新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.962 認知症の母が契約した新聞購読契約の解除について


投稿者 息子さん  投稿日時 2010.12. 4 PM 4:58


 はじめまして。

 新聞購読解除について調べていたところゲンさんのところにたどりつきました。

認知症の母親の契約解除の相談を拝見させていただきましたが、アドバイスがございましたらよろしくお願いいたします。

 十数年間A新聞を父親名義で契約していましたが、2年ほど前に母親(認知症発症中)が平成22年1月からY新聞との契約をしてしまいました。

そこでA新聞とY新聞の間で「平成22年1月から12月までY新聞」、「平成23年1月から25年12月をA新聞」の契約と販売店どおしで話をつけたそうです。

 昨年12月に心筋梗塞で突然父親が亡くなり、母親は現在認知症で要介護4の状態です。

 火曜から木曜をディサービス、金曜から3泊でショートステイで月曜の夕方帰ってきますが食事、トイレ以外は寝ている状態で、テレビも見ず、新聞も読むことはできない状態です。

 今まで2世帯で住んでいましたが、私は新聞を読まないので新聞を契約したことが無く、
今回の契約を解除したいと思っています。

 先日A新聞がきたので、父親が亡くなり、母親は認知症で新聞を読める状態でないので、解約したいと話をしたところ、「息子のあんたが住んでいるのだから契約解除はできない」と言って帰っていきました。

 先週の金曜日にA新聞の配達員のお兄さんがきたので、事情を話したところ、「契約取扱者を明日にでも行かせます」と言ったっきりで連絡がありません。

こちらから連絡し、話を進めた方がよいでしょうか?

解約は可能なのでしょうか。


回答者 ゲン


『認知症の母親の契約解除の相談』ということやが、そのお母さんに成年後見制度による、成年後見人、保佐人、補助人などの手続きはされておられるのかな。

そのいずれかに息子さんであるあんたがなっていれば、その権限で認知症患者であるお母さんがした契約を破棄することはできる。

もし、まだなら、なるべく早くその手続きをされることや。認知症患者本人の居住地の家庭裁判所家庭裁判所に申し立てて、必要な書類を提出するか、または司法書士などに依頼すればできる。

但し、それぞれの事案、事情によって違うケースもあるので、その詳しいことは、管轄の家庭裁判所家庭裁判所、および依頼される司法書士などに確認して頂きたい。

ただ、お母さんの成年後見人になるには、配偶者,四親等内の親族といった限られた人間しかなれず、たいていの場合、遺産相続の問題も絡むケースがあるさかい、その関係者全員で話し合って決められた方がええと思う。

それにより、決まった成年後見人、保佐人、補助人が、その販売店にお母さんの契約破棄を通告するば、法的には、『平成23年1月から25年12月をA新聞』の契約は解除できる。

その場合、お母さんが、その契約をされた2年前に認知症を発症していたかどうかの証明が必要になる。医師にかかっておられるのなら、その診断書があれば問題はない。

診断書がない場合は、認知症を発症していたと証明できんさかい、そのままその契約が認められてしまう可能性は高い。

但し、専門医による精神鑑定などでその頃に認知症が発症していたと証明されれば、成年後見人の権限を行使できるかも知れん。つまり解約できる可能性があるということや。

『母親は現在認知症で要介護4の状態です』ということなら、その可能性は高いのやないかと思う。いくら人によって違うとは言うても、2年ほどでそこまで進行するケースは少ないという話やしな。

ちなみに、『昨年12月に心筋梗塞で突然父親が亡くなり』というのは、『父親名義』の契約は、民法第761条(日常の家事に関する債務の夫婦連帯責任)のためにお母さんにも履行義務があると考えられるさかい、その契約から逃れることはできんので、そのことはあまり問題にされん方がええ。

しかし、そのケースではお母さん以外の人が、お父さんの契約を引き継ぐ必要はない。

『息子のあんたが住んでいるのだから契約解除はできない』とA新聞の人間が言うたとのことやが、それは法的には通用せんし、おかしな理屈としか言いようがない。

新聞購読契約というのは、新聞販売店と契約名義人およびその配偶者だけの間でしか成立せんものやから、それ以外の人間が、その契約に束縛されるいわれは一切ない。

まあ、これは新聞販売店独特の考え方で、新聞は家に配達するもので個人へするものとは違うという思い込みから、そういう発想になるのやろうがな。

しかし、法律はそんな理屈を認めることは絶対にないから、お母さんの後見人になれば、心配せんでも契約の解除は堂々とできる。

中には、それに納得せず、強引に新聞を配達する販売店もいとるとの話やが、その場合は新聞社の苦情センター、消費者センターなどに言えば、そこから注意を受ける、たしなめられて簡単に解決つくケースが多い。

それでも、それを無視して新聞の投函を続けたしても、支払いを拒否すればええ。法的に無効な契約を押しつけられても、その受け取りを拒否してさえおけば、その支払い義務が発生することはないさかいな。

まあ、よほどの販売店でもなければ、そこまではせんやろうとは思う。

普通の新聞販売店なら、『認知症患者との契約』をゴリ押しするというのは聞こえも悪いし、ヘタをすると、お母さんが認知症の病気として知って契約を取った不法行為の可能性もあり、この問題が大きくなればなるほど、その販売店にとっては不利になるからな。

それに何より、人としてそんな契約の正当性を主張することは、しにくいわな。たいていは仕方ないとあきらめるもんや。

『こちらから連絡し、話を進めた方がよいでしょうか?』というのは、後見人になっておられるのならそれでもええが、まだなら、その手続きをされてからの方がええと思う。

事案により、その手続きが完了するまでは時間がかかる場合もあり、そうなると来年1月からの配達をすぐには止めることはできんかも知れん。

例えそうであっても、手続きを開始すれば、その日程も分かると思うので、またここに相談されたらええ。その状況次第で打つ手はいろいろとあるさかいな。


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