新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A
NO.912 何故拡張員になられたのですか?
投稿者 090さん 投稿日時 2010.6. 3 PM 3:17
突然のメール失礼致します。文章読ませて頂きました。
質問なのですが、何故拡張員になられたのですか?
回答者 ゲン
『何故拡張員になられたのですか?』ということやが、それについては『新聞勧誘・拡張ショート・ショート・短編集 第3話 命の笑い』 にその詳しい経緯がある。
ワシがこの世界に飛び込んだのは、1994年の9月。今から、約16年ほど前のことや。
それまで、ワシは大阪で住宅リフォームの小さな会社を約6年間ほど経営していた。
それが、ワシ自身のふがいない経営のため倒産してしもうた。15年住み慣れた家を競売で失い、嫁はんには愛想をつかされて離婚。その嫁はんは子供を連れて実家に帰った。
よくある家庭崩壊というやつや。
無一文になって、どこに行くアテもないときに、スポーツ新聞の求人広告欄を見て、この業界を知って飛び込んだわけや。その当時の業界では、ありがちなことやったと思う。
ワシは、夜間高校を卒業して19歳で大阪のある大手の建築会社に営業員として就職した。
その成績は自分で言うのも何やが、常にトップクラスやったということもあり自信もあった。
その営業経験、営業力を活かすことができると踏んだのも理由の一つや。
加えて、そのときには、新聞の営業に対して、それほど悪いイメージを持ってなかったということもあった。良う業界のことが分からんかったわけやな。
それには、『第97回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■拡張員列伝 その5 季諾の漢(おとこ)、ヨシアキ 前編』 、『第98回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■拡張員列伝 その5 季諾の漢(おとこ)、ヨシアキ 後編』 で、ある新聞拡張団の団長と、その大阪の建築会社にいたときに知り合ったということが大きかった。
今思えば、その新聞拡張団の団長のような人間は、この業界でもまれな存在やったんやが、そうとは知らず勘違いしてたんやな。悪いイメージがなかった分、業界に対する警戒心もないから安易に飛び込んでしもうたというわけや。
その当初は、その飛び込んだ拡張団が最悪の団やったということもあり、何とかそこを抜け出すことばかり考えとったが、そこで、ワシの師匠とも言える「善さん」という人を知って、その考え方が変わった。この業界で頑張ってもええかという気になった。
もっとも、それでもそんなに長くは続けるつもりはなかったんやが、いつの間にかそれから10年がすぎた。惰性、慣れだけでやっていたようなもんやった。
目的とか目標、信念や誇りというようなものがあったわけでも、何かの希望があったわけでもないさかいな。
まあ、それには、その当時はそこそこ稼げていたということもあったからやけどな。食うに困らん程度の稼ぎがあった。
ただ、それでも虚しさを払拭することはできんかった。ワシ自身は人に後ろ指を指されなあかんということは何もした覚えがない。
しかし、拡張員というだけで、世の中からええように見られんということに正直、理不尽さを感じ絶望していたようなところがあった。
そのままやったら、今頃は辞めていたやろうと思う。
それが、今から7年ほど前、あることがキッカケで「ハカセ」という男と知り合うことになった。
その出会いは『新聞勧誘・拡張ショート・ショート・短編集 第2話 男の出会い』 にある。
ワシはハカセと知り合ったことで、ワシ自身の価値というものに気づかせて貰うことができた。
結局、ハカセから、この業界をテーマとしたサイトを立ち上げたいので力を貸してほしいと頼まれ、今まで一緒にやってきたわけや。
今は、正直、拡張員を続けていて心底良かったと思うとる。
そして、ワシのような者の吐く言葉に多くの人が耳を傾けてくれ、助かったと言うて貰えることも多いということで人の役に立つことをしていると実感もできた。
そんな喜びに浸っている。
人はその出会いにより劇的に生き方そのものが変わることがあるというのは理屈では知っていたけど、まさかワシ自身にそれが起きるとは夢にも考えてなかった。
あんたが『文章読ませて頂きました』というのは、ハカセが書いた文章で、ワシが書いたものやない。ワシにそんな才能なんかはないさかいな。
ワシは単に、その情報提供をしとるだけにすぎん。それと経験を活かしたアドバイスをしとるだけや。
ハカセの書くものは、文章の専門家の間でも高い評価を受けとるさかい、当たり前といえば当たり前かも知れんが、人を惹きつけて読ませる術に長けとると思う。気がつけば嵌り込んでいると。
実際、このサイトに訪れる人の多くがそうやと言うさかいな。
あんたも読まれて気になった、面白そうやと考えられたからこそ、この質問をして来られたのやろうと思う。
今やこのサイトには半端やないほどのページ、文書量があるので、すべてやなくても暇なときにでも、ゆっくりでええから少しずつ見てほしい。それなりに得られるものも多いのやないかと考えるさかいな。
ワシやハカセにとって、今やこのサイトはライフワークになっとるもので、おそらくどちらかが死ぬまで続けるやろうと思う。
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