新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.996 ゲンさんも、実は、ドアオープンのための『技』を使っているのではないですか


投稿者 king さん 新聞セールス員  投稿日時 2011.3.31 PM 4:55 


事情があり、この度、新聞セールスの仕事を始めました。

偶然にも、このサイトを発見しまして、楽しく拝見させていただいています。

これからも、勉強させていただきたいと思います。

質問なのですが、私の営業する地域では、まともに『〇〇新聞です』では、ドアがなかなか開きません。

サイトを見る限り、ゲンさんは、『〇〇新聞です』と回っておられるようですが、正直、それだとかなりきついのでは? と思います。

だからと言って、宅配業者を名乗ったりなどはやろうとも思いませんが、私の教わったやり方は、他紙の購読者の家に行った時は、『お世話になっている新聞屋です』と言って、お客に勝手に勘違いさせてドアオープンさせる方法や、地域のゴミ袋を持って、『環境運動でゴミ袋配っています』と言ってドアオープンさせる方法です。

正直、『〇〇新聞です』で、ドアを開けてくれるお客だけ相手にするほうが良いのでしょうけど、大半がドアホンキックで終わりそうで…

ゲンさんも、実は、ドアオープンのための『技』を使っているのではないかと思い質問させていただきました。

よろしくお願いしますm(_ _)m


回答者 ゲン


『ゲンさんも、実は、ドアオープンのための『技』を使っているのではないかと思い質問させていただきました』ということやが、特別な『技』なんかは何もないがな。

敢えて言えば、同じ『〇〇新聞です』と言うにしても、「こんにちは(こんばんわ)○○さん、○○新聞のゲンです」と、少し大きめの声ではっきり明るく言うということを心掛けとるくらいかな。

この「○○さん」と、相手の名前を呼ぶというのは、そこそこ効果があって、たいていの人は自分の名前を呼ばれると無意識のうちにでも返事や反応をしてしまいやすく、その延長で、ついドアを開けるという人も多い。

また、そのとき、こちらの名前を言うことで、相手に安心感を与えると同時に、知り合いの人やったかなと勘違いさせることもある。あるいは、現在購読している新聞の集金と間違えてドアを開けるケースも多い。

言えば『お世話になっている新聞屋です』と言うのと同じような効果やな。

ちょっと前までなら、『お世話になっている新聞屋です』と言うても、あまり大した問題にはならんかったが、現在やと厳密に言えば法律違反ということにもなりかねんさかい、気をつけた方がええ。

2009年12月1日。『特定商取引に関する法律』の改正法というのが施行された。

この中の『第3条ノ2第1項』に「勧誘の意志の確認」という条項がある。


販売事業者又は役務提供事業者は、訪問販売をしようとするときは、その相手側に対し、勧誘を受ける意志があることを確認するよう努めなければならない。


というものや。

これにより、「これから新聞の勧誘をさせて頂きますけど、よろしいでしょうか」と確認してからでないと勧誘したらあかんということになった。

この「勧誘の意志の確認」の中には「勧誘する人間の素姓を明らかにする」ということも含まれるから、『お世話になっている新聞屋です』というのは微妙なところやが、過去に購読していた顧客以外にそう言うと、その条文に引っかかる恐れが生じる。

もちろん『宅配業者を名乗ったり』というのは論外で、その言葉があるだけで、例えクーリング・オフの期間を過ぎた契約であっても簡単に解除される可能性がある。

その法律の施行以降、実際にそうなったケースも多い。

この他にも類似のものに、「近所の引っ越しの挨拶に来ました」「古紙回収の者です」、あるいは「町内会の者です」というのがあるが、これらもすべて同じや。

『環境運動でゴミ袋配っています』というのも、初めに身分を名乗ってからそう言わんと、違反と見なされるということや。

これについては、日本新聞協会としては、立場上、法令を遵守する姿勢を貫くという立場をとっている。

その表れとして、日本新聞協会は、その法律の成立後の2008年6月19日、新聞セールスインフォメーションセンター(旧・新聞セールス近代化センター)の全国展開などを柱とする「訪問販売にかかわるさらなる自浄努力の具体策」というのを新聞各紙の紙面で公表した。

その一部を抜粋する。


○読者からの苦情・相談に関する新聞社ごとの窓口組織の充実

 新聞各社の苦情・相談窓口をいっそう充実させるため、以下のとおり、必要とされる条件のモデルを定め、今後、各社はこれらを参考に、窓口組織の充実に努めることとする。

・ 平日は読者からの苦情・相談を24時間受け付ける体制を整備する。土曜日についても、必ず電話に出る体制を完備する。

・ 専用の電話、ファクス、メールアドレスを設ける。

・ 窓口組織の名称はわかりやすいものにする。

・ 紙面の目立つところに窓口組織について記載するなど、読者への周知に努める。

・ 読者からの問い合わせは、当該販売所に連絡し、対応結果を必ず本社に連絡する。


実際、日本新聞協会はかなり真剣で、それまでは販売店、勧誘員側の意見を尊重気味にしていたケースも多く、苦情を持ち込む相談者に対しては暗に「その苦情の根拠、証明をしてください」といった証拠主義というのを重視するかのような対応をしていたが、現在は、苦情を持ち込む相談者の言い分を取り上げることの方が多く、そういった勧誘をする者を排除する方向にある。

つまり、勧誘の現場で言うた言わんという水掛け論の場合は、それまでと違い、勧誘する側の方が不利になる場合が多いと考えとく必要があるということや。

したがって、好むと好まざるとに関わらず、ワシのやっている『こんにちは(こんばんわ)○○さん、○○新聞のゲンです』と言うて叩く(訪問)方が無難やということになる。

『正直、『〇〇新聞です』で、ドアを開けてくれるお客だけ相手にするほうが良いのでしょうけど、大半がドアホンキックで終わりそうで…』というのは地域の事情でも多少違ってくるが、この仕事はそういうもんやという認識を持ってなあかん。

訪問販売の営業をする以上、それは仕方のないことやと。訪問営業とは基本的に相手の都合などを無視して、こちらの売り込む物を一方的に売りつける仕事や。

その中でも新聞勧誘は特に嫌われとる部類の営業なのは、残念ながら認めんわけにはいかんやろうと思う。

新聞勧誘の主な仕事は、現在購読しとる他紙をこちらが営業する新聞に切り替えて貰えるように説得することや。そこには、客側の必要性、必然性というものがあまりない。

つまり、必要とされていない営業をするわけやから、『大半がドアホンキックで終わりそう』というのは、むしろ自然やと言える。

それを補うには、『この度、新聞セールスの仕事を始めました』という、あんたのような新人は、ただひたすら叩く(訪問) しかないということや。

例え9割にドアホンキックされても1割ドアを開けてくれれば御の字というくらいの気持ちやな。100軒で10軒、200軒で20軒の家のドアが開きチャンスを得られる。それに全力を傾けるしかない。

新聞勧誘とはそういう仕事なわけや。

それでは芸がないと考えられるかも知れんが、まずそれができんようでは話にならんと思う。きついようやが、最初から楽な方法を模索するようではモノにはならん。

まあ、心配せんでも、それを続けているうちに、いろんなことが自然に分かるようになってくるもんや。経験上、叩く地域や客層についても自分なりに絞り込めてくる。

それに、単に叩くというても、何も家だけに固執して叩く必要もないわけやしな。

その家の玄関先や庭先にいる人に声をかけることもできるし、そのバンク内(新聞販売店の営業区域内)を歩いている人かて、たいていはその近所に住んでいる場合が多いから声をかければ、叩くのと同じ効果を得ることもできる。

しかも、そういうケースは、家の中にいるわけやないから、持って行き方次第ではチャンスも膨らむ可能性が高いわけや。

そして、これがひょっとすると一番重要なポイントになるかも知れんが、営業中もしくはそのバンクにいる間中は、すべての人に「あいさつ」するということを習慣づけることや。

ワシは新聞営業をする上において「人間関係を構築」することがすべてやと考えとる。

その人にとってあまり必要でない物を売り込むには、「あんたに頼まれたら仕方ないな」と思わせることが最も確実な方法やと。

そのためには「あいさつ」というのが、重要な要素になるということや。

「おはようございます」「こんにちは」「こんばんは」「はじめまして」「ごぶさたしてます」などは、たいていの人が常日頃、常識的に使っているあいさつや。

ワシは、拡張員、勧誘員として17年、その前に建築屋の営業マンとして20年余り、計37年ほどの営業経験がある。この間、休みの日以外は、ただの1日も、営業の現場で客に対して挨拶をせえへんかった日はない。

ワシが実際にやっていることを言う。ワシはバンクにいる間は当然のように、常に営業モードに入っている。

訪問する客は当たり前として、道ですれ違う人間でも「こんにちは……ですね」と必ず声をかけられる状態ならかけるようにしている。

「……」の部分は、たいてい気候のことを言う。

「こんにちは、寒いですね」「こんにちは、暑いですね」といった具合や。道でこんな風に声をかけられたら「ほんとですね」とほとんどの人があいさつを返してくれる。

見知らん人間でも、近所の知り合いと勘違いするんやな。これを長く続けとるとプラスになることはあっても、マイナスになることはない。

何度か同じ人間とそういうあいさつを交わしていると本当に知り合いになることも多い。

この何度も会うということやが、それほど広いバンクやなかったら、限られた範囲を拡張するわけやから、どうしても同じ人間に出会すこともあるわけや。

そうすると、訪問した家からその人が出てくることがある。新聞を断ろうと思うてた人でも、普段、そういう関係があったら、たいていは話くらい聞くし、悪い印象がなければ勧誘もしやすくなるはずや。

つまり、あいさつすることを習慣付けておくだけで、自然に人間関係が出来上がっている場合があるということやな。

話を聞いて貰えんから仕事にならんと嘆く前に、聞いて貰える下地を作らなあかん。そのためには、どこでも誰にでもあいさつをすることやとワシは思う。

もし、ワシに『技』と呼べるものがあるとすれば、それやな。


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