メールマガジン 新聞拡張員ゲンさんの裏話
第47回 新聞拡張員ゲンさんの裏話
発行日 2005.7. 1
■新聞報道の裏読み?
古い友人のテツという男と久しぶりに会うた。京都で古紙回収業をしとる男や。
もう10年ほど前になるが、その頃、このテツと組んで良う仕事をしてた。と言うても、ワシが古紙回収をしてたわけやない。その頃は、すでに拡張員をやってたからな。
テツが古紙回収、ワシは拡張員という組会わせで、お互いの仕事をしとったわけや。
古紙回収に共同住宅のチラシ回収というのがある。公団やマンションの各部屋の郵便受けに、前日の夜『古紙回収のお知らせ』というのを入れる。すると、その内の何軒かは、翌朝、玄関口に古紙類を出す。
それを回収する。その際、常連客に5回に1回の割合いで、トイレットペーパーやサランラップなんかの景品をサービスする。
サービスカードというのがあり、常連客が古紙を出す毎にそれにハンコを押す。それが、5回目の時に、その景品を渡すという仕組みや。
その景品を渡す役をワシがやっていた。景品を受け取りに出てきた客に新聞の勧誘をする。古紙を出すことで、景品を貰おうとする人間が相手やから、新聞の拡材の話はしやすい。
それに、古紙回収を手伝うとる拡張員ということで客の受けも良かったから、これはワシにとっては、カードも上がりやすく、おいしい営業やった。
その当時、京都で拡張員というのは、正に蛇蝎(だかつ)の如くという表現が、ぴったりなくらい嫌われていた。どこでもそうやと言われそうやが、京都のそれは関西では間違いなくトップクラスやった。並の嫌われ方やなかったからな。
その反面、テツらの古紙回収というのは評判が良かった。京都に古紙回収業者は多い。その当時、京都は古紙の回収率も全国1位やったから、住民のそれに対する意識も昔から高い。
俗に、ちり紙交換車と呼ばれる回収車は、京都市内では常に300台は走っていた。タクシーの次に多いのが、この古紙回収車やったからな。
京都では、古紙回収業者は、人の嫌がる仕事を汗水流して一生懸命してるご苦労な人たちやと見られる。拡張員は、人の嫌がることを平気でするヤクザな極悪人と思われとる。
えらい違いやけど、それが実態なわけや。せやからこそ、それを手伝うとる拡張員のワシも少しは良う見られとったということになる。
テツと組むというのは、そのテツの方でも仕事をただで手伝うて貰えるからメリットはあるわけや。
そして、こういうコンビで仕事をしてたというのは、おそらく、後にも先にもワシらだけやなかったかと思う。少なくともワシは他で誰かが、そうしとると言うのは聞いたことがない。
その詳しいことはサイトの『新聞勧誘・拡張ショート・ショート・短編集 第6話 危険な古紙回収』で紹介しとるから興味があれば読んで貰うたら良う分かるやろと思う。
テツと会うのは、ほぼ10年ぶりなんやが、意気投合した人間同士というのは不思議とそのギャップがほとんどない。すぐ、当時の関係になれる。
「テッちゃん、ちょっと、肥えたのと違うか」
「ゲンさんこそ、さびしいになったな」
そう言いながら、テツが自分の頭に手をやる。
「失礼な。人をブルースウィルスみたいに言わんといてくれ」
「何やそれ。そんなええもんか。ぜんぜん、昔と変わってへんな。何でも自分の都合のええようにしか考えんからな、ゲンさんは」
「究極のプラス思考と言うてほしいな。それに、世の中、言うたもん勝ちやからな」
「せやけど、何でゲンさんは未だに拡張員を続けとんのや?今頃は、リフォームの会社でもしとると思うてたけどな」
「まあ、いろいろあってな。せやけど、テッちゃんの方は社長さんか。さすがやな」
ワシは、テツから貰うた名刺の肩書きを見ながら、そう言うた。「有限会社○○商会 代表取締役」とある。
「会社というても従業員が10人程度の零細やけどな」
「それでも、大したもんや。せやけど、古紙もきついと聞いとるけど、景気はどないや?」
「あかん。古紙の値段は一時期より、ちょっとはましにはなっとるけど、じり貧や。今は、ほとんどの所が古紙だけやと食えんようになっとる。せやから、金物を扱うたり、廃材処理やらゴミ処理なんかで何とか食いつないどるような状態や」
「ああ、ゴミ処理と言えば、昔、テッちゃんにそれを頼んだことがあったな」
「あのアパートのゴミ処理か。あれは難儀したで」
その話は、このメルマガの『第33回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■拡張員泣かせの人々 Part2』でも紹介したから、覚えとる読者もおられと思う。
アパートの住人で20数年間、全く掃除もせずゴミを溜めまくり悲惨なゴミ部屋と化した所を、そこの大家の依頼で、ワシがテツにその片づけを依頼した時の話や。
結局、そういう昔話や古紙業界の内情、新聞の拡張話なんかで話が盛り上がった。特に、過ぎたことというのは、どんなことでも思い出になる。
二人で古紙回収をしてた時に、ヤクザの撃った流れ弾に当たりそうになり、危うく命を落としそうになったことさえ、懐かしく笑いながらの酒の肴になるんやからな。
このテツと会うてしばらくしてやったが、ある読者の方が、サイトにこんな事件があると知らせてくれた。
この読者の方も、サイトの『新聞勧誘・拡張ショート・ショート・短編集 第6話 危険な古紙回収』を読んでおられたから、その報道に興味を持って知らせてくれたのやと思う。
その事件の報道内容や。
50円相当の古新聞ぬすんだ男3人が御用
労力の方が大変!?
警視庁○○署は11日、東京都内の資源回収所から古新聞約10キロ(時価50円相当)を持ち去ったとして、窃盗の現行犯で自称資源回収業○○容疑者ら2人を逮捕した。
同署は10日にも、別の資源回収所から古新聞約5キロ(同25円相当)を持ち去ったとして、窃盗の現行犯でアルバイト○○容疑者を逮捕。両容疑者に関係はないという。
古新聞の窃盗容疑で逮捕するのは警視庁では初めてだというが、○○署は「たとえ少額でも、市民の善意を盗み出す犯罪は厳しく取り締まる」としている。
この報道を額面通りに受け取るとすれば「何でそのくらいのことで……」と言うのが、ワシの正直な感想や。
これには、二通りの思いがある。一つは、そんな大して金にもなりそうもない僅かな物を何で盗むのかということと、もう一つは、何でこの程度で現行犯逮捕され実名報道までされたかということや。
ワシも丁度、テツから古紙業界の話をいろいろ聞いていた後やったから、ある程度の事情もそうやが、それを盗む人間の心理も推し量れる。
京都では、こういう行為は「パチリ」と呼ばれとる。実は、テツもこれに悩まされとる側やと言う。
資源回収というのは全国的にどこでもある。これは各自治体毎でするのと、地域の町内会、子供会、婦人会、老人会などの組織で独自にやる場合といろいろなケースがある。
この報道でもある通り、資源回収所と呼ばれる場所に日時を決めて、古紙類の持ち出しを募り集める。
テツの会社は、京都のある地域でその回収を任されとる指定業者や。指定業者以外はその資源回収所からその古紙類を持ち出すことは禁止されとる。
せやけど、その資源回収場所というのも、ちゃんと鍵付きの檻で厳重に管理しとる所もあれば、ただ、置き場所を決めただけの所もある。それも、ゴミ置き場の横というのも珍しくはない。
そういうゴミ置き場の横というような場所から、その古紙が盗まれることが多い。それをする人間に罪悪感はほとんどないと言う。彼らの言い分は、ゴミの横に出しとるものはただのゴミやないかという論理や。
しかし、それが盗みと自覚しとる者も当然やが多い。「パチリ」と言うのは盗むという言葉の隠語やからな。
それでも、罪悪感というのも少ないし、例え、捕まっても大した罪にはならんと思うとる。また、こんな程度で警察に捕まることすらないと信じとる者が圧倒的に多い。
それに、これは昨日、今日始まったというようなことやない。古紙回収というものが始まった頃から、数十年も延々として続けられとることや。盗る者と守る人間との間で、熾烈な攻防戦を繰り返してきたという歴史がある。
警察が介入するとしたら、その攻防戦の末、傷害事件にまで発展した時くらいやった。それでも、盗む側はなくなることはない。未だに後を絶たん。
それには、その現場を押さえられん限りは、その盗みの証拠を証明しずらいということがある。出した古紙に所有者の名前を書いとるわけやないからな。それを出した本人ですら、自分が出したのかどうかさえ分かりにくいのが現状や。
トラックに積み込んで、その場を移動すれば、もう誰もそれが盗んだものかどうかも分からん。例え、誰かに咎められたとしても、古紙回収車に古紙が積まれとるのは不自然なことやない。
そのトラックの荷台の新聞が確かに資源回収所から盗まれた物やと証明はほとんど出来ん。それを出した人間すら特定出来んのやからな。
盗みの意志も何もない真面目な古紙回収業者が、実際にゴミ置き場から古新聞などの古紙だけを集めとる場合がある。
ゴミの日に古新聞をゴミとして出しとる人間も世の中には多い。それを見つけたら積み込む。古紙回収業者には、そういう癖がついとる人間が多い。
せやから、悪気もなく、また、そこがそういう資源回収置き場とは知らず間違って持っていくケースもあるということや。
盗る側もゴミとして出しとる物を持って行って何が悪いんやと開き直る。ゴミとして出してる物やったら誰が持って行っても罪に問われることはない。むしろ、それは歓迎されることやと言えんこともないからや。
ゴミとして出された物は、焼却処分される。そうなれば、その焼却費用がその分だけ余分にかかる。その費用は税金から出る。そうでなくても、どこの自治体でも増え続ける深刻なゴミ処理問題に苦慮しとるのが現実や。
そのゴミを減らして、尚かつ、リサイクルのためにそうしとるのやから、褒めて貰いたいくらいやと胸を張って言う業者もおる。
そこに、何かの立て札でもしてるのやったら、知って盗んだと言われても仕方ないが、ゴミ箱の横に置いてあるのは、誰が見てもただのゴミやないかという理屈なわけや。
そういうこともあり、こういう場合、今まで、警察はあまり介入したがらんということがあった。
警察に限らず、一般的にも古紙はリサイクル可能なゴミという認識やからな。財産価値を認めるということは少なかったということや。
テツは、それを管理する立場やから、それで済ますわけにはいかん。
この報道の通りの5s、10s程度やと言うのなら何の問題もない。しかし、そんな程度の物だけを盗りに来るということはまずない。この報道も、実際はもっと多いやろとテツは言う。
テツの管理しとる地域では、自治体の回収日には、数十カ所の資源回収置き場に少なくとも20トン程度の古紙が毎回出とる。多いときは30トンほどもある。
それを狙って来る。盗りに来る奴は、当たり前やが、トラックでや。大抵は、夜中か明け方が多い。寝静まっとる時を狙う。
盗みに来る人間は、それで稼ごうと思うてるわけやから、少量やと意味がない。あればあるだけ盗ろうとするのが普通や。
普通、トラック1台当たり500sから1トンくらいは持って行く。それ以上は物理的に持って行くのは難しい。それ以下も、金にはならず下手したら足が出るから、それをする意味がない。
例え、目一杯持って行ったとしても、報道の地域だと2500円から5000円ほどの金にしかならん。古紙の価格は変動相場制やから、その時々で違う。せやけど、どの地域でも古紙の値段はそれほどの大差ない。現在の末端価格で
そんなもんや。
普通、そういうことをする人間は、近場ではせん。離れた場所に行ってする。そうなれば、そのためのガソリン代もいるし、時間も手間もかかり体力も使う。
しかも、盗みに危険が伴うとなれば割には会わん。少なくとも、儲けると言うにはほど遠いということや。
それでも、それをする奴は後を絶たんと言う。理由はいろいろあるが、古紙回収業者、俗に言う「ちり紙交換員」と呼ばれとる者の実態が根幹にある。
彼らは今、真面目に1日廻って仕事をしたとして1トン程度の古紙を集められたら、良しという状態らしい。
大半のちり紙交換員は、専門の古紙回収会社に所属しとる。ワシらと同じ、個人事業者という立場になる。拡張団と拡張員の関係に似とる。
良うて5000円程度しか1日働いても得られん。そこから、トラックは借り物やから、そのレンタル代金として、1日2000円前後、ガソリン代1000円前後の経費が最低必要になる。
そして、その所属する回収業者によりやけど、大抵は寝る場所の寮費というのを取られる。それが、1日、1000円から2000円。それで、残った金でめしを食わなあかん。ほとんどがそれでは食えんと言う。
それで、昼間の回収以外に、夜にゴミ置き場を廻り、少しでも古紙を集めようとする。その延長に今回のような盗みの行為があるというわけや。
それだけを聞くと、やむを得んことのように思われるかも知れんが、それは、手前勝手な論理としか言えん。
ワシらの世界で言えば、てんぷらなんかの不良カードを上げとる人間の理屈に共通するものがある。そうせな、めしが食えんと言う論理と同じやからな。
テツの話やと、やはり、そういう盗みをする者は、全体の極一部やと言うことや。ほとんどの人間はそんなことはせんと言う。
普通の古紙回収員は、その地域全体のあちこちで古紙が集積されとれば、そこでは地域回収があるものと判断し、例え、ゴミ置き場にそれが放置されていようと、その場所では、それを持っていくような行為は遠慮するもんや。間違って持っていく以外はな。
知らんなんだと言うのは詭弁でしかない。どの世界でも、苦しい状況で頑張っとる人間は多いからな。
ワシらの世界では、稼ごうと思うたらカードを上げたらええとなる。人にとやかく言われん方法でな。
それは、古紙回収の世界でも一緒で、1トン程度の荷物であかんのなら、2トン、3トンの荷物を集める工夫をするべきやからな。因みに、古紙業界では、集めた古紙類は「荷物」と呼ぶ。
実際、テツも1日3トン、4トンというこの業界では異例とも言える集積能力を見せ、一介の古紙回収員から業界の会社社長までなったんやからな。
腹が減ったから、無銭飲食、食い逃げは仕方ないという論理と一緒で、そんな理屈は認められることやない。
テツも、パチる人間を放置しとるわけやない。それなりの対策は立てとる。地
域の住民には、当日の朝に出してくれと知らせるのやが、前日の夜から出す人
間も多い。
それで仕方なく、テツも従業員を総動員して各集配所を監視する。しかし、一晩中というのもきついからどうしても交代でとなり、人数も限られる。しかも、集積場所は、数十カ所にも及ぶ。とてもやないが、すべてを監視することは難しい。
例えば、二人一組にして、4グループ作り、2グループづつ交代で監視させたとしても、それぞれの受け持ち区域を巡回するのに、30分程度かかる。つまり、一度、確認した場所は、30分後でないと巡回せんことになる。
その隙を狙われる。その集積場所に200s程度の古紙が出とるとしたら、そういうことの手慣れとる連中は、ものの1分とかからず、それを全部積み込んで逃げる。監視するのも容易なことやない。
テツも、それに業を煮やしその連中を何度か捕まえたことがある。捕まえるのも現行犯でないとあかんから、その日、どこかの場所で網を張り、そこで待ち受ける。
それも、一つの賭や。そこにその連中が来んかったら、他の場所の荷物を持って行かれるおそれが大やからな。
しかも、待ち受けるのも堂々と待っていたんでは、当たり前やが、誰も来ることはない。分からんように隠れて待たなあかん。ただ待つというのも根気のいることや。
盗みに来る人間には、特有の行動パターンというものがある。特に、テツのように毎回、巡回しとる業者がいとるということを知っとる地域をパチリに来る人間は、それなりに考えとる奴が多いということや。
待つこと、3時間。それらしいトラックが、その集積所に近づいて停まる。荷台にはすでに、300s近い荷物が積み込まれとる。
すぐには降りて来ん。辺りを伺っとるようや。しばらくすると、何を思うたか、そのトラックは、おもむろに、どこかに走り去る。テツも、初めのうちは、それは、待ち受けとるということを気付かれたためやと思うてた。
しかし、どうもそれは、そういう連中の行動パターンやというのがすぐに分かった。普通、そういうことをする人間がおれば、待ち受けとる側は気付かれた思う。
そう思えば、そこでの待ち受けはあきらめるか、その走り去ったトラックを追う。ただし、現行犯でないから捕まえても、自白せんかったら意味がない。下手に争って暴力を振るえば逆にそれで訴えられる。
ただし、追いかけられたら、その人間もそこではヤバイと思うから、その日はそのまま引き上げる。それを、確かめるために、そういうフェイントをしとるわけや。
テツは、それを知っとるから、また待つ。すると、ものの10分もせんうちに、そのトラックが引き返して来た。そして、素早く降りて古紙を積み込もうするのを押さえた。
その時も、一応、警察にも連絡したが、結局、逮捕ということにはならなんだ。相手の古紙回収会社のトップと二度とこういうことはせんということで話をつけて終わりや。
このニュースのことを、テツにも知らせると、やはり、意外やと言うてた。もっとも、この報道の中でも『古新聞の窃盗容疑で逮捕するのは警視庁では初めてだという』とあるから、やはり、珍しいことには違いないのやろと思う。
それにしても警察は良う捕まえたと思う。あるいは、その地域にテツのような業者の協力者がおったのかも知れんがな。
ただ、報道の通りの僅か5s、10sの窃盗やないやろとは思う。やはり、テツの言う通り、かなりな量を積み込んでいたと考えた方が自然や。
もっとも、警察が、その現場をずっと張り込んどって、それを盗った瞬間に逮捕したというのなら、分からん話やないが、それも難しいというのは、今までのテツの話でも分かるやろと思う。
何より、別の日に、別々の場所でそう都合良く、3人の男の犯行の瞬間を捕まえることが出来るほど、根気よく警察が張り込んでいたというのも、どうかなと思う。
事件の大きさに比べてそこまでするやろうかという気がするからや。しかも、こういうケースに前例がないとなれば尚更や。
おそらく、この裏には、別の思惑があるはずや。実際の窃盗した分量が1トンあったとした場合、窃盗事件では、その物は証拠物件として押収して保管をせなあかん。つまり、この場合は、その古紙の保管を意味する。
それを押さえて保管する場所の確保もそうやが、それは、本来、リサイクルされなあかんものや。そんなものを警察が抱え込むのは面倒やと思うても不思議やない。警察にすれば、盗んだという事実だけあれば、それでええわけや。
古新聞を盗んだ量は、多くても少なくても罪としたら、このケースにそう大差はない。それなら、証拠物件として押さえる物は少なくても構わんということになる。
それに、その程度の窃盗とすることで、その報道があれば、こういうことの抑止効果も狙える。また、警察のイメージアップも図れると考えたということもあるやろと思う。どんな小さな犯罪も警察は許さないとアピール出来るからな。
もちろん、それはあくまでも、単なるワシの憶測や。ただ、その憶測も、テツの話を聞いとったことで考えられることやけどな。
勘違いせんといてほしいが、ワシは何も報道が間違うとるとか、湾曲しとると言うてるわけやない。警察も、この報道をした新聞社も、古紙業界の内情に関しては素人やしな。
また、その内情まで、すべてを発表も報道も出来ん事情もあるやろうから、ある意味、仕方ないことやとは思う。例えば、外部の事情通からの協力などの情報は伏せるのは、当然やろしな。
今回、ワシが言いたかったのは、一つの報道には、いろいろと表に現れんこともあるということや。特に、そのことを良う知っとる人間から見た場合はな。
新聞報道には、そういう側面もあるということを知っとれば、また、新聞の読み方も面白いと思えるかも知れん。裏読みの楽しさというやつや。
報道されることが、そのすべてやとは限らん。そう思うて、間違いはないと思う。何でもそうやが、言えんこと、報道出来んことと言うのは結構あるもんや。それが、ええか悪いかには関係なくな。