新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A
NO.902 その新聞料金を払わないといけないのですか
投稿者 唯一さん 投稿日時 2010.5.25 PM 11:32
はじめまして、宜しくお願いします。
私は外国人で日本に来てもう八年が過ぎました。
先週、困ることがありました。
昨年10月ごろにY新聞の販売員から1ヶ月分の契約をさせられました、
「なぜ興味もないし読めないから契約するのか」って聞くと「景品としてビール1ケースを渡す」と言って誘われ契約しました。
それで、新聞は毎日ちゃんと配達されました。契約期間の1ヶ月分の料金もちゃんと支払いました。
その後いつか覚えていませんが、別の販売員が来て、また、「新聞の契約お願いします」って言ってきました。
私は「外国人だから本当に読めないんでまた契約は無理だ、ごめんなさい」って返事しました。
その販売員は洗剤二箱をくれて、「じゃ、これは前の契約のお礼としてあげる。ここにその受け取りのサインをしてください」って言われたので、私はサインしました。
何にも確認せず何にも考えず言われるがまま洗剤の受領と思って自分の名前と電話番号を書きました。
そうすると、今年の四月にまた新聞が入るようになりました。何かの間違いかと思っていましたが、仕事が忙しくて特に対処しないで新聞も触らずドアの前に置いたままにしています。
先週、販売店から集金に来ました。私にとっては寝耳に水の話なので、とてもびっくりしました。
問い質したところコピーの契約書を見せられました。
住所も期間も誰か勝手に書かれています。それは明らかに私が書いたものではありません。
こんな契約書は有効でしょうか?
翌日、販売店に電話して「何でこの契約書があるのか担当者と話し合いたいです」って言いました。
販売店から「明日、お昼にその担当者が出るかもしれないから、夕方の四時から五時ごろに来なさい」という返事でした。
だけど、次の日、私は四時前からずっと二時間半も待って、やっと六時半ごろ販売店の所長が戻って来ました。
挨拶とか全然なくて態度もすごく悪くて話し合いにならなかったんです。
私は「四月から五月まで配達された新聞代をちゃんと支払って、六月の分以降の解約をしたいので、できますか」って聞くと、販売店の所長は私が持っている契約書は「警察に持って行っても問題ないから解約できない」って言われました。
本当にムカツク思いでした! 私は完全に騙されたと感じました。
私はどうすればいいのでしょうか。解約できますか。
全ての新聞代一万ぐらい払わないいけないでしょうか?
宜しくお願いします。
回答者 ハカセ
いつもは、日本の方言の一つ、関西弁で回答しているのですが、今回に限り、唯一さんが外国の方ということで、ゲンさんとも相談の上、私の方から標準語でお答えします。
唯一さんの相談文を拝見したところ、翻訳ソフトを使って日本語に変換されていると思われるため、いつもの関西弁ですと翻訳不可能な場合も考えられますので。
尚、寄せていただいた相談文の中に、日本語として分かりにくい部分が随所にありましたので、失礼ながら、私の方で適時、訂正させていただきました。その点、ご理解いただけたらと思います。
まず、はじめに、このような騙しの勧誘と新聞販売店の対応に対して、日本人の一人として深くお詫び致します。まことに、申し訳ありませんでした。
唯一さんが『私は完全に騙されたと感じました』と言われるとおり、これは完全に騙しによる契約だと私たちも思います。
『解約できますか』ということですが、その可能性は非常に高いと考えます。また、そうでなければいけない事案です。
『全ての新聞代一万ぐらい払わないいけないでしょうか?』というのも、今までに届いた分の新聞代については仕方ない面もありますが、「解約」の意志を通告した以降の分については支払い義務はなくなると考えます。
貰ったという『洗剤二箱』を返せば終わります。
今回の件に該当する法律として、昨年の210年12月1日に施行された、『特定商取引に関する法律』の改正法という法律の中に、「不実の告知の禁止」というのがあります。
虚偽や事実と異なる説明をすることで、告げている内容が客観的に事実と異なっていればすべて違反になるというものです。
従来でしたら、今回のような事案については、その証拠、証明を求められるケースが多く、なかなか立証することが難しかったのですが、この法律に関して言えば、現在、申告者の訴えを重視する傾向が強いため、唯一さんのような状況であれば違法と認められる可能性が高いと思われます。
唯一さんの場合、『その販売員は洗剤二箱をくれて、「じゃ、これは前の契約のお礼としてあげる。ここにその受け取りのサインをしてください」って言われたので、私はサインしました』というのは、明らかに騙しと判断できます。
そのサインをしたと言われる「受け取り」と称する文書が『契約書』だった可能性があります。
ただ、唯一さんが、その販売店から渡された契約書を見られて『それは明らかに私が書いたものではありません』ということでしたら、そうではなかったとも考えられますが、それをさらに偽造されたということもあり得ます。
『その販売員は洗剤二箱をくれて』というのが、以前の1ヶ月契約だったにも関わらず、それを勝手に6ヶ月契約に改ざんしたといったようなケースですね。
これも、残念ながら日本人として非常に恥ずべき話ですが、そういう不法なことをする新聞の営業員が存在するのは事実です。
そういう事例は、このQ&Aにはいくらでもあります。
偽造の疑いのある場合は、警察署の市民相談課、もしくは市民安全課という部署に相談されたら、よろしいかと思います。ここには、全国的にも比較的親切に対応してくれる担当の方が揃っていますので。
それが偽造と認定され証明されれば、日本の刑法第159条の私文書偽造等の違反行為になります。
これには「3カ月以上5年以下の懲役に処する」という罰則があり、軽い罪ではありません。
唯一さんの場合、『外国人だから本当に読めないんでまた契約は無理だ、ごめんなさい』と言っておられるにも関わらず、そうしたというのは極めて悪質性が高いと判断されやすいので、警察署や検察署次第では、その罪が立件され送検されることも十分考えられます。
その販売店の所長が、「警察に持って行っても問題ないから解約できない」と言ったとのことですが、それが問題視される可能性が高いということになります。
ただ、この事案のようなケースですと、その警察署や検察の裁量次第という側面が強いため、必ずそうなるとは保証できませんけれど。
おそらく、唯一さんが外国の方だということで、その販売店の所長は甘く考えてそう言ったのかも知れませんが、もし、そうなら逆です。
これが日本人の場合でしたら、その文書や契約書に書かれた文言が読めないとか分からないと言っても通用しない可能性の方が高いですが、それが外国の方だと無理もないという判断になりやすいですからね。
いずれにしても、『特定商取引に関する法律』の改正法、および刑法第159条の私文書偽造等の違法性が高いと考えられますので、解約を希望すれば、ほぼできるものと考えます。
ただ、その販売店の所長とやらに、それ以上、何を言っても無駄だと考えますので、まずは、その新聞社の苦情係か、そちらの地域の消費者センターあたりに相談されたらどうでしょうか。
その際、口頭での相談、または文書での説明などが上手くできる自信がないということでしたら、今回、相談された内容、および私の回答をプリントアウトするなどして、それらの関係機関に郵便で送付されるなり、メールで送信されるなりして相談、通報されるのでもよろしいかと思います。
過去、このQ&Aに記載されたページが裁判所において証拠書類として取り上げられたこともありますので、無視されるというケースは少ないかと考えます。
どうぞ、ご利用ください。
日本人を騙すというのなら、悪いことには違いありませんが、それでもまだ騙される人にも多少なりとも落ち度、責任のある場合が大半です。
しかし、あまり字が読めない、言葉もよく理解できないという外国の方を、こんな形で騙すというのには我慢できませんし、許せません。
まことに恥ずかしい限りで、まさに国辱ものです。
新聞社の苦情係か、そちらの地域の消費者センターあたりに相談される、あるいは警察署の市民相談課、もしくは市民安全課に相談されて、もし、それでも上手くいかないようでしたら、またご連絡ください。
その状況次第で次の方法を考えたいと思いますので。
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