新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A
NO.946 解約について関知しないと言われたことに疑問を感じております
投稿者 T さん 投稿日時 2010.10. 6 PM 11:11
はじめまして。Tと申します。
現在新聞の解約について悩んでおり、今回メールさせていただきました。
現在Y新聞社と今年8月からの一カ月無料購読、9月から2月までの6カ月購読契約を結んでいる大学生なのですが、購読料金を支払うことが困難になったこと、今住んでいるマンションを数か月あけることから中途解約をしたいと考えています。
このことを販売店に伝えたところ、現在のマンションに同居人である妹が残ることから解約を断られ、契約の解約については販売所は関知しておらず、実際に勧誘をした勧誘員と解約の交渉をするようにと言われました。
私としては、対等なはずの契約で何ら交渉することなく一方的に解約を断られたこと、契約に際して販売店名が記された名刺を渡されたにも関わらず、解約について関知しないと言われてしまったことに疑問を感じております。
お忙しい中申し訳ありませんが、ご助言頂ければ幸いです。
長々と申し訳ありませんでした。
回答者 ゲン
あんたの話を聞く限り、その販売店は新聞購読に関する法律事は何も知らんようやな。
昔ながらの古いやり方に固執し、今まで押し通してきた自分勝手な考えだけで経営をしとるような販売店やというのがよく分かる。
まあ、その昔は、新聞は家で取るという考え方が強かったため、契約は契約者個人に責任があるという世間一般の当たり前のことが抜け落ちとるのやろうがな。
その家に身内が残っとるのやから、新聞はそのまま取らなあかんというのは、そこから出た発想なわけや。
今は少なくなったが、まだまれに、こういった意識から抜け出せん経営者もいとるとは聞く。同じ業界人として恥ずかしい限りやがな。
それから言えば、『現在のマンションに同居人である妹が残ることから解約を断られ』というのは、それだけでは理由になっていないということになる。
当たり前やが、妹さんは法的には、あんたの契約を受け継ぐ義務はまったくないさかいな。
妹さんが、あんたの不在を理由に新聞の受け取りを拒否をすれば、それで終いの話や。もちろん、あんたの不在中に新聞代の請求を妹さんにするというのもお門違いということになる。
新聞の購読契約とは、新聞販売店と契約者のみにしか拘束力がないものと法律で決められとる。契約書には、その販売店名とあんたの名前しかないはずやしな。
担当者名として、その勧誘員の名前を記載しとる場合があるかも知れんが、契約書の書式上は、販売店の人間として扱われ処理される。
当たり前やが、そこの販売店の契約書を持って回って、それで成立した契約に従って配達しとるのに、「その契約は店とは関係ない」と言えるわけがないわな。
唯一、あんたの契約をそのまま受け継がなあかん人間がいてたとしたら、民法第761条(日常の家事に関する債務の連帯責任)の規定にあるように、その配偶者だけやが、結婚されてなければ、それも関係のない話になる。
例え、親兄弟などの身内であっても、あんたの契約を引き継ぐ義務は一切ないさかいな。
さらに『契約の解約については販売所は関知しておらず、実際に勧誘をした勧誘員と解約の交渉をするようにと言われました』と平気で言えるというのは、アホとしか言いようがない。
そんな新聞販売店の経営者がワシの目の前にいたら「寝とぼけるな」と言うやろうな。
これも先に言うた『新聞の購読契約とは、新聞販売店と契約者のみにしか拘束力がないものと法律で決められとる』に該当することで、その契約事の責任は、その販売店が負わなあかん。
そこから派遣されてきた勧誘員は、法律的にはその販売店の従業員と同じ扱いになる。つまり、その勧誘員の言動は、販売店のものとして扱われるということや。
関係ないで済む問題やない。
まあ、その裏を話せば、その販売店は、あんたの契約に対して、その勧誘員にそれなりの報酬を払っていて、あんたとの契約がポシャれば、それが無駄になりかねん。損をする。
それで、その勧誘員と話をつけてくれ言うてるのやと思う。
その勧誘員が、あんたとの話し合いに納得して解約すれば、その受け取った報酬を返還することになるということでな。
あるいは、その勧誘員に、その面倒な話を振ることで、あんたを何とか説得するやろうと考えとるのかも知れん。その勧誘員が、あんたの要望に応じるはずがないとタカをくくって。
いずれにしても、あんたが、そんなことをする必要は何もない。あんたの交渉相手は、どこまでいっても、法律的には、その販売店しかないわけやさかいな。
そんな程度のことも分からん販売店の人間に、それを懇切丁寧に説いても詮ないことではあるがな。
その訳の分からん新聞販売店のことは、この際、しばらく置いといて、あんたが本来、この件で、するべきことについて話す。
『購読料金を支払うことが困難になったこと』というのは、自己事由での解約希望、依頼ということになる。
『対等なはずの契約で何ら交渉することなく一方的に解約を断られた』というのも、とんでもない話で、新聞販売店は、その交渉に応じる必要がある。
ただ、あんたの希望が「無条件解約」やったとしたら、それを拒否する権利は、その販売店にあると認められるがな。
今回の場合、自己事由での解約希望するのなら、その条件を示してからするべきやったと思う。
つまり、あんたの側に何の痛みも伴わない解約は成立しにくいということや。
それを提示せんかったら、相手は「無条件解約」のつもりやなと考える。それやと一切、交渉に応じないというのもあり得る話ではある。
解約をするということは、契約以前の状態に戻すことを意味する。これを法律では「原状回復義務」という。民法第545条にその規定がある。
基本的には、契約を条件に貰ったものはすべて返すということや。
あんたの場合、『今年8月からの一カ月無料購読』分の新聞代と、その契約時にそれ以外に貰ったものがあれば、その品物を返還する必要がある。
本来、それらは、その契約を全うすることを条件に貰ったものやから、その契約が守れん、解約したいと希望するのなら、その「利益供与分」を返すというのは当然ということになる。
この理屈は分かると思う。
それに加えて、「解約違約金」を支払うというのが、解約を希望する場合の一般的なペナルティということになる。
但し、その額については、当事者間で話し合って決めて貰うしかない。この業界として、特に決まりのようなものは何もないさかいな。
普通は、そう申し出た際、その販売店側から提示するものや。それに応じられるのなら、それで手を打てばええし、応じられないのなら、その交渉を続けるか、もしくは決裂ということになる。
その状況にならんと、ワシもアドバイスしにくいから、そうなったとき、また相談してくれたらええ。
ただ、あんたの場合、『9月から2月までの6カ月購読契約』ということからすると、9月はすでに終わっとるし、10月も交渉中ということになって早期に決まったとしても、ある程度の支払いは覚悟せなあかんやろうと思う。
さらに『今住んでいるマンションを数か月あける』というのが、いつからなのか分からんが、揉めて長引けば、最低でも、それまでは、その新聞を購読せなあかんことになる可能性もある。
それに加えて、『今年8月からの一カ月無料購読』分の新聞代と「解約違約金」、その他の貰った品物の返還などを考えたら、例え、その交渉が上手くいったとしても、『購読料金を支払うことが困難になった』という理由を改善できるほどプラスになるとは考えにくいがな。
交渉が長引いたり、「解約違約金」の金額次第やと、ヘタをすると足が出る可能性すら考えられる。
特に、物事が分からんような自分本位な販売店を相手にするわけやさかい、そのリスクも高くなるという気がするしな。
それでは、せっかく交渉がまとまったとしても意味がなくなるのやないかと思う。
それよりも、あんたが留守にする期間だけ「休止」扱いにして貰うて、帰って来たら購読を再開するという方が賢いのやないかな。
解約と言うと嫌がる販売店が多いが、「休止」の場合は、基本的には受け入れるケースが多いさかいな。
その際、「私が留守にしている間、新聞を配達されても妹は関係ないから払えないと言ってますので」と言えば、たいていは仕方ないなとなるはずや。
もちろん、ある程度のリスクは承知で、是が非でも解約を依頼するというのなら、それはそれでもええがな。
「解約違約金を払いますので」と言って交渉すれば、よほどの販売店やない限り、断ることはないと思う。
そのどちらかの方法で、まず、その販売店の出方を見ることや。
その結果次第で、また相談してくれたらええ。交渉事というのは、相手の出方次第で、いろんな対処法があるさかいな。
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