新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A
NO.995 高圧的な販売店と解約したいのですが
投稿者 テルさん 投稿日時 2011.3.31 PM 4:10
はじめまして。
今の現状としては、3社と契約があります。NN新聞、A新聞、Y新聞です。
NN新聞とA新聞は契約を整理中で、A新聞が後何ヶ月かで終わります。そんななか、Y新聞がポストに入ってきました。
契約した記憶はなかったのですが、販売店に連絡した所、2年前に契約していたようです。
古い記憶を引っ張り出した所、延期をお願いしていたのを思いだしました。ホイホイ契約する私がアホなのですが、新聞こんなにいりません。
Y新聞に解約を申し出た所、解約できませんの一点張り。私が悪いのですが、余りにも高圧的で腹が立ちました。
違約金払ってでも調停してでも、縁を切りたいです。ですが、どのようにしたら、無駄が少なく墓穴を掘らず話を進められるかがわかりません?
若い女だと足元を見られたのかも知れませんが、あんな所とは二度とお世話になりたくないです。
新聞に載っていた番号にかけ、解約担当の方にも話しましたが、販売店に伝えておきますとの事でした。
その時、2年契約のうちの1年分払ってでも解約したいと伝えました。
クーリング・オフの話は聞きませんでした。
取れるかどうかわからないから、販促物は、契約時期がきたらと話したはずです。
2年前は精神不安定で、精神科にもかよってました。
販売店には連絡してもつながりません。
知恵を貸して下さい。よろしくお願いします。
回答者 ゲン
一つ確認しておきたいのやが、『取れるかどうかわからないから、販促物は、契約時期がきたらと話したはずです』ということは、その契約に対する約束のサービス品を貰わないうちに『Y新聞がポストに入ってきました』ということなのやろうか。
もし、そうなら、そのY新聞の販売店は『契約不履行』ということになるから、法律的にはその契約は解除できるものと考えられる。
そのためにも、まずはその当時の契約書を探すことや。なければ、その販売店に契約書を見せて貰うか、そのコピーを貰うように頼めばええ。
「私にはそちらと契約した記憶がないので、確かに契約したという証拠を見せてください」と言うてな。
新聞販売店には契約書の保管義務があるから、見せるのを拒否することはできん。拒否した段階で、その保管義務違反を理由に契約を無効にすることもできる。
もっとも、業者である新聞販売店が、そのコピーを契約者に渡さなあかん義務まではないさかい、コピーを持って来んということも考えられる。その契約書を持ってきたとき、自宅にコピー機があれば問題ないが、なければ携帯電話のカメラかデジタルカメラで撮影しとくしかない。
それで、その契約の内容、特にあんたの自筆で名前と住所が書かれているかという点と、そのサービス品の受け渡し事項がその契約書に書かれているかという点を確かめとくことや。
販売店にある契約書は必ず複写の部分やから、それに細工がしてあればすぐ分かる。あんたの自筆のサインでなければ、「そんな契約をした覚えはない」と突っぱねても法律的には通るし、契約解除も簡単にできる。
そして、サービス品などの販促物について、「契約時期がきたら受け取る」ということになっていたのなら、その契約書に必ず、そのことが書かれているはずや。
その記述がなく、そのサービス品を貰ったという記憶もなければ、「そちらから、まだ約束のサービス品は貰っていませんので、契約自体がまだ成立していません。よって、この契約はそちらの契約不履行ですから無効です」と、はっきり主張すればええ。
契約書を交わした段階で契約が成立するというのが一般的な考え方やが、正しくは、その契約書に書かれた事柄が履行されてからでないと、その契約が成立したことにはならん。
当然やが、契約書に書かれた事項が履行されんかったら、「契約不履行」を主張できるわけやさかいな。
その販売店がそれならと慌てて、そのサービス品を持って来ても、新聞が投函された後では、もう遅いと法律上は判断されやすい。
また、中には「すでにそのサービス品は渡しましたよ」というふざけたことを言うタチの悪い販売店もあるとのことやが、その場合は、「私は絶対に受け取っていません。もし、私がそれを受け取ったと言われるのなら、その証拠を見せてください」と言えばええ。
こういった揉め事の防止のために、まともな販売店なら、契約者から、そのサービス品の受け取り書、あるいは契約書の端に「受け取り済み」といったサインを貰うようにしとるもんや。
要するに領収書の類やな。それがないと、その事実自体の存在も実証できん。つまり、渡したと言うても通らんということや。
ただ、それは普通の契約の場合で、『古い記憶を引っ張り出した所、延期をお願いしていたのを思いだしました』という場合は、また違った展開になる可能性もある。
『延期』というのは、実際はその2年前に契約が実行されるはずやったものを、その販売店の好意で今まで引き延ばしていたということで、その契約日が来れば必ず契約を実行すると約束したということを意味する。
そのときの経緯も重要なファクター(要因)になる。それ次第では、また違った回答になるということや。
そうなると、『Y新聞に解約を申し出た所、解約できませんの一点張り。私が悪いのですが、余りにも高圧的で腹が立ちました』 というのも、あんたにとっては腹立たしいことかも知れんが、その販売店にとっては、「2年も待たされた挙げ句に解約か」ということになるわけや。
そうであるなら、その販売店にとっては看過できんと考える気持ちも同じ業界人として分かる。それで思わず強気に出てしまったと。その態度があんたには高圧的と映ったとも考えられる。
まあそれでも、客であるあんたを怒らせんように説得するのが一流の販売店の人間ではあるがな。
『新聞に載っていた番号にかけ、解約担当の方にも話しました』というのは、新聞社に電話をしたということかな。
新聞社に『解約担当』などないさかい、おそらくは「苦情係」にでも話したのやと思う。
言うておくが、契約事において、販売店に違法行為がなければ新聞社に何を言うても無駄やで。新聞社は公式には契約事には一切タッチせん、できんという立場やさかいな。
新聞の購読契約というのは、あくまでも、その新聞販売店と契約者との間のみ有効なもので、法律的にも新聞社が介入することができんようになっとるさかいな。
あんたに言うたように、せいぜい『販売店に伝えておきます』というのが限界で、販売店に指図することはできんわけや。またそうすることもほとんどない。
新聞社が販売店にその件について電話をしたとしても「そちらで処理してください」で終わることの方が多い。
つまり、その販売店に法律違反や新聞社からの通達違反、またあきらかな迷惑行為でもなければ、契約事のもつれを新聞社に言うてもどうにもならんということや。
もっとも、新聞社の苦情係は、そういうことを一々、相談者に説明するのも面倒やから、話くらいは聞いて『販売店に伝えておきます』と言うに止めとるわけやけどな。実際、聞く話ではそういうマニュアルまであるということや。
『若い女だと足元を見られたのかも知れませんが』ということもないとは言わんが、こういうケースでは例え年輩の人間やったとしても、おいそれと解約に応じるケースは少ないやろうと思う。
また、理路整然と正当性を主張して話せば、それだけで、例え若い女性であろうと相手も一目置くことの方が多いから、殊更気にする必要はないと考える。要はあんたの対応次第や。
『クーリング・オフの話は聞きませんでした』というのは、それを伝えてなかったら無効やと言いたいのやろうが、それは言うだけ無駄や。
法律上、クーリング・オフというのは口頭での説明義務はなく、書面での提示ということになっとる。
新聞購読契約書の裏面には、必ず赤字で『クーリング・オフのお知らせ』というのがあり、それで契約者には告知したということになる。
契約書というのは確認するものという前提があるさかい、そこに書かれていれば「知りませんでした」、「聞いてませんでした」では通らんわけや。
『2年前は精神不安定で、精神科にもかよってました』というのも、判断能力、意志能力がなかったさかい契約が無効になるのやないかと考えておられるのかも知れんが、それを主張するには医師から『制限行為能力者』の認定があり、それによりあんたに法律で認められた『成年後見人』がついた場合に限られる。
『成年後見人』がついとれば、その権限でその契約は解除できるがな。
ただ、あんたの場合、『精神科にもかよってました』と過去形になっとるということからすれば現在は完治、もしくは通院せんでもええ状態のようやさかい、それを主張するには弱いわな。
まあ、ここに相談するために、すべての条件、状況を説明しておこうという気持ちで言うておられるのやとは思うが、無理な主張は無理やと言うておく。
『2年契約のうちの1年分払ってでも解約したいと伝えました』というのは、止めておいた方がええ。それを言うのなら「解約違約金を支払いますので解約に応じてください」と言うに止めておくことや。
そもそも、解約違約金の金額というのは、業者側から請求されて、それを両者で話し合って決めるものや。どちらか一方が強制的に決めるものやない。
それに、『2年契約のうちの1年分』というのは解約違約金としては無茶苦茶な額で、業界としても法外や。あんたの言い分を真に受けて、本当にそんな要求をするとしたら、あまり程度のええ販売店とは言えんと思う。
参考になるかどうかは分からんが、販売店側の法外な要求に備え、1年を超える契約について解約違約金の上限は最高でも2万円までが限度やと、何度もこのQ&Aで言うてる。
それについては、当サイトの法律顧問をして頂いている法律家の今村英治先生から寄せられた意見を参考にさせて貰っているので、それを紹介しとく。
損害賠償の額ですが、特定商取法には継続的役務提供契約の中途解約を認める条文がありまして、これによると例えば、学習塾の契約などは中途解約のペナルティの上限として2万円または1か月分のどちらか少ない方という取り決めがあります。
これを類推適用するのが、いまのところ正当な賠償額かなと個人的に思います。
というものや。
しかし、新聞購読契約において、この手の争いが今までのところないので最高裁などの判例がないため、絶対と言えるものやないというのは承知しておいて貰いたい。ただ、実際に裁判になると、同じような裁定が下される確率は高いと考えるがな。
せやから、交渉の場で、この事実を知っていれば相手からの法外な要求は拒否できるから、もしそういう話になったら、このことを持ち出せばええ。有利に交渉できるはずや。
この「解約違約金を支払いますので解約に応じてください」というのは正当な要求で、民法には解約告知という方法がある。原則として、業者はこれに応じなければならないとされている。
この解約告知を内容証明郵便で出せば、法律的には『解約できませんの一点張り』はできんということや。少なくとも、その話し合いに応じる必要が生じる。
しかし、それで契約解除が約束されたわけやない。これは、あくまでも「その解約に向けた話し合いのテーブルにつきなさい」ということやさかいな。その結果は当事者同士で決めるしかない。
ただ、解約が成立するまでの間の契約は有効であるという点には注意が必要になる。つまり、その解約の話し合いが長引けば、その期間、新聞が配達され続け、支払いも発生するということや。
本来なら、こういった法律の絡む事案は、法律の専門家に依頼した方が事が早くてええとは思うが、それやと費用対効果の面で出費の方が大きくなる可能性が高い。
一番確実やとされる弁護士あたりに依頼すると、数十万円規模の弁護士費用が必要な場合があり、そうまでして僅か数万円程度の契約を解除するというのは、どう考えてもワリに合わんのやないかと思う。
もっとも、金銭の問題やなく『あんな所とは二度とお世話になりたくないです』ということで、精神的に我慢できんというのなら、そうするのを止めはせんがな。
それよりも、もっと冷静になって、あんたにとってどういう状態が一番ええのか、得なのかということを考え直してみた方がええのやないかな。
何でもそうやが、あんたにはあんたの立場があり、相手には相手の立場があるということを理解すれば分かることも多いと思う。今回のケースも、そう考えれば怒りも少しは収まるのやないかと。
あんたとしての本音は『NN新聞、A新聞、Y新聞』の3紙の新聞を一時期に購読することはできんということにあるはずや。そんな金を一時に支払う余裕はないと。
それなら、『NN新聞とA新聞は契約を整理中で、A新聞が後何ヶ月かで終わります』ということのようやから、そのA新聞が終わった後であれば、事、金銭的な面だけならY新聞を購読してもええということになるのやないかな。
そうやとすると、また再度の延長が必要になるがな。そのためには『私が悪いのですが』という気持ちを正直に相手側に伝えるしかないが、それができれば再度の延長をして貰えるのやないかとは思う。保証はできんが。
どこの新聞販売店でも解約となると、過剰な反応をする所が多いが、延長なら意外と簡単に受け入れてくれるさかいな。
あんたの気持ち次第やが、一考の余地くらいはあるのやないかと思う。
結論として、
1.当時の契約書を探す。なければ、その販売店に契約書を見せて貰うか、そのコピーを貰うように頼む。そして、その契約書の確認をする。
それ次第で、法律的に契約解除に持って行けるか、別のアドバイス、方法を考えなあかんか別れるさかい、分かり次第、その内容を知らせてほしいと思う。
2.その契約が以前交わした契約の『延長』か、どうかというのも重要な要件になるさかい、その点、どうなっているのか。それによっても違ってくるから、それについても教えてほしい。
3.現実的な問題として、現在Y新聞を購読しても、その支払いが無理ということを伝え、配達時期の先延ばしを要求するということも考えてみる。
という、いずれかの方法で対処したらええのやないかと思う。
そのためのアドバイスを惜しむつもりはないさかい、納得されるまで何度でも相談してこられたらええ。
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