新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A
NO.969 新聞拡張と同じような手法で他の訪問販売の営業は可能ですか?
投稿者 鈴木さん 投稿日時 2010.12.28 PM 3:47
はじめまして鈴木と申します。
私は小さな飲料水メーカーに勤めているものです。営業のすばらしい内容が細かく書かれていてゲンさんが新聞拡張員としてプロフェッショナルであることがたいへんよくわかりました。
私はミシンの訪問販売を少しだけやっていたこともあり多少ではありますが、営業する ときの空気感はわかるつもりです。
今、訪問販売は世間でたたかれていますが、あなたのようにしっかりと最後の詰めをしている営業マンならばそのようなことはないのでしょう。
今弊社で、家庭向けに飲料水(機械から水が出るタイプでよく事務所などで見かけるもの)を扱っています。
新聞拡張と同じような手法で、もしゲンさんのような新聞拡張員の方が営業することは可能だと思いますでしょうか?
ゲンさんのご意見を聞かせていただければと思います。勝手な質問で大変申し訳ございませんがお願いいたします。
回答者 ゲン
『新聞拡張と同じような手法で、もしゲンさんのような新聞拡張員の方が営業することは可能だと思いますでしょうか?』というのは、人によっては可能やと思う。
訪問販売の営業というのは基本的に「物」を売り込む仕事で、それが「新聞」であるか、「ミシン」であるか、「浄水器」であるかの違いで、営業すること自体にはそれほどの変わりはない。
そのための基本的なことが分かっている者なら、どんな営業をしても、そこそこはやれると思う。
ただ、新聞営業しか知らんというのであれば難しいかも知れん。新聞営業には他業種に比べて特殊な事情が多い業界やさかいな。
まず、新聞営業というのは、売り込む商品を説明することのない希有な営業やというのがある。
「新聞」が何であるかを知らん人は、まずおらんし、新聞の銘柄も、その地域で無名のものはないさかいな。普通に「○○新聞ですが」と言えば、誰でもそれと分かる。
つまり、他業種でありがちなブランド力というのが、あまり影響せん仕事やということや。新聞にブランド力があると勘違いしとるのは新聞社くらいと違うかな。
但し、その地域により人気の新聞というのはある。シェアの多い少ないで売りやすい、売りにくいというのがあるのは確かやさかいな。
また、新聞営業は営業エリアが限定されとるさかい、競争相手が他業種と比べて少ないということもある。
新聞には宅配制度というのがあり、その地域毎に新聞販売店は一軒と決められている。そのため、一般購読者は新聞の選択ができるだけで、新聞販売店の選択そのものはできん。
例えばA新聞が読みたいとなったら、その地域では一軒のA新聞の販売店しかないわけや。
そこから来る勧誘員やその店の対応が気に入らないとしても、購読者には、それでもそこから購読するか、止めるかの二者択一しかできんという具合や。
その地域の状況にもよるが、多くても全国紙5紙、地方紙1紙、ブロック紙1紙の計7紙があるだけで、それ以外に売り込みに来る新聞勧誘員はいない。
つまり、新聞営業の場合は、その競争相手より上の営業力があれば何とかなるということになる。
ワシ個人で言えば、新聞拡張員をする前に、大阪のある大手建築会社で20年ほど営業していた経験があるから、営業の基本というのは、それなりに知っとるつもりや。
ワシが、このサイトで披露しとる営業法というのも、それが根本にあるさかいな。
ただ、この業界しか知らん者の中には、誤った営業しかできん人間がおるのも事実で、そういう者は、はっきり言うて他の営業では使い物にはならんやろうと思う。
そうではなく、何事にも勉強熱心な者は新聞拡張員の中にも多いさかい、そういう人間なら、それなりの営業はできるはずや。
それが、ワシの『人によっては可能や』という理由になる。
新聞営業で一番多いのは、「これだけサービスしますから取ってください」式の営業や。つまり、拡材と呼ばれるサービス品の多寡で客を落とすというやり方やな。
あんたのところの営業法というのが、もう一つ良う分からんが、商品説明を主として客にそれを十分理解して貰う必要のある営業やと、それでは無理やわな。
今はそうでもないが、新聞拡張員に一時多かった、客を脅かす「喝勧」とか、騙しの「ヒッカケ」、泣き落としの営業しかできんという者も当然やが、話にならんはずや。
あんたが何で、こんな質問をされるのか、もう一つ分からんが、前職でどんな営業をしていようと、あんたの業界で通用する考え方のできる人間にしか、その営業をするのは難しいのと違うやろか。
ただ、ワシの営業の基本的な部分である、客との人間関係を大事にするという考え方の人間なら、慣れればある程度の戦力にはなると思う。
ワシらの仕事は、新聞のない家に新聞を売り込むよりも、新聞の銘柄を切り替えてほしいと依頼することが主なわけや。なぜなら、新聞を購読してない人間の方が圧倒的に少ないさかいな。新規営業の最も難しい業種でもある。
そのためには、「あんたには負けた」とか「あんたが気に入った」と言うて貰う必要がある。
その考えの徹底できる人間なら、どんな訪問販売の営業をしていようとモノになると思う。
結論としては、即戦力としての営業員を望むのなら、すべての営業がそうであるように、あくまでもその姿勢、考え方がしっかりしとる人間を選ぶしかない。
その上で、あんたの業界にしっかりした指導ができるのなら、例え前職が拡張員であっても優秀な営業員に育てることは可能やと考えるがな。
どんな営業もそうやが、一朝一夕にモノにはならんというのだけは確かや。それなりに学ぶべきことは多いと思う。
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