ゲンさんのちょっと聞いてんか

NO.17 新聞のデジタル版について


寄稿者 duplo さん  投稿日時 2011.6.13 PM 3:14 


始めまして。

貴サイトとメルマガを楽しみに読ませて頂いております。

今回『第157回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■新聞の電子版化で新聞販売業界はどう変わるのか?』を拝見し、表題の件で、お便りせずにはいられない気持ちになりました。

小生も新聞業界の人間と言いましょうか、新聞社、新聞店さまに、業務用機器やシステムを販売・サポートをさせて頂いております。

僭越ながら、小生の持論は、「紙の新聞もネットも媒体に過ぎず、クロスメディアで情報を消費者に提供すれば良い」というものです。

今のデジタル版では「予算の都合でスマートフォンのUI仕様にも合わせられないのか?」という先入観を与え、かえって逆効果で、かかった予算も想像できますことから、ことさら契約方法を変えて有償化する必要もなかろうと思っています。

例えば、新聞購読契約者は、紙の新聞だけ読んでも 3925円! デジタル版だけ読んでも 3925円! 紙とデジタル版の両方読んでも3925円!、どちらも試読期間は無償で、デジタル版のみでも契約は新聞販売店が行う!

要するに、媒体がどう変化しようと、今後とも新聞の販売は新聞販売店が行う。「それを忘れたらアカンよ!」という意味です。

どうしても新聞記事が頭にあると「編集」が「販売」に勝ってしまい、新聞販売店を第一優先に考える思考にならないのでしょう。

「デジタル版を新聞店の有効な拡張材料に!」

こう、発行本社の方に誰かれなく提案しています。小生ごときの提案でも、あちこちから聞こえてくれば少しは効き目があるのではと。

これで、記事だけ読みたくて折込は邪魔という読者がデジタル版のみの読者となり、既存の紙の新聞読者はデジタル版も読めます。

これではデジタル版の読者は増えないのでは、、??

増えなくて良いのですこんなモノは! いや、こんな新聞店を省みない契約スタイルは!

部数疑惑や、ネット通販で折込広告が激減し、新聞店の経営が大変な時に、デジタル版が救世主にならなくてどうする!

〜 と、ボヤクだけではいけませんので、発行本社の方にも時々お話し出しております具体的なPlanを 〜

ご存知とは思いますが、新聞社により差はあれ、概ね1980年位まで遡って新聞記事のデジタル化が済んでいます。それ以前の記事は殆どマイクロ・フィルムです。

発刊当初まで遡って全ての記事・ライブラリをデジタル化、DB(データベース)化し、自由な切り口で全てのコンテンツを横断的に閲覧できるようにして、新聞記事にないモノは明示的に外部リンクし、裏づけのある記事と、そうでない記事を色分けして、ジャーナリズムの「コア」を明確にしながら読者の利便性を高める。

WiKiっぽい考えですが、プロの編集者が編集した新聞記事がベースであるところが異なります。

「モノ」より「コト」に消費者心理も変化しています。

自分自身を見つめ直す時間が増え、自分の人生の節目節目を、新聞記事から検証することができれば、、、

一方、ネットで肥大する玉石混交の情報の中から、偏りがあるにせよ、一定の指針で編集された情報を、判断のよりどころに、、、

紙の新聞から直接リンクするには、ステガノグラフィ等・加工賃が嵩み、現実的ではありませんが、デジタル版なら可能です。

そういう意味で、紙の新聞読者がデジタル版も読む可能性は大きいと思います。

では、デジタル版だけで良いのでは、、、?

パソコン駄目! スマートフォン駄目! 機械音痴! これらの読者には、取り扱いが簡単なPush媒体(紙メディア)が必要です。

紙の新聞読者はデジタル版も無償で利用でき、デジタル版で縦横無尽に知的好奇心を満足させられます。

紙の新聞か?デジタル版か?ではなく、紙の新聞読者がDB横断検索の入り口にデジタル版を使い、結果的にCSをUPできます。

紙の新聞しか読まない人はそのままで、あわよくばデジタル版が新規読者を増やすかも知れません。

ではデジタル版の製作コストはどうする?(新聞製作システムがDB中心のクロスメディア型へ更新するとコスト問題はなくなりますが、、)

デジタル版は記事連動広告etcで稼げば良く、紙の本紙広告を上回ることすら有りえます。

月面着陸に貢献したIBM社の大型システムが新聞製作システムの根本であり続けた時代も、終わろうとしています。

技術進歩とシステム投資のチグハグは塞翁が馬。

クロスメディア戦略で先頭を走るN新聞社も、これからDB中心に切り替える競合他紙に技術トレンドで逆転されるかも知れません。

記事DBからクロスメディアで情報を発信するスタイルも技術的には既に可能で、各紙ともシステム更新の時期次第です。

貴メルマガでご指摘のように、決裁権のある人や、そこに近い人が高齢化していて、流れが読めないということはあるでしょう。

小生は、年代Gapよりも、TOPとそのまわりが、文科系か?理工系か?の違いのほうが大きいと考えています。

ストリンガー氏とジョブズ氏の違いがつまりSonyとAppleの違いではないかと、、、

ここまで技術進歩が早く、複雑に関連し出すと、根本的に理工系の頭でなければ、事態の「大づかみ」すらできないと思います。

「DBを中心にクロスメディアで情報発信する」と聞いて、文科系の人は「情報の出し方が変わるだけだろ?」と言い、理工系の人は「情報の蓄積プロセスが根底から変わる!」ことを覚悟します。

少し話は飛躍しますが、、、

Agent_Systemが、スマートフォンなどを介し無償で世界中の消費者に利用されるのも、遠い将来の話ではないと思います。

Agent_Systemは(小生が勝手につけた代名詞ですが)ユーザーの行動を一歩先取りして節介をやく所謂「お節介婆ばぁ」。

いちいちユーザーが操作するのでなく、Agent_Systemの方から適宜Pushしてくるスタイルです。

Agent_Systemの収益源は、お節介メッセージに混ざって確実に伝えられる「広告」で、これは、どんな媒体よりも強力です。

Google、Twitter、ドコモ、ゼンリン、出前館、、、代名詞は示さなくても、Agent_Systemに向かって業務提携が加速しています。

インクリメントP社のWeb地図変更点ユーザーメンテ機能etcも、元々の動機とは別に、近い将来は関連して行くと思います。

共通項はエリア情報で、「地域密着」が合言葉です。オリコミーオ!もshufoo!も方向は同じでしょう。

Agent_Systemはネットの世界を根底から変え、最終的にはFaceBookも、Googleも飲み込んでしまうと思います。

全ての情報がリンクする世界では、「リンクしていない」=「存在しない」と同義です。

そうならないよう、個人情報を除き、持てる情報を全てリンクして利用できる仕組みに脱皮しなければなりません。

新聞本紙の記事に限らず、折込広告も同様です。

多くの広告主がエリアマーケティングからピンポイントのネット通販に移行し、エリアマーケティングで広告が取れる時代は終わりました。

最近の広告主は「貴方のそのプレゼンを実績で証明して欲しい!」とハッキリ言うそうです。要するに売れてナンボの世界ですね。

メジャーな広告主から折込広告の注文をとり系統別・折込会社に卸している広告代理店も「もう折込だけでは無理」と言っています。

そんな中、地域密着の折込広告を直接持ち込みで伸ばしている新聞店さんの共通点は、「待っているだけではない」ということです。

折込広告を使った経験のない人に「格安で簡単に折込広告できる」コトを、折込、ミニコミ、サイト、メール、Twitterなどで告知しています。

ネット動画配信まで絡めて自ら商店街興しを実践し、折込需要を喚起して収益UPしている新聞店主さんも身近におられます。

新聞本紙とは違った意味でクロスメディアを実践しているのです。

オリコミーオ!が出た頃「電子チラシは新聞業界がやるべき」と提言しましたが、折込も右肩上がりで「話の話」として聞き流されました。

今や時代はすっかり変わり、、、

新聞店さんは「収益を上げるために何かしなければ」という危機感を共有され、発行本社
も本業だけに拘る姿勢を改めておられます。

既存の折込は権益の問題を先に片付けなければ進みませんが、地域密着で店持ち込み・折込広告の注文をとり(プロセスが必要ですが)デジタル・コンテンツに変換してAgent_Systemに供給する」ことが、莫大な収益源を確保する出発点になると考えています。

新聞業界がやらなければ、DNP、凸版、出前館など、異業種にとられるだけです。

このために、有志の新聞店さまがたと、できるところから準備を始めております。

つい、話が折込広告のほうに行ってしまいました、、、

Agent_Systemがデジタル版を読み、読者はツボだけ聞く事になるかも知れませんが、デジタル版の活かし方が今後を左右すると思います。

何はともあれ「デジタル版は新聞店にとって有効な拡張材料!」と言えるようにしなければなりません。

メルマガなどを拝見していて、似た考えをして下さるのではないかと甘えてしまい、長々と勝手な話を致しました。

今後とも、新聞販売店さまのためにも有意義な情報発信を、宜しくお願いいたします。

2011年06月13日

デュプロ株式会社
取締役 新規ビジネスモデル推進担当 橋本治
[E-Mail] o-hashimoto@duplo.co.jp
[U R L ] http://www.duplo.co.jp



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