メールマガジン 新聞拡張員ゲンさんの裏話

第49回 新聞拡張員ゲンさんの裏話     

発行日 2005.7.15


■共謀罪についてPart2


前回のメルマガの「共謀罪について」の反響があり、それについてのメールもいくつか貰った。

そのうちの、ある大学生の方から寄せられたメールを紹介する。


いつも、このメルマガ、楽しみに見ています。
共謀罪についてですが、びっくりしました。こんな法律が決められようとしているなんて夢にも思いませんでしたから。

ゲンさんの説明だと、冗談で言ったことまで犯罪になるということでしたが、まさかそんなことがと思いました。しかし、調べてみるとどうも本当のようですね。

それにしても、不思議に思うのですが、こんな重要な法律のことなのになぜテレビなんかで報道していないのでしょうか。僕の個人的な意見かも知れませんが、「郵政民営化」なんかより、よっぽど重要だと思いますけどね。


他にも、同じような内容のメールを頂いた。いずれも若い方や。ありがたいことに、このメルマガは、比較的若い方々にも読んで貰うてるようや。

前回、若者の政治離れについて少し話したが、こうして、関心を寄せられるということを考えれば、あながち、そうとばかりは言えんようや。

少なくとも、聞く耳はあると感じた。後は、いかに彼らに伝えられるかだけや。これだけは、はっきり言えるが、若者に政治について背を向けられるとこの国はいずれ滅ぶ。それを思えば、救いはありそうや。

ワシは、思想的には右でも左でもない。批判的な意見も、できるだけ避けたいとも考えとる。

しかし、今回のように、明らかに無茶やと思えることや納得できんことには、黙っとることができん。そう思うて、前回のメルマガで「共謀罪」について言いたいことを言うた。

この人の疑問に「こんな重要な法律のことなのになぜテレビなんかで報道していないのでしょうか」というのがあったけど、これについては、ワシも同じような疑問を抱いとる。

ただ、7月13日付けのA紙の朝刊に、この共謀罪についての記事が掲載されとったので、その一部を抜粋して紹介する。


共謀罪 修正要求相次ぐ  衆院委 与野党「対象広すぎる」

犯罪行為をしようと話し合っただけで、実際には誰も行動しなくても罪に問われる「共謀罪」を設けることを盛り込んだ組織的犯罪処罰法の改正案などが、12日の衆院法務委員会で実質審議入りした。共謀罪があてはまる罪は、61
5種にのぼることが政府答弁でわかり、与野党双方から法案の対象が広がりすぎるとして、修正要求が相次いだ。


また、同紙のWEBサイトにも同様の記事があり、もうちょっと知りたいという方は参考にしてほしい。

http://www.asahi.com/politics/update/0712/009.html

更に、M紙のWEBサイトでも「共謀罪」の記事があったので併せて紹介しとく。

http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/kokkai/news/20050713k0000m010141000c.html

7月13日現在、この2紙だけとは言え、大手新聞、及びそのWEBサイトで報道されとったのは事実や。

また、その国会の審議でも、与野党の議員が、その「共謀罪」の法案の不備について「与野党双方から法案の対象が広がりすぎるとして、修正要求が相次いだ」と指摘したというのも、それなりに評価したいと思う。

この問題が、人知れずこっそり国会で審議され、法案が通過ということになったら、この国の未来は危ういからな。その意味でも、この報道は大きい。

それでも、まだ、この問題が小さく扱われとるのは、少し不満やがな。それには何か裏でもあるのかなと穿ったことも考えられんでもない。もっとも、証拠も確証もないから、この場で何も言うことはできんがな。

ちょっと、話がそれるかも知れんが、この件、一つをとっても各新聞がすべて共通の事件、記事を扱うとるのやないということが分かるやろと思う。

災害や事故、大きな事件や話題は、大抵の新聞が扱う。せやから、新聞はどこの新聞を読んでも一緒やという錯覚にとらわれやすい。

ワシらも実際、営業トークで「新聞の記事は、どことも一緒ですよ。テロや若貴の話の載ってない新聞はないでしょ」と良う言うてる。

確かにそれはその通りや。大抵の客もそれに対して反論もせんしな。しかし、今回のように、記事としてして扱う新聞社とそうでない新聞社という例もある。

特に政治や思想に関したことでそれが多い。新聞社もその思想的なものに左右されとると感じられることがある。俗に言う右翼思想、左翼思想というやつや。これについては、それほど難しく考えることはない。

政治の世界では、一般に保守勢力を右翼、革新勢力を左翼と言う。今回の「共謀罪」の報道にはこの違いの影響があると思われる。

全国紙は大きく分けて、Y紙、S紙は右翼で与党政府寄り、A紙、M紙は左翼、野党寄りの報道になりがちやと考えられとる。

今回で言えば「共謀罪」についての法案を出す方が政府やから、その批判的な内容になりそうな記事は、右翼とされるY紙、S紙では載せへんかったということがそれや。

もっとも、Y紙、S紙にすれば、他にも伝えたい記事が多く、それほど重要とは考えてなかっただけということになるのかも知れんがな。

そういう見方をすれば、今回「共謀罪」についての報道が、A紙、M紙の両紙だけやったというのが分かるやろと思う。

今回、ワシはこの「共謀罪」の報道をしたA紙、M紙の両紙の支持をするが、それは、この件に関してだけやということも併せて言うとく。

これは、ワシが長年、勧誘してて気が付いたことやけど、知らず知らずの内に新聞の論調に染まるという人間がおる。新聞に書かれていた論調が、そのまま個人の意見として出ることがある。

ワシは現在、Y紙の勧誘をしとるが、A紙の読者から、その新聞に書かれていたような論調で、議論を仕掛けられることがたまにある。

大抵は、それが分かっていても、何も言わず引き下がる。客と拡張員の間で議論をしても、そのほとんどが不毛な言い争いになることが多いからな。

特に初対面では、まず、ワシら拡張員の意見をまともに聞こうという姿勢の人間は皆無に近い。

その根底には「そちらの新聞は程度が悪いから取らんで」あるいは「拡張員に何が分かる」というのが、あからさまに見受けられるからや。

それは、大いなる誤解と偏見なんやが、それについての詳しいことを、その客と議論しても、ほとんどの場合、無駄や。

それでも、中には話の良う分かる客もいとるがな。そう感じたら、その客には「2紙購読の勧め」というのをする。

大抵は、新聞は1紙だけというのが普通や。理由は金銭的なものもあるやろけど、やはり、全国紙ならその内容に大差ないと思うてる場合が多いからな。同じようなものを2紙も取るのは無駄やと考える。

しかし、考え方の面でバランスを取ろうと思うたら、その対局にある新聞や書物は常に読むようにしてた方がええ。そうすることによって、その考え方が一方に傾くのを防ぐことができる。

新聞購読で言えば、Y紙、S紙のいずれかと、A紙、M紙のどちらか片方のそれぞれ1紙づつの計2紙を読むことで、自然と左右の論調を知ることになり、考え方のバランスが保たれるということや。

それは、新聞勧誘の営業テクニックの一つやないのかと言われても、反論はせん。結果的に、それで、購読客確保につながりカードになるということもあるからな。

最後に、これだけは言うとくけど、どの新聞の内容が良うて悪いということはないということを分かっといてほしいと思う。

どの新聞もその時々の記事の内容で違い、読者の捉え方で変わるもんや。所詮、人間の作るものやから、間違いやミスもあれば、誤報もある。しかも、過去の事例を持ち出すまでもなく、すべての新聞でそれが言える。間違いや誤報のない新聞は皆無やからな。

もちろん、新聞だけやなく、テレビ報道もそれは一緒や。どんな情報にもそれはついて廻る。何でも、これが、絶対に正しい報道、情報やとは鵜呑みにせんことやと思う。

それから「共謀罪問題」についてやけど、これからも何か進展があれば、このメルマガで伝えるつもりや。


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