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NO.6  奨学生時代のちょっといい話


これは、HP黒箱 Text にあった話です。管理人のyoshi さんの承諾を得てここに紹介することにしました。巻末にゲンさんのコメントもあります。(ハカセ)


黒箱 Text

管理者 yoshi


俺は、元新聞奨学生でした。
予備校に通いながら新聞配達をするという浪人生活時代の思い出です。

ネタではありません。とてもいいお話なのでハンカチとティッシュをご用意下さい(笑)


さて、その予備校時代、俺は東京都N区のとある新聞販売所にいました。
そこから、T駅近くにある予備校に通いながら新聞屋の業務をこなしていました。

え〜、Outlineに書いてあるのですが、俺は勉強、特に受験勉強というやつが大嫌いです。
大学に入る意義が見出せず、それよりは資格を取るなど実務的な実力のほうが学歴よりも役立つと考えていたからです。

といっても、高校卒業後は東京へ行きたかっただけなんですけどね(笑)

それで、まぁほとんど予備校には行かずにゲームしたり本読んだりしながら仕事をしていました。

まぁ、中学生時代はほとんど勉強せずに常にTOPクラスだったので、元々勉強が不得意ではありません。
しかし、キライなものはキライですから、しないわけです、勉強を。

新聞屋は、人によって配達区域というのがあります。
その区域の担当者なんですが、その俺の担当区域のお客さんには、とてもいい人がいました。

まず、お得意様であるラーメン屋さんのおじさん。集金に行くと、たまにラーメンをご馳走してくれました。冬の寒い中、夜集金しているととてもありがたかったです。

それから、親戚が送ってくれたから、と言って果物をよくくれたお客さんもいました。

そして、極め付けが、お正月明けの4日、夕刊配達時に、お年玉をくれたお客さんがいました。

そして、とりあえず受けてみろと言われて仕方なく受験した大学に、なぜか合格しました。
それが、中退することになる某三流大学なのですが(汗)

まぁ、その頃は大学に興味があり、とりあえず行ってみようと思って、その大学の近くにある販売所に移動することになりました。

2月の集金のときに、『大学に合格したのですが、今の販売所からでは遠いので違う販売所へ移動することになりました。来月からは違う人間が来ることになります。今までありがとうございました。』と1軒1軒挨拶して行ったのですが、そのお年玉をくれたお客さんが、なんと合格祝いまでくれました。

新聞屋って、集金でも、インターホン越しに『○○新聞ですが、集金に伺いました。』というと、特に奥さんがそうなのですが、声のトーンがすごい変わります。

そんな環境の新聞屋業務の中で、そんなによくしてくれたお客さんはそうそういなかったので、涙が出そうなくらいうれしかったです。

それから、いつも集金のときに世間話をしていたお客さん。
上記のように挨拶すると、俺の名前を聞かれ、『あなたは有名になると思う。名前教えて欲しい。』といわれました。

すいません、今こんなことやってます(滝汗)
三面記事には載らないように気をつけています(滝汗)


さて、そんなこんなでそのN区の販売所から大学に近い販売所へ移動する前日のことです。

ギャンブル好きで休みの人間が船券買いに行くのが当たり前で、給料の前借も日常茶飯事である販売所の専業のおじさんたちが、俺に1万円はするいいボールペンをプレゼントしれくれました。

大学行くのだから、いいモン持っとけ、と持たせてくれたので、本当に目に涙を浮かべながらお礼を言いました。

大学は中退しましたが、インクがなくなったら換えのインクを買って、今でも愛用しています。


『新聞拡張員ゲンさんの嘆き』でも書かれていますが、新聞屋というのは嫌われている職業です。
世間的にも、いいイメージはないと思います。

確かに、ギャンブルで首が回らなくなり、専業や拡張員になった人も大勢いますし、元ヤクザだった人もいます。

しかし、一般社会では雇ってもらえない過去のある人でも、いい人はいい人ですし、長い間新聞屋にいる人ほどそういう人が多いです。

いい加減な人間や悪い人間は、新聞屋になっても長続きしません。
社会的に後ろめたい過去がある人でも、新聞屋がそれだけ長く雇っているということはそれだけいい人間であるということです。

だからと言って、全ての新聞屋がいい人とは言えません。中には、長いこと雇われつつもいい加減な人間や悪い人間はいます。

しかし、新聞屋全てに悪いイメージは持たないで欲しいというのが、新聞屋を経験した俺からのお願いです。

職業だけでその人を決め付けるのはやめましょう。見た目だけでその人を決め付けるのもやめましょう。

話をしてみると、案外いい人間かもしれませんし、それがあなたの人生に大きく影響するかもしれません。


PS.新聞屋と仲良くすると、販売所の専業の場合、いいお客さんには人情的にサービスをしたくなります。

集金のときにでも、自分の家に配達してくれる人が来たら、ジュースなどをあげてみませんか?

もしかすると、販売所自体がしていないサービスをしてくれるかもしれません。
実際、俺もいいお客さんには、販売所が定めている規定を超えるサービスをしていました。
専業や奨学生の場合、拡張員と違ってどれだけサービスしたかのチェックをあまりしない所が多いですから・・・・・


コメント ゲン

ワシが普段、良う言うてることを裏付けてくれるコラムやな。こういう人がいてくれるというだけで、ワシはうれしい。

どんなことをしてても、ええ人も悪い奴も存在するのが、人間の世界や。すべて善、すべて悪なんかはあり得んが、それでも、悪ばかり見るよりも、善に触れる方が人ははるかに心が安らぐはずや。

人間は悪いことをするより、ええことをした方が、間違いなく気持ちのええもんや。人にきつく当たるよりも、人にやさしい気持ちで接する方が、心が豊かになれ、幸福感を感じる。

しかし、人からそのやさしさを受けるのは、誰でもというわけにはいかん。人が冷たいと恨むより、人に優しくされない自分を恥じやと思わなあかん。

この人が、人から優しくされたのは、それだけのわけがある。人から優しくされるということは、人生において最高の宝となる。

そんなことを、再認識させてくれるコラムやと思う。


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