新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A
NO.992 皆に愛されるセールスマンになりたい
投稿者 hi さん 保険外交員 女性 投稿日時 2011.3.15 AM 0:09
まだ始めて間もない私ですが、やめたくてしょうがないです。
考えていた夢あふれる世界とは真逆の世界・・・ある程度は大変だと思い面接時から、あれ? とんでもない世界に行ってしまうのではないかと不安になりながらも必死で勉強しました。
そうしてやっと仕事が始まったわけですが、所長や先輩方のペースについていけない・・・。
最初の二週間は充実してましたが・・・制約まじかで次々と断られてしまう…だんだん訪問先を失いました。
知らないところにも何件も回りましたがなかなか話すら聞いてもらえない・・・心がおれて帰ると数字をせがまれる・・・同期メンバーは次々と入金していき、帰りずらくなる…しょうがないので、主人に入ってもらうことにした。
でも、失敗したと思った。それが、保険屋の手口なのだ。やっとそのことに気がついた。
友達を仲間に誘えとも毎日のように言われる…自分も充実してないのに、その世界に友達までも巻き込むわけにはいかない・・・。
どうしたら、前向きに仕事に臨めるのか! 皆に愛されるセールスマンになりたい。
教えてください。ここでやめるわけにはいかない。
回答者 ゲン
あんたは『やめたくてしょうがないです』と言いながら、『皆に愛されるセールスマンになりたい』という相反することを言われておられ、かなり混乱されておられるようや。
それがために、相談先がどういうサイトかも分からず相談されておられる。
あんたの話の後半部分でやっと「保険外交員」さんらしいということが分かったが、ワシは新聞勧誘の専門家で、保険勧誘をしたことがないから専門的なアドバイスを期待されても困ると最初に断っておく。
今のあんたは、ワラにもすがりたいという気持ちが強く、ネットで調べていて「ここだ」と思われたのやろうがな。
おそらくは、ヤフーかグーグルあたりの検索で、この『新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A』でヒットしたどこかのページを見られてのことやとは思うが、そのページを冷静に観察すれば、ここが新聞勧誘に特化したサイトやということが分かったはずや。
誤解せんといてほしいが、畑違いやから迷惑やと言うてるわけやないで。実際、このサイトの読者には、あんたと同じような「保険外交員」をされておられる人も多く、その人たちからの相談に答えたことも幾度かあるさかいな。
ただ、その人たちの多くは、ワシを新聞勧誘員と知って、それでも尚、その営業手法に共感したということで相談されている。相通じるもの感じた、あるいはワシの営業手法、理念、理論を高く買って頂き、それぞれで応用して役立てられると考えられてな。
ワシは「保険外交員」の経験はないが、広義の意味での「訪問販売」、「対面営業」の専門家やと自負しとるさかい、一般論にはなるが、そのための営業の心構え程度のアドバイスならできると思う。
それで良ければという前提で、あんたの質問に答えさせて頂く。
あんたは『ここでやめるわけにはいかない』と言われておられるが、その理由は何なのやろうか。
「せっかく探して得た職やから」というだけなら、あまり理由にはなっていないと思う。
まず基本的なことやが、仕事というのは稼ぐことができ、収入を得られるものでなかったらあかん。
あんたも生活のため、家計の足しにするために仕事がしたいはずや。
それやのに、『しょうがないので、主人に入ってもらうことにした』というのでは、仕事としては成立せんと考えるがな。
あんた自身も分かっとるとは思うが、それはタコが自分の足を食っているのと同じやで。そんなものは長続きせん。当たり前やが、食える足には限りがあるさかいな。
『友達を仲間に誘えとも毎日のように言われる…自分も充実してないのに、その世界に友達までも巻き込むわけにはいかない・・・』というのも同じで、後で後悔するようなことはせん方がええ。
そうしてしまうと、その彼らとの友情や信頼関係すら壊し兼ねん。将来のことを考えるのなら止めといた方がええと言うとく。
5年前、あんたと同じ保険外交員をされていた方から、『NO.228 他分野ですが、営業について教えてください』 という質問を貰ったことがある。
その方は『会社の方針は、新人はまず親兄弟、友人、知人、など知っている人から話して契約を取っていくという方針になっていまして』というのに疑問を感じて相談してこられた。
そのときの回答で、あんたに関連があると思う部分だけを抜粋する。
自分の身内や知人への営業だけやと長続きすることはないやろし、それで、営業のテクニックが磨かれるということもまずないと言える。
そういう営業は、どうしても甘えの構造になる。相手を純粋な客として見られんやろうしな。自分が頼むのやから、契約してくれとなるだけの話や。
きついかも知れんが、こんなのは営業とは言わん。ただの頼み事や。例え、それで成功したとしても、あんたにプラスになるのは、契約が1本上がったというだけのことや。
達成感もさほど、味わえんやろうと思う。営業の仕事が好きになる者は、必ずこの達成感を得られることにある。
中略。
営業というのは、何も直接、その商品を売り込むだけやない。相手を納得させるというのも、広義の意味で営業になる。
現実にあんたは、その上司に説得させられ勧誘員となり、身内に半強制的に営業に行かされとるのやからな。
おそらく、その上司の目的は最初からそのはずや。少なくとも、あんたのためを思うてということより、そういう勧誘員を確保するのが、狙いやったと思う。
そういう勧誘員を一人確保すれば数人から数十人の親戚縁者、知人の契約を確保できる可能性があるのやからな。言えば、勧誘員としての戦力より、あんた自身がお客さんとして必要やったわけや。
というものや。
あんたの場合、『友達を仲間に誘えとも毎日のように言われる』というのが、その相談された方の状況とだぶる。
その上司とやらが、そう言うのは、まだあんたが友達や仲間を勧誘してないからや。
そういう仲間を勧誘し尽くした後に行き詰まり、あんたが同じような悩みに陥った場合、その上司が、あんたのために何か助け船なり助言なりをするかと言えば、それはまずないやろうと思う。
あったとしても、せいぜい通り一遍のマニュアルにあることを言うくらいのはずや。
その会社の目的は、あんたを一流の営業員として育てるということよりも、あんたの周囲の人間をお客として取り込むためのオトリとしての存在価値の方を重視しとると考える。
言えば、鮎の「友釣り」のオトリ鮎と一緒やな。その釣り方はエサを使わず、元気のええオトリ鮎に惹かれて集まってくる鮎をその近くにある針で釣り上げるという手法なわけや。
その釣り師たちの腕の善し悪しは、いかにして質のええオトリ鮎を選び、確保するかにかかっていると言うてもええ。
つまり、あんたの今の現状は、そのオトリ鮎に似た状況やと考えられるということや。
嘘でもええから、その上司に『友達を仲間を誘ってみましたが、すべてだめでした』と言うてみたら、そのことを嫌というほど実感できるやろうと思う。
それなら、これからどうすればええのかということになるが、それは、あんたの『やめたくてしょうがないです』という気持ちが勝つか『皆に愛されるセールスマンになりたい』という思いが強いのか、そのいずれかで決まる。
ワシからのアドバイスということなら、今までのあんたの話からは、勧誘営業には向いてないから辞めた方がええとしか言えん。傷の少なくて済む今のうちにな。
ただ、あんたが勧誘営業自体が好きになりそうで、その道で自分の力を試したいというのなら、チャレンジしてみるというのも悪い選択やないとは思う。
その場合、『知らないところにも何件も回りましたがなかなか話すら聞いてもらえない』というのは訪問営業の宿命みたいなものやから、それがあって当然というくらいの図太い神経、考え方にならなあかんがな。
話を聞いてくれる人は少ないのやと。その少ない人を探すには数多く訪問を繰り返すしかないと。そういう仕事やと。
聞くところによると、保険の外交員は、月に4,5本の契約が上がればなんとかなるようやから、ただひたすら訪問を繰り返すだけでも何とかなるのやないかとは思うがな。
新聞営業の場合、新人にはたいてい数多く訪問しろと言う。システム上、拡張員には縁故関係なんかほとんど役に立たんから、ただひたすら叩く(訪問)しか方法はないんやがな。
1日100件程度の訪問は普通で、その内、9割は留守か門前払いや。1割の10件程度が話を聞いてくれ、それにかける。それで、少なくとも毎日1、2件くらいの契約が上がらんとやっていくのは厳しい世界や。
営業初心者は、誰でも最初は訪問することから始める。訪問する件数によって契約が上がるというのが普通や。契約が上がることでその喜びが分かるようになる。
上がれば、いろいろなことが見えてもくる。創意工夫もそれなりにできるようになる。また、そうならな続けるのも厳しいがな。
そして、そういうことが楽しめるようになったら、本物の営業マンになれる。ワシはそう思うとるけどな。
ただ、これは何度も言うが、誰にでも当て嵌まるのかと言えば、その保証はできん。ある程度、覚悟と意欲で補えるが、最終的には、その人次第や。
営業の仕事というのは、誰でも始められるが、誰でも上手くいくとは限らんものや。簡単やけど難しい。その辺をどう理解するかやな。
現時点で、あんたがその保険の外交員を続けるつもりなら、ただひたすら訪問することを勧める。営業初心者にはそれが一番ええ。人が100件なら、自分は200件という風にな。
ただ、現在は東北地方太平洋沖地震で世の中が大変なときで、こういうときは保険というのは却って見直されるケースが多いから、持って行き方次第では何とかなるのやないかと思う。
あんたの所の保険会社がどういう種類の保険を扱うとるのか分からんが、地震関連の保険があるのなら、それを突破口にすれば話くらいは聞いて貰えるのやないかな。
いずれにしても、今後どうされるかは、あんた次第や。良う考えて決められたらええ。
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