メールマガジン 新聞拡張員ゲンさんの裏話

第7回 新聞拡張員ゲンさんの裏話

発行日 2004.10.1


■資源は大切に?


サイトにこんな投書が来た。

『近所の新聞販売所が、夜な夜な、店の裏手で、ドラム缶で 新聞やチラシを 燃やしています。真っ赤な火柱が上がっているので、「あー、今日もやってる」 なんて思いながら素通りしています』

何ちゅうことすんねん。けしからん店やな。大事な資源を何やと思うてんねん。 これは、明らかに残紙や残チラシを燃やしとるんやと思う。

一昔前ならこんな ことはなかったはずや。 理由は、古紙の長期暴落により古紙回収業者が減って来とるということが影響 しとるんやと思う。

特に地方での廃業が目立つ。そして、この投書のあった 地域の販売所も地方や。 古紙回収が全盛の頃は、新聞の残紙もそこそこの値段で回収業者に引き取られ ていた。その頃は回収業者も販売所の残紙を獲得しようと競争していたもんや。

ワシの知ってる限りでは、京都におった頃が新聞の古紙の値段が一番良かった と記憶してる。 もう10年近く前になるが、古紙の売値が1キログラム15円ほどやった。ワ シの友人にテツという古紙回収の男がおったが、紙問屋の引き取り値がそんな もんやと言うとった。

その頃、ワシの知ってた販売所で出る残紙は1週間で1トン前後もあった。売値 で15000円ほどになる。古紙業者や販売所に支払うのは半値が相場やから、 7000円から8000円の間や。

チラシもその頃は1キログラム5円になって た。安いがチラシは新聞より重量があるからそこそこにはなった。

それが、ここ3、4年の間に暴落した。最安売値が1キログラム3円やったと言う。 1トンでも3000円ほどにしかならん。下手したらカソリン代も出ん。儲からん。

どんな商売でも儲からんと皆辞める。廃業者続出ということなった。 そうなると販売所も深刻や。1ヶ月も放ってたら置き場に困る。量も半端やない。

役所も、一般家庭の古紙の回収はするが、業者分は能力がないから出来んと言う。 仕方なく販売所は、産廃業者に廃棄を頼む。これが馬鹿にならん。

ゴミ処理として 焼却場に持ち込んでも金はいる。今まで、金を貰うてたのに金を払うのは勿体ない と考える販売所も当然おる。

特に、田舎は昔から、ゴミは燃やして処分するという発想が未だに根強い。そこで 今回のように燃やせとということになったんやろうと思う。

しかし、断るまでもないことやけど、無許可、無設備のごみ焼却は「廃棄物の処理 及び清掃に関する法律」で禁止されとる。

家庭用小型焼却炉の使用も禁止で、まし てやドラム缶で燃やすやなんてもっての外や。
当然、罰則もある。3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金又は懲役と罰金の両 方が科せられる。

軽い刑やない。 例外として、少量の剪定枝や落ち葉、刈った草等は構わないということになっとるが これも、住宅地ではトラブルの元となっとるから、実質は出来んと考えとった方がえ えやろと思う。

この販売所の人間も、それは分かっとるから目立たんようにと夜になって燃やしとんのやろけど、結局は通行人に見らてバレとる。こんなことを続けとったら、いずれ、 捕まるかも知れんな。

そもそも、何でそんなことをこの販売所の人間がせんとあかんのかということやが、 それは、押紙による過剰な残紙と残チラシの発生に原因がある。

押紙については新聞社にも責任があるが、販売所も受け入れ入荷部数と配達実部数と に差をつけ過ぎたらあかん。

そりゃ、多少はしゃあないと思う。 100%間違いなく配達するというのも難しいし配達中に汚れたり破れることもある から、ある程度の予備は必要や。それも過剰な予備は問題やがな。

せやけど、折り込みチラシの場合は事情がちょっと違う。業界の常識として、新聞社 からの入荷部数を販売所の公売部数として、折り込みチラシ依頼業者からチラシ代金を 取るということを公然としとる。

しかし、公売部数と配達実部数の開きは少ない所でも10パーセントはある。つまり、公売部数が1000部やったとしたら、配達実部数は900部ということになる。

100部は初めから不要やということが販売所には分かっとる。それでも、その100 部のチラシ代金は取る。不配チラシになるわけや。これは、誰が考えても詐欺になる。 慣例やから許されるということはない。

しかも、そのために無駄な不配チラシを出して燃やし、それで二重に法律違反を犯して 発覚したら世話ない。加えて、折り込み依頼業者にそのことがバレたら目も当てられんことになることも考えとかんとあかん。

サイトの新聞勧誘・拡張ショート・ショート 第5話『新聞奨学生マタやんの憂鬱』 の中で、ある新聞販売所が、テキヤの折り込み残チラシを古紙業者に頼んで廃棄しよ うとした現場を押さえられて揉めたことを紹介したが、並のトラブルで済まんかった のは容易に想像がつく。

大抵の人間は、大きなトラブルに見舞われた後、初めて自分のした愚かさに気づく もんなんや。こんなことなら、しょうもないことせんといたら良かったてな。

過ちて改めざる、これを過ちと謂う。という教えがある。

人は誰でも必ず過ちを犯す。しかし、その過ちを反省する者は、その人間にとって教訓となるから、本当の意味での過ちにならん。

本当の過ちとは、悪いと承知していながらそれを続けることや。こういうことをしてる販売所は他にもあるとワシは思う。

悪いことは言わん。今のう ちに止めることや。誰も知らんと思うてるのやろけど、周りの人間は皆、見てるし知 ってるで。


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