新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.947 拡張員(セールススタッフ)の未来について


投稿者 otoko さん  拡張員  投稿日時 2010.10.20 AM 2:11


お久しぶりです。何度か質問させていただいて、ご無沙汰してました。また質問宜しくお願い致します。

拡張員の未来について、、、今、どの拡張団も不況の影響で、経営が行き詰まっていると思います。

私がいる団も、同じ状況です。また私達が入店させて頂いている各、販売店も同じ状況だと思います。

そんな中、私達が挙げた契約を販売店は高い、お金で買い取っています。この仕組み自体にもう無理があるのではないかと考えています。

もし、私が販売店の所長ならセンカクを使うと思います。何故なら私達、団のカード料よりも安く、その販売店専属の勧誘員の為、じっくり営業出来、団の人間よりも質の高いカードが挙がると考えるからです。

ハッキリ言って団の未来はないと思っています。この点について、さまざまな角度から意見を言い幅広い視野を持つゲンサンの考えを教えてください。


回答者 ゲン


『今、どの拡張団も不況の影響で、経営が行き詰まっていると思います』というのは、すべての拡張団でそうなっているとは言い切れんやろうが、全体として購読部数の減少傾向が顕著な状勢やから、厳しいのは確かやろうと思う。

当たり前やが、営業専門会社である新聞拡張団、およびそこで働く拡張員にとっては、契約を上げんことには収入を確保する道はないわけやさかい、部数が減った分の影響は少なからずあるはずや。

その部数が減ってきとる理由としては、ネットの普及、若い世代を中心として新聞離れ、長引く不況による家計の圧迫、少子化傾向による人口減、旧態依然とした勧誘方法など様々な要因が考えられる。

ネットの普及で問題なのが、新聞社自らがネットに主な新聞記事を垂れ流しているということや。それにより、それさえ見ていれば事足りるという人間を増やし、新聞離れを促進しとるというのがある。

また、S新聞などの一部の新聞社では、新聞紙面とまったく同じ内容の記事をネットで安く配信しとるというものすらある。まあ、それについては、紙部数を脅かすほどの売り上げはなさそうやがな。

長引く不況というのも深刻で、家計の出費を始末しようとする際、真っ先にその候補に挙がるのが「新聞代」やという現実もある。これについては景気が回復せんことには今後もこの傾向に歯止めをかけるのは難しいと思われる。

少子化傾向による人口減の影響も大きい。

新聞は人が読むものやから、人が減れば当然のことながら、その部数も減る。しかも、新聞にとっての最優良顧客である高齢者から順番に減っていくわけやから、事はより深刻や。

旧態依然とした勧誘方法の評判が悪いというのも無視できん。

客を脅かすとか騙すといったやり方をして「新聞嫌い」の人間を増やしとったんでは話にならんわけやが、そういう輩が一時期に比べて激減してきたとはいえ撲滅とまではなっていない。

その無法かつ悪辣な勧誘員が生み出す「新聞嫌い」の人間の数は相当数に上る。

その輩たちが過去数十年に渡って生み出した、その数はバカにならんと思う。そのツケが今の時代にまとめて出ていると考えられる。

ネット社会の今、その被害者の訴えが「評判の悪さ」として加速度的な広がりを見せているというのが、それや。

加えて、最近とみに標榜され実施しとる「正常化の流れ」とやらで、今までどおりの景品を渡すことができんようになっとる地域も多い。それにより従来の顧客とトラブルを起こして「新聞離れ」が加速しとるというのもある。

業界として自らの身を守りたいというのは分かるが、それで肝心の顧客を逃がしていたんでは本末転倒や。話にならん。

「経営は経費節減から」という考えからなのやろうが、営業を経営の基盤とする新聞販売店、新聞拡張団がそれでは、自ら首を絞めとるだけにしかならんと思う。

当たり前やが、後ろ向きの思考では絶対に前進はできんさかいな。それに気づいて異を唱える業界の人間は、なぜか少ない。

新聞は売り込まな売れんというのが、ワシの考えや。これには、あんたも同意するやろうと思う。

営業で売り込むためには、それ相当の経費は必要や。それを出し渋っていたんでは売れるものも売れんと。

まあ、それには従来のルールを無視して規定以上にサービスしすぎる輩が多かったということもあるわけやけどな。ひどい勧誘員になると自ら金銭を客に渡し、タダにした上に景品まで付けてカード(契約)を上げとる者もおるという。

そういうのを一掃するにはある程度、思い切った手を打つ必要があるのは確かやが、行き過ぎたやり方は却って、自らを窮地に追い詰めるということも考えとかなあかんと思うがな。

「過ぎたるは猶(なお)お及ばざるがごとし」やと。

行き過ぎ、やりすぎは、何もできん者より劣ると、古の賢人、孔子さんも言うておられる。

何でも、ほどとぼにしとかんと薬になるどころか、毒になるということや。

『そんな中、私達が挙げた契約を販売店は高い、お金で買い取っています。この仕組み自体にもう無理があるのではないかと考えています』というのも、そう言えるかも知れんな。

確かに、現状では、そのシステムが行き詰まっていると受け取れんこともない。

一般的な拡張員の3ヶ月契約の報奨金は4000円やが、新聞販売店が拡張団に支払っている額は、その1.5倍の6000程度が普通やという。

とすると、最も多い朝夕セット版での新聞購読料が、1万2千円弱ということからすると、およそ半分が営業経費ということになる。これは新聞販売店が新聞社から新聞を仕入れる額とほぼ同等やから、異常に多いと言うしかない。

まあ、その裏には、そのための営業助成金、補助金というものが新聞社から出とるということもあるし、拡張員が取ってくる契約は、新聞販売店が1ヶ月で取り扱う部数の数パーセント程度やから、やっていけるようなもんやけどな。

また、止め押しを販売店がしとるということもある。すべてが拡張員の取ってくる契約やと販売店の経営は確かにきついやろうと思う。

ただ、そうは言うても拡張員抜きに契約を確保するのが難しい販売店も多いから、痛し痒しという面もあるがな。

そのシステムで60数年以上も続けてきたということもあり、急に変えるというのも簡単な話やないしな。

それに拡張員がある程度稼げる仕組みは必要や。金にならん、食えんというのでは、当たり前やが仕事を続けるのは無理やさかいな。

現在の拡張員への報奨金の設定は、そのぎりぎりの線やと思う。

これを削られたら、拡張員は激減するやろうから、そうなると新聞の部数は今以上に激減するのは火を見るよりも明らかで、新聞社の存続にも関わる重大事になる可能性が高い。

何度も言うが、新聞は売り込まな売れん。そのためには営業は絶対不可欠やと言うしかない。

あんたは拡張員の未来を憂いとるようやが、拡張員が必要でなくなったら、新聞もそのときは存在してへんと思う。

心配せんでも、現在の形態の新聞がなくならん限りは、営業員は絶対に必要や。つまり、拡張員が絶滅することは考えにくいということや。

『ハッキリ言って団の未来はないと思っています』というのも、その団それぞれの考え方次第で決まると思う。

ただ、部数減に伴って、その数はいくらか減るかも知れんがな。それでも全滅とまではならんはずや。

最後に生き残るのは、ワシが常に言うてる、景気や社会情勢に左右されにくい営業を心掛けとる者だけやと思う。

それは、顧客のことを第一に考え、そこから人間関係、信頼関係を築くことや。それ以外に生き残る術はない。

ワシは、このことをサイトの開設時の6年前から、ずっと言い続けてきた。

今、まさにそれが必要不可欠な時代になったと確信する。

旧態依然とした勧誘しかできん拡張団、拡張員では、この仕事をそのまま続けても辛い結果にしかならんやろうと思う。それこそ、未来はない。

きついようやが、それしかできんと言う者は早々に転職を考えた方がええ。

それが嫌なら、世の中に必要とされるような営業を考えてやるしかない。そのためのヒントや方法なら、いくらでも、このサイトにあるはずや。

肝心なことは、そうする意志、気持ちがあるかないかということだけやと思う。

何でもそうやが、時代の変革期において変わろうと努力せん、あるいは進歩を目指せん人間は滅ぶしかないわけや。歴史がそれを証明しとる。

ワシの言いたいことは、それだけや。後は、あんたがご自分で考えられるしかない。


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