メールマガジン 新聞拡張員ゲンさんの裏話
第70回 新聞拡張員ゲンさんの裏話
発行日 2005.12. 9
■くり返される悲劇!!広島小1女児殺害事件の現場では……。
広島女児殺害事件の犯人が逮捕された。犯人はペルー人やと言う。本人の自供、証拠からまず犯行は間違いないようや。
正直、ワシはこの一報が入るまで、事件が起きてから、あることが頭をよぎって仕方がなかった。
去年、奈良で起きた奈良小1女児殺害事件の犯人は、新聞販売店の従業員やったというのがあった。頭によぎったのは、それや。
ワシは、サイトのQ&A NO.56でもこのことに触れ『新聞配達店の従業員が、これからも同様の事件を引き起こす可能性と言うことであれば、限りなくゼロに近いとは思う』と言うてた。
やはり、そうやなかったということだけで言えば、一応は安堵したが、またもや、小1のいたいけな女の子が犠牲になったという憤りはどうにも収まらん。
更に、栃木でも同様の事件が連続して起こってしもうた。こっちも、報道で事件の推移を見とる限りは犯人逮捕も近そうや。また、是が非でも逮捕せなあかん。
今は、ただ、ただ、この子らの冥福を祈るのみや。せめて、心安らかに眠ってほしいと……。
それにしても、こういう人間はどうしたらええのやろかと思う。どうも、この犯人も奈良の犯人と同じような性情の男のようや。
しかし、何やら、これらの事件に触発された同様の連中が、あちこちでうごめいとるような気がしてならん。せやから、犯人が逮捕されたからと言うても安心はできんと思う。
今月の6日には、ある小学校に、父兄を装うた男が、小1の女児を連れ出そうとした未遂事件があり、犯人はまだ逃走中や。また、同じ6日にも、小4の女児にわいせつな電話をかけとったとして逮捕されとる男がおる。
こいつらは、間違いなくすべて同じ性情の人間や。ロリコンか異常性愛者かなんか知らんけど、とんでもない変態野郎たちや。こんな輩は、絶対にのさばらしたらあかん。
ある読者から情報提供のメールを頂いた。内容は、広島女児殺害事件に関したもんや。いつもは、その原文を紹介するのやが、今回は、その内容だけにする。
万が一、その情報提供者がそれで特定されるようなことがあって、迷惑がかかるようなことになったらあかんからな。それほど、その内容には微妙なところがある。
これには、報道のされとらんことも多い。現場の関係者でしか分からんことが含まれとると思うからや。
やはり、というか警察が真っ先に取り調べたのは、ワシも危惧しとった通り地元の新聞販売店やった。これは、明らかに奈良の事件の影響や。
警察も短絡的と言えば言えるが、こういう事件が起きた場合、真っ先に新聞販売店を疑えというのは、今やセオリー化されとることなのかも知れんという気がする。
地域すべての新聞販売店が、その捜査の対象とされた。それも、事件発覚直後の当日、すぐやという。
報道では、聞き込みの捜査対象は、事件現場の半径500メートル以内に限定しとるということになっとったが、それを外れた新聞販売店もある。まあ、そんなことは、どっちでもええがな。
ついでやから言うとくが、こういう報道だけは鵜呑みにせん方がええ。これは、いろんな思惑があってそう報道しとる場合が多いからな。
捜査機関の意図的なリークも考えられ、報道機関もそれに協力する報道をすることもあるようや。それには、犯人を安心させるために、そうする必要もあるのやろと思う。
せやから、実際には数キロ、数十キロまで捜査範囲を拡げとるということもあるということや。正しい発表は、犯人が逮捕された後やと思うた方がええ。
もっとも、それも、検察あたりで、裁判での公判維持の都合上、一部の情報は押さえることもあるようやから、どこまで公表されるかは疑問やけどな。
とにかく、重点捜査の感があったという。まず、調べられたのが、従業員のアリバイやった。
中でも、県外者から来た者、ごく最近に雇用された人間、独身者なんかは執拗に聞かれたらしい。加えて、退職した人間についても同様やった。
これは、ある意味、仕方のないことかも知れんが、その警察の聞き取り捜査というのは「お願いします」「協力して下さい」という感じのもんやない。
警察手帳を出せば、何でも通るかのような言動やったという。
一見して本当にこの男が刑事なんかというような人間は、警察にはごろごろおる。ヤクザと勘違いするような者もそれほど珍しいことやない。
そんなのに高圧的な態度で、それを聞かれれば、誰でもええ気はせん。本物のヤクザに脅されとる気分になるさかいにな。中には、まるで犯人扱いやったと言う者もおったという。
ワシもこういう経験は腐るほどあるから良う分かる。何ぼ、疑うことが仕事やと言うても、度をすぎとる人間がおるのは事実や。
ワシも過去に「やったのはお前やろ」と何の証拠もないのにも関わらず、まるで断定するかのような刑事と渡り合うたこともあったからな。
そういうのには「あんたは、金田一耕助か」とジョークまじりに皮肉を込めて言うたったことがある。後で、古畑任三郎にしても良かったかなと思うたけどな。
もっとも、どっちにしても相手に受けんかったことには変わりはないやろがな。結果は怒らせただけや。ほんまに、洒落の分からん人間が多かった。
ただ、事件が事件やということもあるし、奈良でのこともあるから、誰一人、その高圧的な態度に対して、ワシのような文句や異を唱えるようなことはせんかったらしい。
ここで、警察を擁護するということでもないんやが、彼らもまたそれなりに必死なわけや。
こういう大事件は、警察にとっても、その威信がかかる。県警本部からのケツタタキは並の事件とは桁が違うということもあるからな。
刑事もワシらと同じで、一般からは毛嫌いされとる。ただ、それについては、ワシらの多くは甘んじて受けるというか仕方ないと思うとるが、彼らはそうやない。
刑事を毛嫌いする人間は、何かやましいことがあるからやと考える。口に出さずとも、そういう相手は直感で分かる。まあ、刑事やのうても、相手に嫌われとるというくらいは誰でも分かるがな。
人間やから、そういう相手やと感じたら徹底した聞き方にもなるということや。それが、恫喝と受け取られることもある。
そして、顧客リストの提出まで求められた。それには、特に引越し客なんかの捜索が目的やったようや。これは、ガスコンロの箱が新しかったからやろと思う。
しかし、この周辺のほとんどの新聞販売店で、その場での顧客リストの提出は拒否したそうや。
これについては、一応マニュアルのようなものがある。このような場合、捜査協力を促す書類(令状等)か、オーナーか責任者の許可がなかったら、顧客リストは出すなという指示がある。
この顧客リストというのは、販売店にとっては命そのものや。それを簡単に渡してたんでは信用に関わるという意識が強い。どうしても、その提出が必要なら、その手続きを踏んでくれとなる。
せやけど、そう言えば、その担当刑事もええ気はせんから、かなり恫喝的に迫った所もあったと聞く。
彼らにしても、貰えませんでしたで帰ったんでは、上から何を言われるか分からんと考えるやろからな。
ほとんどの販売店と言うたが、一部、それに堪えきれずか、積極的かは分からんが、応じた所もあったようやからそう表現したわけや。
もちろん、そうしたからと言うて、その行為が責められるということやないとは思う。いくら、マニュアルがあるとは言え、その場の判断は、あくまでも現場の人間がする以外にはないからな。
一般読者からも、それに類似した質問があったという。「まさか、あんた所の従業員やないやろな」というニュアンスのものや。やはり、これも奈良の事件の影響やと思う。
そういう場合、その販売店は、はっきりと「うちではありえないから、安心してください」との応対をしたそうや。
事件当夜は、各新聞販売店の周りには、警察のパトカーが見張り番のようにおった。そういうのが、おれば、周囲の人間は誰でも不安になる。
「あの販売店、何かあるのではないか」と思われても不思議やないからな。仕方のない反応やと思う。
もっとも、この疑われるということが必ずしもマイナスに作用するとばかりは言えんがな。
こういう事件が起きると、真っ先に新聞販売店が疑われるという構図があれば、当然やが、この業界におる人間は迂闊なことはできんということになる。
その中で、ロリコンのような変態野郎がおれば、いの一番に疑われる。本当に、そういうことを企てとる連中にとっては、最も居心地の悪い環境の職場になったというわけや。
必然的に、そういうのは、この業界から離れて行く。残るのは、普通のまともな人間だけや。結果として、この業界から、こういう犯罪者は出んようになると考えられる。
普段からワシが良う言うてる、悪いことが必ずしも悪い結果を招くとは限らんということや。
2日後から、その取り調べが嘘のように引いたという。警察からは、何も言うて来んようになった。
今にして思えば、容疑者がその時点で絞られたからやと思う。もちろん、報道では、そのことはどこのテレビ局、新聞とも何も言うてないし、書いてなかったがな。
せやけど、販売店関係者同士では「犯人逮捕は近いな」というのは分かってたという。もちろん、それを迂闊に口外することはできんかったようやけどな。
当事者たちは被害妄想的に思うてたようやが、新聞販売店だけがそういう取り調べを受けたというわけでもなかった。
実際に、これは後で分かったことやけど、本屋・レンタルビデオショップ・ゲームセンターでも、同様の調査が、その当日、あったということやからな。
犯人の逮捕後、新聞販売店へのフォローは、まったくなかったとのことや。ワシは、これは問題にしたいと思う。
やはり一言「捜査にご協力、ありがとうごさいました」というのがあってしかるべきやないやろか。
これは、道義的にとか、感情的にどうとかという話やない。むしろ、実務的にという意味合いでそう思う。
その意味を、このメルマガの読者の中に、警察関係者がおられることを期待して話す。
警察の仕事として「疑わしきは親でも疑え」という姿勢は評価できる。捜査は、性善説ではあかんということも承知や。特にこんな犯罪を起こす犯人の捜査にはな。
せやから、その捜査過程において、疑念を持っての捜査には異論はない。ただ、その疑念を向けられる人間の気持ちは、やはり考える必要があると思う。
そういうことに配慮せんかったら、警察自体の捜査が、狭まるおそれがあるからな。そういう、仕打ちを受ければ、誰も警察への協力はどうしても拒むようになる。
今回で言えば、事件の起こりは、確かに奈良での小1女児殺害事件を彷彿させる要素はあった。正直、ワシも、そのことが頭をよぎったくらいやからな。
しかし、それが解決したら、やはり、その疑いを向けた人には、捜査協力に対する感謝の言葉はあるべきや。例え、電話1本でもええと思う。あれば、かなり違う。
このままやと、警察と新聞販売店の溝は大きくなるばかりや。新聞販売店を甘く見ん方がええ。ワシら拡張員もな。
ワシら拡張団、拡張員間もそうやけど、新聞販売店間でも、このことの噂は確実に広まる。そうなれば、このままやと、同様の事件が起こる度に、対立するような構図になりやすくなる。
頭から疑われるだけで、捜査に協力をお願いしますという姿勢やないのやからな。せやから、例え、何か情報があっても進んで伝えにくくなる。下手に言えば、自分が疑われるのやないかと考えるからな。
特に今回のような事件では、日中で、その時間、比較的自由に動ける人間であり地域の地理に詳しい者という範疇に、新聞販売店の従業員はぴったり嵌る。ワシら拡張員もな。
ここで、ワシが言いたいのは、疑われるというその要素が、角度を考えて見れば、その犯人を目撃する可能性が高いということを意味しとるということも考えてほしいということや。
また、そこに生活圏を持つ犯人についての情報を握っとるということも十分考えられる。犯人のその行動と同時刻、同範囲で同じように仕事しとるわけやからな。
たった一言の言葉があるだけで、人間は違う。他の地域の関係者も次に同じようなことがあれば協力しようという気にもなるからな。
これは、あまり意味のない数字かも知れんが、全国に警察官の数は内勤者も含めて29万人いとるという。
これに対して、新聞販売店では、すべての配達員を含めると47万人前後いとる。これに、ワシら拡張員の十数万人を足すと60万人強になる。警察のざっと2倍や。
しかも、ワシらは、日中、動き廻るのが仕事みたいなもんや。地域のことも路地裏1本に至るまでの隅々から、住んどる人間の性格や性質、動向まで熟知しとる場合がある。
いろんな客の所に行くから、中には、一目で危なさそうな人間なんかが、どこにいとるのかも知っとる。
あきらかに薬をやっとるなと思えるようなのもたまにおるからな。そういう、情報なんかも、敵対さえしてへんかったら、進んで話すし、聞き出せると思うんやけどな。
はっきり言うけど、今のままやと、どうしても進んで協力するというには、ほど遠い状態やと思う。協力せなあかんことは分かっとってもな。
せやから「捜査にご協力、ありがとうございました」という警察の姿勢は必要やと思うということや。
これは、ワシらだけにやなく、すべてでそうやったら、もっと、警察に協力的な人間も増えるのやないかと思うんやけどな。
ここまでは、警察への苦言と提言やけど、それとは別に、こういう事件は、人間として阻止せなあかんと思うのやが、どうやろ?
何でこんなことを言うてるのかと言えば、ワシら末端の新聞関係者も、その気になれば、子供たちを守ることができるのやないかと考えるからや。
これは、警察に協力とかそういう次元の話やない。ワシら自身の存在が、こういう事件の抑止力になれるのやないかと思うから、そう言うてるわけや。
それについて、何も特別なことをする必要もない。普通にいつもの仕事をしとればええ。ただ、ある時間だけ、特別な地域で仕事をするように心がけるのがポイントやがな。
一連の事件を見る限り、犯行は、すべて児童の下校時間に集中しとる。そこを狙われとる。これからも、その傾向は続くやろと思う。
せやから、地域の通学路に面した家々の勧誘を、下校時間に合わせた、午後1時〜午後4時くらいの間でするんや。
実は、ワシは余裕のある日には、なるべくそうするようにしとる。本来は、この時間帯の多くは、さぼっとる場合が多い。別の言い方をすれば充電タイムや。
それには、あまり、仕事になる時間帯やないということがあるからな。そうは言うても、何もせんとさぼっとるよりかは、はるかにましなのも事実や。それで、カード(契約)が1本でも2本でも増えるかも知れんからな。
別に、自慢できるほどのことやないが、この仕事を続けとれば、人を見れば、ある程度、どんな人間か分かるようになる。
それは、人と会う機会が多いということと、ワシ自身、世間では裏社会とされとる汚れた世界を熟知しとるせいもあるからかも知れん。
拡張員の中にも、過去に犯罪歴があるものも確かにいとる。しかし、この子供を狙うとか婦女暴行歴のあるような奴は、その犯罪者の中でも、最低の屑やと思われとる。
ある刑務所に服役経験のある男から聞いた話やが、そういう事件や罪で入所してくる奴は、刑務所内でも悲惨な目に遭うらしい。つまり、今回の事件は、通常の犯罪者たちですら、唾棄されるほどの犯行なわけや。
この事件には多くの国民が怒りを覚えとるはずや。それには、ワシらも例外やない。特に、ワシらの中には、子供と一緒に暮らしたくても、それぞれの事情からそれができん人間もいとる。
その分、子供はよけいかわいく思える。それが、例え他人の子供でも同じに思えるから尚更の感がある。
せやから、そんな子供に手を出す外道は許せんと思うとるのは、ワシだけやないはずや。
もし、このメルマガを見て、それに賛同してもええという拡張員や新聞販売店の人がおったら、今日からでも、明日からでもええ。
子供たちが下校する通学時間帯に、その通学コース周辺で子供たちを見守りながら勧誘するというのを考えてみてほしいと思う。
夕刊配りのある販売店の人なら、通学コースを通る場合は、特に子供たちに注意して貰いたい。
但し、そうするには、拡張員には辛いこともあるかも知れんというのは、覚悟しといてほしいと思う。
というのは、そういう変態野郎を監視するつもりのワシらが、一般からは、逆に変質者のごとく見られるおそれがあるということや。
まあ、普通に考えて、子供の下校時にその辺りをうろうろと徘徊しとるようにしか見られんのやからな。
それも、傍目には何の仕事をしとるか分からんからよけいや。どうしても、胡散臭く見られやすい。
せやから、ここで、注意せなあかんのは、その子供たちには、一切、声をかけんようにするということや。
それが、一番、問題を起こさずに済み、尚かつ、子供たちにいらん警戒心を抱かせることなく見守ることのできる方法やと思う。
ワシは、本当はこれが一番辛い。ワシは大の子供好きや。つい、声をかけてしまいたくなる。「気ぃつけなあかんで」と。
しかし、今は、子供たちには、よほど、危ないことをしとるか、悪いことをしとるか以外には声をかけんようにしとる。
子供たちに、いい人もいるんやと思わせることも、ある意味、危険やからや。まったく、嫌な世の中になったもんやと思う。
しかし、逆に言えば、子供に声をかけとる人間には注意を払うたらええということになるわけや。特に、自転車や車でというのは要注意ということになる。
今は、その下校時の通学路で子供に声をかけるということ自体、普通の人間ではまず、差し控えるやろからな。
こういう子供に声をかけとる人間を見て、怪しいなと思うたら要チェックや。そして、特徴を克明にメモする。車なら車種とナンバーは必ず控える。
場合によれば、カメラ付きの携帯電話で、こっそりと撮影しとく。その時刻も書いとく。思いつく限りの記録をつけることや。
ワシは、この1週間で1人だけやけど、そういう現場を見て注意したことがある。
その男は、20歳前後のまだ若い男で、ワシの注意に「別に、何もない。ただ、道を聞いただけや」と言うとった。
「お前、そんな小さな子に何で道なんか聞く必要があるんや。今は、そういうことをしとるだけでも、何を疑われても仕方ないんやで。道が分からんかったら、大人に聞くか、近所の派出所にでも行って聞けや。何なら、ワシが教えたろか」と言うと、バツが悪そうに逃げるようにその場から離れた。
犯罪にそれが結びついていたかどうかは分からんが、こういう連中が増えとるのは確かや。
どこまで効果があるのかは分からんが、それでも本当に、犯罪を実行しようという人間は、周りを注意するやろから、ワシらみたいなのがうろついとれば、どうしてもそれは躊躇するはずや。
ライオンが近くにおると知って、ウサギを狙うキツネもおらんやろ。それだけでも、抑止力ということで言えばええのやないかな。
ただ、そうしたからというて、誰からもその行為は、認められんやろけどな。しかし、本来、誰かを見守るというのはそういうもんやと思う。
人に褒められようとしてするもんと違うさかいにな。それでもええと賛同する人間のおることを期待する。