メールマガジン 新聞拡張員ゲンさんの裏話

第1回 新聞拡張員ゲンさんの裏話

発行日 2004.8.21


目次   ■はじめに      

      ■拡張員は本当に嫌われとるのか?


■はじめに


ワシの名前はゲン。仕事は世間から蛇蝎の如く忌み嫌われとる新聞拡張員や。確かに 同業者には、えげつない奴やええかげんな奴もおる。

せやけど、全部が全部そんな奴 ばかりやない。中には、ワシのように真面目な?拡張員も多いんやということをまず知って欲しい。

今、ワシが所属しとる新聞拡張団の会社には50人ほどの拡張員がおるが、客とトラブルを起こす者はその月に多くても4,5人ほどや。

せやけど、こんなこと何の自慢にもならんわな。そもそも、悪さする奴がおるという仕事自体が問題やからな。多い少ないの問題やないと言われたらそれまでや。

昔は多かった。と言うてもワシが知っとるのは10年ほど前からやけど、ワシが最初に入った団には30人ほどいてたが、脅迫や押し売り的なことをする者がほとんどやった。

トラブルを起こさん奴の方が少ない。今と逆や。 その時分の考え方の生き残りが今も確かにおる。時代と共に考え方も変えな生き残れんということが分からんのや。

拡張員も今が岐路に立たされとると思う。 このインターネット上でも、拡張員不要論が多い。拡張員に迷惑をかけられた人間にしたら無理のない反応や。

その人間にとっては、そのときの相手が、拡張員すべての代表のように思うわけや。

拡張員の実数の把握は難しいが、ワシの知る限りでは、日本には数万人単位おるはずや。単純比較だけやけど、その内1割だけ悪さする者がおるとしても、数千人はそう いう人間がおると認めんわけにはいかんやろ。

拡張員不要論としては当然の声やが、それでも現状で拡張員がなくなることはまずないやろ。新聞社の部数至上主義は当分変わりそうもないからな。

新聞社が部数獲得に狂奔する内は拡張員はなくてはならん存在や。

もっとも、これから先は分からん。しかし、この不景気で普通の人間が拡張員になるというのが増えとる。それに拡張員という言葉自体がそろそろなくなろうとしとる。

新聞拡張団は、新聞セールスチームと呼び変えられつつある。拡張員はセールススタッフや。拡張員という存在が残るか消滅するかは時代が決めるということやろな。


■拡張員は本当に嫌われとるのか?


今更、何やとお怒りの向きもあるかも知れんけど、ちょっと、冷静に考えて見よう。 インターネット上では、拡張員を非難するHPや攻撃するサイトが圧倒的に多い。

実際に拡張員の被害に遭うた人間の告発も多い。中には、現役のワシでさえ、何ちゅうことするねんと憤るようなのもある。

脅迫や詐欺行為をする拡張員もいてるいうのは、ワシが一番良う知っとるつもりや。そんな、拡張員は一掃した方がええという意見にも賛成や。

しかし、それが拡張員のすべてやない。中には、ワシらを心待ちにしてくれとる人間も多い。ほとんどが、サービスで得するからやが、それだけでもない。 少なくとも、ワシの場合は、ワシの話が聞きたいちゅうて待ってくれとる客も結構多い。

ワシだけやなく、そういう拡張員も多いんや。拡張員はどっちかというと話好きが多い。 拡張員になる人間には、普通では経験出来んような、ドラマというか、いきさつのようなものがある。

世間話をしていると、そういう話が出て、中に面白いと思う人間もいとる。 サービスで得をするとしても、嫌な人間と思うたら、誰でも相手したないもんや。反対に面白いと思うか気に入った人間と感じたら、いらんものまで、つい買うてしまうのが人間や。

つまり、人間関係ということやな。こういう、人間はワシら拡張員には好意的や。 せやけど、こういう好意的な人間はインターネットの世界には登場せん。

インターネットの世界では、恨み言を訴える人間は多いけど、拡張員に良くしてもろうて得したという人間は少ないということや。

せやから、インターネットだけを見とると、悪い拡張員もおるとは思わず、拡張員は悪いと考えがちや。また、多くのサイトがそういうところに誘導しとる。

何でもそうやけど、一方通行の見方、考え方はあかん。世の中には、何をしていようと、ええ人間もおれば悪い人間もおるということを知るべきや。

第1回にしたらちょっと話が重すぎたかな。これから、この道10年のキャリアで知り得た新聞拡張の裏話を面白く伝えるつもりやから楽しみにしててな。


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