新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.942 就業タイプの選択に悩んでいます


投稿者 sapporo さん  投稿日時 2010.9.28 PM 3:52


 はじめまして、サイトのほうを楽しく拝見させて頂きました。過去幾つも私と同じような質問をされた方がいるかとは思いますが、改めて質問という形を取らせてもらいたいと思います。

 先日、Y新聞さんの営業という募集があり面接のほうを受けてきました。落ちる方のほうが少ない業界だとは思いますが私もめでたく合格という形になりました。ただ話を聞くと給与のあり方に誌面とは大分開きがあり悩んでおります。

 誌面のほうでは基本給15万円程度+歩合制と書いてありましたが、実際には基本給は60日間でこれをAタイプ、基本給がAの半額+歩合(この場合Aより歩合の割合が高く6ヶ月で6000円)とあり、これが90日間というのがBタイプ、Cタイプは働き始めからフルコミッションでBより1000円程単価が高かったです。

 本題ですが、どのタイプをもって働き始めたら私自身が働きやすいでしょう。この業界に入った方たちは上記のどのタイプから働き始めたかたが多いでしょう。というのが質問になります。

 本人が決めたら良い、この業界の営業とは〜〜〜、等、今までサイトのほうで載せてあった意見もあるとは思いますが具体例など提示して頂ければと思います。

 私個人としましては、基本給がすでに前職の総支給額に等しいAタイプをと考えているのですが、この場合だと歩合が大変に低く、10枚とっても+1万円前後といった金額になります。

 慣れない営業ですから、全くの坊主とはいかなくてもそれに近い数字も考えられます。そうなると、15万円前後の給料となり安定はしますが、旨味面白味といったものが感じられないのではないか、現実にその給料でやっていけるのかといった不安が残ります。

 漠然としていますが、何かアドバイスのほう宜しくお願いいたします。


回答者 ゲン


『どのタイプをもって働き始めたら私自身が働きやすいでしょう』というのは難しい質問やな。

これは、当たり前と言えば当たり前のことやが、あんたが、どの程度の実績、成績を残せるかで大きく違うてくる。

それには、あんたの性質や向き不向き、適性のあるなし、意気込みの程度、今までの人生経験、その拡張団(新聞営業会社)の社風や人間関係、地域性、入店(営業で赴く新聞配売店)先の事情など、あらゆる要素が絡み合うてくる。

ワシも、この業界は長い方やから、その人間を見て話を聞けば、たいていの予測はつくし、向き不向きの判断もある程度はできるという自信もある。

しかし、それにしても完璧に分かるとまでは言い切れんがな。

こいつならできるやろうと思う人間が案外できんかったり、逆に、これは使い物にならんなという者が意外に成績を上げたりするということが、まれにあるのが、この営業の世界やさかいな。

このQ&Aや『ゲンさんの勧誘・拡張営業講座』 、メルマガ『新聞拡張員ゲンさんの裏話』 、『ゲンさんの新聞業界裏話
などで、散々、新聞営業についての講釈を垂れとるが、「こうすれば確実に契約が取れる」という便利な方法は、営業の世界には存在せんというのだけは確かやと言える。

あるのは、少しでも、それに近づける方法だけやと思う。ワシは、そのために日夜、研究しとるつもりや。

他業種を含めると40年近く、この対面営業をやってきたという自負はあるが、それにしても、どれだけ、その域に近づけたかと聞かれると、まだまだやと答えるしかない。

それだけ、この新聞営業は奥が深い。

別に、これから、この仕事をやろうと考えておられる、あんたを脅かすつもりは毛頭ないが、簡単な仕事やないということだけは分かっといて貰いたいから言うてるわけや。

少なくとも、やるからには、ある程度の覚悟だけはしておいた方がええと。

それを知っておいて貰った上で、あんたの『具体例など提示して頂ければと思います』という質問の回答に移る。

そのY新聞の営業会社のシステムのうち、『基本給15万円程度+歩合制と書いてありましたが、実際には基本給は60日間でこれをAタイプ』というのは、はっきり言うて面接を促すための誘い文句やと思う。

基本的に、新聞営業だけに限らず、すべての営業会社は、契約を取ってナンボ、つまり、上げた契約の多寡で稼ぎが違うてくる仕事なわけや。

まず、そのことを認識しとかなあかん。

先にも言うたように、この仕事には「こうすれば確実に契約が取れる」という便利な方法はない。

裏を返せば、それだけ人により稼ぐことには不安定要素の大きい仕事でもあるわけや。

そういう面からしても、あんたのように、『慣れない営業ですから、全くの坊主とはいかなくてもそれに近い数字も考えられます』、『15万円前後の給料となり安定はします』という人を誘い込むには、『基本給15万円程度+歩合制』というのは手頃な謳い文句ということになる。

実際には、営業会社が『全くの坊主とはいかなくてもそれに近い数字』の者に、その基本給をそのまま支給するとは考えにくい。

ある程度の成果、成績を要求されるのが普通や。

つまり、ある一定ラインの成績に満たない人間には、その程度により、きつく当たる可能性があるということや。

分かりやすく言えば、月10本にも満たない契約数しか上げられん者については「給料泥棒!!」という類の罵声が浴びせられることもあるということやな。

もっとも、その拡張団次第では、「まだ、初心者やから大目に見よう」と考え、あまりきついことも言わず我慢するということもある。

しかし、それも『60日間』、つまり2ヶ月間が限度ということになる。

当たり前やが、新聞拡張団にとって契約の上げられん者は必要ないし、そういう人間ばかりやと経営そのものを危うくするさかい、その60日を限度に追い出すか、他のそれ相応の給料体系に変更するケースが多い。

ここで、あんたの言う、A、B、Cのタイプそれぞれにシミュレーションしてみようと思う。

そうやな、便宜的に、25日間稼働して25本の契約を上げたと想定して計算してみる。

まず、Aタイプ。基本給15万円+歩合制で、歩合は『10枚とっても+1万円前後』ということからすると、25本やと、歩合は2万5千円になるという計算になり、計17万5千円の収入が見込まれる。

次にBタイプ。基本給がAの半額ということは、基本給は7万5千円になる。これに6ヶ月契約の6000円×25本=15万円の歩合がつき、計22万5千円の収入が見込まれるという計算になる。

但し、これには3ヶ月契約、および1年契約での歩合は計算に入れてないから、それらの契約比率で、その収入もかなり変わってくるとは思う。

参考までに、『6ヶ月で6000円』というのは、この業界の一般的な報酬額とされとるもので、3ヶ月契約4000円、6ヶ月契約6000円、1年契約8000円という設定になっとるケースが多い。

この頭の数字、4、6、8を捩(もじ)って「ヨーロッパ」と業界では広く言い表わされている。

まあ、こういう言い方が存在しとるということ自体が一般的やという証しやけどな。

ちなみに、Bタイプの場合、3ヶ月契約4000円ばかりやと、その総収入が17万5千円になり、1年契約8000円の場合やと、総収入27万5千円という計算になる。

つまり、上げた契約の内容次第で、17万5千円〜27万5千円の範囲になるということや。

最後にCタイプ。『Cタイプは働き始めからフルコミッションでBより1000円程単価が高かった』ということは、3ヶ月契約5000円、6ヶ月契約やと7000円、1年契約9000円ということになる。

それからすると、3ヶ月契約だけの場合、5000円×25本=12万5千円。6ヶ月契約やと、7000円×25本=17万5千円。1年契約だけでは、9000円×25本=22万5千円というのが、それぞれの総収入になる。

つまり、Cタイプの場合は12万5千円〜22万5千円までの範囲内ということになる。

これだけの単純比較やと、Bタイプが一番有利やということになる。

『15万円前後の給料となり安定はしますが、旨味面白味といったものが感じられないのではないか、現実にその給料でやっていけるのかといった不安が残ります』というのなら、そのBタイプを選択するのが一番賢いとは思う。

但し、その場合は、最低でも6ヶ月契約を17本上げんことには、Aタイプ以下の収入になるということは知っといてほしい。

それ以上、上げられる自信と意欲があるのなら、そのBタイプが一番有利で賢い選択になるということや。

また、これが契約数50本を上げた場合やと、また違う結果になる。

Aタイプの場合。基本給15万円+歩合制(1000×50本=5万円)=20万円になる。

Bタイプの場合。基本給7万5千円+歩合制(3ヶ月契約4000円×50本=20万円)=27万5千円。基本給7万5千円+歩合制(6ヶ月契約6000円×50本=30万円)=37万5千円。基本給7万5千円+歩合制(1年契約8000円×50本=40万円)=47万5千円ということで、27万5千円〜47万5千円の間の稼ぎなるということや。

Cタイプの場合は、3ヶ月契約5000円×50本=25万円。6ヶ月契約7000円×50本=35万円。1年契約9000円×50本=45万円で、25万円〜45万円までの間になる。

ついでやから、これが契約数100本の場合も言うとく。

Aタイプの場合。基本給15万円+歩合制(1000×100本=10万円)=25万円になる。

Bタイプの場合。基本給7万5千円+歩合制(3ヶ月契約4000円×100本=40万円)=47万5千円。基本給7万5千円+歩合制(6ヶ月契約6000円×100本=60万円)=67万5千円。基本給7万5千円+歩合制(1年契約8000円×100本=80万円)=87万5千円ということで、47万5千円〜87万5千円の間の稼ぎなるということや。

Cタイプの場合は、3ヶ月契約5000円×100本=50万円。6ヶ月契約7000円×100本=70万円。1年契約9000円×100本=90万円で、50万円〜90万円までの間になる。

これらから言えることは、1ヶ月に上げる契約数が17本以下なら、Aタイプが一番有利で、17本以上50本未満やとBタイプが有利。

契約数90本までやとBタイプ、Cタイプは拮抗し、若干Bタイプの方が有利となり、これが契約数90本を超すと、Cタイプが有利になるということや。

但し、あんたの話から、Aタイプは働き始めてから60日間、Bタイプは90日間という、限定された期間だけのようや。

ということは、その後はCタイプになるということかな。

そのあたりのことを良く確かめとく必要はあるが、いずれにしても、Cタイプを選択する場合は相当数契約が取れる状態にならん限り、それで稼ぐのは難しいやろうな。

せやから、まずはAタイプ、Bタイプのいずれかで働き始めて、その期間様子を見るというのが、一番賢い選択やとは思う。

ただ、何度も言うが、営業の仕事は厳しい。通常の仕事のように、与えられた仕事を時間内にこなしたらええという考えは一切通用せんさかいな。

ワシは、いつも、この仕事を素人さんに説明するときには、プロ野球を例にすることが多い。

プロ野球の選手は、その成績次第で高給取りになれる可能性もあるが、反面、成績が悪ければ稼げんばかりやなく追い出される、つまりクビになることもある。

脚光を浴びるのは、ごく一部のスター選手だけで、大半は2軍、もしくは1軍半と呼ばれる食うや食わずの生活を強いられることになる。

それでも彼等が、そこで踏ん張ってやっているのは、稼げるという夢と可能性があるからや。

それに近いことが、この新聞営業の世界でも言えるということや。理論上は契約さえ上げられたら、いくらでも稼げるさかいな。

もっとも、そうは言うても、野球選手のように年俸1億円というのは無理やとは思うがな。

そうするには、Cタイプの場合で6ヶ月契約を月に1200本上げなあかん計算になる。25日稼働で1日48本。1日8時間仕事するとして、1時間6本。10分に1本の計算や。それをずっと1年間コンスタントに続けて、それや。

この新聞営業は、どんなに優秀なベテランが頑張っても一般的には100軒訪問しても95軒以上は断られる仕事や。それからすると、10分に1本の契約を上げることなんか不可能やというのが分かると思う。

せいぜい、トップクラスでも年収500万円〜1000万円くらいが限度や。それやと、1日5本程度の契約をコンスタントに続ければ到達可能になる。

そして、ワシの知る限り、それくらい稼げる人間ならおる。また、そういう報告も時折、サイトに寄せられることもある。

しかし、それはホンの一握りでしかない。その可能性ならあると考えてやるか、そんな程度のものかと考えるかは、あんた次第や。

話が先に飛びすぎたが、あんたの現時点での質問の答えなら、先に言うたとおり、AタイプもしくはBタイプがええということになるということや。


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