ゲンさんのちょっと聞いてんか
NO.3 「金融屋」という言葉を使う事について
投稿者 Kさん 某証券会社勤務 投稿日時 2008.11.15 AM 1:08
ゲンさん、ハカセさん、はじめまして。
私は、証券会社に勤めているKというものです。
いつもホームページを楽しく読ませていただいております。
ゲンさんの人情味あふれるお話、ハカセさんの読み手を飽きさせないすばらしい文章、ついつい何度も読み返してしまいます。
実は、ゲンさんがおっしゃっている「金融屋」という言葉が気になり、メールを送らせていただきました。
また、是非、ゲンさん、ハカセさんに私達の業界の状況を知っていただきたく思います。
私は現在、企業戦略を扱う部署におり、過去には上場企業のRM(リレーション・マネジャー)をやっておりました。
RMというのは耳慣れない言葉だと思いますが、担当している企業様の所に通い、資金調達・戦略提案・困っている問題の解決などをして、関係を維持・強化する仕事です。
ゲンさんがいつもお客様になさっている事とよく似ているかも知れません。
実は、現在、証券会社の売上高に占める株式の割合は3割に満たない程度で、その他にも様々なサービスを提供しているというのが現状です。
もちろん、個人のお客様に商品(株式、投資信託等)の勧誘を行っている部署もあります。
かつて、証券会社は株屋とよばれ、嫌われていた時期もありました。
現在でも強引な勧誘、詐欺のような勧誘がゼロではないと思いますし、インサイダー取引を行った事件も新聞の一面によく載っております。
私の会社も先日問題を起こし、罰せられました。
しかし、大多数の社員はまじめに業務を行っており、ほんの一部の人間が違法行為を行ったに過ぎません。
また、現在、金融商品取引法など各種法律、業界内、社内でのコンプライアンス体制、ルール整備が厳格に進められており、当社内では法律違反はほぼゼロと確信しております。
私は、金融業界に身を置く者として誇りを持っております。
ですから、「金融屋」という言葉が大変気にかかり、また、金融業に対してもう少し考えて頂きたいのです。
ゲンさんが「金融屋」という言葉を使われている時は、消費者金融・闇金等を指しておられるのだと思いますが、金融業界全般に対する非難のように感じる時があります。
言葉の使い方を厳密に、ではないですが、「金融屋」という言葉を使う事については、ご再考ください。
私の指摘が的外れでしたら、未熟者の戯言だと思ってお許しください。
最後に、お二人と関係者様(私を含めて)のホームページが今後も楽しく続くことを切に願っております。
コメント ゲン
『ゲンさんが「金融屋」という言葉を使われている時は、消費者金融・闇金等を指しておられるのだと思いますが、金融業界全般に対する非難のように感じる時があります』
と言われとることやが、それがあんたのように証券会社に勤めている人にまでそう感じさせているとしたら、まことに申し訳ないとしか言いようがない。
配慮と思慮が足らなんだと思う。
ワシが、このサイトやメルマガの中で「金融屋」と言うてるのは、あんたが指摘されるように『消費者金融・闇金等』に向けてのことや。
それにプラス、銀行も入れとるが、証券会社までその範疇に入ると考えて言うてることやなかった。
しかし、金融業というのは、銀行や消費者金融に代表される金貸し業だけやなしに、証券会社や保険会社までその範囲が及ぶわけやから、単に「金融屋」と言うたんではそう誤解されても仕方ないわな。
さらに言えば、その「金融屋」と言うてる銀行や消費者金融に対してのものも、多分にワシ個人の逆恨みで言うてることでもあるしな。
ワシは、この拡張員の仕事をする前、大阪で小さなリフォーム会社を経営してた。
やってた時期は1986年のバブル全盛期から、それが弾けた1994年頃までの7年余りやった。
バブル全盛の頃は、今ではとても信じられへんかも知れんが、取引銀行の担当者が、ワシらのような零細企業にまで頻繁に日参してきて「どうか、当行の融資を利用してください」と言うてたもんや。
あまりの熱心さに「あんたとの付き合いもあるさかい、1000万円ほど借りとこか」と、大して必要でもない金を借金していたこともあったほどやった。
もっとも、その頃の社会情勢として、銀行にどれだけ借金があるか、できるかが、その企業の値打ちを左右すらするという風潮があって、それに踊らせれてたというのもあったんやけどな。
せやから、借金するのがステータスにすらなっていたわけや。少なくとも、借金することを負担に感じたり苦にしたりすることはなかった。
ところが、バブルが弾け銀行の経営が怪しくなると、そういう情勢は一変する。その借金が重くのしかかってきた。
借金は当然やが返さなあかん。
しかし、不景気になれば仕事の量も減る。楽やと思うてた返済もしんどいものになった。
銀行も手のひらを返したように金を貸さんようになった。
その頃は、頻繁に「手形」を切って支払いに充てていた。
手形には期日がある。それに間に合わんかったら「不当たり」となり会社の信用をなくし、実質的な廃業、潰れることになるさかい、それを阻止するために無理な借金をさらに重ねる。
一度、その歯車が狂えば転がり落ちるのは早い。
今思えば、ワシの人生の中で最大の生き地獄を経験したときやったと思う。毎日が、金、金でその他には何も考える余裕すらなかった。まさに、金の奴隷と化していた。
結局、最後は消費者金融にまで手を出した挙げ句、倒産した。
そして、家を取り上げられ、妻に愛想をつかされ離婚という家庭崩壊の憂き目にも遭うた。
人は何か事があった場合、己自身が悪いと思う前に、誰かの、あるいは何かのせいにしたがるという習性のようなものがある。
ワシがそうやった。ワシが金融屋と言うてる銀行や消費者金融を悪し様にこき下ろしとるのも、それや。「金融屋」を悪く言うことで自らが救われると勘違いしとるわけやな。
もちろん、それらの結果を招いた主な責任はワシ自身にある。
借金をすれば返さなあかんのは当たり前で、それが返せんとなれば家を取り上げられ、会社が潰れるのも仕方のないことや。
誰を恨む筋合いのものでもない。己の甘さと経営者としての才覚のなさを呪うべきやった。
その「金融屋」にしても、そうせな経営が成り立たず潰れるわけやしな。
しかし、そのバブルが崩壊して銀行の経営がおぼつかんようになると、国は公的資金とかを注入して、その銀行を助けた。
ワシら中小企業は自己責任として潰れようが、路頭に迷おうが、ほっておかれたのにな。
それも逆恨みに思う理由の一つやった。
その逆恨みから、金に縛られるような生活は二度と送りたくないと思うようになった。
そのためには、借金をせんことやと気づいたわけや。
おそらく、あんたは旧メルマガの『第110回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■脱金融屋へのススメ』あたりを見られて、この感想を送ってこられたのやと思うが、あれには、ワシの逆恨みの思いが延々と綴られている。
ただ、その逆恨みの話もハカセが書けば、それなりに納得するストーリーになっとるから不思議や。
あの話には共感できるという多くの読者からの便り(メール)が、未だに寄せられてくるさかいな。
しかし、その逆恨みの話で、あんたのような人を傷つけとるとしたら、まことに申し訳ないとしか言いようがない。
このサイトは、あくまでも個人的なものやが、多くの読者を擁し、世間にもそこそこ知られとる以上、それで堪忍してほしいと済ますわけにはいかんやろうと思う。
そうは言うても、悪いが、あの話の内容を撤回する意志はワシらにはない。
中には、あの話で借金苦から立ち直れたという人もおられるさかいな。僅かでも人の役に立てて貰えるものは、そのまま掲載し続けたいと思う。
ただ、今後は安易に「金融屋」という言葉は使わんようにはするつもりや。もっとも、あんたの話を聞いて、それでも使うというのはハカセもできんと言うてるしな。
そこで、ハカセと話し合っての提案なのやが、あんたが『金融業界に身を置く者として誇りを持っております』という具体的な話が何かあれば、ここで紹介して、その実状を多くの人に知って貰うというのはどうやろうか。
あるいは、その情報を詳しく教えて貰うて、メルマガに掲載するという手もある。
そうすることで、罪滅ぼしになるかどうかは分からんが、少なくとも、あんたの業界のアピールくらいはできるのやないかと思う。
ワシは、「金融屋」と言うてる割に、その実態というのは詳しく知らん。ただ、自分勝手な体験談を話しとるだけにすぎんさかいにな。
現在、金融業界も大変厳しい状況やというのは、ワシらのような門外漢でも良う分かる。
今は、そんな暇もないやろうから、その気が向いたときでええさかい、考えて貰えんやろうか。
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