新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.96 新聞の契約のことで質問です


投稿者 Aさん 投稿日時 2005.4.25 PM10:34


はじめまして、突然のメール失礼します。
私もご相談したいことがありまして、メールいたします。

家は、ずっと契約書がない状態で、A新聞を購読していました。しかし、Y新聞を断りきれず、半年間購読しました。その後、A紙に戻した所、36ヶ月の契約を交わされました。

契約したときは、ずっとA紙を購読するつもりでいましたが、現在は仕事の関係上、N紙に変更したいと思っています。

販売店にN紙に変更したいと伝えたところ、N紙→A紙にはできるが、A紙→N紙へ変更はできないとのこと。
そこを粘り強くお願いしたところ、3ヶ月間だけN紙を購読させてくれることとなりました。(この販売店はA紙とN紙を扱っています)

36ヶ月契約した際に頂いたものは、洗剤をダンボール1箱分です。これはもう使ってしまったため、この代金はお返ししようと思います。(5000円ほどでしょうか…)
これの他に、解約料はだいたいお幾ら位が相場なのでしょうか。

トラブルにならずに上手に交渉するために、必要なことなど良いアドバイスがあれば、教えて下さいませんでしょうか。
お手数をおかけして申し訳ございません。
よろしくお願いいたします。


回答者 ゲン


あんたのように、トラブルにならん解決方法を知りたいという方は、実はもうすでに半分は解決済みなんや。

トラブルを解決する一番有効的な考え方は、一歩下がるということや。自分の立場、都合、利益だけを考え主張しとったらなかなか解決出来るもんやない。交渉事というのは、相手のあることやからな。

その点、あんたはそれが分かっとられるから後は相手の立場、都合、利益を理解したら、どうすればええのかが見えてくると思う。

まず、今回の相手、つまり販売店の立場というものを説明しとこうと思う。

『販売店にN紙に変更したいと伝えたところ、N紙→A紙にはできるが、A紙→N紙へ変更はできないとのこと』

これは、その販売店がA紙専属の販売店やからや。つまり、A紙を売ることによりその販売店は存在しとるわけや。N紙はその店にとっては、サービスに近い感覚で扱っとるにすぎんということがある。

この辺りが一般には理解しづらいことやと思う。その店で売ってる商品は何を売っても利益になるから一緒やろと考えるのが普通や。

ところが、販売店にとっては、それを同一で扱うことは致命的なことになりかねん場合がある。

その販売店が新聞を売るというのはA紙の部数を増やすということや。販売店はA紙との契約で部数の獲得増、現顧客の維持を義務付けられとる。

多少の下降は仕方ないと認められることもあるが、それがあまりに顕著やと、それを理由に新聞社から契約を解除されることもある。

これは、業界用語で改廃と言うて実質、A紙専属店の権利を奪われることになる。つぶれるということを意味しとるわけや。

せやから、N紙→A紙というのは、この販売店にとってはA紙の部数が増えることにつながり、成績が上がるから歓迎されることになる。

反対にA紙→N紙というのは、顧客減少となり成績が下がることを意味する。これは、販売店にとっては困るから、変更は出来んと言うてるわけや。

それなら、そんな新聞をなぜ扱うのかという疑問が湧くやろうが、N紙は全国紙とは言っても独自の販売網が弱いために、他の全国紙にその販売、配達を委託しとるということでそうなる。

もっとも、N紙も専属の販売店や拡張団のような販売組織がないのかというと、実はあることはある。しかし、それは、他の全国紙とは比べものにならんほど少ない。

それで、他紙に委託ということをしとるわけや。これは、A紙だけやなく他紙でも販売店によりということはあるが、要望があればN紙の購読契約を受け配達もしとる。

これは、N紙だけに限らず専門紙と呼ばれる他の新聞もすべてそうや。独自の販売ルートが弱い所は、強い所に販売委託しとるということや。これらも、販売店は直接の成績とは関係ないからそれほど有り難いとは考えとらんと思う。

これも、客によれば不満に思うことがある。扱っとる新聞はすべて立派な商品やないのかと。しかし、販売店もそうやが、ワシら拡張員も積極的にはそういう新聞の売り込みはせん。

まあ、ワシら拡張員の場合は成績にならんだけやなく金にもならんからな。その辺りの詳しいことはQ&A NO.69を見て貰うたら良う分かるやろと思う。

余談やが、こういう所でN紙や専門紙の契約をしても、拡材なんかのサービスもないのが普通や。

ただ、販売店にとってそういう専門誌の購読客が全くいらんのかと言えば、そうやない。それから得られる利益は知れてるが、そういう客は、いつかは顧客になると信じとるということがある。

その販売店とつながりがあれば、中にはその新聞を一度は取ってみようかと考える客もいとる。また、その販売店からの勧誘もむげには断ることも少ないから、話くらいは聞く確率が高い。腕のええ勧誘員はそれで客を落とすこともある。

これが、他紙でそのN紙を購読しとるということになると、その客を翻意させるのは至難の業になる。ワシらが、もっとも切り替え依頼のしにくいのが、このN紙の購読客やからな。

それらのことを、ある程度、理解して貰うた上で、今回の相談に入ろうと思う。

A紙の解約ということやけど、これは先ほどからの説明で販売店は難色を示すというのは分かって貰えたやろと思う。

しかし、契約解除自体は出来んということはない。解約違約金を支払うと言えば、それに応じるしかない。法律ではそうなっとる。

ただ、法律論を言う前にお互いが納得してそうする方が揉め事は回避出来る。条件が合えばということやな。

この場合の条件の折り合いというのは、やはり金銭的なことになる。あんたの方はそれについては、ある程度までは覚悟しとるようやから、この業界の常識的な範囲を言う。

まず、拡材の返還ということやが、あんたは全額負担すると言うてるから、これはそれほど問題にならんやろ。

中には、数ヶ月は実際に取っとるからその分を差し引けという話になる場合があるが、それやと多少、揉めることもあるからな。

その上に、解約違約金というのを要求される。これは、販売店により違うから一律とは言えん。また、あんたが再度、A紙を購読することになった経緯もその大きな要素になる。

Y紙の6ヶ月の購読後、A紙に戻されたということやが、この時、販売店からの勧誘員の薦めによるものか、あんたの自主的依頼によるものかで違う。

勧誘員によるものでも、店の従業員か拡張員かでも違う。このサイトを見て貰うてるのなら、新聞の勧誘には、店の従業員がするのと勧誘会社である団所属の拡張員がするというは分かっておられると思う。

店の従業員の場合は勧誘に対するコストは拡張員に比べ安い。その半分くらいやと思う。拡張員の場合は、販売店はあんたの契約を確保するための経費を拡張料という形で払っとるから、実質的に出費がある。

相場としては、あんたの場合、長期契約でまだ2年以上の契約を残しとるということを考慮して、2万円くらいが妥当な線やろうと思う。因みに店の従業員の場合はその半額の1万円程度ということになる。それ以上は、多すぎる。

更に、自主的な申し込みによる場合は、実質的な経費の負担は販売店には少ないから、5000円程度でええのやないかと思う。

これは、参考までにということで聞いて貰えればええのやが、以前、Q&A NO.76で、当サイトの法律顧問を申し出て下さっている法律家の今村英治先生に、メールでご意見を伺ったことがある。その抜粋をする。


『特定商取法には継続的役務提供契約の中途解約を認める条文がありまして、これによると例えば学習塾の契約などは、中途解約のペナルティの上限として2万円または1か月分のどちらか少ない方という取り決めがあります。

これを類推適用するのが、いまのところ正当な賠償額かなと個人的に思います。したがって迷惑料として2万円を超える額を請求するのはいくらなんでも高すぎるというゲンさんの回答はまことに的を得ていると私は思います』


それでも、基本はあくまでも話し合いということや。特に、揉め事を避けようとされとるあんたにとってはな。

交渉事は、こちらがどんなに正論やと思えることでも、それを最初から主張するのは得策やない。まずは、相手の主張を聞くことや。相手の出方次第で対応をしたらええ。

今回の場合で言えば、その販売店の落ち度というのは、あんたの文面からは伺われん。むしろ、3ヶ月でも、あんたの要求を飲んでN紙の購読を認める譲歩をしとる。常識的な販売店や。

せやから、ワシの印象では、ワシの言う相場通りの金額の提示やないかと思う。あんたの方に異論がなければ、それで手を打てばええ。それで、何の問題もなく終わる。

ただ、法外と思える要求の場合は難しい。法外な値段を要求する販売店は、あんたがいくら穏便にと思うてもあかん。是が非でも、解約を思い止めさせようとする。話し合いにならん可能性の方が高いからな。

なぜなら、その販売店は金銭を貰うよりも、そのまま継続して欲しいと思うてるからや。

そういう場合は、取り敢えずN紙の購読1年を主張する。一旦、A紙は解約させて貰うから、その分の違約金をあんたの納得出来る額で支払うと言う。

そして、今回のように36回の契約が失敗やったと嘆く。実際、その通りやと思う。人間、先のことは分からんからとも言えばええ。逆に言えば、またA紙に戻るかも知れんというニュアンスやな。

また、あんたにしても、やはり、A紙の方が良かったと思い直すかも知れんしな。何でも断定的に考えんと含みを持たせといた方がええと思う。

その販売店にも、1年後に見直すとでも言うたら、よほどの所でもない限り認めるはずや。

但し、その1年後、A紙をとるからと約束したらあかんで。厳密に言えば、例え口約束でも契約が成立することはあるからな。

その1年後は、またあんたの判断でN紙の購読を続けるなり、A紙にするなりしたらええ。それが、あんたにとっての最大限の譲歩やと思う。

それでも、認めんということなら「お宅の店とは縁を切る」とでも言えばええ。いくら、あんたが穏便にと考えとっても相手が応じんとそうも行かんやろ。交渉事は穏便な結果を得る場合でも、その最中では強気に出ることも必要や。

今回、あんたの主張を認める販売店の方が多いとは思う。但し、9対1くらいの割合で難色を示す所もあるかも知れん。

そういう販売店は、はっきり言うて顧客である、あんたのことは何にも考えとらんということになる。

まして、あんたは契約書もなかったほどの長期読者やったわけや。それまで、その販売店に多大な貢献をしとったはずや。そういう、顧客をむげに扱うようやとあかん。

それが、今回のことではっきり分かるやろと思う。あんたの主張を認めれば、これからも付き合えばええし、そうやなかったら、本当に縁を切ればええ。

別にN紙は、A紙以外でもその地域で扱っとる所は他の販売店でもあるはずやから、それほど困ることもないやろと思う。

あんたの気持ちが通じる相手やと願うしかないが、もしだめでも、どうにもならんということはないから、状況次第で、また、相談してくれたらええ。


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