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Q&A有意義情報集


その8 認知症の人の契約を無効にする方法


NO.67 認知症(痴呆症)の人間と交わした契約は無効に出来ますか  より


@ まず、その契約書があるかどうかを確認をする。あれば、名前、住所の記入欄の筆跡を見る。

お義父さんの筆跡やなかったら、詐欺契約ということも十分考えられる。当然、解約は可能やし、何も支払う必要はない。契約書の名前と住所欄は本人記入が大原則やからな。

この時、ハンコが押されとることを言う人間もおるが、ハンコみたいなもん今日び100円ショップにでも行けば大抵の名前は揃う。事実、てんぷらなんかを良う上げとる奴はそのハンコを幾つも持っとるからな。

もし、見つからなくても、販売所で保管してあるはずの契約書を後で確認出来るから別に構わん。なしでも話し合いの場に行けばええ。


A通院されとるということやから、医師の診断書があればええ。取るのが面倒(これはどんな医療保険でも実費が必要)なら、病院名と担当医師名を知っておくだけでも、話し合いの場ならええ。

いつ頃からか。これは、この場合、結構重要や。契約年月日時の時点で、この病気の症状がすでに認められていたかどうかを知る。程度により要介護の認定があるはずや。


B認知症の場合、 法定後見制度、保左、補助制度というのがあるが、その手続きはしとるのかな。まだならしておいた方がええと思う。申請は家庭裁判所になるが、良う分からんようなら、法律家にでも頼めば教えてくれる。

今後のこともある。今回は、タカが新聞の購読契約やから、それほど煩わしくもなく解決する確率の方が高い。せやけど、お義父さんがこういう状態やと、もっと悪質な訪問販売業者に高額商品を売りつけられる被害が発生せんとも限らんからな。

この後見人制度で後見人が決まれば、総ての契約は、その後見人の承諾が必要になるから、こういう問題を事前に防げる。因みに、この後見人は4等親以内の親族なら誰でもなれる。

しかし、これは、将来的には相続の問題にまで絡むから、親族で話し合って決めといた方が無難やろな。


C念のために、お義父さんの直筆の手紙か何かがあるとええ。出来れば、契約時くらいのものがあったら言うことがない。筆跡の分かるものやな。

D話し合いの場には、電話を受けたあんたと、出来たらもう一人、信頼出る男の人が居てればええ。他人の方が、証人という意味でもええんやが、頼めなければ、ご主人でも構わん。

この時、お義父さんは同席せん方がええと思う。本当はこの時、後見人が同席してた方が話は早いんやが、後見人の決定には家庭の事情もあるやろうから、取り敢えず、ご主人かあんたが代理やということでええ。話し合いの場ならそれで十分やと思う。


E販売所にアポイントを取り出向く。販売所で話す方が、書類を持って来てないとの言い逃れで問題を引き延ばすことを防げる。契約書類の改竄も防げるしな。

出向く際には、こちらで用意している物、してない物などの情報は一切伝えん方がええ。ただ話し合いをしたいと言うだけでええ。


F販売所での話し合いの場で、契約書の控えが家にない場合、お義父さんの購読契約書を見せて貰う。販売所には必ず複写の契約書が保管されてある。なければ、その場で総てが終わる。契約はなかったものとして引き上げたらええ。

そんなことがと思うかも知れんが、ルーズな販売所やと契約書をなくしてる可能性もある。客に問い合わせる場合、パソコンに入力した画面だけで問い合わせることがあるからな。

契約書を出せば、お義父さんの筆跡かどうかを確認する。筆跡が違えば、明らかな偽造や。それで総てが終わる。


Gお義父さんの筆跡でその契約書が、ほぼ間違いないものと判断されても、現在のお義父さんの病状次第で解約出来る。医師から聞いた病状説明をするか、診断書を見せる。

契約時すでに病状が発症していたと証明されたら、この契約は無効や。同じ拡張員として恥ずかしい限りの話やが、中にはそんな奴もおる。明らかに、そうやと思える人間に契約書を書かせるんや。


H後見人の話をする。この場合、親族間の了解が取れておれば、販売所には後見人を名乗ってもええ。実際、家裁の手続きは時間がかかるから、後で出来る時にしといたらええ。後見人の立場で解約出来る。

販売所の人間は、新聞契約関連の法律と言えば、クーリングオフくらいしか知らん所が多いから、一応説明しといた方がええやろと思う。

この場合、民法7条、11条、14条の精神上の障害により判断能力に疑問のある者について、その程度により、後見、保左、補助の制度を規定し、その代理人が代わって判断出来ることになっとる。つまり、後見人次第やから解約も出来るということや。

ここまで、説明すれば、ほとんどの販売所はやむなく契約の解除に応じるはずや。解約違約金も発生せん。

こういう問題で変に揉めると、評判が落ちるからな。あの販売所は認知症の人間に新聞を無理に取らせようとしてると言うてな。

それに、これは評判だけやなく、新聞社にそのことが知れたら大変や。世間はこういう問題には厳しいからな。その販売所はただでは済まんはずやから、あきらめるしかない。


I契約の解除が出来たとしてもまだ問題が残っとる。ビール券なんかの景品や。本当にお義父さんが受け取っているのなら、貰うてるもんは返した方がええ。せやから、確かにお義父さんがそれを受け取ったという証拠を見せて貰う。

拡張員にしろ、店の従業員にしろ、ちゃんとした勧誘員はその領収をきちんと取る。ワシの場合やと必ず渡した拡材は契約書に記入して、そこに契約者のサインを貰うようにしとる。簡単な領収書代わりや。販売店によれば、それを義務付けとる所もある。


J契約当時、お義父さんが健常者であり、契約自体も正当で尚かつ、景品も確かに受け取っているということであれば、その販売所には落ち度がないことになる。

その場合、契約の解除自体は、現在のお義父さんの症状から受け入れる他はないが、この販売所のように、解約違約金を請求する所がある。もちろん、貰った景品は返還せんとあかん。

これは、販売所が、お義父さんの契約に対して拡張員に拡張料などの支払いをしとるからや。丸損はしたないと考える。

しかし、言う通りの額は払わんでもええとは思う。交渉で折り合える線でお互いで決めたらええことや。事情が事情やから、販売所もそう強くは出んやろと思う。世間体を気にする販売所は特にな。


第60回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■認知症患者のための契約解除法 より


1.契約書の存在とその有効性の検証について

@契約書の存在を探す。あればええが、認知症の人は物忘れが激しいために、どこに置いたか分からんケースがある。最初の段階では、契約書がなくても慌てる必要はない。

Aその契約書の存在を、販売店で確認する。販売店にはその控えが必ずあり、保管義務もある。客の場合は、その保管義務はない。

相談の中に1件だけ、その契約書を貰ってないケースがあったので、その事情を説明する。

そのケースでは、販売所にも契約書の控えがなかった。普通は、販売所に契約書の控えがないというのはあり得んことや。

新聞契約には先付け契約というて、数年先からの予約というケースがある。これは、現在、購読中の新聞の購読契約終了後か、次の他紙予約後のさらに予約というケースに、こういうのがある。

ワシの過去の経験でも、最長、12年後からの契約というのも、それほど珍しいことやなかった。その地域では1社の契約が4年縛りというのが、恒常化されとる地域やったからな。3紙めやと、そうなる。

業界では、かなり以前から、パソコンで購読者の管理をする販売店が普通になっとる。

これは、新聞社の指導とその関連ソフトの使用を義務づけられとる所が多いということがある。

それに、何より便利やというのも大きい。勧誘データなどは、ここからプリンアウトされたものを使ってする。

つまり、一度、契約が成立すれば、そのデータはすべてパソコンにインプットされるから、取り立てて販売店では、契約書をその都度、取り出す必要がないということがある。

客への連絡は、大抵、このパソコンのデータを見ながらすることが多い。

保管義務はあるが、販売店の中にはルーズな所もあり、またはうっかりもあるのかも知れんが、この契約書を保管してないか、紛失することが希にあるようや。

このケースは、販売店に、相談者が、その契約書の提示を希望したが、数年前の契約書のためパソコンには入力されとったが、その控えを保管しておらんかったというのが分かった。

この場合は、それを理由に、何もなかったことにできる。契約すらしてないと主張できるわけや。

どんな理由があれ、契約書の存在せん契約は、双方同時に、その存在を認めん限りは無効となる。当たり前のことや。

B契約書があれば、それの確認をする。名前と住所が確かに、認知症の親御さんの筆跡かどうかを見る。違えば、偽造契約書やと主張できる。

販売店の中には、勧誘員が契約者に代わってサービスで書き込むこともありますと、平気な顔で言う所もあるようやけど、これは、法的にも通用せん。購読者記入欄は直筆が大原則やからな。

印鑑が押してあると主張する場合もあるが、今日び、よほどの珍しい名前以外の印鑑は、大抵は、100円ショップや文房具屋にでも行けば揃う。

実際、てんぷらの得意な常習者は数本の他人名義の印鑑を常に持ち歩いとるしな。

これを認めてたら、てんぷら(架空契約)のし放題となる。直筆と印鑑の両方が揃って初めて契約書と認められるということや。

ただ、ワシも過去、客から「ゲンさん、契約書に勝手に記入しといて、信用してるから」と言われて書き込んだことはある。

こういう風に言われると、それでも決まりですからとは言いにくい場合も、人によりやけどある。

但し、この場合でも、景品を渡した受領を、その契約者の名前で書いて貰うようにはしとる。サインだけやからと言うてな。少々の面倒くさがり屋でも、これくらいは応じてくれる。物を貰ってるという意識も働くしな。

景品を確かに受け取っとるのやから、その契約をしてないことはないやろという理屈やが、実際には、それで揉めたことはないから、これが正解なのかどうかは良う分からん。やはり、契約書は直筆で貰う方が確かやとは思う。

今回のように、認知症患者相手の契約でそれが行われとるというのは、悪意に満ちた詐欺行為という側面が強いと判断できるから、無効を主張したらええと思う。


2.契約者が認知症であることを伝える

@契約者が認知症であることを伝える場合、医師からの診断が必要になる。当然やが、単にぼけて来とるからという理由だけで、認知症やとは言えん。

特に、こういう契約の解除をしようという場合は、医師の診断書があった方がええ。それを示し、認知症ということを伝えれば、大抵の販売所では、解約に応じるはずや。

A発症時期がいつかということを知る。契約時にすでに発症していたら、販売店側にそれを伝える。これも、ほとんどの販売店で解約に応じるはずや。

中には、健常者と何ら変わりがなかったと突っぱねる販売店もおるけど、医師の診断があれば、問題ない。

ただ、契約時に痴呆症が発症してなければ、解約も無条件とはいかなくなる。解約違約金などの話し合いが必要や。その時点の契約自体は合法ということになるからな。条件付き解約ということになる。


3.法定後見制度、保佐、補助制度は必ず手続きをする

@認知症の場合、 法定後見制度、保佐、補助制度というのがあるが、その手続きはしておいた方がええと思う。申請は家庭裁判所になるが、良う分からんようなら、法律家にでも聞けば教えてくれる。

A現在は、家庭裁判所に申請するしかないが、2006年4月から「成年後見制度」の窓口が全国の市町村に置かれることになった。

来訪すれば、制度について説明してくれたり、手続きの相談に乗ってくれたりすることになっとる。
 
窓口は、各市町村に新設される「地域包括支援センター」になる。センターに最低1人は置かれる社会福祉士を中心に、各自治体や弁護士会などと連携し、相談の受け付けや手続き方法の助言をするということや。

B実際問題として、それまで待てんという状態の人も多い。どうしても、早急の手続きということになるのやが、その手続きに結構、時間がかかるようや。3ヶ月〜6ヶ月かかるのが一般的やという

Cこの後見人制度で後見人が決まれば、総ての契約は、その後見人の承諾が必要になるから、こういう問題を事前に防げる。因みに、この後見人は4等親以内の親族なら誰でもなれる。

しかし、これは、将来的には相続の問題にまで絡むから、親族で話し合って決めといた方が無難やろなと思う。

今後のこともある。新聞の購読契約だけなら、それほど煩わしくもなく解決する確率の方が高い。

せやけど、もっと悪質な訪問販売業者に高額商品を売りつけられる被害が発生せんとも限らんからな。実際に、そういう事件も多いしな。

後見人になれば、その判断で契約を無条件に解除できる。解約違約金なども必要ないと考えられている。

認知症患者との契約は、後見人が認めん限り、効力がないということや。


4.景品の受け取り、返還について

@後見人次第で契約解除ができ、契約前の状態に戻せるわけやけど、それで問題がすべて解決するわけやない。景品などを受けとっていれば、それは返還せんとあかんことになる。

Aその現物がないとか、受け取った形跡がないような場合は、本当に貰っとるかどうか定かやないということも考えられる。

通常、ワシら拡張員は、契約が成立すると景品類をその場で渡す場合がある。そのときには、契約書の余白にその渡した景品の受領のサインを契約者から貰うようにしとる。また、そう指示する販売店が多い。

その受領の書類などの証拠がなければ、景品の返還に応じる必要はないと考えられる。何でも、受領書や領収書は必要や。特に揉めた場合はな。

販売店が、その返還請求をする場合、確かに渡したという証拠を提示せなあかん。単に渡したと言うだけでは証拠としては弱い。

Cその証拠があれば、貰ってる物は返さなあかん。契約を解除して白紙に戻すとはそういうことや。

ただ、その受領書を、ものの分別の分からん人間を騙して書かせたものやないかと疑っていたというケースが、相談の中にあった。

これは、その認知症患者の病状の程度で判断は違ってくる。これにも、やはり、医師の診断書が大きく影響するが、相手の行為を詐欺行為と疑うことになるから、その証拠が必要になる。

Dそのケース毎で違うが、一般的には、話し合いか、法的判断に委ねるしかなくなる。話し合いは、双方が納得できればええが、不調に終われば、法的判断、つまり、裁判ということになる。

Eこの裁判というのは、このケースでは、販売所が訴えを起こすしかない。景品の返還がされないという損害賠償という名目でな。

認知症患者側は、契約解除ができて実質的な被害がないということで、訴える要素が何もないと考えられる。ただ気分が悪い、迷惑やというだけでは訴えるには弱い。

F実際に、こういうケースで販売所が訴えたというケースは知らんが、微妙なところやと思う。景品の受領書があるというのは、書類重視の裁判では有利やけど、認知症の程度でも裁定は変わりそうや。

実際には、裁判官が判断を下すまで分からんということになる。


5.救済方法について

@一般的には、販売所が契約者を民事裁判で訴えるというケースはほとんどない。少なくともワシは知らん。

訴えん代わりに、景品を返せと日参する販売店はおる。当然やけど、認知症のご家族を抱えられとられる相談者には、たまらんことや。

こうなると、話し合いは難しい状況になっとるから、弁護士などの法律家に相談した方がええ場合がある。実際に、それで解決された相談者もおられる。

Aこの場合、市町村の自治体に設置されとる無料法律相談を利用されるか、懇意の法律家に相談することや。

『法定後見制度、保佐、補助制度』の手続きをその法律家に相談するときに、ついでにこの件についても尋ねるようにアドハイスはした。

B結果として、その弁護士先生に相談したことを、新聞社に通達した時点で、その景品返還を販売店が請求せんようになった。


たいていは、このくらいのことが分かっとれば、対処は可能やろと思う。今までのアドバイスでも、すべてこの範囲内のものばかりやった。


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