるはずやと思う。


4.狙いの客の趣味に合いそうなものを用意する。

ワシは、マンションのオーナーとか管理人と懇意になる場合が多い。もちろん意図的にそう仕向けとるわけやけどな。

その際、もっとも効果があったのが書籍やった。

事前に雑談などで好きな書籍を聞き出し、古本屋などで探して拡材代わりにするわけや。

これは値段以上に喜ばれる。上手く行けば100円程度で落とせる可能性すらあるさかいな。

もっとも、そのために金はかからんでも、それを探さなあかんから手間暇はかかるけどな。

しかし、その値打ちはある。

これを、一般読者、特に見込み客用に見つけてくるというのも手やないかと思う。

趣味というのも広いから、いろんな角度から探せるのやないかな。もっとも、高いものは極力避けてな。


5.100円ショップや激安ショップを活用する。

現在、デフレ傾向にあるから、探せばいくらでも安い商品が見つけられると思う。

また、基本的に金券以外の商品の場合、その100円ショップや激安ショップというのがあるために、いくらでも金銭的なごまかしは可能やというのがある。

景品表示法に規制されとるのは金額の上限であって、その商品の販売価格は査定の対象になっていない。

例え市販価格が1万円のものでも、それを千円、二千円で仕入れることができれば、それで通る。

ちなみに、販売店で使用している洗剤などの主力商品は、それらの企業との交渉で一般よりも安い価格で仕入れとるケースが多い。

そのためもあって、商品での景品サービスが景品表示法違反になりにくいというのがあるわけや。

今回、問題になっている「上限とされている約2000円を違反とするルール遵守」についても、その明確な線引きがされていない。

それをするかどうかは別にして、その抜け道はあるということになる。


6.いろいろな情報を拡材にする。

新聞が必要ない。無駄なことには金を使いたくない。そんな新聞離れが顕著な人間にも、必要なものは必ずある。その必要なものを拡材にしたらええ。

例えばパチンコ好きな客の場合、その攻略法などの情報が、それに当たる。

その確かな情報データを調べたものを拡材に使うわけや。

この場合、拡張員は胡散臭いと思われとることを逆手に取ることができる。

拡張員がパチンコをしてると言うたら、まずほとんどの人間が納得するし、信用するわな。

パチンコに関してはプロ並みの腕を持っとると言うても疑われることはまずない。

ここでは、客の胡散臭いというイメージが、その面に関してはプラスに作用しとるわけや。

それで相手が興味を示せば、出来るだけ近所のパチンコ屋の情報と確かな攻略法の情報をセットで、拡材として使う。

その人間が、その情報の価値を支払う新聞代以上やと認めたら、驚くほど簡単に購読契約をする。合理的な人間ほど決断は早い。

これは、パチンコだけに限らず、釣りとかゲーム等何でもええ。

これの利点は、その情報の原価が分かりにくいという点にある。定価もない。

それには金がかかってないと言えば、そうなる。

つまり、その情報を教えたというだけでは拡材過多の違反には問いにくいということや。

そして、それはその客が値打ちを認めさえすれば、それでええわけやさかいな。

これも応用の広いものやと思う。


というのが、それや。

ワシら拡張員は、基本的には上の指示に従うしかない。ただ、その条件が厳しくなっても、その気になれば、いくらでも方法はあるということや。

要は工夫次第ということになる。

長々と話してきたが、それがワシの考えということや。

あんたには、あんたなりの考えもあると思うので、その時間があるときでええさかい、それを聞かせてほしいと思う。


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