新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A
NO.97 名義貸しの契約で困っています
投稿者 タクナナさん 投稿日時2005.4.30 AM9:54
突然ですが、ご相談させて頂きます。
先日○○新聞の勧誘員が来て、とにかくしつこく購読を迫るのです。
最終的に、新聞は配達しない、集金は来ないので名前のみ貸す、という事で6ヶ月間の契約をしてしまいました。
なのに本日30日新聞が配達されてきました(契約は5月〜10月)景品としては、¥2,000−相応の商品券を受け取っておりますが、形だけの契約で、絶対迷惑をかけない・・・(認識が甘すぎました)という事で名前を貸し契約を交わしてしまいました。
契約書はすぐに破棄する、という事だった為安心していました。販売所へその旨を連絡してもそんな人間は知らない。契約したんだからこっちこそ困る・・という事で話は平行線でした。
こちらとしては騙されたという認識ですが、世間一般ではこちらが悪いのでしょうか。
なんとか○○新聞との契約を白紙に戻したいと思います。
いい方法があればお教え頂きます様お願いいたします。
回答者 ゲン
クーリング・オフの期間内やったら、無条件で解約出来る。契約日から8日間や。この8日間というのは、書面で通知するまでの期間や。つまり、郵便局へ内容証明、配達通知を依頼するまでの期間ということになる。その郵便物が相手側に着くまでとは違う。
その場合、内容証明郵便が確実やけど、配達証明付きのハガキでの通達でも法的には有効や。これは、近くの郵便局でそう言えば簡単にそうして貰える。
その辺りの詳しい説明はQ&A NO.39 NO.80 をそれぞれ見て貰うたらええが、念のためにその書式の参考になるものを教えとく。
平成○年○月○日
通知書
私は、平成○年○月○日に貴社のセールスマンと新聞購読契約を
結びましたが、特定商取引に関する法律第九条の規定に基づき本
書面をもって上記契約を解除致します
新聞販売所の住所(契約書に記載。多くはゴム印が押してある)
○○新聞販売所
代表者(名前が分かればその名前。分からなくてもいい)殿
差し出し人の住所
氏名 印
これは、クーリング・オフの期間内やったら無条件で解約出来る。そのためのいらん説明もする必要はない。このケースは可能な期間内なら、それが一番ええやろと思う。
クーリング・オフの有効期間が過ぎていても方法はある。
『こちらとしては騙されたという認識ですが、世間一般ではこちらが悪いのでしょうか』
と言うことやけど、悪いのは騙した拡張員や。ただ、騙されるというのもそれなりに責任を伴うことやと思う。今回の場合、あんたは悪くはないが、思慮が足らなんだということになる。
あんたの言う通り、認識が甘すぎたな。これは何もあんたに限ったことやないけど、こういうケースで騙されるという人間が後を絶たん。困ったもんや。
一つには、新聞の契約くらいという思いがあるのやろと思う。しかし、契約は契約ということを認識しとかなあかん。
せやけど『新聞は配達しない、集金は来ないので名前のみ貸す』というようなことは絶対にあり得んことやということが分からんかったのかな。
しかも、それで6ヶ月の契約で、後でその契約書を廃棄すると言う。破棄するものを書く必要もないやろ。しかも、ハンコまでついて。
その拡張員が何でそんなことをするのかと言うと答えは一つ。それを販売所に持って行って拡張料を貰うためや。仕事にするためにしか、そのあんたの契約書は必要ないわけや。
『形だけの契約で、絶対迷惑をかけない。 契約書はすぐに破棄する、という事だった為安心していました』という、あんたの根拠は一体どこから来たのやろと思う。
こういうことは、誰が考えてもおかしいと普通は考えるはずや。契約書を書いた時に、それはちゃんと6ヶ月契約になってたと確認してたのやろ。
よほど、その拡張員が言葉巧みに言うたにせよ、書いた契約書は契約書としての効力が生まれるということを認識しとかなあかん。
その契約書に『これは名義貸しだけで実際の契約ではないから、新聞はとらない』とでも書いてあるのなら別やがな。
何が言いたいのかと言うと、契約書というものは書面に書かれていることが双方の合意事項と見なされるということなんや。
日本社会は契約社会や。大抵のものは契約で成り立っとる。言うた言わんというのは、第三者の証言でもない限り認められることは少ない。
これは、100パーセントやと断言してもええが、その拡張員が例え見つかったとしても、あんたとのやり取りは絶対に認めんと思う。確実に白を切るはずや。
その拡張員がそれを認めたらこの拡張の世界ではめしが食いづらくなる。それなら、何でそんなことをするのかと言えば「そんな話はした覚えがない」と開き直れるからや。もちろん、その拡張員は最初からその腹や。
中には、あんたを逆に脅す奴もおるかも知れん。「何をええ加減な作り話をしとんのや。ちゃんと、拡材を受け取って契約したやないか」という具合にな。
せやから、今回の場合、その拡張員の所在が分かっても事態が好転するのは難しいやろと思う。
あんたの場合、不利な点は、契約書の所在、拡材の供与、そして、おそらくその販売店から契約当日に確認の電話が入っていたはずやから、そのことも販売店が強く出る材料になっとるやろ。
加えて、拡材を受け取っとるという事実もあんたには不利や。何で受け取ったのやろか。あんたにしてみれば、名義貸しの謝礼のつもりやったのかな。
しかし、それはそれでまた不利になる材料を自分で作ることになる。
今回のことは、完全にその拡張員の詐欺行為や。そして、知らんことやとは言え、結果的にあんたはその片棒を担がされたことになる。
あんたの書いた契約書とあんたの存在、あるいは承諾の言葉を信じて、その販売店はその契約書を認め、拡張料をその拡張員に支払うてるやろからな。
この場合、あんたの選択肢は三つ。一つは騙されたと主張して徹底的に戦う。二つ目は、ある程度の解約違約金を支払って話し合いで契約解除する。最後の三つ目は、6ヶ月、その新聞を黙ってそのまま購読する。
いずれにしても、あんたはそのうちのどれかを選ぶしかない。
そのためのそれぞれの具体的な方法を説明しよう。
騙されたと主張して徹底的に戦う。これは、今、一番、あんたが考えとることやないかな。どう考えても納得行かんやろからな。
民法第96条に詐欺や脅迫により契約の意思表示をした場合は取り消すことが出来るとある。拡張員の言うたことが嘘で騙されたもんやったということで、それを理由に契約解除を申し出たらええ。
この場合、すでにその販売店は認められんという姿勢やから、あんたはあくまでも新聞の受け取りを拒否する。絶対に取る意志はないと突っぱねる。最終的には、どうぞ訴えてくれと開き直ることになる。
当然、揉めるが、納得出来んことなら仕方ない。ただ、この場合、その販売店と話し合いの余地があれば、両方ともその拡張員に騙された被害者やということを強調した方がええ。
実際、その販売店も本当に預かり知らんことやとも考えられるからな。お互いに被害者やと言う方がその販売店も折れやすい。
逆に全面対決の姿勢やと、販売店もそういうことを認めてたら死活問題やと考える所も多いから、かなり強行に出ると思う。
こちらは不本意やけど、この件は新聞社にも相談させて貰うと言う。せやけど、これはその販売店に対しての牽制の意味があるだけで、実際にそうしても新聞社はおそらく、関係ないという立場で対応するやろと思う。
ただ、販売店によれば、そういうことを報告されるというだけで嫌がる所もあるから、あきらめることも考えられるということや。
ここでの注意は、あくまでもそうすると言うだけで、実際にそうするのは得策やない。その販売店も後に引けんようになることもあるから、そのことは考慮に入れとかなあかん。
もちろん、あんたに徹底して戦う腹が出来とるのやったらええけどな。訴えてくれと言うても、訴えるような販売店はまずないから、その点ではそれほど心配はいらんと思う。少なくともそういうケースをワシは知らん。
しつこく、あんたを翻意させようと訪れるかも知れんがな。ただ、その時、相手の言動に違法性があるかどうかには注意がいる。
暴力や脅迫はそれだけで刑事事件やから、それを怖がらんかったら、そういう愚に相手が出ればあんたの勝ちになる。
そういうのもうっとうしいなと思うのやったら、話し合いによる解決しかない。その場合は、その販売店は解約違約金というのを請求してくると思う。
販売店も、あんたの契約には実質的に経費がかかっとる。多くは、拡張員への拡張料や。その新聞のその地域での拡張料の相場は、6ヶ月契約で6000円から8000円や。
販売店は拡張員個人に支払うことはないから、その所属団に払う。団も仕事やから、その額の5割増しくらいの金額を販売店から貰う。
それらを考えると、解約違約金の請求は8000円から12000円くらいの間やろうと思う。そこが、常識的な販売店ならな。
もちろん、請求されたからと言うてそれを認める必要はない。話し合いというのはそういうことやからな。認めることとは違う。あんたはあんたで出せる金額を伝えたらええ。
後は交渉次第や。このときは、やはり、あんたの方とすれば、騙されたということを強調して多少強気に出ることや。最悪、決裂も辞さずという姿勢の方がこういう交渉事は成功しやすい。
その販売店にしても、揉めても何の得にもならんから、ある程度の線では納得すると思う。何ちゅうても、こういうのは払う方が強い。
払わんという者から取るというのは、法律的にも精神的にもまた経済的にも、かなりの負担を強いられるからな。
もっとも、人それぞれ性格も性質も違うからそういう揉め事は嫌いやし、かなわんと言うこともあるやろ。
そういう、一切のことが煩わしいと言うのであれば、その6ヶ月間、黙ってその新聞を購読するしかない。
今回のことであんたも良う分かったと思うが、どんな契約でも契約と名がつけば、おろそかには出来んということや。
あんたにとっては、今回のことは大変なことかも知れんけど、もっと大きな契約、例えば将来、家を購入するとか友人の保証人になるとかやと、この程度では済まんと思う。
拡張員に限らず、契約書の欲しい営業員はそれこそ何でも言う人間は実際におるからな。営業員でのうても金目当てで契約書を書かそうという人間は世の中には、ごまんといとるということを知っとく必要がある。
大金を騙しとられたり、保証人になって人生を棒に振ったりする人間はそれこそ枚挙に暇がないほど多い。それも、たった一枚の契約書という紙切れに不用意にサイン捺印したがためにや。
しかし、物は何でも考えようで、契約の怖さというものをあんたがこのことで知ったのやったら、この経験もこれからのあんたの人生の役には立つと思う。
例え、それがどういう手段で、この場を乗り切ったとしてもな。ただ、これだけは言うとくけど、拡張員の怖さだけが分かったとは思わんといてな。
あんたに遭遇した拡張員は希な存在の人間や。ほとんどは真面目でこんな真似をする者は少ないんやということは知っといて欲しいと思う。
あんたがどういう方法を選ぶにせよ、問題が起きるようやったら、遠慮せんとまた相談してくれたらええ。ほな、頑張って。