新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.891 やっぱり2年間取らないといけないのでしょうか?


投稿者 ともさん  投稿日時 2010.4.23 AM 6:12


突然のメール、すみません。

私はM新聞を10年契約し、今あと2年を残すところです。

昨今の偏った新聞内容に憤りと新聞を見る事さえいやになり、先日新聞が2日間ほど入れ忘れられた事を契機に、電話にて新聞を止めたいとの連絡をしました。

後日担当の方が来られ、私が止めたい旨理由も伝えました所、その方が暗に契約をした以上無理な様に言い、契約時に渡した品物などの事を言い出した為、壊れて今ないけれど、何らかの弁償もするから止めたいと言いました。

今月中に販売店のほうで結論を出して欲しい旨伝え帰ってもらいました。

2・3日前担当の方が来られ、あと2年とって頂かなくては駄目で、もし不満があれば消費者センターに相談して下さい。と、言われました。

その返事も又今月中に連絡下さい。と言って帰られました。

消費者センターは、お互いの契約だから話し合って下さい。と、言われた人がネットであり、今のところ消費者センターに連絡していません。

やっぱり2年間取らないといけないのでしょうか?

担当者が私に契約違反と言ったと夫に伝えたら、最初に新聞を入れ忘れたという契約違反が相手にあるじゃないか(主人は新聞はあまり見ませんから、基本的にどうでも良いと思っています。)

又、担当者の契約時の紙を見せられ、新聞1年間無料・FAX・紙パック付き掃除機が景品内容でした。

期間が今月中なので、思い余ってゲンさんにお聞きさせて頂きました。宜しくお願いします。


回答者 ゲン


あんたのように新聞の記事そのものが嫌になったという「自己事由」による理由で、途中解約したいと希望され相談してこられる方は結構多い。

ワシは、そんなとき、常にその方々の思いの強さを問うようにしとる。生半可な気持ちで「解約する」と言って争っても得られるものは少なく、たいていは嫌な思いをされるだけで終わることの方が多いさかいな。

理論上、あんたのようなケースで解約に持ち込むことは法律的に言うても不可能なことやないとは思う。

但し、相手の販売店次第ではかなり揉めるし、契約者の側が相当な出費、損を覚悟せなあかんケースが多いから、よほどの思いの強さがなければ、ワシとしては勧めるつもりはないがな。

これから、それについて幾つか説明するのでどうされるか、参考にしてほしい。

『担当者が私に契約違反と言ったと夫に伝えたら、最初に新聞を入れ忘れたという契約違反が相手にあるじゃないか』というご主人の言っておられることは正しい。

今回の事の発端は、『先日新聞が2日間ほど入れ忘れられた』ということのようやが、これは厳密に言えば「契約不履行」に該当し、正当な解約事由になり得る。

新聞の購読契約とは、契約者はその契約期間、その購読代金を支払う義務が生じ、新聞販売店は、その間、遅滞なく新聞を配達する責務を負うことを意味する。

そのいずれかが守られない状態になったら「契約不履行」ということになる。『先日新聞が2日間ほど入れ忘れられた』というのは、まさにそれに該当する事案やさかいな。

ただ、1度の間違いだけで、即、その「契約不履行」が認められるかとなると、残念ながら、それは難しいのやないかと思う。

人は誰しも間違いはするもので、新聞を入れ忘れるということは往々にして起こる。どんなに優秀な新聞配達員でも、ただの一度も不配、誤配、遅配をしないということはあり得んことやさかいな。

こういう場合は、「次に同じことがあれば契約不履行として契約を解除しますが、それでよろしいですね」と通告しておくことや。

その際、電話でするのなら、電話の録音機能、もしくはスピーカーホンなどにしといて、その言質を録(と)っておくことや。それが後で活きる。

多くの新聞販売店は、そう言われれば嫌とは言えず、「分かりました。以後気をつけますので」と答えると思う。

たいていの新聞販売店では、この不配、誤配があるというのは恥としとるし、場合によれば、それをした配達員に罰金を科す所もある。

それというのも、そういうケースで「解約や」と実際に客から通告されることもあり、その場合の保険にするという意味合いが含まれとるからやと思う。

それについては、『NO.208 配達人の罰金制度について』 で、全国の販売店関係者の方からアンケートを取ったものがあるさかい、それを参考にしてほしい。

この結果で言うと、罰金制度のある所とない所というのは、全くの五分五分ということのようやから、その販売店がどうかは分からんが、そう言われれば、引っ込みがつかんと考える可能性はある。

「次回に同じことがあれば解約しますよ」と言えば、例え渋々であっても応じるやろうということや。

まさか、「新聞の不配があったくらいのことで契約は解除しない」とは言わんはずや。

もし、そう言えば、『新聞販売店は、その間、遅滞なく新聞を配達する責務を負う』という契約の原則そのものを無視したことになり、それも立派な「解約事由」になる。

どちらに転んでも、その言質を録ることで有利になるはずやと思う。

その販売店が、過去にどれだけその不配をしたのかは知らんが、再びそれをする可能性はある。

そのときに、その事実をつきつけて「解約」に持って行くのが一番賢いやり方やと思う。

ただ、その場合は、その不配があるまで待つしかないから、今すぐの解約というわけにはいかんかも知れんがな。

『その方が暗に契約をした以上無理な様に言い』というのが、どう言ったのか、その言い方にもよるが、『契約をした以上、解約をするのは無理』ということはない。

確かに無条件での解約は認められやろうが、あんたが『何らかの弁償もするから止めたい』ということで、ペナルティ覚悟の解約を依頼する場合は、業者はそれに応じる義務があるとされとる。

その販売店の人間も『契約時に渡した品物などの事を言い出した』ということは、裏を返せば、解約するには、その返還が必要やと言うとると解せるわけやしな。

ここでペナルティ覚悟の解約について説明する。

どんな形になろうと、途中で契約の解除を希望する場合、必ず返還せなあかんものがある。

あんたの場合は、契約時に受け取った『新聞1年間無料・FAX・紙パック付き掃除機』について、その当時の価格分は、最低でも返還せなあかんと考える。

つまり、『1年間の新聞購読料、FAX電話代金、紙パック付き掃除機の代金』などを合計した額ということになる。

これは、途中契約を希望される場合は、民法545条の原状回復義務に従う必要があるとされとるからや。

契約期間を満了するのなら、その必要はないが、その契約を全うすることができん、つまり、その約束である契約が守られんと言う以上、それを条件に貰ったものは返還しなさいという法律なわけや。

この返還については、先に言うたように販売店側に「契約不履行」があった場合、あるいは他の不法行為があって解約をする場合にも同様に適用される。

販売店側からの契約解除なら、その必要はないが、あんたの側から望む解約は、その原状回復義務により、契約時に受けたすべてのサービス分を返還せなあかんわけや。

そのときに、今回のように10年契約のうち、8年間もその契約を守ってきたのに、それは考慮されないのかという疑問が生じると思うが、法律上は、そのすべてが「途中解約」として扱われる。

もっとも、それは、あんたとその販売店との話し合い、交渉次第という側面があるから、一概には言えんがな。

そして、それに加えて、残り2年間に対する「解約違約金」というのも発生する。その額は、この業界でも特に決められたものはないから、その販売店の請求額を聞いて、どうするか決めるしかない。

但し、こちらの場合は、先に言うた「契約不履行」の場合には必要はないがな。

現時点で『昨今の偏った新聞内容に憤りと新聞を見る事さえいやになり』ということで、どうしても解約したいということなら「契約時に受けたサービス分はすべて返還します。それと解約違約金が必要なら、それも提示してください」と言えば、その販売店はその方向で交渉に応じるしかないわけや。

ただ、ここで良う考えてほしい。

「契約時に受けたサービス分+解約違約金」の請求額が、残り2年間の新聞購読料に匹敵、もしくは上回る場合は、このままにしといた方が得やというケースもあると。

単純に計算すると、1ヶ月の新聞代金3925円×12ヶ月=47100円。FAX電話代金2万円程度と予想。紙パック付き掃除機の代金1万円〜2万円程度の物とした場合、その合計は、8万円〜9万円の間ということになる。

それに解約違約金を請求されたら、少なくとも10万円程度にはなりそうで、法律的にもそれから逃れるということは難しいと思う。できても、いくらかの減額くらいなものや。

もっとも、実際には、その販売店がどういう請求額を提示するかにもよるさかい、まずはそれを確かめられることが先決やがな。

ただ、ワシの予想が大きく外れることはないやろうとは思う。

それなら、『やっぱり2年間取らないといけないのでしょうか?』ということを気にされるよりも、2年間このまま取り続けた方が得になる可能性の方が高いということや。

すったもんだ揉めた挙げ句、勝ち取った「解約」がそんな状態になって損するようでは詮(せん)ないし、つまらんさかいな。

ただ、それでも『昨今の偏った新聞内容に憤りと新聞を見る事さえいやになり』という思いの方が強く、銭金(ぜにかね)の問題やないと言われるのなら、そうするのを止めるつもりはないから、どうするかは、あんたの方で判断して決められたらええがな。

これも長期購読契約とその過大なサービス故の弊害やとは思うが、あんたにとっては、このまま取り続けるのも地獄、解約するのも地獄ということになるのやないかという気がする。


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