新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.950 5ヶ月前にした契約の解約は可能なのでしょうか?


投稿者 J.S さん  投稿日時 2010.10.24 PM 6:30


はじめまして、J.Sと申します。19歳一人暮らしの学生です。

新聞契約に関して不安なことがあるので質問させてください。

今年の6月16日のことです。その日拡張員が部屋に来て、その場で形だけでも契約してくれとのことで11〜1月の3ヶ月間の契約をしてしまいました。

拡張員は10月頃にまた来るのでそのときに断れば契約解除できると言って、その日はかえりました。

その際にカップ麺一箱とトイレットペーパー5個を置いていきました。

もともと読むつもりもなく解約する気でいたのですが、11月の一週間前になっても訪問に来ません。

契約先の電話番号を聞きそびれてしまったので連絡の取りようがありません。

このまま訪問がなかった場合、仕方ないので新聞が届いたときに配達員の方に番号を聞いてみるつもりです。

11月に配達が始まってしまっても契約解除は可能なのでしょうか?

無償で解約できるとは思っていないけれど、どの程度の支払いが発生するのでしょう?

11月分くらいなら払うつもりです。

貰ったカップ麺もトイレットペーパーも怖くて手をつけていません。貰ったトイレットペーパーは使っていません。

でもカップ麺の箱は開けてしまいました。中に入っていた沢山のカップ麺には手をつけていませんが、買い直したほうがいいのでしょうか?

こんな現状なのですが、どうすればいいかご意見よろしくお願いします。

長々と申し訳ありませんでした。


回答者 ゲン


『契約先の電話番号を聞きそびれてしまったので連絡の取りようがありません』ということやが、その契約書にその新聞販売店の電話番号はないのかな。

普通、新聞の購読契約書には、その販売店名と住所、電話番号程度は、印刷、もしくはゴム印が押してあるはずやけどな。もっとも、中にはすべてが無記名で新聞銘柄しか分からんというケースもあると、まれにやが報告されとるがな。

まあ、例えそれらが未記入やったとしても、その新聞販売店名と所在、電話番号程度のことなら、ちょっと調べれば簡単に分かる。

新聞には宅配制度というのがあり、それが厳格に守られとるから、その営業エリア毎に各新聞社、一つの販売店と決められとる。

つまり、その『11〜1月の3ヶ月間の契約』をされたという新聞販売店は、あんたの住む地域には1店舗しかないということになるわけや。

その新聞販売店名が分からん場合は、タウンページで「新聞販売店」の項目で、あんたの居住地にある店舗に電話することや。調べ方として、これが一番確実な方法やろうと思う。

その販売店名が分かっている場合は、その販売店名をネットで検索すれば、たいていはヒットするはずや。すべてとは言い切れんが。

また、「新聞屋パーク」 というサイトからでも検索できる場合がある。但し、ここには現在、6,300店舗ほどの登録しかなく、全国約2万店舗の3分の1ほどやから、その販売店がネットにつないでないとか、PCをあまり扱こうてないという理由で未登録の店舗やと見つからん可能性もあるがな。

あとは、新聞社のWEBサイトに行って苦情係に「販売店の連絡先が分からない」と言えば教えてくれるか、その販売店からすぐに誰かやってくると思う。

『このまま訪問がなかった場合、仕方ないので新聞が届いたときに配達員の方に番号を聞いてみるつもりです』というのは、あまり現実的なやないと思う。

朝刊の配達は、たいてい深夜の午前3時から明け方6時頃までの配達やから、その時間に起きて待っているというのも大変やし、例え、それで運良くその配達員を捕まえたとしても、大半はアルバイトでの配達というのが多く、どこまで、それがその新聞販売店に伝わるかというのも怪しいしな。

それよりも、上記の方法で直接的なアプローチをする方が早く確実やと思う。

『その場で形だけでも契約してくれとのことで11〜1月の3ヶ月間の契約をしてしまいました』というのは、契約に形だけというのはないから、完璧に契約したことになっている。

『拡張員は10月頃にまた来るのでそのときに断れば契約解除できる』というのも、そんなことは、まず考えられんから、かなりの高確率でウソやと思う。

ええ加減な拡張員が良う使う手やが、それに嵌められた、騙された可能が高い。

あんたが、その事実を言うても、おそらく「そんな話は知らん」と当人はシラを切るやろうと思う。そういうトラブルは腐るほどある。

『その際にカップ麺一箱とトイレットペーパー5個を置いていきました』ということで、それを受け取ってしまった事実を持って、契約が成立しとると言い張る可能性が高い。

そして、あんたとしては、その拡張員が確かにそう言うたという具体的な証拠でもない限り、その言動を覆(くつがえ)すことはできん、難しいやろうと思う。

その相手が認めんかったら、言うた言わんの水掛け論にしかならんさかいな。

消費者契約法の「不実の告知」を持ち出して争うことはできるが、相手次第では長期戦になることも予想され、今回のように来月から3ヶ月程度の期間なら、争っている内に新聞が配達され終わってしまうということも十分考えられる。

そうなると、その争いもあまり意味のないものになる。

普通なら、ここで、あんたの言うてるように、この契約を解除するには、『無償で解約できるとは思っていないけれど、どの程度の支払いが発生するのでしょう? 11月分くらいなら払うつもりです』ということで、ペナルティ覚悟で解約の依頼をするというのが最もベターな方法やとアドバイスするのやが、あんたの場合は、そうせずとも比較的簡単に解約できる方法がある。

それには、あんたのご両親、もしくは法定代理人(親権者)の協力が得られることが条件になるがな。

それは、契約時、あんたが19歳で未成年やったというのが大きい。

民法第4条に未成年者と契約するには、原則として法定代理人(親権者)の同意が必要で、同意のない行為は、取り消すことができるというのがあるのが、それや。

但し、例外として、未成年の既婚者や本人が未成年やないと告知しとる場合は、この限りではないとなっているがな。

あんたのご両親、もしくは法定代理人(親権者)から「私は、子供のした、その契約は同意してないから認められない」と、その販売店に通告すれば、民法第4条の原則により、その契約を取り消すことができるということや。

それに付随したもので民法第120条に、『行為能力の制限によって取り消すことができる行為は、制限行為能力者又はその代理人、承継人若しくは同意をすることができる者に限り、取り消すことができる』というのがある。

この制限行為能力者というのには未成年も該当する。それから言えば、未成年者自身の意志でも、契約の取り消しができると考えられる。

しかし、ワシとしては、それを勧めることはできんがな。

それは、親御さん、および親権者による取り消しの方が、問題は少ないやろうと考えるからや。

やはり、本人である未成年者が、それと知りながら契約して、それを自ら取り消すというのは、どう考えてもおかしな話やと思う。

「何や、お前、それを知っていて、最初からそのつもりやったのか」ということになるさかいな。また、そう言われると、あんたも立場的には、それ以上、強気にもなれんやろうから損や。

もっとも、それを主張するのは自由や。法律の決まりに、そうある以上は、するなとまでは言えんしな。

ただ、それよりも、親御さん、および親権者からの取り消し通告の方が効果は高く、確実やさかい、協力して貰うた方がええということが言いたいだけや。

その際、「子供から、そちらと新聞の購読契約を結んだと聞いたが、その契約は民法4条の規定により、親(または親権者)である私は認めないから、即刻、解除を要請します。尚、その契約の際、そちらから受け取ったものは返しますので」と言うて貰うようにすればええ。

それでたいていは終わるはずや。

ただ、中には、民法第4条と関連する第5条3項に、

法定代理人が目的を定めて処分を許した財産は、その目的の範囲内において、未成年者が自由に処分することができる。目的を定めないで処分を許した財産を処分するときも、同様とする。

とあるのを持ち出して抵抗する販売店も、まれにあると聞く。

分かりやすく言えば、例え未成年者であっても、小遣い程度の金銭の出費であれば、契約の取り消しはできんと受け取れる条文や。

しかし、この小遣いの範囲というのは、実に曖昧なもので、法律の条文には、どの程度までが小遣い程度なのかという具体的な金銭の記述はない。

法律には、その受け取り方次第で、どうとでも解釈できるというものがあまりにも多すぎるが、これもその一つや。

このサイトでは、ワシは、新聞契約は小遣いの範囲には該当しないという判断で、アドバイスをしとる。1ヶ月3000円〜4000円程度やから、小遣いの範囲やないかという意見もあると思うが、契約は総額で判断するべきやと思う。

ワシは20数年前、ある大手の建築屋で営業をしていたことがある。そこで住宅リフォームのローンで契約を取るというのが多かった。

その当時、100万円の住宅ローンで30年払いにすると、1ヶ月4000円程度の返済で良かった。今なら、金利も低いから、もっと安い金額のはずや。

その頃「ご主人、1ヶ月に1回、居酒屋に行かれるのを我慢されるか、タバコを2日に1箱我慢されたら済む程度ですよ」という営業トークを良く使ってたもんや。

正に、小遣い程度というのを印象づけとったわけやけど、冷静に考えたら100万円のローン返済を小遣いの範囲とは言えんわな。

あんたの契約は3ヶ月ということやが、それにしたところで、総額は12,000円ほどになる。収入のない学生さんにとって、それが小遣いの範囲と呼べるかどうかということやと思う。

ワシの結論は、小遣いの範囲を逸脱しとるやろうということや。これは、当サイトに協力して頂いている法律家の先生方も同じ意見や。

もっとも、これについては、確かなことは裁判所の判断を仰ぐしかないが、残念ながら、この件に関する新聞購読の契約についての判例が今のところまだない。

せやから、どうしてもその販売店が認めんということであれば、そちらの販売店の方で裁判でも起こしてくれと突っぱねるように、親御さん、および親権者の人に言うて貰うしかない。

そんなことはまずないとは思うが、例えその販売店が裁判に訴えたとしても、民法第4条の原則がある限り、かなりの高確率で勝訴となるのは間違いないはずやしな。

せやから、ある程度、強気で、「こちらとしては、絶対にその契約は認められん。子供にそんな金も渡せん」と。「それでも強行すると言うのなら、そのことを新聞社に通報する」と通告すればええ。

まあ、心配せんでも、ほとんどの販売店は、親御さんからそういう申し出があった時点で、あきらめとるようや。このサイトへも、そういう報告は多いさかいな。

もともと、未成年者の学生さんを勧誘するわけやから、常にそのリスクが伴うというのは、たいていの販売店なら折り込み済みでもあるしな。

しかし、それでも尚、抵抗するというケースがあれば、そのときにはまた相談してくれたらええ。他にも方法はあるさかい。

『でもカップ麺の箱は開けてしまいました。中に入っていた沢山のカップ麺には手をつけていませんが、買い直したほうがいいのでしょうか?』というのは、そこまでうるさく言うケースは少ないので、そのまま返せばええとは思うが、その販売店の対応次第やな。

あまり揉めるようやと、同じメーカーのカップ麺を買って返しといた方がええやろうな。

まあ、カップ麺ばかり食べるのは、あまり勧められんが、それでも残ったカップ麺がまったくの無駄になるわけでもないから、仕方ないとあきらめるしかないやろうがな。

最後に一言。

今回は、あんたが未成年者ということで、この手が使えるが、20歳になれば、それもできんようになる。

せやから、今後は、嫌な契約なら、そのときにはっきりと断ることや。その契約書にサインしてしもうたら、いくらええ加減なことを言われたと主張しても、その証拠がない限り、それをひっくり返すのは相当な労力と時間が必要になるさかいな。

しかも、それで上手くいくという保証もない。何であれ、契約書にサイン署名するということは、すべてが「本契約」やと認識しといてほしい。仮にとか、形だけの契約など、この契約社会にはあり得んことやと。

もしくは、このケースのような場合、契約後8日間以内に文書によるクーリング・オフの手続きをとるかのいずれかやな。

クーリング・オフとは、契約者に与えられた無条件に契約解除することのできる権利やが、そういう権利があること自体、普通では、一度交わされた契約の解除は難しいということを意味しとるわけや。

世の中に出て、仕事や生活するようになると、こんな新聞購読契約程度のことやなく、もっと大きな契約で騙され、それで人生を棒に振るというケースなんかいくらでもあるさかい、心しといた方がええと言うとく。

その意味では、今回のことは、あんたにとっては、ええ教訓になる事かも知れんがな。


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