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その10 話し下手を克服して営業するための話し方
第186回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■ゲンさんの話し方教室 その1 悩める初心者のために より
話し下手にもいろいろなタイプがある。
元来、よく喋るのやが、人前に出ると緊張して上がるタイプ。相手を意識すると話せないタイプ。声の小さなタイプ。初対面の人間となかなか話せないタイプ。そもそも営業での話し方の分からないタイプなどが挙げられる。
話し下手やと悩む初心者は、この中のどれかに属するのやないかと思う。
これから、そのタイプ別の克服法について話す。
@元来、よく喋るのやが、人前に出ると緊張して上がるタイプ。
この手のタイプは結構多い。ただ、これは慣れれば比較的簡単に克服できると思う。
と言うても、慣れるまでには相当時間がかかるから、それまで、耐えられるかというのがある。
慣れるまでは仕事にならんというケースが多いやろうから稼ぐことはできんし、それで気も滅入る。
精神的、金銭的な両面であかんとなったら、普通は辞めるさかいな。
促成を考えるしかないが、それにはそれなりのトレーニングが必要になる。
そのトレーニングとして有効なのが、繰り返しのトーク練習をするということやと思う。
ワシが、その昔、建築屋の営業員として勤め出したとき、真っ先に練習をやらされたのがこれやった。
電話アポというのがあるが、あれが結構、このためのええ練習になる。
また、ロール・プレイング(役割演技)というて社内で疑似営業訓練というのも頻繁に行うことが多い。
一般の営業会社やと、そういうのは基本とされとることやが、残念ながら拡張の世界ではおざなりにされてきた。
もっとも、それと知らずとも、その慣れが結局、その訓練を積んで行っとるのと同じことにはなるわけやがな。
ただ、それやと時間がかかるということや。
現在の拡張団の中にも、初心者に対して徹底してこの教育をする所もあると聞くが、やはり少ない。
多くの拡張員は、自分で率先してやるしかないやろうと思う。
よく、立て板に水が流れる如き話すという営業マンを見かけるが、たいていはこれらの訓練の賜(たまもの)や。
そのバリエーションを多く持つ者は、客の反応次第で幾つもの対応ができるまでになる。
まずはバカの一つ覚えでもええから、自分の話やすい営業トークを何度でも練習することやな。
もっとも多い、インターフォン向けのトークの一例を挙げる。
「こんにちは(今晩は)○○さん。○○新聞の○○と申します。今だけのキャンペーンサービスのご案内に寄せて頂きました。お手間は取らせませんから、お話だけでも聞いて頂けないでしょうか」
「こんにちは(今晩は)○○さん。近所の販売店から来ました。お忙しいところまことに申し訳ありませんが、お手間は取らせませんので、お話だけでも結構ですので、ぜひお願いします」
このとき、声は大きめに明るくを心がける。その人の雰囲気もさることながら、声の調子で判断するという客も多いさかいな。
この繰り返し練習するということは何においても重要や。頭で覚えるより身体(口)で覚えろということやな。
「そんなことを言うてもドアなんか開けて貰えんで」と嘆く者がいとるが、それは仕方ないことや。
この仕事の特性の一つでもあるが、どんなベテランが叩(訪問)いてもなかなかドアを開けて貰えんということは普通にある。
ベテランは、この仕事はこんなんものやと思うとるから、まだそのモチベーションを維持することはできるが、初心者にはそれが難しい。
ものの5、6軒も断られたら、それで落ち込む。声も暗く弱々しくなる。マイナスの感情を生むわけや。
それが悪循環となって、やる気を削ぐ。
この拡張の仕事は、極端な話、10軒に1軒、ドアを開けて貰えたら御の字なんやと考えとれば、それほど落ち込むこともないと思う。
それに、この段階では、話すということを練習しとるわけやから、開けて貰える貰えんということは気にせず、取りあえず数をこなすことに徹することや。
それに伴って自分なりのバリエーションを少しずつ増やしていくようにすればええ。
いずれにしても、このタイプは練習を重ねることで比較的簡単に話し下手というのは克服できるはずやと思う。
A相手を意識すると話せないタイプ。
これも、たいていは練習で克服できるものやが、中には、相手を意識しすぎるあまり声が出なくなる者もおる。
これは、何でも完璧にやろうとする人間が陥りやすいことでもある。失敗を恐れる気持ちがよけい、それを意識させるのやと思う。
その人にとっては難しいことかも知れんが、それを聞く人間は、それほど気にはならんものやで。
あんたも、話しとる相手が、例え言葉をかんだとしとても一々それを咎めたりはせんやろ?
それと同じことや。むしろ、それがあることでその相手に対して好感度が上がることの方が多いはずや。笑いのネタにできることすらある。
営業は、その喋りの優劣で契約が取れる取れへんというものでもない。せやから、それに大きなウェートをおく必要もないと思う。
話の下手な者でも成績のええ人間はナンボでおるさかいな。
ただ、最低限度、必要なことは必ず伝えなあかんのは確かやけどな。何を言うとるのか分からんというのでは営業は辛いわな。
裏を返せば、最低限でも伝われば、その話の下手さが実直な人間という印象与え、好結果につながることも多いということや。
せやから、こういう人は、下手に上手く喋ろうと努力するよりも、必要なことを確実に伝えるように集中した方がええと思う。
B声の小さなタイプ。
これは、恥ずかしさが先に立つのやろうなと思う。
しかし、たいていは、これも同じトークを繰り返し練習をすることで解消されていくはずやと思う。
そのときに声を大きくして分かりやすく話すということを意識して練習に励めばええ。
もっとも、拡張のように対面営業の場合は、演壇に立って大勢に向かって話すのとは違い、近距離で相手に通じたらええわけやから、それほど特別な大声が必要ということやないがな。
ただ、いくら聞こえたらええとはいうものの、大きい声の者に比べれば不利には違いない。
この声の大きいというのは、集合住宅なんかでその威力を発揮することが多い。
声が大きめやと、その家の住人だけやなく、同時にその隣にまで聞こえることがある。
そのとき、客に好印象を与えられる話し方をしとると思われると、その隣人の中には、次に順番が来たときに話くらい聞いてもええかと考える人が実際にいとるさかいな。
声が小さいと、その可能性が消えることになる。
この恥ずかしさを吹き飛ばす大声訓練というのは、ワシが、メルマガやサイトの中で時折言うてることでもある。
公園のど真ん中で大声で笑えというのがそれや。
ワシの経験で言うと、恥ずかしさを飛ばして声を大きくさせるには最良の方法やと思う。
ただ、通行人の多い、公園のど真ん中で意味もなく笑う姿というのは、傍目には異常ではあるがな。
ワシなんかそれをしとると、周りから確実に人が減るさかいな。
しかし、この道で頑張ってそれを克服しようと思うのやったら、そんなもの気にするべきやない。
それに、これができれば、確実に声が大きくなり恥ずかしさも消えるはずやしな。
身を捨てる覚悟。
大袈裟に言えば、営業の仕事はそれくらいの気持ちが必要やということや。それを分かってほしい。
C初対面の人間となかなか話せないタイプ
俗に言う、人見知りをするというやつやな。その相手と慣れんとなかなか会話が交わせん人や。
このタイプも営業するのには困る。
ただ、やる限りは、意識してそれを克服するという努力をせんとどうにもならんやろうと思う。
こういう人は、思い込みという部分が強い。苦手意識と言うてもええかも知れん。
初対面の人間となかなか話せないタイプやと自分で自分を決めてしまうわけや。
これを克服するには、そうではないという気持ちの転換をする必要がある。
どうするか。
思い込みには思い込みで対抗するわけや。
初対面やと思うから話しにくいわけで、その相手を以前、どこかであった知り合いと重ねて見るということをしてみる。
つまり、その相手とは初対面とは思わず「以前、ご契約頂いてありがとうございました」と思い切って言うてみる。
不思議なもので、こういう風に言葉に出すと自分でもそうかなと思うてしまうことがある。
それは、騙しやないのかという突っ込みを受けそうやが、相手がはっきり違うと言えば、「済みません、私の勘違いでした。あまりにも、その方と良く似ていらしたもので」と謝ればええ。
相手次第では、本当に過去に、その勧誘員の勧誘する新聞を取っていたというケースもあり、それで和んで話が弾むこともある。
狙いは、あくまでも、その客への思い込みにある。初対面ということだけで話ができんのなら、そうではないと暗示にかければええわけや。
Dそもそも営業での話し方の分からないタイプ。
残念ながら、他の営業の世界では常識とされとる営業の話し方というのを、まったく知らんという拡張員も結構多い。
「敬語の使い方も知らん」とは、拡張員を批判する際によく聞く言葉や。
当然やが、入社した会社の人間がしていることは正しい、あるいはそうせな仕方ないと考えるのが普通やさかい、たいていはそこのカラーに染まる。
その拡張団で、客に対して、ぞんざいな口調が良しとしてまかり通っとる所やと、どうしてもそうなる。
それに疑問を挟まんような人は、それはそれで仕方ない。そういう人には、こういう話自体必要ないやろうしな。
そうやなく、正しい営業での話し方が知りたいということであれば、それを勉強するつもりさえあれば比較的簡単に会得はできると思う。
サイトの『ゲンさんの勧誘・拡張営業講座 第2章 新聞営業の実践についての考え方 拡張トーク編』を参考にされるのでもええし、本屋に行けば、その類の営業の指南本はいくらでもあるから、それを読めばええ。
多くの営業の指南本には、当たり障りのない記述があるのが普通やから、基本を勉強するというのなら、それで十分やと思う。
何でもそうやが、基本的なことを知っとかな、それ以上の上達というのは難しいさかいな。
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