新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.948 これは契約が成立してしまったのでしょうか


投稿者 H.S さん  投稿日時 2010.10.20 PM 10.59


はじめまして、H.Sと申します。学生です。

新聞契約に関してわからないことがあるため、投稿させていただきます。

以下に事の経緯を示します。

3ヶ月前のことですが、A新聞の勧誘員の方が3ヶ月契約してほしいといい尋ねてきました。

初めは断りましたが、景品と半額分のお金を置いていくというので、契約してしまいました。

現在は、その契約が終了し、B新聞を購読しています。この契約はA新聞よりも前に契約しました。

今日のことですが、A新聞の勧誘員の方(前回と別の方)がやってきて、「前回の契約で金銭を渡したことが、B新聞にばれた。どうして金を受け取ったのか。これは詐欺になる」と威圧的に言いました。

その後、「今向こうの担当者が来ているから、3月から5月の3ヶ月の契約を書いてくれないか」と言われました。

その時期は、引っ越すのでいないと伝えると、「形だけで良いといい。これを見せてB新聞を納得させる」と言いました。

契約書には電話番号と苗字、申込期間しか記入していません。

印鑑も押していないし、住所も書いていませんがB新聞の人間だと言う方はこれを見て納得したようでした。

なぜか洗剤一箱置いていきました。

その場は勢いで押し流されてしまいましたが、後から考えると腑に落ちないことが多々あります。

これは契約が成立してしまったのでしょうか。

どうするべきなのか悩んでいます。

ご意見よろしくお願いします。


回答者 ゲン


『これは契約が成立してしまったのでしょうか』というのは、微妙なところもあるが、取り敢えずは、そう見ておいた方がええやろうな。

『契約書には電話番号と苗字、申込期間しか記入していません』ということやが、それをあんたの自筆で記入しているのなら、契約の意志があったと認められ、その契約書が有効と判断される可能性は高い。

『印鑑も押していない』というのは、印鑑の捺印が必要とされとる契約以外は、それほど重要視されることはない。契約したという事実と直筆の署名があれば十分や。

逆に印鑑が押してあるだけで署名があんたの筆跡と違い、その契約をした覚えがない、その事実がないというのなら、その契約は無効と判断されやすいがな。

今日び印鑑なんか、百均でも売っているし、あんたの名前がよほど珍しい苗字でもない限り、誰にでも、その印鑑を購入することができるさかいな。

それが押してありさえすれば契約が成立するのなら、世の中、契約書の作り放題ということになる。そんなことはあり得んわな。

『住所も書いていません』というのも、電話番号である程度は特定可能やし、何より勧誘員が、あんたの所に訪れとるわけやから、住所はそれで分かる。

あんたが、ご自分の名前を直筆でサインをしたのが事実なら、その住所欄を勧誘員が書き埋めたとしても法的には問題はないと判断されやすい。すべてが勧誘員の字で書かれていて、あんたが契約をした事実がないと主張するのなら、また話は別やがな。

まあ、そんな争いに持ち込むより簡単な解決策があるので、それを今から言う。

一番確かなのは、『今日のことですが』ということで、その契約をしたのが10月20日なら、10月27日までに文書によるクーリング・オフをすればええ。

本来なら、その当該の販売店に、まずその意志を伝えて処理して貰うという方法を勧めるのやが、そうすると、このケースの場合、そこからそのタチの悪そうな勧誘員がやって来て揉めて、ややこしくなるということも考えられる。

あんたは、その勧誘員に3ヶ月前の契約について、『詐欺になる』と言われたそうやが、それはウソや。もしくは何も知らずにそう言うただけかのいずれかやと思う。

確かに、『景品と半額分のお金を置いていく』という行為は、景品表示法に違反する可能性が高い。

しかし、それに詐欺罪が適用されることは絶対にない。というより、その法律は業者を取り締まるための法律で、それにより個人が罰せられることはない。

この場合、その法律で咎められるとしたら、その契約書にある新聞販売店だけや。

『前回の契約で金銭を渡したことが、B新聞にばれた』というのは、あくまでも業界内だけの禁止事項で、それが契約者に及ぶことはない。

それで処罰されるのは、業界のルールに違反した勧誘員だけや。

また、『どうして金を受け取ったのか』と、あんたが責められるいわれも一切ない。

これは一般の商品販売のケースを考えれば簡単に分かることで、商売人がどうしても、その商品を売りたいと思った場合、「ええい、半額にしとこう。おまけにこれもつけてやる」というのはよくある光景でさして珍しいことでもない。普通の商取引と言える。

その勧誘員の弁やと、それも詐欺になるということになる。それは絶対にない。

『半額にするから』と言うのも、『半額分のお金を置いていく』というのも、結果は同じや。法律に触れることやない。

その条件で、その商談がまとまったのなら、その契約自体が法律で守られる。正当な契約行為ということになるさかいな。

ただ、それが業界のルールに反しとるというのなら、業界がその勧誘員を責めるしかないわけや。その責任をあんたに押しつけて次の契約を迫るというのは、お門違いということになる。

むしろ、あんたの方は、それを理由に、消費者契約法の「不実の告知」で契約を無効にすることも可能やと思う。

また、その勧誘員が『その時期は、引っ越すのでいないと伝えると、「形だけで良いといい。これを見せてB新聞を納得させる」と言いました』ということやが、その方が詐欺行為の可能性がはるかに高い。

どういうことか説明する。

普通、契約者がその契約期間に住んでないという新聞の購読契約が成立することはない。当たり前や、それを読む者も、その代金を支払う者も、そこに存在せんのやからな。

それでも、その契約書を書かせたということは、その勧誘員が、その販売店にあんたに書かせた契約書を提出して報奨金をせしめるためや。

それ以外には考えられん。

つまり、本来遂行されるはずのない契約と知った上で、そうするわけやから、その販売店から金品を騙し取るという立派な詐欺行為になる。

ヘタをすると、あんたも契約が遂行されんと知りながら契約に荷担したとして、法的には詐欺の共謀、幇助の罪に問われる可能性があるということになる。

もっとも、この程度で実際に罪に問われるようなことはないとは思うがな。ただ、厳密に言えば、その可能性が考えられるということや。

『なぜか洗剤一箱置いていきました』という理由にはそれがある。遂行することのない契約と知りつつ利益供与を受けたとしてな。

また、それが、その販売店での3ヶ月契約分の正規の景品やったということなら、その勧誘員は、そう唆(そそのか)したことを否定し、「契約して貰うた見返りのサービス品を渡しただけや」という言い逃れをする可能性もある。

つまり、そうしたのは、あんたの単独犯やと言われるおそれもあるわけや。

ワシがタチが悪そうやというのは、そういうことからや。

しかも、『前回と別の方』が来たということは、その情報の出所として、その新聞販売店が絡んでいる可能性も考えられるから、『タチの悪そうな勧誘員がやって来て揉めて、ややこしくなる』かも知れんと言うたわけや。

あんたが『その時期は、引っ越すのでいない』というのなら引っ越しが決まってから、そう言えば、その契約は「契約不履行」により自然解除できるが、その販売店次第では、そんなことには耳を貸さず「引っ越し先でも購読しろ」と迫って、揉めることも考えられる。

それら諸々のことを考えれば、多少金はかかっても、文書によるクーリング・オフをしておいた方がええのやないかということや。

クーリング・オフをした後で、何か文句をつけにやって来る者がいれば、それだけで、その人間は罪に問われる可能性がある。実際に、それで警察に逮捕された新聞販売店の人間もいとるさかいな。

その意味でも文書によるクーリング・オフは、より安全性の高い方法ということになる。

クーリング・オフの詳しい方法については、サイトに『ゲンさんのお役立ち情報 その8 クーリング・オフについての情報』 というのがあるから、よく見ておいてほしいと思う。

その上で、どうされるかは、あんた次第やさかい、良う考えて決められたらええ。


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