新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A
NO.954 完全に契約解除できるでしょうか
投稿者 hqn さん 19歳 大学生 投稿日時 2010.11. 3 AM 11:03
はじめまして、私は今年の3月末頃から一人暮らしを始めた19歳の大学生です。
一人暮らし生活一週間ぐらいでA新聞の人が来て「新聞を読まないか」と言われました。
断ろうとしたのですが、しつこく、「仮契約でもいいから」と言われ、その内容が「10月〜6ヶ月の仮契約で、そこからまた『購読しません』と言われれば、また購読予定期間を延ばすし、またその期間購読しないというならば、またそこで延ばします。だから別に大学4年間読まないってことになってもいいので、ねっ?」と言われ、一人暮らし始めたばっかで不安でいっぱいだったせいか、そこで仮契約をしました。
その人は「9月頃にまた来ます」といって去っていきました。
10月になり、でもその人は来ませんでした。でもかわりに別の人が来て、その人はA新聞サービスアンカーの営業本部長だそうです(写真付きの名刺を貰いました)。
営業本部長Sさんの話によると、私が仮契約を結んだ人は私の家に来たそうですが、私が不在だったそうです。
まぁそんなこんなでその人のかわりにSさんが来て、購読期間を延ばしてもらいました。
そして昨日(11月2日)Sさんが来て、「もうこういうことをやっていると、お客さんとトラブルがおきかねないから、4月〜9月まで購読してもらって、そこまでで契約を止めて頂いたほうがいいと思いますよ。」と言われました。
私も何回もこうしてA新聞の人が来ていちいち契約の延期の手続きをしなきゃいけないのが嫌になってきていたところなので、「あぁ、ハイ。」と言って、「んじゃあこちらの方にとりあえず名前を…」と言われ、書いて、Sさんは去っていきました。
しかしその購読契約書を見ると「25年1月から24ヶ月購読します」と書いてありました。
でもこれは「一応ここにはそう書いてあるけど、また来てちゃんと変えときますから。」と言われたので、そこまで不安にはなりませんでしたが、…なんかもうごちゃごちゃして私自身もうこんなの嫌だなぁと思い、もういっそ完全に契約を切りたいと思っています。
それに、「読まなくてもいい」と言われたから契約したのに、なんかこのままだと半年は読まなくちゃいけないような方向に向かってるので、「話が違うじゃないか」と思ったんです。
そこで私は昨日名前を書いた契約書を見つめ、思い悩んでいたら、そこに書いてある「ご契約日」に目がいきました。そこには昨日の日付が書いてあったんですけど、これってクーリング・オフできるんですか?
長々しい文章ですみません。ご回答よろしくお願いします。
回答者 ゲン
結論から言えば、『もういっそ完全に契約を切りたいと思っています』ということなら、方法は二つある。
ただ、その説明とアドバイスをする前に分かって貰いたいことがある。
あんたはしきりに『仮契約』と言われとるが、新聞の購読契約に『仮契約』というものは一切ない。契約書にあんたが直筆でサインすれば、それは立派な契約になるということを知っておいてほしい。
最初に来たというA新聞の勧誘員が言った『仮契約でもいいから』と言うたのは、何とかあんたにサインさせるための方便で、ウソや。
他にも『予約』とか『試しに』と言うケースもあるが、サインを要求する時点で、そのすべてが正規の契約書になると考えといた方がええ。法律上も、それが契約書として認められ保護される。
もっとも、そのウソを言うたということで、消費者契約法の「不実の告知」で争うことはできるがな。
ただ、その場合、具体的な証拠、例えばその言質を録音したというものでもない限り、言うた言わんの水掛け論に持ち込まれ、その争いは長引くことになる。結果、ロクなことにならんというケースが多い。
それでも、『その内容が「10月〜6ヶ月の仮契約で、そこからまた『購読しません』と言われれば、また購読予定期間を延ばすし、またその期間購読しないというならば、またそこで延ばします』ということで、実際に『その人のかわりにSさんが来て、購読期間を延ばしてもらいました』と言うたとおりに一応しとるのなら、今のところ、悪質性はなさそうに感じる。
ただ、『もうこういうことをやっていると、お客さんとトラブルがおきかねないから、4月〜9月まで購読してもらって、そこまでで契約を止めて頂いたほうがいいと思いますよ』と親切そうなことを言うておきながら、『しかしその購読契約書を見ると「25年1月から24ヶ月購読します」と書いてありました』というのでは、信用できんと考えるのが普通やわな。
実際にも、こう言われたことで結果的に「騙された」と言うてこられる方は多い。
『でもこれは「一応ここにはそう書いてあるけど、また来てちゃんと変えときますから。」と言われた』ということで、また同じようにその契約を本気で延長するつもりなのかも知れんがな。
しかし、一般論で言えば、こんなええ加減なことばかりを繰り返す、また一貫性のない話をする人間は「信用ならん」と相場が決まっとる。
それらのことを考え合わせると、契約解除をしといた方が無難やろうと思う。
ここから、その二つの方法について説明する。
一つ目は、『そこには昨日の日付が書いてあったんですけど、これってクーリング・オフできるんですか?』という質問の答えになるが、そのケースは法律上、クーリング・オフの対象になるから、そうするのは可能や。
ただ、その新聞販売店によれば、あんたの場合は、「契約の変更をしただけやから、クーリング・オフの対象にならん」と苦情を言うてくるケースもあるが、その契約書に記載されとる契約日が『昨日の11月2日』なら、法律上は、その対象の契約やと判断されるから心配せんでもええ。
もっとも、クーリング・オフ後にヘタにそう言うて迫れば、違法行為に問われる可能性があるから、そのまま何もないとは思うがな。保証はできんが。
普通は、そのクーリング・オフをするつもりがあると、まず初めにその販売店に言うことやと勧めるところやが、あんたの場合は、その販売店の信用性に疑問が感じられるし、今までの流れを聞いていると、どうやら、あんたは簡単に説得される人のようやから、それは止めといた方がええやろうな。また丸め込まれる可能性の方が高い。
クーリング・オフを成立させるには文書での通知のみと法律で規定されとる。
「特定商取引に関する法律」の第9条に、「訪問販売における契約の申込みの撤回等」というのがある。これが俗にクーリング・オフと呼ばれとるものや。
一定の期間内やったら、理由の有無を問わず、またその理由を知らせることもなく消費者側から一方的に契約の解除ができるという法律や。
新聞購読契約の場合、契約書を受け取った日から8日間がその一定期間内ということになる。
具体的には、最寄りの日本郵便(JP)で、その手続きをすることになる。
それには内容証明郵便や配達証明付きハガキ、簡易書留ハガキで通知するというのが一般的や。中には、電子内容証明郵便で出すという方法もある。
あんたの場合は11月2日の契約ということで11月9日まで期限があるとは言うても、日本郵便(JP)で手続きをする場合、受付窓口の関係で実質、11月8日、11月9日の2日間しか残されてない。
もっとも、電子内容証明郵便で出す場合は、11月9日の午後12時まではOKやけどな。
それについては、サイトの『ゲンさんのお役立ち情報 その8 クーリング・オフについての情報』で詳しく説明しとるから、よく確かめといてほしいと思う。
クーリング・オフで解約するのなら、多少の金は必要になるが、それは仕方ない。
二つ目の方法は、あんたがまだ19歳の未成年やということで使える方法や。
民法第4条に、
未成年者と契約するには、原則として法定代理人(親権者)の同意が必要で、同意のない行為は、取り消すことができる。
とあるのが、それや。
但し、例外として、未成年の既婚者や本人が未成年やないと告知しとる場合は、この限りではないとなっているがな。
この法律を盾に取って解約を、その販売店に通告するのなら、あんたのご両親、もしくは法定代理人(親権者)から「私は、子供のした、その契約には同意してないから認められない」と、その販売店に通告すれば、民法第4条の原則により、その契約を取り消すことができるということや。
それに付随したもので民法第120条に、『行為能力の制限によって取り消すことができる行為は、制限行為能力者又はその代理人、承継人若しくは同意をすることができる者に限り、取り消すことができる』というのがある。
この制限行為能力者というのには未成年も該当する。それから言えば、未成年者自身の意志でも、契約の取り消しができると考えられる。
つまり、あんた自身でもそうすることが可能やという考え方や。
しかし、ワシとしては、それを勧めることはできんがな。
それは、親御さん、および親権者による取り消しの方が、問題は少ないやろうと考えるからや。
ただ、民法第4条を理由として解約する場合、あんたが言われたのと同じように、『仮契約だから』とか『そのときなって変更できるので』と、親御さん、および親権者が、その販売店に説得されて丸め込まれる可能性もあるから、その点の注意はあんたがしといた方がええと言うとく。
どちらの方法を採用するかは、あんた次第やから、良う考えて決められたらええ。
ただ、ワシからのアドバイスとしては、日程の関係で、11月6日、11月7日の土日のいずれかで民法第4条による契約解除を親御さんに頼み、それが上手くいかんようなら、11月8日、11月9日のいずれかに、日本郵便(JP)の受付窓口で、クーリング・オフの手続きをするというのが、ええのやないかと思う。
もちろん、どちらか一つに絞るという手もある。どうするかは、あんた次第や。
最後に、その契約時に何か貰うたサービス品があるのなら、それは返す必要があると言うとく。
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