新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A
NO.972 新聞の解約は、このような場合でも出来ないものなのでしょうか
投稿者 toku さん 投稿日時 2011.1.10 PM 7:45
新聞の解約について、メルマガでもう出たお話かもしれませんが、ご意見を伺いたく、メールさせていただきます。
私の住んでいる地域では、かなり広い範囲をH新聞店という販売店が担当しており、隣の区に引っ越しても販売店が変わることはありません。
この販売店は不況の中でも古紙回収も続けていますし、地元の行事にも参加する、元気な販売店です。
昨年の7月から1年間の契約で朝刊のみA新聞を取ることにしました。しかし、あまり聞いたことがないミスがあったので、解約したいと考えました。
@今月までの約半年の間に、朝刊の不着が4回あり、うち2回は連絡をして午後や次の日に届けてもらいました。
A月末に集金があるのですが、その時期と旅行が重なったため、『25日から29日をはずして集金に来てください』と販売店に連絡をしたところ、旅行出発の25日に集金に来て、電車を1本逃しました。
上記二点はまあうっかりだと思うのですが、どうしてもおかしいと思うことがあるのです。
B年末年始の新聞の取り置きを依頼し、その分は年明け7日にまとめて配達をお願いしたのですが、旅行から戻ってみると、12月27日から1月1日の新聞がビニール袋にまとめられ、表書きに『1月1日お届け』とマジックで書かれて郵便ポストに差し込まれており、
郵便ポストの下には3日の朝刊と年賀状の束が泥付きで落ちていました。
本日、販売店に@朝刊の不着の件A集金日がおかしい件B取り置きが間違えており、年賀状が汚れた件を理由に残り半年の解約を申し出ましたが、「解約は出来ないことになっている」との返答でした。
どんな場合に解約できるのか聞いたところ、双方が納得した場合との返答でしたが、上記のミスは解約に値する内容ではないとのこと。新聞業界ではそうなのでしょうか。
残りの半年の新聞代は払うから、もう新聞を届けないでほしいと言いましたら、「新聞をちゃんとお届けしていただいているお金ですのでそれはできません」とのこと。
まあ、それはそうだなと思ったのですが、「年賀状が落ちたのは新聞の上に乗せた郵便局の不注意(3日の朝刊に押されて落ちたのに)」「6月30日まで半年間(180日分)の取り置き扱いで7月1日にまとめてお届けする」の発言には驚き、保留にしてあります。
新聞の解約は、このような場合でも出来ないものなのでしょうか。
もしご存知でしたら、お時間があるときにお教えいただければうれしく思います。
回答者 ゲン
あんたの場合、『@今月までの約半年の間に、朝刊の不着が4回あり、うち2回は連絡をして午後や次の日に届けてもらいました』というのは、正当な解約事由になる可能性が高いさかい、その販売店が、いくら『解約は出来ないことになっている』と言うても、法律上、解約できるケースは十分考えられる。
新聞購読契約とは、業者である新聞販売店は遅滞なく新聞を配達する責務を負い、購読者はその対価として購読料の支払いをする義務があるとされている。
そのいずれかが守られなかった場合は「契約不履行」となるさかい、それを主張して解約できるというのが、民法541条(債務不履行解除)の規定にある。
当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。
というのがそれや。
ただ、この条文で言うと、あんたが、その販売店に不着の連絡をした際、『次の日に届けてもらいました』と言われとるのが、あんたの意志、または了解の上なら、『相当の期間を定めてその履行の催告』をした範疇(はんちゅう)と見なされるさかい、債務不履行による契約解除を主張するのは難しいとは思う。
そうではなく、その新聞販売店の一方的な都合で、次の日に前日の新聞を届けたというのなら、債務不履行による契約解除の理由としては十分や。
一般的な契約不履行の場合やと、例え遅れたにせよ、その商品を届けたわけやから、それには当たらんと考えられやすいが、新聞購読契約の場合は事情が違う。
当たり前やが、その当日の朝刊は、その日の朝に届いてなかったら何の値打ちもないもので、それが次の日になったというのでは、それは新聞ではなく単なる「古紙」を持って来ただけということになるさかいな。
つまり、新聞の場合、不配の再配達が許されるのは、その当日中であって、翌日では新聞の配達をしたことにはならんということや。
その場合、法的にも堂々と、債務不履行による契約解除を主張することができる。
とはいえ、常識的には、そう主張するのは、そのときでないと効果は薄いとは思うがな。
「あのとき、こんなことがあった」という程度やと、残念やが一方的な契約解除に持ち込むのは難しいやろうな。
ただ、『約半年の間に、朝刊の不着が4回あり』というのは業界の常識に照らしても多いさかい、その販売店に「次に不着があれば債務不履行による契約解除をする」と通告することはできる。
そして、実際にそうなった場合、その契約を解除するのは可能やと思う。
それも広義の意味で、民法541条(債務不履行解除)の『当事者の一方がその債務を履行しない場合』に抵触すると考えられるさかいな。
その要求に対して、その販売店の了解を得ていた方がええが、それと通告していれば例え揉めたとしても、あんたの主張の方が通りやすいと思う。
「今まで数回の不着があったから、次はないようにしてほしい」という購読者としての当然の希望、要求を守らんかったわけやさかいな。
それ以外の方法で一方的な解約に持っていくのは、あんたの場合、難しいやろうと思う。
『A集金日がおかしい件』についてやが、『旅行出発の25日に集金に来て、電車を1本逃しました』というのは、その販売店の集金人が意図的に、そうしたことやないと思う。
まあ、それについてはあんたも『うっかりだと思うのですが』と理解を示されとるように、ワシもその線が強いと考える。
『B取り置きが間違えており、年賀状が汚れた件』というのは、販売店側の聞き取りミス、配達員の不注意でそうなった可能性もあるわけやから、『年賀状が落ちたのは新聞の上に乗せた郵便局の不注意(3日の朝刊に押されて落ちたのに)』という、客が聞いたら怒るのが分かり切った言い訳はするべきやなかったわな。
そんなことを言えば、あんたように解約したくなって当然やと思う。実際にも、そう言い出す人も多い。
客商売を続けたいのなら、ここはぐっと堪(こら)えて「すみませんでした。以後気をつけますので」と答えておいた方が賢いのやが、それができんのやろうな。
それさえあれば、おそらく、あんたもここまで怒るようなこともなかったはずやのにな。
ただ、その真偽を争った場合、あんたの申し入れである『年末年始の新聞の取り置きを依頼し、その分は年明け7日にまとめて配達をお願いした』が正しく伝わってなかったということで、その証拠となる書類、もしくはそのやりとりがあったという録音でも残ってない限り、双方の落ち度とされやすい。
『年明け7日にまとめて配達』をした、『いや、1月1日お届けと聞いた』ということで、言うた言わんの水掛け論になるだけやと。
もちろん、こんな場合も世間一般の常識で言えば、業者側が折れるべきなんやが、その意志がなければどうしようもない。
そして、『上記のミスは解約に値する内容ではないとのこと。新聞業界ではそうなのでしょうか』というのは、あんたの場合、最初に言うたように不着による「契約不履行」でない限り、残念ながら、法律的には『解約に値する内容』とはならんことの方が多い。
『どんな場合に解約できるのか聞いたところ、双方が納得した場合との返答』というのは、明らかに客側の一方的な都合による場合のことを言うてるのやと思うが、それはその販売店のみの言い分で、法律的にはそんなことはない。
どんな契約も、それなりの手順を踏めば解約することは法律的には可能や。
ただ、業者、この場合、新聞販売店がそうしてほしくないということで、「解約できない」と言うてるだけでな。
冒頭でも言うたように、『その新聞販売店の一方的な都合で、次の日に前日の新聞を届けた』場合以外の理由やと、あんたの場合、『こんな販売店から新聞を読みたくない』という気分の悪さからくる自己事由ということになる。
その場合でも、解約をするためのペナルティ、つまり解約違約金の支払いを覚悟して、そう伝えれば法律上は問題なく解約できる。
ましてや、あんたは『残りの半年の新聞代は払うから、もう新聞を届けないでほしい』と言うてるわけやから、その意志は十分あると考えられるしな。
もっとも、その販売店の言うてるとおり、『新聞をちゃんとお届けしていただいているお金ですのでそれはできません』というのも確かや。
当たり前やが、商取引において商品、サービスの受け渡しもなく、その対価を受け取ることは法律で禁じられとるさかいな。まあ、こんなことは法律云々以前の常識でもあるがな。
それと、『「6月30日まで半年間(180日分)の取り置き扱いで7月1日にまとめてお届けする」の発言には驚き、保留にしてあります』というのは、相手にせん方がええ。
あまりにもふざけた言い分でバカげとる。
それはそう言うてるだけの話やと思う。実際にはそんなことをしようとしてもできるもんやない。
実際、このサイトを6年以上続けとるが、そんなアホな話はどこからも届けられんしな。
まあ、嫌がらせに近い感覚で言うてるのやろうと思う。そう言えば、あんたの方が困り、折れるしかない、あきらめるしかないと考えてな。
確かに、あんたの話を一つ一つ聞いて分析するだけでも、その販売店の程度の悪さというのがよく分かるし、怒りたい気持ちも当然やと思うが、ここは冷静に対応した方がええと言うとく。
まとめとして、ワシのアドバイスとして一番勧めたいのは、先にも言うたように、「次に不着があれば債務不履行による契約解除をする」と通告することや。
これは文書で取り交わすのがベターやが、その販売店やとおそらくそれに応じることはないと考えるさかい、電話でそう通告してもええ。
但し、その場合は、そのやりとりを録音しとくことや。
あんたが、「仕方ないので残り6ヶ月は取りますが、その代わり、二度と不着のないようにしてください。この次、同じような不着があった場合、その場で即解約しますからね」と言えば、電話の気やすさということも手伝い、「分かりました」と言うケースが多い。
その言質さえ取れれば、『約半年の間に、朝刊の不着が4回あり』というような販売店なら、必ず近いうちに同じことをする可能性が高いから、そのときになって「約束どおり解約します」と言えば、さすがの販売店も嫌とは言いにくいはずや。
例え嫌と言うたにしても、その録音内容を突きつければ、たいていはあきらめるやろうしな。
そんな悠長なことは嫌で、どうしても、今すぐの解約を希望するのなら、あんたの方は「解約違約金を払いますので、その額を教えてください」と言うて、その販売店に希望額を言わせることや。
その額に納得できるのなら、それで手を打てばええし、それに納得できん場合は、もう一度ここに相談されたらええ。その状況次第でまたアドバイスするさかい。
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