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その9 新聞配達時の危険についての考え方と対処法


第119回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■新聞配達は危険がいっぱい……その安全対策への考え方 より



1.配達区域に潜む危険を洗い出す。

これについては、ほとんどの配達員の方が経験的に分かっとることやと思う。

また、それだけやなしに、今までは安全やったが「ひょっとしたら、ここにはこんな危険も考えられるな」という想像力を働かせるのと、情報を集めることが重要なポインになる。

配達員同士でこのことについて日頃から話し合えるようにしとくことやな。そうすれば見つけやすいと思う。

一般的に危険個所としては、深夜営業の飲食店の多い繁華街、コンビニ及びその駐車場、駅前、公園、民家の少ない寂しい地域などが挙げられる。

もっとも、これらは季節、曜日、時間帯と様々な要素が絡み、その時々によって事情が変わると思われるから、そのことも当然、留意し、検討する必要がある。



2.配達地域の人員変更を考える。

女性や年輩といった社会的弱者と思える人に、危険と思われる地域の配達から除外する方向に持って行くように販売店は配慮せなあかん。

また、販売店にそれを配慮して貰えん場合は、自ら積極的に進言することや。

言いづらい面もあるやろうが、危険を回避する一番の有効な手段は、その危険に近づかんことやさかいな。

特に今回の件で、その危険がある程度、立証されたわけやから、それを言うには、今がそのチャンスやと思えばええ。

ただ、気の利いた販売店なら、昔からやっとることではあるがな。たいていは、店長、主任クラスやベテランがそういう地域を受け持っとる。

当たり前やが、そういう販売店やとその危険に遭遇する確率は少ない。

凶悪事件の犯人たちが共通して狙う相手の大半が、その社会的弱者や。自分より明らかに弱いと思える人間にしか、その牙は向けんもんや。

せやから、狙われる危険があると判断される地域に、屈強な男を配置するだけでも、今回のような危険の大半は回避できるはずや。



3.配達順路の変更を検討してみる。

販売店の事情により配達人員の変更が難しい場合は、順路の変更も効果的やと思う。

突発性の事件には難しいかも知れんが、危険がある、狙われる畏れがあると感じた場合は、なるべく同じ時間帯での配達は避けた方がええ。

最低でも、そのコースに対して3、4通り程度の順路を設定する。順路帳を作るのが手間かも知れんが、安全のためには重要なことや。

その分、狙われにくくなる。自らの身体生命に関わることやから、用心に越したことはないと思う。



4.配達の時間帯を変える。

事件のあったような繁華街があるコースなら、危険と思われる曜日や時間帯をなるべく避けるようにする。

例えば、午前4時、5時に終了する飲食店が近くにある場合は、その時間帯でのその地域の配達は避けることやと思う。

実は、これはすでに実行されておられる人がいる。その人は、その区域だけを6時以降の最後の方で配っておられるということや。



5.若者の集団と関わらない。

コンビニ前や公園周辺などに、たむろしている若者と出会うことのある地域を受け持っている場合は、その姿を見かけたら、なるべく避けるようにする。

もちろん、すべてのそういう若者が危険であり問題があるというわけやないが、集団でいとる場合、ちょっとしたことで暴発しやすいのは確かや。

それに、ここでは、彼らの是非を問うということより、危険回避に重きを置いて考えとるわけやから、避けることがベストということになる。

ただ、公園周辺はそれでもええが、コンビニへの配達がある場合はそうもいかん。そういう所は、たいてい配達時間の制限があるはずやからな。

その場合は、なるべく関わり合いを持たんという姿勢で、少々何を言われても逆らわずその場をなるべく早く立ち去ることやな。



6.防犯ブザーの携帯。

防犯ブザーの携帯はしておいた方がええ。特に女性の配達員は必需品やろうと思う。たいていの人間は、その音で逃げ出すというデータがある。



7.効果的な助けの呼び方

ただ、中には、執拗な人間もおる。特に、追いかけ廻して暴行するような輩には、防犯ブザー程度では効果は期待できんと思う。

さらには、「助けてくれ」と被害者が大声を出しとるにも関わらず、周辺の住民もそれを聞きながら、警察にすら通報してなかったという事実もある。

後で、そんなことがあったと証言しとることでも、それが分かる。

残念やが、そういう揉め事を聞いても、関わり合いになりたくないという人が、今の世の中には圧倒的に多い。

もっとも、それを責めるわけにはいかんがな。誰でも我が身は可愛いもんやさかいにな。

つまり、そういう事態になっても、普通に助けを呼ぶくらいではあかんと考えとく必要があるということや。

こういう場合、命の危険を感じたら「助けてくれ」と言うよりも「火事や」と大声で叫ぶ方が、よほど効果があると思う。

これなら、たいていの人間が表に飛び出して来るはずや。そして、その現場を目撃したら警察に通報するくらいのことは期待できる。

これも、とっさに機転を利かせて言うというのも難しいと思うから、日頃からその心づもりをしとく必要がある。これが、訓練ということにつながる。

何か笑い話のネタのようで恥ずかしいと考える向きや、それは嘘やないかという批判があるかも知れんが、命がかかっとる場合はそんなことも言うてられんやろと思う。

また、そういう切羽詰まったケースでそれを咎め立てる人もおらんはずや。

余談やが、ワシの知っとる仲間の拡張員が、あることで数人のヤクザ紛いの人間に取り囲まれたことがあった。絶体絶命や。

そのとき、その男は、とっさに「火事や」と大声で喚いて難を逃れたということが実際にあった。効果はかなり期待できるはずや。



8.防犯グッズの携帯。

催涙スプレーなどの防犯グッズを購入して持っとくという意見もある。

ただ、それらのグッズは、状況により所持しとるだけで違法行為になる場合もあるようやから注意が必要やと思う。

軽犯罪法というのがある。この中の第1条2項に、人の身体に重大な害を加えるのに使用されるような器具を隠して携帯する事を禁じるという項目がある。

基本的には、自己防衛のためとはっきり言える状況があればええということになるが、状況次第では、その解釈が難しい。

仕事で使用する場合は、襲われることが想定される現金輸送車などの運搬業務やと問題ないが、新聞配達となると微妙やという。

これについては、ハカセが、ある警察署に行って聞いたことがある。というても、警察サイドも一般論でしか言えんようやがな。

その話を総合すると、女性の場合は概ね認められやすいということや。

深夜、人通りの少ない地域を通る場合、催涙スプレーやスタンガンといった防犯グッズの所持は、まずお咎めなしやということになるようや。

これが、屈強な男が携帯してたという場合は、いくら護身のためと言うても微妙なところらしい。

実際、検問なんかで車内にそれがあった場合、軽犯罪法違反容疑で、警察署で事情を聞くということもあるとのことや。

今回のような事件が頻繁におき、社会問題化するようなら、新聞配達員にも、その携帯が認められるかも知れんが、今のところ、まだそこまでには至っていない。

自己判断、自己責任でと言うしかない。

ただ、それを使用することにより、必要以上に相手に怪我を負わせた場合、その状況、程度により、過剰防衛ということになりかねんというのは知っておいた方がええ。



9.携帯電話の活用を考える。

携帯電話は常に持っていた方がええ。不審な人間がいて危険を感じたら、携帯電話を持って話す真似をするだけでも効果があるという。

また、万が一のときのために、販売店や近くの警察署の電話番号を短縮番号で登録し、素早く押せるようにしとくことや。

販売店毎に責任者を決め、通報の場所にいち早く駆けつける体制があれば、申し分ない。

電話をかける余裕がない場合でも、販売店、仲間にあらかじめメール文を作成しといてメールでSOSを送れるようにしとく。それも、単純なボタン操作に限る。



10.巡回パトロール、及び重点地区の専属配達を考える。

これは、個人ではできんことや。販売店単位で考えなあかん。提言は個人でもできるやろうがな。

駅やコンビニへの専属の配達員を作り、その配達の途中、それらを兼ねて巡回パトロールをする。

これは、実際、長年に渡り実行しとる販売店がある。

その配達エリア内には、コンビニが12軒、駅が2カ所あり、その部数だけでもかなりあるから、配達員の負担を軽減しようということで、その店の店長が考えたことや。

その店では、その配達を軽のライトバンでしとるという。件数が少なく時間的な余裕もあるから、巡回パトロールにもええ方法やと思う。

そのコンビニや駅のある場所が、適度にそのエリア内に散在しとるということもあるようや。

余談やが、特定のマンションや公営団地の中には、その住人にそこでの配達を依頼しとる所もあるというから、そのための新聞もまとめて配達しとるという。

それが3カ所で、850部。コンビニ、駅と合わせると、1000部を超すというから、その意味でも軽のライトバンでないとあかんということのようや。



11.地域での防犯体制を確立する。

これは、寄せられた意見にもあったが、地域の販売店及び牛乳配達店などで連携するということも、考慮してもええのやないかと思う。

警察とも協力して、その時間帯のパトロールを強化すれば、効果は望めるはずや。



12.傷害保険などに加入する。

直接の危険回避の考え方からは外れるかも知れんが、万が一の準備は必要や。

これは、本来は販売店が考えるべきことやとは思うが、個人でも加入しといた方がええ。

酷なことを言うようやが、暴漢に襲われて怪我をしたからというて、その販売店に治療費をどうにかしてくれと請求しても難しいやろからな。

本来は、その加害者に負担させなあかんことや。

しかし、こういう暴漢の多くは金目当てに事件を起こすと相場が決まっとる。そんな輩にそれを期待しても無理やわな。

もっとも、仕事中なら、労災の適用があるかも知れん。犬に噛まれても適用されるというからな。

ただ、それも状況次第では適用されん場合も考えられるから、やはり、個人的に傷害保険に加入しとく方が無難やろとは思う。

そうなってから悔やんでも遅いさかいな。


13.配達員の順路帳と、配達員のタイムカードのチェックの徹底。多くの場合、そのコースに対応した順路は配達員が独自に設定している。

悪天候や、寝坊した時などに、手伝おうとしてもどこにいるのかさえ分からないケースもある。

もちろん、コンピューターに入れる順路は、一定の基準でしかない。というのも、労災などの関係上、配達中の事故などは、順路帳を提出させられる事もあり、逆走などの交通違反があると、何かと面倒くさいからや。

しかし、この基準では仕事上、上手くいかない場合があるから、そのときは順路を組み替える。

これが、配達員によってまちまちなわけで、これでは管理できない。配達員が自分の順路帳を手書きで作り、これを1ヶ月に1度作りなおし、これを、コンピューター管理する。今の最新ソフトは、これができるようになっている。

こうすることによって、配達員がどの時間帯にどの場所にいるか把握できるようにし、少しでも不審情報があれば、配達のない従業員が、パトロールする事もできる。



14.読者へのSOSについてのお願いプリント作成。

「配達中に不慮の事故、事件に巻き込まれそうになった時、非難場所としてご協力いただけませんか?」といった感じや。

案外、協力していただける家も多く、逆にお客さんとのコミュニケーションにもなるという。

このSOS協力の家には粗品やが、年2回ほどのお礼をしようということに。

出費として考えれば、確かに出費かも知れませんが、これが逆に、新聞販売店が区域の安全のためのパトロールでもあるわけなので、定着すれば、新規のお客さんへのアピールにもなる。

これは、ある新聞販売店トップからの提案でもある。


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