新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.869 この場合、契約になるんでしょうか?


投稿者 ken さん  投稿日時 2010.3.26 AM 0:39


初めまして。どうしたら良いか解りません。何かアドバイスを頂けたらと思います。

1月頃にY新聞の勧誘が来ました。

ビールとお米を持って来て「今すぐじゃなくていいです。4月とかならどうですか? また販売店から折り返し電話があると思うから話合わせてくれますかね」と言って帰っていきました。

ついつい電話番号と名前だけ教えてしまいました。

けれど結局電話は来ないし、勧誘も来なくなりました。電話の時に断ろうと思ったのに、結局断れずそのままになっていました。

そしたら先日「4月からNさん宅を配達する〇〇です」と、契約済みになっていたようです。

その場で「契約したつもりはない。電話をするって言ってたのに来なかった」と伝えると「そうですか、すいません」とあっさり引き下がったんですが、翌日にまた電話がきました。

実際に1月に来た人で、「4月から契約ですよ」と引き下がりません。

強く契約してないと言ったら「こちらで調べてまた連絡します」と言われました。

この場合、契約になるんでしょうか?

電話番号と名前だけで捺印はしていません。


回答者 ゲン


あんたのケースは、契約書に自筆でサインしたのかどうかで、契約成立の可否が決まると思う。

『ついつい電話番号と名前だけ教えてしまいました』というのが口頭だけで、契約書にあんた自身がサインしてなければ、当たり前やが『契約済み』になることは絶対にない。

ただ、『電話番号と名前だけで捺印はしていません』というのは、名前のサインだけをして捺印はしてないとも受け取れる表現やから、もし、そうなら『契約済み』と言われても仕方のない状況になっているケースも考えられる。

前者の場合は、その勧誘員が、あんたに『今すぐじゃなくていいです。4月とかならどうですか?』と聞いた際、あんたはしぶしぶながらでも『電話番号と名前だけ』を教えたということで了承したものと思い契約扱いにした。

その根拠は持ってきた『ビールとお米』を、あんたが受け取ったということやろうと思う。そのサービス品を受け取ったのやから、その『4月とかなら』契約してもいいということで承諾したと。

そして、その契約書は、その勧誘員が勝手に書いて作ったということになる。

しかし、それは正規の契約書として認められることはない。契約書の原則は、契約者の直筆によるサインが不可欠とされとるさかいな。

ちなみに、指定の印鑑の捺印が義務づけられているような契約書以外では、捺印のあるなしはそれほど問題にならんと言うとく。捺印がないと契約書が成立せんと考えておられる人は多いがな。

逆に、捺印があっても、その印鑑がその契約者のものと証明されん限り、それだけでその契約が認められる可能性は低い。

もし、そうなら、よほどの珍しい名前という場合は別にして、そこいらの100円均一ショップや文房具屋で売っている三文判を勝手に押したものでも、その捺印さえあれば契約が成立するということになるさかいな。

そんなアホなことは絶対にないわな。

あんたの了解なしにその契約書をその勧誘員が勝手に記入して、さもあんたがサインしたかのように見せかけるというのは、刑法第159条の私文書偽造等という犯罪行為に当たると考えられる。

こういうことを平気でする勧誘員もたまにおるが、この罪に問われると、3ヶ月以上5年以下の懲役に処せられるという罰則規定がある。思うほど軽い罪やない。

こういう場合、その契約書の控えを貰ってないというのが多いから、「どうしても契約が成立した言うのなら、その契約書のコピーを持ってきてほしい」と、その販売店に言えばええ。

販売店は、それを拒否することはできんから持ってくるしかない。当たり前やが、それを拒否するということは、契約しているという証拠を示せんということやさかいな。

そのコピーを持ってくれば、それが証拠になる。

あんたは『強く契約してないと言った』ということなら、「これ以上、ごり押しするのなら、刑法第159条の私文書偽造で警察に通報しますよ」と言えばええ。「このコピーの筆跡は私のものではありませんから調べて貰えばすぐ分かることですからね」と。

それで、たいていはあきらめるはずや。その後、『ビールとお米』を受け取っているのなら、それを返せば終わる。

中には「そのビールと米を受け取ったのは契約を承諾したからやないのか」と迫る勧誘員がおるかも知れんが、そのときは正直に「私は承諾した覚えはありません。それは、そちらが勝手に置いていった物で、電話があると言っていたのでそのときに、はっきり断って、そのビールとお米は返すつもりでした」と言えば、それで通る。

これが、後者の『電話番号と名前だけ』にしろ、その契約書にあんた自身がサインしたというのであれば、その契約が正規なものとして認められる可能性は高くなる。

その場合は、そのサービスとして受け取った『ビールとお米』が、その証拠となる。

そのケースなら、その契約書の控えをそのときに貰っているはずやから、『電話をかけてくると言っていたから、そのとき断ればいいと思った』ということは通用しにくくなる。

なぜなら、その新聞購読契約書の裏面には、必ず『クーリング・オフのお知らせ』と題して、『契約書を受領した日から8日間は書面を送付することにより、本申し込みを撤回できます』という趣旨の記載があるはずやからや。

このクーリング・オフを使えば、どんな契約もその期間内なら、契約者の一方的な考え都合だけで解除できるというものや。

その契約書をよく読んでなかった、そのクーリング・オフの制度を知らなかったという言い訳も、渡されたものを確認していなかったとして、契約者の落ち度とされやすい。

『クーリング・オフのお知らせ』というのは、その告知で、訪問業者が絶対せなあかんとされとるものや。それがあれば、販売店の落ち度は法律的にはなくなる。

『クーリング・オフ制度』を使っての契約解除は法律行為やから、それを知らんかったでは済まされんわけや。

法律や制度は知らんかったからという理由で、考慮されたり免除されたりするということはない。知らん者が悪いとされる。不条理なように思われるかも知れんが、法律とはそうしたもんや。

つまり、その場合はクーリング・オフの権利を自ら放棄したことになるわけや。

このケースが、もしそうなら、この契約を一方的に解除することは難しいということになる。

話を元に戻すが、その契約書に、あんた自身がサインしたかどうかで、契約の正否が決まるというのは、そういうことや。

サインしてないのやったら、強気で「契約していない」と押し通せば問題ないが、サインしている場合は、それではその販売店も納得せんやろうから、あんたにとっては厳しい立場が予想されると思う。

そのいずれかのケース次第やが、解決がつかず揉めるようやったら、その事情と、どうされたいのかという希望と一緒に、もう一度、相談してこられたらええ。

あんたにとっての最善の方法をアドバイスするつもりやさかい。


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