新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A
NO.993 笑顔に自信がありません
投稿者 Fさん 某新聞拡張員 東京在住 投稿日時 2011.3.21 PM 6:28
ゲンさん、ハカセさんどうもこんにちは。
自分は先月の頭から、東京で拡張員をやっています。
自分が所属しているセールスチームにいる方達はみんな良い人で、ここまで環境の良い会社はどこの会社にも無いと思っています。
だから、自分はこの会社を辞めたくないですし、毎日叩けるだけ叩いています。ですが先月の契約件数は8件、今月はもう後半に入ったというのに未だ5件です。
上司の方々に質問すると「何を言ったかよりも、契約を取るぞという気持ちがあれば下手な拡張でも取れる」と言ってました。
必要なのは笑顔・元気・やる気だけだとも言われました。
自分はやる気は十分にありますし、元気良くやっているつもりもあります。ただ、笑顔に自信がありません。
自分の目は鋭く兄弟や友人からは目が恐いとよく言われます。
ロープレをした時は特に指摘されてないので、平気なのかな? と思っていたのですが、取れない理由のような気がして恐いです……。
また、自分のやり方は新聞の売り込みで、自分自身を売り込んでいない部分があります。
御用聞きでも1,2件は取れると言われているんですけど、どうなんでしょうか?
そして、自分の取り柄は化け物とあだ名が付く程の体力の持ち主であることです。
実際に見ないと信じない方が多いのですが、自転車(ギア付きでなくては無理)で時速50kmで走るバイクに着いていったりするくらいです。
その持ち前の体力で午後2時から休憩なしでひたすら叩いても取れないことがあります。
性格は生真面目と言えます。家族や友人からは昭和の頑固オヤジと呼ばれたりするくらい固い人間です。
まぁ、そのせいで色々な人から反感を買い、人付き合いが苦手になってしまいました。会話やはしゃいだりとかは苦手なのですが、そうも言ってられないので、仕事中は明るく元気に頑張っています。
大体こんな感じなのです。上司に訊いても「やり方よりも気持ちで取れ」としか言われるだけで、やる気は十分にあるはずなので、どこか別の部分で駄目な部分が無いかが知りたいです。
ゲンさんにも「やる気さえあれば」と言われたら、もっとやる気を出す方法を探します。
長文の上に駄文で読みづらいかも知れませんが、御指導のほど宜しくお願いします。
回答者 ゲン
『自分の目は鋭く兄弟や友人からは目が恐いとよく言われます』というのが、どの程度なのかは分からんが、あんたに良く似た拡張員なら知っとる。
5年以上前に発表した旧メルマガ、『第65回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■ 拡張員列伝 その4 強面(こわもて)のリュウジ』 にその話がある。
その話に出てくるリュウジのことを思い出せば、あんたの『笑顔に自信がありません』という気持ちは分からんでもない。
ワシは笑顔の必要性、効力については散々言うてきたけど、例外もあるというのを、そのときに初めて知ったさかいな。
簡単なことやないというのを承知の上で、敢えて言わせて貰う。
営業するのなら笑顔はないより、あった方がええと。
ワシも、その昔、この世界に飛び込んできたときは、まったく契約も取れず「行き倒れ」すら覚悟したことがあった。
その絶望の淵にあったワシが救われたのは、その笑顔になることやった。
サイトの『新聞勧誘・拡張ショート・ショート・短編集 第3話 命の笑い』 で、その笑顔を作る秘訣について話しとるさかい、参考にしてほしいと思う。
ワシも、ある人から、それを伝授された。言わば受け売りやな。
その部分だけを抜粋する。
ワシは、その言葉を聞くと、思わず地べたに土下座していた。
「善さん、お願いします。僕に、営業を教えて下さい」
「分かった……」
善さんは、そう言うと、ワシを抱え上げベンチに座らせた。
「私の営業は半端やない。ついて来られるか」
「はい。頑張ります」
「この仕事は何でもやるというくらいの気構えがなかったら出来ん」
「はい」
「ここで笑え」
「は?」
「ここで、大声を出して笑うんや」
さすがのワシが躊躇した。
公園には少なくとも30人ほどの人間がおる。
「どうした、出来んか?」
「やります」
ワシは半分やけくそやった。
「ははは、ははは……」
「あかん、なってない。良う見ておけ」
善さんは、おもむろに立ち上がるといきなり大声で笑い始めた。
「はっ、は、は、は、はっ、は、は、は、はっ、は、は、は……」
まるで別人のような迫力のある笑いやった。
周囲の人間が何事かと、こちらを見とる。
善さんには、羞恥心とか、てらいというものが、微塵も感じられん。
見ていて、ワシは何でか分からんが、感動した。
「はっ、はっ、はっ、は、は、はっ、はっ、は、は、はっ、は、……」
ワシも思わず、善さんについて大声で笑った。
ワシらは、それを10分以上もその場で繰り返した。
やはり、というか、それまで、周囲にいた人間が遠巻きに離れていた。
男ふたりが、公園の真ん中で意味もなく大声で笑うてるちゅうのは、普通で考えたら不気味な光景や。
気がふれたと思われてもしゃあない。
「どや、気分は」
「ええ、何かすっきりしました」
「ほな、叩きに行こか」
「えっ、これだけですか?」
「せや、これだけや。これが奥義や」
「奥義ですか……」
確かに、大声を出して笑うたから、爽快な気分にはなったが、こんなんで大丈夫かと正直、思うた。
この善さんという男に担がれとるんやないやろな。
「ゲンさん。営業中は笑顔を絶やしたらあかんで。これ貸したるから、笑顔が消えそうになったら、これ見て笑え」
善さんはそう言いながら、小さな手鏡をワシに渡した。
ま、ええか。
ワシはこの人を信じると決めたんや。
言う通りやってみよう。
それで、例え、あかんかったとしても、もともとや。
結果的に言うと、ワシの得意な開き直りが功を奏したようや。
というものや。
笑顔になるというのは相手に与える印象が良くなると同時に、自分の気持ちも良うなるもんや。そんな便利なものは利用せな損やと思うがな。
『性格は生真面目と言えます』というのなら、サイトの『ゲンさんの勧誘・拡張営業講座 第2章 新聞営業の実践についての考え方 拡張タイプ編 その3生真面目タイプ』というのがあるから、それも何かの参考になるのやないかと思う。
最後に、あんたには、「自分を変える努力」を勧める。
自分は『笑顔に自信がありません』、『性格は生真面目』といったようなことを思い込むのやなく、『笑顔になった自分』、『ちょっとくだけた自分』というのを想像して、営業中だけでもそういう人間になるように努力してみたらどうかな。
仕事と割り切ってな。
営業する上でのマイナスは、固定観念に囚われることや。一朝一夕には上手くいかんかも知れんが、少なくとも、常に「自分を変える努力」をするということを心掛けとれば徐々にではあっても本当に自分を変えることができるはずやと思う。
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