新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.943 全く読んでいない新聞代金を支払わなくてはいけないのでしょうか?


投稿者 n4k さん  投稿日時 2010.9.29 PM 11:08


去年新聞の配達員に就活で絶対に必要になるからと半ば強制的に配達が4月から4ヶ月間決まってしまいました。

後からやはり必要ないと思って連絡した所、契約解除はできないと言われました。

そのまま放置し、4月になり、諸事情により急遽実家に帰って仕事をしていた5ヶ月の間新聞は配達され続け今日20000円ほどの請求が来ました。

全く読んでおらず支払いたくないのですがやはり支払わなくてはいけないのでしょうか?

書面には支払いがない場合は裁判所行きだと書かれていました。


回答者 ゲン


『全く読んでおらず支払いたくないのですがやはり支払わなくてはいけないのでしょうか?』ということやが、それは、その状況次第でかなり違うてくる。

『去年新聞の配達員に就活で絶対に必要になるからと半ば強制的に配達が4月から4ヶ月間決まってしまいました』ということやが、その際、強迫されるなどの具体的な違法行為がない場合は、いくら『半ば強制的』やったとしても契約書にあんた自身がサインしたのなら、その契約は成立したものとされる。

『後からやはり必要ないと思って連絡した所、契約解除はできないと言われました』というのも、その販売店が、そう言う場合は簡単には契約解除することができんのは確かや。

そのときに、それなりの話し合いをするか、もしくはそのための行動を起こす必要があった。

具体的には、契約時に貰ったサービス品を返還するとか、ペナルティとしての解約違約金を支払うからといったことや。そう申し入れていたら、あるいは、その話し合いができたかも知れん。

『諸事情により急遽実家に帰って仕事をしていた』という部分やが、これは「引っ越し」をしたということかな。

その実家が、その販売店の配達区域外の遠距離の場合は、自動的に契約解除になるから、その販売店の請求は論外ということになる。

新聞の購読契約というのは、その販売店と契約者の間のみで有効なものとされとる。事、購読契約に関しては、新聞社は関係ないというのが、公の立場やさかいな。

新聞社との契約なら、引っ越しの際もそのまま引き継がれるということも考えられるが、その販売店との間のみ有効な場合は、そこからの配達が不可能になった時点で契約解除ということになる。

新聞販売店には宅配制度というのがあって、その営業エリア、配達範囲というのが決められとる。それを越えて配達することは原則、許されとらんわけや。

新聞購読契約では、契約者は、その期間、その代金の支払いをする義務を負い、販売店は、その期間、遅滞なく新聞を配達する義務を負うものとされとる。

そのいずれかが守られん状態になると債務不履行ということになる。

つまり、今回の場合は配達することができんようになるわけやから、必然的に債務不履行になるということや。

債務不履行になれば、契約は消滅し解除となる。

これが、引っ越ししたのではではなく、5ヶ月の間、実家に帰っていて、また同じ場所に舞い戻ったということなら、単に留守をしていたということになる。

例えば、アパートなりマンションなりを借りていて、その解約をせず、そのまま5ヶ月間、家賃を払い続けて、そこを確保していたというケースやな。

その場合は、新聞購読契約そのものは生きていると考えられる。

ただ、ここからが肝心なところやが、先にも言うたように『販売店は、その期間、遅滞なく新聞を配達する義務を負うものとされとる』という要件を満たす必要がある。

この『その期間、遅滞なく新聞を配達する』ということは、確実に契約者であるあんたに新聞を配達するということを意味する。

しかし、あんたが『4月になり、諸事情により急遽実家に帰って仕事をしていた5ヶ月の間』は、実際にはその新聞を受け取ってないし、受け取りようがないわけや。

その販売店が5ヶ月の新聞代、2万円ほどを請求するには、あんたの住んでいた場所に確かに配達したという証拠が必要になる。

普通、配達を始めて一週間もその新聞が取り込まれてないような状況なら、どんな新聞販売店でも、おかしいと気づく。その玄関口には溜まった新聞が増え続けるさかいな。

中には、集金するためにそれでも入れ続けたとしても、5ヶ月分の新聞となると相当な分量になる。

あんたの住んでおられる場所が、どういったところかは分からんが、アパートやマンションなんかやと、その部屋の近隣や大家からクレームが、あんたの実家に入るか、もしくは、その販売店に苦情が届くはずや。

常識的には、その場所への配達は続けても10日間くらいが限度やろうと思う。

つまり、その販売店が新聞を、あんたが留守にしていた5ヶ月間も配達をしていたというのは考えにくいということや。不可能に近いと思う。

それが可能やと考えられるのは、そこが、あんたの親戚縁者の家で他の身内の人が住んでいて、その新聞を受け取っていた、あるいは下宿のような場所で、その管理人さんなどが、代わりに受け取っていたというケースくらいや。

もし、そうなら、その販売店の言い分も正当なものと評価される可能性はあるが、それやと、その親戚縁者、もしくは管理人さんが、その代金の支払い請求を受けていたはずやし、配達された新聞に対して、どうするのかということくらいの連絡は、あんたにあったと思う。

それらの事情が、あんたの話だけやと分からんから、冒頭で「それは状況次第でかなり違うてくる」と言うたわけやが、そのあたりのところは、どうなんやろうか。

他府県の実家に引っ越したのなら、契約不履行による契約解除を宣告すれば問題ない。

アパート、マンションなどの借家の場合は、本当にその販売店がその5ヶ月間もの間、新聞を配達し続けたと言うのであれば、当然やが、その現物がなかったらあかんわけで、それが残ってない限りは、あんたとしては「その事実は認められない」と言える。

身内ないし下宿先の人が、親切であんたのためにと、その新聞を受け取り続けていた場合は、その新聞の所有権はあんたにあると考えられるさかい、その場合は、その5ヶ月分の新聞代の支払いはせなあかんやろうな。

その最後のケースを除いては、その新聞販売店が5ヶ月の間、新聞を配達し続けたというのは考えにくいから、実際はどこかで、その配達をストップした可能性が高いと思う。

そうなれば、その販売店は『5ヶ月の間新聞は配達され続け今日20000円ほどの請求』をする根拠と権利を失う。

その新聞の現物がなく、あんたが『全く読んでおらず支払いたくないのですがやはり支払わなくてはいけないのでしょうか?』ということなら、その販売店に「確かに、そちらが新聞を配達し続けたという証拠を示してください」と言うても通る。

ただ、あんたのケースは、その新聞販売店から書面が届き、それに『支払いがない場合は裁判所行きだと書かれていました』というのなら、そうして貰うことや。

「どうぞ、そうしてください。こちらは納得できませんので」と言うてな。

このまま、その販売店の言うとおりに『20000円』を支払うよりも、そうした方が、結果として安く上がる可能性が高いし、あんたも納得できるやろうと思う。

裁判というと何か大変なことのように思われるかも知れんが、民事裁判程度のものは大したことはない。別にそれで敗訴しても前科がつくということでもないしな。

却って、ええ社会勉強になるのやないかと思うくらいや。

まあ、こういったケースで実際に新聞販売店が訴訟したというケースは知らんから、おそらくは、ただの脅し程度のものやとは思う。一般の人は「裁判するぞ」と言われると、どうしても大変やと考え、請求どおり支払うやろうという思惑でな。

そういう所はタチが悪いというのが大半やから、ヘタに話し合いに応じるよりも、その新聞販売店の望むように裁判で決着をつけて貰った方が、あんたにとっても、ええ結果になりやすい。

それに、実際にそうされたとしても、あんたが実際に支払う金は、その『5ヶ月分の新聞代金20000円』以上にはならんさかいな。

例え敗訴した場合でも、最悪、相手の裁判所にかかった費用の5、6千円程度が上乗せになるくらいやが、あんたの事情次第にもよるから軽々なことは言えんが、滅多にそうなることはないと思う。

参考までに、そうなったときの対処を話とく。

普通、裁判になると、弁護士を雇ったり裁判所に出向いたりと金がかかると思われるやろけど、弁護士を雇わんかったら、訴えられた側は、裁判所までの交通費くらいしか金はかからん。

別に、裁判は絶対に弁護士を雇わなできんということでもない。特に民事で訴えられる場合はな。

裁判所に行くために、その日仕事を休むことになるが、弁護士を雇う費用のことを考えれば安いもんや。

まず、裁判所の出頭通知というものが来る。指定された期日と時間には必ず出向く必要がある。

これを無視したら、いくら分のあることでも、民事では一方的に相手側の言い分が認められるさかいな。

民事の場合、初めはこじんまりとした会議室みたいな所でやる。中央に大きめなテーブルがあり、その回りに輪になって座る。対面の場合もある。

裁判所の方は、裁判官と書記官が立ち会う。

裁判官の服装も普通の役所の人間が着てるスーツ姿で喋り方も至って普通や。訴えた側は、弁護士と訴えた人間が来る。弁護士だけの場合もある。

訴状の説明があり、認否を訴えられた人間に聞く。間違いと思うことははっきりとそう言う。訴えられた側が理不尽と思う場合は、普通は争う姿勢を示す。

ここで、ポイントなのは、相手方に理解を示すような発言をする必要は微塵もないということや。訴えるという行為自体が喧嘩を仕掛けているのと同じやさかいな。

争うためには、証拠となるものはできるだけ多く集めとくことや。特に契約書は必ず持参する。勧誘時の状況は詳しく文書で作成しておくのもええ。

『後からやはり必要ないと思って連絡した』という点も有利に働く可能性があるから欠かさず、そのときのことを書面にしとく。

今回、あんたが有利になると思われるのは、その新聞が配達される場に所在してなかったという点にある。実際に直接、新聞を受け取ってないと言えるさかいな。

そのためにも、『諸事情により急遽実家に帰って仕事をしていた5ヶ月の間』の所在証明ができるようにしとくことや。

なるべく事実の通りに書面にし、裁判官にそう話す方がええ。ヘタな作り話は墓穴を掘る。真実は何より強いということや。

それにウソが混じれば、相手の弁護士も、そちらの不備を突っ込んでくる。

ここで、理不尽やと思って腹を立てん方がええ。裁判とはそうしたもんや。特に弁護士は依頼人に落ち度が高いと思うても、少しでも有利にすることが仕事や。そのためには相手の落ち度をつつくしかないということを分かってなあかん。

相手を攻撃し合うのが裁判で、話し合いの場とは違う。この考えが分かっとらんかったら、いくらこちらが正しいと思っていても足下をすくわれる恐れがある。

裁判官はそれらのことが形式通り済むと、どちらか一方を室内に残し、他方を室外で待たす。それぞれと面談する。

裁判官は双方の話しを聞いた上で、助言という形で意見を交え、相手の方針を確かめる。調停にするか本裁判に進むかや。

あんたも、そこまでになるまでには、いろいろと分かることも多いやろうから、どちらにする方が有利になるか判断もつくやろうと思う。

参考までに、本裁判に進むと、法廷での争いとなる。これはテレビドラマで見るような物々しさがある。それに耐え切れんと考えるのなら、そうなってから弁護士を雇うという手もある。

まあ、そこまでになることはないとは思うが、実際に裁判になると決まってから、またここに相談されてこられてもええがな。

いずれにしても、あんたの事情をもっと詳しく教えて貰えたら、この争いの結末の有利、不利がある程度、判断できると思う。

今回のあんたの話だけやと、ここまでのアドバイスが限界やさかいな。


読者情報 参考までに

投稿者 地元密着紙さん  投稿日時 2010.10. 4 PM 7:35


投稿を拝見し、参考になればと思いメールしました。

「支払督促申立」で簡易裁判所からの「呼び出し」がきた場合、申立書を受理してから2週間以内に「異議申し立て」の文書を送付することにより、呼び出し日当日に裁判所に行かなくても「一方的に相手側の言い分が認められる」ことは無いようです。

私が実際に体験した事ですので間違い無いと思います。

「異議申し立て」の内容が相手不在の場合でも適用され、議論されます。

ここまでいくケースはあまり無いと思いますが、少しでも参考になれば幸いです。


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