メールマガジン 新聞拡張員ゲンさんの裏話

第137回 新聞拡張員ゲンさんの裏話     

発行日 2007.3.23


■警察の民事不介入の是非について Part2 不良拡張員の場合


某月某日の午後6時。

ある古びたマンションの一室で、それは起きた。

インターフォンの呼び出しブザーが鳴った。

「どちら?」

その部屋の主、ショータがインターフォン越しに、そう確認する。

「宅配便でーす」と、やけに元気のいい声が返ってきた。

「おっ、もう来たのか。早いな……」

昨日の午前中にインターネットで買った、ゲームの攻略本が届いたのかと思い、何の疑いもなく、ショータはドアを開けた。

「はい、これです。ここにサインを……」と言いながら、その男は、茶封筒の上に黄色いハガキ大くらいの紙を乗せ、差し出した。

「何ですか?これは……」

ショータは、無造作にドアを開けたことを悔やんだ。

その宅配便と名乗った若い男は、どう見ても宅配便業者には見えんかったからや。

スーパーサイヤ人がごとき流行遅れの茶髪の髪型をして、派手な柄のジャンパーを着込んでいた。

近所のコンビニの前で屯(たむろ)しとる暴走族のような格好や。おそろしくダサイ。

こういうのを、イケてると勘違いしとるのは当人だけなんやが、誰も面と向かって批判や注意をせんから、それが分からん。

もちろん、ショータもそうするつもりはない。変なのには関わりたくないから
な。

そういう思いで、差し出された黄色い紙切れを良く見ると、それには「○○新聞購読契約書」とある。

「新聞の勧誘?」

「そうや。兄ちゃん、そこにサインして。そしたら、この商品券やるから」

何の悪びれる素振りもなく、そう言いながら茶封筒を差し出す。

「お宅、宅配便だと言ったでしょ?」

ショータは少しムキになってそう言うた。

騙されたという思いと幾つも歳が違わんような、その若い男に「兄ちゃん」と、上から見下されたような物言いに少し腹が立ったからや。

「いいや、オレは、届け物やと言うただけやで」と、平然とその若い男は言う。

その言葉にショータは「いや、確かに宅配便やて言うてた」と、思わず強気で、そう言い返した。

「何やと!!このガキ、その口の利き方は?舐めとったら承知せんで、こらっ!!」と、そのスーパーサイヤ人が、血相を変えて恫喝してきた。

「いえ、そんなつもりじゃ……、とにかく、新聞は必要ないんでいりませんから」

「何やと、それで通ると思うとんのかい。こっちは、親切で言うたってるのに、人を嘘つき呼ばわりさらしやがって」

これは、古典的な喝勧の手法や。

わざと、客の気分を害することとか、突っ込みを入れたくなるようなことを言うて、反論させる。

反論させたら、その揚げ足をとって責める。この場合は「口の利き方が悪い」、「嘘をついた」という言いかがりがそれになる。

こういう拡張員にとって、ベストな争いは、言うた言わんの水掛論に持ち込むことや。

この後、揉めれば揉めるほど、それをする拡張員は有利になると思う。また、そういう風に持って行く。

「脅す気ですか。警察を呼びますよ」

すぐ、こう言い出す人間も多い。警察と言えば、それで退散すると思う。

しかし、こういうことをする輩は、それもすべて計算の上や。織り込み済みと
いうことになる。

「呼ぶなら、呼ばんかい。こっちは、正当な営業活動しとるだけや。警察なんか怖いことあるかい」

ショータは、怖さも手伝い、本当に警察に通報した。

「警察ですか。○○マンションの203号室のイイダ、ショータと言います。今、新聞勧誘の人が来て脅迫されて困っています。助けてください」

それを聞いていた、その若い男は、動揺するでもなく、ニャっと口元に笑みを浮かべ、携帯電話を取り出し、どこかへかけていた。

「アニキ、ノボルです。ここのガキが警察に通報しよりましたんで、応援たのんますわ」

警察が来る少し前に、そのノボルというスーパーサイヤ人のアニキ分と目される中年の男が現れた。

こちらは、貫禄たっぷりの極道タイプの男やった。

その男は、来るとすぐ、そのノボルと話し込んだ。どうやら、何かの打ち合わせのようや。

ショータは、この男を見て、警察に電話したのは正解やと思うた。

間もなく、1台のパトカーが到着して、警官が二人やって来た。

「この若い人が、変な言いがかりをつけて、脅すんです」

ショータはすがりつくように警察官に言った。

「お客さん、変なことを言わないでくださいよ。僕は、ちゃんとした営業をしてただけですよ」

ノボルは、その警察官には、ショータに対しての口調とは、まったく違う話し方をした。

「嘘です」

「まあ、まあ、事情を聞きましょう」と、そう警察官がなだめる。

シヨータは、すべて正直に話した。

「お客さん、どうもうちの人間がご迷惑を、おかけしたようですみませんね」

後から来た、極道タイプの男が、そう言いながら割って入った。ノボルの上司やという。

「しかし、お客さんは、なぜ、そこまで怒りはるんですか。私らみたいな勧誘員とは、日頃から会わんように気をつけていたからですか」

「そのとおりです」と、シヨータは、思わずそう即答した。確かに、それは事実でもあったからや。

このマンションには、昔から新聞の勧誘員が多く評判も悪い。常に警戒を怠らんかった。用心してたのにという悔いが残っていた。

この極道タイプの男は、ショータからその言葉を引き出すために誘いをかけたわけや。それに見事に嵌った。

もちろん、ショータにそれが分かるはずもなかったんやがな。

「そういうことなんですよ、旦那。この頃、インターネットやらのおかげで、私らはろくでもない人間やと見られることが多いんですわ。偏見ですな。せやさかい、何もしとらんでも、私らが来たというだけで、警察を呼ばれるんで、ほんまに弱ってますんや」

「そんな、でたらめや。確かに、この男が脅かしたんや」

ショータは、急に、その警察官が、丸め込まれるのやないかと心配になった。

「話は分かった。とりあえず、あんたらも、今日のところは引き上げてくれんか」

やってきた警察官は、その極道拡張員にそう言った。案の定、警察官は、これで打ち切ろうとしとるのが見えた。

「そんな、後から来た人はともかく、そっちの若い方の人は、脅迫罪で調べてくださいよ」

そう言われて、身を乗り出そうとするノボルを押さえて、その極道拡張員が諭すような口調でショータに向かって話した。

「お客さん、警察の方にそんな無茶を言うもんやおまへんで。よろしいですか、新聞の契約をするとか、せんということは、契約事やから、民事ということになるんですよ。私らは、具体的にあなたに危害を加えたということではないでしょう?」

「……」

確かに、そう言われてしまえば返す言葉はない。ショータのより所は、危険を感じたからという一点に尽きるからな。

「警察は、刑事事件に関係したことだけを調べるのが仕事やから、こういう民事については、私ら同士で話し合うしかありませんのや。そうでっしゃろ、旦那?」

この拡張員は、暗に「警察には民事不介入の原則があるから手を引け」と言うてるわけや。

そして、それは多くの場合、効果的な方法ではある。はっきりそれと分かる脅迫や暴力でもない限り、警察は引き上げることの方が多いからな。

ただ、「警察の民事不介入の原則」というのは、警察が必ずしも民事に介入したらあかんというものでもない。

金の貸し借り、恋愛のもつれなどによるトラブルがエスカレートして、暴力沙汰にまでおよぶ場合が往々にして起こる。珍しいことやない。

警察官が、その危惧ありと認めれば、注意、勧告することは何の問題もない。また、そうすべきや。それで、未然に防がれる犯罪も多いはずやからな。

ところが、警察には、事件が確定せな動けんという不文律のようなものがあるのも確かや。予想や想像で動くケースは少ない。というか動きにくい。

それには、日々、多くの事件が発生しとる現実にあって、これ以上、厄介事を抱えたくないという警察官の意識が働くからや。

「警察の民事不介入の原則」というのは、その厄介事を断るための口実として存在するものやという。そう話す現場の警察官もいとる。

また、警察の組織としても、民事に介入することを嫌う体質もあるから、それに首を突っ込んでも、警察官にとっては何の益もないし、それで未然に事件が防がれたとしても評価はされん。

というより、未然に防がれたということ自体、表面化するわけやないから、誰にも知られることもないしな。

骨折り損のくたびれ儲けということになる。それに、ヘタにその事に関わりすぎると上から叱責されるおそれすらある。

リスクだけを背負うことになり、間尺に合わんわけや。

警察庁の警察官への民事不介入の通達としては、下記のようなものがある。

ちなみに、これは交通事故事案の示談に関したものやが、これが、警察の考えの根本にあるものやと考えてもええと思う。


交通事故(人身事故)事件の処理に伴う示談等の取扱いおよび交通相談活動の
実施基準について

 昭和41年3月31日警察庁乙交指発第9号
 警 察 庁 交 通 局 長

  各管区警察局長 警視総監 道府県(方面)本部長

 このたび、交通事故(人身事故)事件の処理に伴う示談等の取扱いおよび「被害者に対する交通事故相談活動の強化促進について」(昭和41年1月28日付け交通局長通達)1(2)の交通相談活動の実施基準を下記のとおり定めたので、今後はこれらにしたがって実施されたい。

(関係事項の抜粋部分のみ)

3 相談に当たっての留意事項
 当事者から相談を受けて処理する場合において留意しなければならない事項は、次のとおりである。
(1) 民事不介入の原則に抵触しないようにするため次の点に注意すること。
ア 示談は、当事者の任意にゆだね、強制することのないようにすること。
イ 示談金額の決定およびその取立方法等について関与しないこと。


ここに「民事不介入の原則に抵触しないように」と明記されている。この姿勢が、現在までも続いとると考えられる。

しかし、平成11年10月26日に起きた埼玉県桶川女子大生ストーカー殺人事件というのが起きたことで、その様相に変化が生じはじめた。

その当時の警察がこの「警察の民事不介入」ということを理由に、積極的に関与しなかったため、結局、助けを求めた被害者が殺害されてしまい、警察に非難が集中したということがあった。

それ以降、警察によっては、この「民事不介入」の枠を拡大解釈傾向にあるというのも確かなようや。

せやから、前回のメルマガ『第136回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■警察の民事不介入の是非について Part1 行き過ぎた介入』でのように、必要以上に介入することもあるのやと思う。

しかし、総体的には消極的という方が、まだ優勢なようやがな。

それは、このケースにも言えた。

「それは、そうやが、今日のところは帰ってもらえんか」

警察も、出動した手前、何事もなかったら、そう報告せなあかん。そのためにも、この場は一旦、収めとく必要がある。

「分かりました。旦那の顔を立てて帰ります」と言うて、その極道拡張員は、その場から消えた。

しかし、警察が引き上げて、ものの10分もせんうちに、すぐ、舞い戻ってきた。

インターフォンのブザーが鳴った。

「どちら?」

「先ほどの、○○新聞の者ですけど」

あの極道タイプの拡張員の声やと、すぐ分かった。

「もう、あれで終わったはずですから帰ってください。新聞はいりませんから」

「そのことで、もう一度、ちゃんと謝罪したいので、出て来て頂けませんか」

「いえ、もう結構ですから帰ってください」

「そういうわけにはいかないんですよ。こういうことは、きっちりしとかんとワシらも困るんですわ」

「あまりしつこいと、また警察に電話しますよ」

「どうぞ、同じですよ。ただ、これは民事で、警察には、民事不介入の原則というものがあるから、さっきのように帰るしかありませんよ。それに、ワシは謝りたいと言うてるのやから、警察を呼ばれても構いまへんで」

「……。本当にそれだけですか」

ショータは、その言葉を信用したわけやないが、このまま押し問答をしても引き上げそうになかったし、あまり逆らうのも得策やないと判断した。

ショータはドアを開けた。

「お兄ちゃん、さっきはほんまに済まんかったね。これ、余分にサービスしとくさかい」と、その極道拡張員は、笑みを浮かべながら商品券とおぼしきものを差し出しながら、その上に「購読契約書」と書かれた紙が添えられていた。

「な、何ですか……」

「頼むさかい、それにサインしてくれんか。ワシも、このままやと帰るに帰れんし、格好つかんねや」

有無を言わせん迫力があった。

結局、ショータは恐ろしくなり、その契約書にサインした。

それに、また警察を呼んでも、この極道拡張員の言うとおり、同じ結果にしかならんような気がしたのも事実や。あてにできん。

しかし、それでも、ショータは、どうにも納得がいかず、ネットで当サイトのQ&Aを見つけ、メールしてきた。

その内容や。


はじめまして、ショータと言います。これから相談することは、Q&Aには載せないで下さい。お願いします。

実は今日こんなことがあったのですが……。

中略

僕は、どうしても納得いかないので、クーリング・オフをしようと思うんですが、それをすると何か仕返しをされたりするということはあるのでしょうか?

それが心配で、どうしたらいいのか分かりません。教えてください。


というものやった。

この相談者の要望どおり、Q&Aへの掲載は取り止めた。

この手の相談をする人は、自分のケースは希で、簡単に特定されてバレるのやないかと危惧する人が圧倒的に多い。ワシらにとっては、ありふれたことでもな。

一応、こちらも、そんな心配はないとは説明するが、絶対とも言えんから、その意志は尊重せなしゃあない。

ただ、こういう相談が、それで埋もれてしまうのも、どうかと思うから、折りをみてという条件で、このメルマガの題材として使うことは了解して頂いたわけや。

こういうケースで回答する場合は「クーリング・オフしたらええ。それほど心配する必要はない。そうしたからというて、仕返しなんかされることは少ない」と言うことが大半や。

「特定商取引に関する法律」というのがある。これの第9条にあるのが、クーリング・オフの規定や。

その「特定商取引に関する法律」第6条第3項に『販売業者又は役務提供事業者は、訪問販売に係る売買契約若しくは役務提供契約を締結させ、又は訪問販売に係る売買契約若しくは役務提供契約の申込みの撤回若しくは解除を妨げるため、人を威迫して困惑させてはならない』というのがある。

分かりやすく言えば、契約した客がクーリングオフを申し出ているのに、それを防ぐため脅したり威圧して困らせたりするような行為の禁止ということや。

これが適用されると罰則規定は、2年以下の懲役または300万以下の罰金ということになっとる。

軽い罪やない。そして、実際にこれで逮捕されとる勧誘員もおるさかいな。

それがあれば、立派な事件として成立するから、この極道拡張員の言うた「民事不介入」というのは通用せんことになる。

せやから、よほどでないと、そんな危険を冒してまで、クーリング・オフ後の仕返しなどというアホな真似をする者はおらんはずやと思う。

それに、勧誘員は、その人間を翻意させることができると考えるからこそ、再度行くわけや。

クーリング・オフの書面を出しとるような人間に、それを望むのは無理なのは、十分承知しとる。

せやから、その意味でも、そんな無駄足を踏む者は少ないということになる。

ただ、確率は少なくとも、世の中には、勧誘員に限らず何を考えとるのか分からん人間がおるのも事実やから、まったくそういうことはないかと言われれば、その保証はできんと答えるしかないがな。

それでも、それがあれば、訴えたら終いのことではある。

もっとも、警察に直接というのは、あまり得策やないかも知れんがな。

確かに刑事事件に相当するものは、警察に訴えるというのは間違いやない。警察はそのために存在するのやからな。

しかし、警察には、それを事件化するかどうかについて、ある程度の裁量権が認められとる。

しかも、それは、それぞれの警察組織によっても違う。もっと言えば、それを担当する警察官次第ということもあると聞く。

その規定も、どうやら全国共通ということでもないようや。

例えば「特定商取引に関する法律」第6条第3項に抵触して逮捕されたのは、千葉県警での話やったが、他の地域では、そうはならんかったという報告も届いとる。その詳しい事情は言えんがな。

むしろ、これで逮捕されたというのは、ワシら業界の人間からすると異例中の異例やったと言えるほどや。

信じられんという思いもあったから、その分、衝撃も強く、そのことが広く認知されたということになったわけや。

せやから、地域や、その状況により、お咎めなしということも考えられん話やない。

警察に直接するというのは、あまり得策やないかも知れんと言うたのは、そういうことからや。

このことを言うのやったら、新聞社の苦情センターに通報する方が賢いと思う。効果も得やすい。

たいていの新聞社は、こういうことには神経質なくらい対応するはずやからな。

場合によれば、新聞社自ら調査に乗り出すこともあるということや。

最近では、今回の拡張員のように「警察は民事不介入」ということを盾にとるような者は激減したが、それでも、現実には、こういう相談例にもあるとおり、なくなったというわけでもない。

未だに続けとるバカもおる。もっとも、それが通用するということもあるからなんやけどな。

それには、このショータのように、怖いから契約するという人が結構な数おるからやと思う。

サイトに届く情報からすると、そのうちの3割程度しかクーリング・オフでの解約はしとらん。残り7割は、おきらめて購読しとるという数字がある。

その中には、ショータのように実際に警察を呼んだが、拡張員が警察に「民事不介入」を主張してうやむやになり、あきらめたという人間もおるわけや。

それに関しては、ワシも「そんなことを言わずに闘え」とまでは言えんから仕方ないがな。

ただ、その場で、そういう「警察の民事不介入」を口実にはさせん方法ならある。

それには、警察を呼んだ時点で犯罪が成立しとる必要がある。

ただ、それに関しては何も難しいことやない。簡単な一言で、その犯罪が成立するからな。

今回の場合で言えば、最初に勧誘員が訪れ、揉めそうな状態やと察知したら「帰ってくれ」と言うとくだけでええ。

刑法第130条に、住居侵入等に関してというのがある。

正当な理由がないのに、人の住居もしくは人の看守する邸宅、建造物もしくは艦船に侵入し、または要求を受けたにも関わらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役または10万円以下の罰金に処する、というのがある。

つまり「帰ってくれ」と要求しとるのにも関わらず居座る行為は、その中の不退去罪となり、あきらかに刑法違反となる。

せやから、そのことを強調すればええ。

これは、聞いていた聞いてない、言うた言わんということは、それほど関係なく、その主張が認められやすい。

その状況が、勧誘を受けていたというのなら尚更や。

そして、それが認められれば逮捕はされんまでも、その場を離れるようにはきつく言われるはずや。

そこまでなら、今回と結果は同じようやが、その後、舞い戻りにくくなるというところが違う。

それでも尚かつ、現場に舞い戻ったということで、警察を呼べば、それで引っ張られる可能性は大となるさかいな。

警察に通報する場合は、確かな犯罪行為を指摘できるようにしといて、言うた言わんという水掛け論や警察の民事不介入などという理由をつけられんようにすることが肝心やと思う。


■あとがき


2週に渡って「警察の民事不介入」について、正反対の事例を紹介してきたが、正直言うて、結論めいたものは何も示すことはできんかった。

言えるのは、そのケース毎で違うということだけや。

警察は市民の最も身近で、頼りとすべき存在やから、市民の安全、財産を守るということを最優先に考えてほしいと切に願う。

人は時として、自分の置かれた状況、立場を何よりも優先しがちなことがある。特に、組織に属しとるとそうなりやすい。組織第一やとな。

その考えがすべて悪いとは言わんが、組織より前に、一人の人間であると考えれば、そのとき何をすれば一番ええのかというのが見えてくるのやないかと思う。

少なくとも、ワシは常にそう考えとる。ワシは、確かに拡張員やが、その前に一人の人間やとな。

せやから、あかんことはあかん。許せんことは許せんと言い続けていきたいと考えとるわけや。これからもずっと。


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