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NO.988 この新聞購読の契約はおかしくありませんか?


投稿者 T.K さん  投稿日時 2011.3. 3 AM 9:17


初めまして、現在「Y新聞」を購読? している父の件で、ご指導いただきたい事があります。

一言でいえば「悪徳商法」だと思っています。

<時系列であげますと、>

1.平成21年3月23日に、〔平成23年3月〜平成26年2月の3年間の契約を父がしている。〕
 
そのわずか三ヶ月後

2.平成21年6月24日に、〔平成26年3月〜平成29年2月の3年間の契約を父がしている。〕
 
ところが、

3.平成21年11月30日に、〔平成22年1月〜平成23年2月までの14ヶ月の契約を交わしている。〕
 
・・ということは、
 
1の契約時に、3の契約を見越して、父に「契約」を進めていた・・。
 
さらに、1の三ヶ月後に2の契約を交わしたということは、1の時に「一人暮らしの老人」でしかも「耳も悪い」。
 
それならば、さらに三年の追加も行けるのでは・・と思われてもおかしくない契約2を結んだ。
 
そして、1と2につながる、3の契約〔14ヶ月間〕を結ばせた。

→添付ファイルを付けましたので、この3つの内容は確認できます。

私は、きちんとした手順をふんだ契約なら、何も言いませんが、「一人暮らしの老人」から、7年に及ぶ購買契約を取りこんだ「Y新聞の販売店」の姿勢には、憤りすら感じずにはいられません。

この契約が無効であることを、その「Y販売店」に伝えるポイントを教えていただけないでしょうか?
 
父の年齢は、現在88歳です。このまま行けば、94歳まで「新聞」をとり続けなければならない事になります。
 
以上、よろしくご指導お願いいたします。


回答者 ゲン


『この契約が無効であることを、その「Y販売店」に伝えるポイントを教えていただけないでしょうか?』ということやが、このケースでそれが言えるとしたら、二つほどありそうや。条件によれば三つということも考えられる。

まず一つ目は、お父さんご自身の直筆でその契約書にサインされたのかという点とお父さんが、その契約をしたことについて認めておられるのか、認めておられないのかという点になる。

あんたから送って頂いた契約書のコピーを見ると、『平成21年3月23日』と『平成21年6月24日』の契約書の署名欄の筆跡は別人の手による可能性が高いように、素人目には見える。

書いた人間の癖は、どんなに上手くごまかしてもごまかし切れんもので、必ずその人特有の「稀少筆跡個性」というのが表れると言われている。つまり、同じ人の筆跡ならば必ずその癖なり共通点なりがあるもんやが、この二つには、それが見受けられん。

また、『平成21年11月30日』の契約書も『平成21年3月23日』のものと筆跡が酷似しとるものの微妙に違う部分があるように感じる。

その根拠は住所の数字にある。それを見比べて頂ければ、同一人物が書いたものとは思えんというのが、はっきり分かるはずや。

さらに、添付して頂いた契約書のコピーは、その販売店から貰ったものやと思うが、そのコピーの下部に『○○様 上記のようにご契約いただいていますのでよろしくお願い致します』という文面があるが、これに書かれている『○○様』の筆跡と『平成21年3月23日』の契約者署名欄の筆跡が非常に酷似しとる。ほぼ同一人物と思えるほどに。

これが何を意味しとるかは明白で、その販売店の人間が契約書にお父さんの名前を書き込んだ、または代筆したと考えられる。

契約書は契約者本人による直筆での記入が原則やさかい、お父さんが、その契約書に対して「そんな契約書を書いた覚えはない」と異議を唱えれば、その契約は無効になる可能性が高い。その場合は私文書偽造ということになる。

ただ、お父さんがその事実を知っていて、尚かつ、その販売店の人間に代筆を依頼したというのなら、その契約書は契約書として認められる可能性は高いがな。

あんたの相談文からは、肝心のお父さんの意見というか気持ちが伝わって来んが、そのあたりはどうなのやろうか。

基本的に契約というのは、その本人が、それと納得していれば正規の契約として法律で保護される可能性が高いさかいな。まずは、この契約に対してお父さんがどうされたいのかということが重要になる。

子供として、お父さんを思うあんたの気持ちは分からんではないが、事、この契約事に関しては、あんたは第三者という立場になるから、法的には、あんたから異論を差し挟むことはできんわけや。

お父さんの気持ち、意志を代弁していうことなら別やがな。

あんたは、『「一人暮らしの老人」から、7年に及ぶ購買契約を取りこんだ』と言われ、『一言でいえば「悪徳商法」だと思っています』と言っておられるが、ご高齢の方から長期に渡る契約を取ったというだけで、違法性があるとまでは言えんと思う。

法律上にも何歳以上の高齢者から契約を取ったらあかんという決まりもないしな。契約に年齢制限があるのは未成年者だけや。

『父の年齢は、現在88歳です。このまま行けば、94歳まで「新聞」をとり続けなければならない事になります』というのも、お父さんが、それで納得されている、その新聞を読むのを楽しみにされておられるということなら、それはそれでええのやないかなと思うがな。

一般的に高齢者は弱者やという考えで、そう言われることも多いようが、現実には90歳を超えていようが、100歳を超えていようが、ワシなんかより、しっかりした人はいくらでもおられる。

年齢だけで、弱者やと決めつけるのは、ご高齢者に失礼やと思う。

それに、このケースの契約で最もリスキー(危ない)な結果になるのは、実はその新聞販売店なんやけどな。

『父の年齢は、現在88歳です。このまま行けば、94歳まで「新聞」をとり続けなければならない事になります』というのは、あんたにとっては許せない、とんでもないことかも知れんが、そういった高齢者から契約を取るということは、それが全うされん可能性もあるということを覚悟せなあかんわけや。

こんな仮の話なんか縁起でもないから本当は言いたくないのやが、ご高齢の独身契約者が亡くなられた場合、その契約は自然消滅すると法律にもある。その契約のために何かサービスを事前にしていたら、その分は回収不能になるということや。

実際、数年後から購読して貰う約束で高額な商品券(5万円分)を高齢者の人に渡して、その前に亡くなられたというケースを何度も見てきたかいな。その場合は、当然やが、その新聞販売店が泣くしかなかった。それがリスクということになる。

これは何もご高齢者ばかりでなく、若い人であっても同じことが言えると思う。

人の寿命など誰にも分からんさかい、長期契約を結べば結ぶほど、死亡による契約の消滅というリスクが高まることになるわけや。

そのためもあり、賢い一般的な販売店は独身者からの契約は1年以内というのが多い。

余談やが、引っ越しの場合も契約が消滅する可能性が高いということで、その確率の高い賃貸アパート、マンションの居住者についても、契約期間を1年未満にしとるというのが多い。

一般的に長期契約を結べば結ぶほどサービス品の質、量とも多くなるのが当たり前で、高価になりがちやさかい、どうしてもそのリスクも高くなるということや。

せやから、この長期購読契約というものが、あながち契約者に不利とばかりは言えんわけや。見方によれば、新聞の購読を続けたい人にとっては得になり、親切なサービスの付いた契約やと言えんこともないと。

二つ目は、『平成21年3月23日』と『平成21年11月30日』の契約書に『月額購読料統合3200円』とあるが、なんでこんな記載があるのやろうかと思う。また、この金額を今まで支払っていたとなると、これは問題や。

あんたの住む地域でのY新聞の統合版の新聞代金は、月3007円と決められている。
http://www.434381.jp/26/

それを3200円に設定して、その代金を徴収しとるとなると、これは新聞社も認めんやろうから問題視されると思う。その事実を新聞社に通報すれば、その販売店はまずいことになるのやないかな。

まあ、こういうことをする販売店の言い訳は、「僻地などの配達が困難な場所やから配達コストが高く付くから」というのが多いが、新聞社のモットーは「日本全国どこでも同じ価格」やから、それを言うても通用せんはずや。

このケースが裁判で争われたケースは今のところまだないが、もし民事裁判になれば、ほぼ間違いなく、その差額の返金と、契約者が望めば契約の破棄も言い渡されると思う。

値段を偽って販売しとるということで詐欺やという見方も一部にはあるが、これを詐欺と認めるかどうかまでは微妙やがな。

これが確実に法令違反に問われる可能性があるは、『新聞業における特定の不公平な取引方法について、1999年7月21日、公正取引委員会告示』で、俗に『新聞特殊指定』と呼ばれとるものが、そうや。

この条項の禁止事項第2項に、

新聞の個別配達をする販売業者(新聞販売店)が、直接、間接を問わず、地域、相手により異なる定価や定価を割り引いて販売すること。

というのがある。

その契約書に『月額購読料統合3200円』と、はっきり明記されとるから、間違いなく、その条項に触れるものと思う。

せやから、「それは法律違反やから契約は解除する」と主張することは可能や。

あんたの『この契約が無効であることを、その「Y販売店」に伝えるポイントを教えていただけないでしょうか?』ということなら、それも一つのポイントになるのやないかと思う。

三つ目は、『条件によれば』と断ったが、契約時にお父さんが認知症などの精神疾患を発症されていたか、または医師の診断でその契約時にそれらの疑いがあったと診断された場合、その契約の無効を主張できる可能性があるというものや。

認知症の場合、 法定後見制度、保佐、補助制度というのがあるが、その手続きをしておられて、あんたが法定後見人、保佐人、補助人などの資格を有しておられるのなら、あんたの一存で、その契約を無効にすることもできる。

これについては、まだその手続きを取られてない場合、医師の診断結果が必要にはなるが、将来的にお父さんにその不安ということなら、今のうちにその手続きを取られておくというのはどうかな。

ただ、その場合でも、よほどその認知症の症状が進行してない限りは、お父さんの気持ち、意志というのを大事にしてあげてほしいと思う。

今回のあんたの相談では、『1の契約時に、3の契約を見越して、父に「契約」を進めていた』、『さらに、1の三ヶ月後に2の契約を交わしたということは、1の時に「一人暮らしの老人」でしかも「耳も悪い」』、

『それならば、さらに三年の追加も行けるのでは・・と思われてもおかしくない契約2を結んだ』、『そして、1と2につながる、3の契約〔14ヶ月間〕を結ばせた』ということで、次々と契約を結ばせたことに憤られて、違法なやり方やと思われておられるようやが、残念ながら、この程度では違法とまでは言えんやろうと思う。

外形的には、高齢者を狙い打ちした悪徳商法のように思えるかも知れんがな。

2009年12月1日に、『特定商取引に関する法律』の改正法というのがされた。

その中に、『過量販売、次々販売(過量販売規制)の禁止』というのがあるが、これは「原則として日常生活で必要以上の分量などを売りつけられた場合」と限定されていて、同時期の契約に同じ新聞の配達をするというものやから、それには当たらんと考える。

商品である新聞の数量はあくまでも1紙ずつやさかいな。

念のため、他の訪問販売からお父さんを守るための情報として、当メルマガ『第79回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■『特定商取引に関する法律』改正法は業界にとってのチャンスになる?』 というのがあるから、見て頂ければと思う。

特に、その中の、「『特定商取引に関する法律』の改正法による悪質な訪問販売業者への対処法」という項目が役に立つのやないかと考える。

結論として、その契約書の署名が、「お父さんのものであるかどうか」、「お父さんの気持ちと意志はどうか」、「契約書にある新聞代金の過請求」などで、契約解除に持ち込む方法を模索されたらええのやないかと思う。

最後に、何度も言うが、くれぐれもお父さんの気持ちだけは大切にしてあげてや。


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