メールマガジン・ゲンさんの新聞業界裏話・バックナンバー
第103回 ゲンさんの新聞業界裏話
発行日 2010.5.28
■2010年からの新聞営業講座……その5 無読者対策について
新聞を購読していない無読者が、ここ数年、凄まじい勢いで増え続けている。
最早、それを止める有効な手立ては、ほとんどない。
このメルマガやサイトを開設した6年ほど前までは、当時の新聞の普及率が93%強ということもあり、無読者の存在はあったが、それほど目立つ存在というわけでもなかった。
ワシの経験で言えば、そういう無読者と遭遇するのはごく僅かで、1日中拡張に廻っていても、せいぜい2、3人も当たれば多い方やった。
それもあり、サイトやこのメルマガでも、その当初においては「無読には無策でええ」と相手にする必要はないと言い続けてきた。
特に「インターネットで新聞記事、ニュースを見ているから新聞は必要ない」という人に対して、その考えを翻意させてまで契約を取るというのは途方もなく難しいことやと思うてたさかいな。
そういった無読者に反論するのは、旧メルマガ『第66回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■新聞の利点』(注1.巻末参考ページ参照)でも言うてたとおり、それほど難しいことやない。
無読者の認識不足を衝(つ)いて新聞の利点を論証すれば、それなりに説得力を持って対抗することはできる。
しかし、そうすれば、どうしても、「その考えは間違ってますよ」と言うことになりやすい。
営業で相手の意見に対して否定的なことを言うて反論してみても不毛な言い争いになるのがオチや。
例え、それで相手を言い負かせたとしても、その相手が納得して契約するようなことは、まずないやろうしな。
話せば分かり、カード(契約)になりそうな相手なら、例え時間がかかってもそうするかも知れんが、「インターネットで新聞記事、ニュースを見ているから新聞は必要ない」という人に、それを望んでも難しい。
せやから、そのときは、「わざわざ、その少数を相手にする必要はない」、「その無読者にかける時間があるのなら、比較的簡単に落とせそうな客を探す方が得や」と言うてきた。
しかし、今は、それではどうにもならんほど、その「無読者」が増えてきたということがある。
そう訴える勧誘員は多い。今や、その「無読者」を無視しては勧誘できんと。
その兆候がより顕著になってきたのは、およそ3年ほど前からやったと認識しとる。
旧メルマガ『第140回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■増え続ける無読者について』(注2.巻末参考ページ参照)でそのことに触れている。
その中で、
無読というのも、今は、まだインターネットを主体とした若い世代だけの拡がりやが、いずれ、中高年者へも飛び火するおそれは十分にある。
現在の新聞購読者の根幹を担っている中高年者にまで、その無読化が進めば救い難いことになる。
と言うてたことが現実になりつつある。
そのスピードが異常に早い。
現在は、どんな仕事の分野でもパソコンやインターネットは普通に使っている。
それなしでは、多くの仕事がなり立たんほどに。
その無読者の多くはインターネットで新聞の記事を読むことができるから新聞が必要ないのやろうと思い続けていたが、どうもそれだけではなさそうや。
一概に無読者と言うても、そうなるには、いろいろなケースがあると知った。
当たり前やが、その無読者への対策を考えるのなら、なぜ彼らがそうなったのかという根本的な部分まで掘り下げる必要があると思う。
これから、その無読者のタイプとその対策について話すことにする。
ただ、あまり過度な期待はせんといてほしい。
無読者対策とは銘打っていても、決定的な秘策があるというわけでもないさかいな。
何もやらんより、何も考えんより、それをやった方が、いくらかマシやという風に考えて貰いたい。
新聞営業における無読者対策について
1.完全なる無読者について
これは比較的若い世代に多いが、まったく新聞を読む気がないという人たちや。
もっと言えば、新聞どころか本さえ読むことがほとんどない人たちやと言うてもええ。
本と呼べるものを読むのは「マンガ本」くらいやさかいな。
俗に言う「活字離れ」というやつや。
余談やが、このサイトが面白そうやということで読みは始めてみたものの「字が多すぎて読めん」あるいは、「字が多くて頭が痛くなる」という笑い話のネタにもなりそうな短いメールが年に数通くらい届く。
まあ、ハカセは、ワザとないかというくらい長い文章を書きまくるさかい、そう言われても仕方ないとは思うがな。
ブログやメルマガなども比較的短い文章というのが主流で、このメルマガやサイトの文書量はそれと比べれば異常に多いと感じるやろうしな。
ただ、それがスタイルにもなっとるから今更、どうにかするのも難しいがな。
そういう意見が寄せられる反面、その長い文章を期待して、あるいはどんな情報が飛び出すかということを期待して読んで頂いている読者もおられるわけやさかいな。
その期待を裏切るわけにはいかん。その気持ちが強く、勢い長文になりやすいのやと理解してほしい。
ハカセにしても、その長い文章を書くことが趣味でやっているわけやないと。
ただ、そのメールを送って来られる人たちにすれば、それなりに切実な問題なのかも知れんという気はする。
なぜなら、なんでわざわざ、そんなメールを送ってくる必要があるのかということを考えれば、その思いが何となく分かりそうやさかいな。
本当は、面白そうやから読みたいのやと思う。実際、ちょっと読んでみて面白いと感じられたのかも知れん。
しかし、いかんせん活字を見ると拒絶反応を起こしてしまう。
どうしようもないと。
そんな彼らが新聞を読まん理由は至ってシンプルで、「字が多くて読む気がしない」、「読んでも面白くない」ということに尽きる。
そうなった理由というのは、おそらく、その本人たちですら分からんやろうと思う。
子供の頃からテレビやゲームで育った人間に、新聞を読むことや読書の習慣をつけろと強制するのは、例え親でも難しいことやさかいな。
こういう相手は一見難しそうに思えるが、意外なことに、こういった無読者から契約を取ってくる勧誘員は結構多い。
それには相手が比較的若いということで、言葉巧みに誘う、あるいは普通では考えられんくらいのサービスをチラつかせるという手法を使うわけや。
脅しや騙しも含めた手練手管も加えて駆使する。
しかし、いくら契約が取れる方法やというても、それを推奨することはできんがな。
そういうのは、いずれ必ず破綻(はたん)する。先のないやり方や。
サイトのQ&Aに時折、「新聞代をタダ」にした上で「販売店に内緒でこれだけのサービスをする」という甘い誘いに乗せられて契約し、それがもとでトラブルになったという相談が寄せられてくるのは、たいてい、この手の人たちからや。
はっきり言うて、読まない、読めないという人間に新聞を講読させようというのは、ニンジンやピーマンの嫌いな者に、それを買って食えと言うてるのと同じことやと思う。
そういう人は、おそらくタダでやるからと言うても食わんはずや。
それでも無理にでも食わせようと思えば、それを食うことで、それなりの好条件、褒美を示して与えるしかない。
それなら食う人間もおる。
しかし、それやとニンジンやピーマンを売っている者は商売にはならん。ちゃんとした対価を支払って買ってほしいとその売り手、もしくは生産者は願う。
中には、調理次第で食べさせられることができると考える人もいとるようやが、多くの人は嫌いなものに対して拒否反応を示すのが普通やから、手間暇かけて作っても、結局は食べない、無駄に終わるというケースが多い。
それなら、やはり「ほっとけ」ということなのかと言われそうやが、それやと、ここで「対策」やと言うてる意味がないから、それは言わん。
新聞を読まない人にも、新聞が必要やと思わせられる方法はある。
その彼らでも、テレビは必ず見るはずや。
そして、そのためには番組表が必要になる。
実は、通常の新聞の購読者でも、テレビの番組表だけ見て終わりというケースは結構多い。
テレビの番組表がほしいのなら、月刊のテレビ番組雑誌を買えばええやないかという意見があるかも知れんが、その月刊のテレビ番組雑誌は発行の都合上、1ヶ月以上前の番組の予想しか載っていない。
ところが、テレビの番組というのは、前日に急遽変更になることが、ままある。それで、見たかった番組を見損なったというケースが結構起きる。
新聞には前日に決定した変更は、ほとんど載る。
それを強調して勧誘するわけや。
そう言えば、その若い人も、子供のとき、学校から帰ると真っ先に新聞のテレビ欄を見ていたことを思い出すのやないかと思う。
新聞を売り込むために、テレビ欄を見るように勧めるというのも変な話には違いないが、そのとっかかり、第一歩ということなら、それもアリやないかと思う。
読まないのなら、必ず見るであろうものを探して、それを強調するわけや。
他にも、天気予報や宝くじの当選番号が載っていると言うのでもええ。
2.ネット依存の無読者について
この手の人間は、先に挙げた「完全無読者」とは違う。
新聞の情報は欲している場合が多いし、比較的新聞記事もニュースもよく見る。
それだけに最も厄介で、ワシが昔から「ほっとけ」と言うてた相手がこれなわけや。
正直言うて、今でもその思いは強いが、それではいつまで経っても、その対策を考え出すことなど、とてもやないが覚束(おぼつか)んと思うから、あえて挑戦してみる。
物事は見る角度、方向で、まったく違った捉え方ができる。
勧誘員は、売り込む側のことばかり考えとるようではあかん。
その相手であるネット依存の無読者を理解するためには、その立場に身を置いて考えることや。
そうすれば、分かることも多い。
その目で見れば、「タダで、インターネット上の新聞記事やニュースを見ることのできる環境にあるのに、なんで金を払うてまで新聞を購読せなあかんねん」ということが当然のことのように思えてくる。
ネット上には、あらゆる新聞社の主な記事が掲載されている。
一部の新聞社のWEBサイトを除けば、すべて無料で見ることができる。
当たり前やが、誰しもその価値を認めんものに金を払いたいとは思わん、思えんもんやというのは正論やと思う。
裏を返せば、その価値を認めさせることができれば、翻意(ほんい)する可能性があるということや。
その価値とは何か。
それは過去の新聞記事にあるのやないかと思う。
ネット上の記事は、その新聞社、またはその記事次第でも若干違うが、一週間から数週間でネット上から消滅する。
しかし、新聞紙は置いておく限りはいつまでも残る。それが、彼らへのセールスポイントになる。
ネット愛好家は、自身の興味のある記事は保存しとるケースが多いが、それ以外のものになると、それはあまりない。
普通、全国紙の新聞の情報量は、朝刊の場合、単純計算で400字詰め原稿用紙に換算して約500枚程度ある。
B6版の書籍にして300ページ分ほどになる計算や。
当然やけど、ネット上の新聞記事にそのすべてが載っていることはないから、ネットではその保存は難しく、そうしとる人間も少ない。
しかし、新聞を購読していれば、捨てん限り、その新聞の情報は残る。
あるいは、スキャナーなどでパソコンのデータとして取り込むことは可能や。
ただ、そうするには、そのもとになる新聞がなかったらあかん。
いざ、そのデータが必要なときに結構役立つ。
そう言うて、その必要性をアピールするわけや。
ワシは、この古新聞というのを結構、長期に渡って残すようにしている。
普通は1年くらいやが、重大事件の場合やと、半永久的に保存するようにしとる。
せやから、このトークを使っているとき、その相手が「1年ほど前の○月○日のニュースが知りたい」と言えば、そのコピーを渡すこともできる。
もっとも、これについては、ここだけの話やが、その勧誘の地域の図書館に行ってコピーするという手もあるがな。
普通の新聞購読者は、日々の記事を読んで終いというケースが多いもんやが、「インターネット上の新聞記事やニュースを見る」という無読者は、それだけやなく、その保存をしとるケースもあるから、そこまで踏み込んで話すということも必要で、それで効果が出る場合もある。
まあ、これなんかは常に雑談するという風に持って行っとるさかい、できることではあるがな。
どんな人でも、必ず必要なものがある。
「インターネット上の新聞記事やニュースを見る」というだけで敬遠するのやなく、その話に合わせて、その人の必要なものを聞き出せれば、口説き落とせる方法は自然に見つかると思う。
3.経済的な理由で無読者なったケース
最近の傾向として、こういう人たちが多い。
サイトにも「経済的に苦しくなったから新聞を解約したい」という相談が、確実に増えてきとるさかいな。
長引く不況ということもあり、始末するのなら、まず新聞代からというのが、定番のようになっとるのやと思う。
実際、それで解約となった無読者に再度、その新聞を勧誘するというのは結構、難しい。
その相手は生活がかかっとるわけやから、そうおいそれとはいかん。
特に今は、勧誘の「正常化の流れ」とやらで、多くの新聞販売店が景品の拡材サービスができん、せんようになったから、よけいや。
以前はあった新聞のお得感というのがなくなったさかいな。
こういう人たちには、やはり、そのお得感というのをアピールすることが一番手っ取り早い。
それは分かっていても、勧誘時のサービスに金がかけられんようになった現況で、どうすればええのかということになる。
『第84回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■2010年からの新聞営業講座……その2 拡材について』(注3.巻末参考ページ参照)の中に『金をかけずに済む拡材サービス方法のあれこれ』というのが、その参考になるやろうと思う。
中でも、
2.オリジナリティのある拡材を用意する。
多くの新聞販売店が嫌う拡張合戦に突入するのは、同じ景品・サービスで競争しようとするからやと思う。
その場合は、その多い少ないでサービスの善し悪しにはっきり差がつくから、どうしてもその競争がエスカレートしやすい。
現在の状況は、まさしくこれやと思う。
オリジナルティがあって、他があまりしないサービス、手に入りにくい希少価値の高いサービスであれば、例えそれが安価なものであっても効果的な場合が多い。
その実例を紹介する。
●ネズミ獲り機。一般ホームセンター価格で千円前後。
これは、サイトのQ&A『NO.15 サービスの景品について教えて下さい』 で話したもので、なかなかユニークなものやった。
ある販売店からこのネズミ獲り機を持って行けと言われた。
当初、こんな物は拡材の役に立たんやろう思うて渋々持って行って拡張したわけやが、ワシが行った家で、話し込んでる内にその家がネズミに悩まされとると言い出した。
結果、そのネズミ獲り機でネズミが捕れたら、新聞の契約をしようということになった。
翌日、あんまり期待もせんとその家に行くと、なんとでかいドブネズミが罠にかかっていた。
それで、その家とは難なく契約できた。
ワシは試しにとその近辺をネズミ獲り機だけで営業をかけてみた。今度は、ネズミを捕まえた実績があるから強気や。
すると立て続けに10軒ほど契約が取れた。皆、ネズミに悩まされてたわけや。
ワシはその販売店の所長を見直すと同時に大事なことをこのことで教えて貰うた。
拡材は、必要な時に必要な人間に用意するもんやと。
▼ネズミ捕獲かご 角型ネズミ捕り販売参考サイト
http://store.shopping.yahoo.co.jp/kaiteki-club/013.html
●しめしめ45 文具 一般ホームセンター価格二千円前後。
これは、ある読者に教えて頂いた情報や。
新聞やケーブルを簡単に束ねられるというふれ込みの代物で、その他にも結構利用価値のあるものやと思う。
▼【文具王】気分は“必殺仕事人”!? 新聞やケーブルを簡単に束ねられる「しめしめ45」参考サイト
http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/column/20091119/1030320/?P=1
ここで言いたいことは、購読者が役に立ちそうな商品を探すということや。
その目で探せば、それぞれがオリジナリティのあるものを探せるのやないかと思う。
なんかの考え方がええのやないかと思う。
あるいは、『第94回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■2010年からの新聞営業講座……その4 工夫は拡材に勝る』(注4.巻末参考ページ参照)なんかも、参考になるはずや。
特に評判の良かったのが、
6.客の心を掴むプレゼントを考える。
これを実際に実行しとる販売店がある。
その方法とは、契約時にその家族の誕生日を契約書の片隅、あるいは別紙のアンケート用紙に書いて貰うというものや。
そうする目的は、その誕生日に、それほど大したものやなくてもええから「プレゼント」として持っていくということをするためや。
その販売店は契約時には、あまりええ拡材を渡せんので、その代わりに、その日が来たら、なるべくその人に合わせた「プレゼント」を贈るのやという。
その販売店の経営者がそれをしようと思いついたのは、地域の激安ショップの経営者と友達で、そこで売れ残った商品の引取先に困っていたということを知って、それを考えついたのやという。
その商品自体は売れ残りやから二束三文の値段で手に入る。
但し、商品とその品数が常には一定んから、一般の拡材に使うことは難しい。
しかし、個人的にならそれを使うことは可能やと、その経営者はそう考えた。
例えば、旦那の誕生日には洒落たコーヒーカップや灰皿。奥さんには、エプロンとかスリッパ。お子さんにはオモチャ類といった感じやな。
その時々でその商品がころころと変わるということが、却って功を奏したのか、その販売店の評判は瞬(またた)く間に上がったということや。
そういう事というのは、口コミで拡がりやすいさかいな。
そのため、このご時世にあって、かなりの部数を着実に伸ばしているのやという。
というもので、早速、取り入れたいと言うて来られた方が何人かおられたさかいな。
4.勧誘のトラブルにより無読者になったケース
これも結構多い。というか、根の深い問題でもある。
たいていは、勧誘員に騙されたとか、販売店の対応が悪いといった類の理由が大半やが、これに関して言えば、持って行き方次第では解決つく場合がある。
基本的には、何があっても、まず平身低頭に謝罪することや。
その上で、そのトラブルの内容をとことん聞く。
そのとき、その客は怒り出すかも知れんが、それは仕方ないと覚悟する必要がある。
一切の反論はしない。悪いのは、すべてこちらだとして謝る。
そうして苦情をすべて吐き出せてやれば、たいていの人は満足して、すっきりとした気持ちになる場合が多い。
それが気分を害した当事者やというのなら難しいかも知れんが、同じ販売店の勧誘員という場合は、その客も少し言い過ぎたかなとなりやすい。
そこで初めて、その真摯な姿勢に好感を持つことも多い。
そこを上手く衝(つ)くようにするわけや。そうすれば契約を上げやすい。
その際、よく使う手に「販売店の経営者が替わりました」というのがある。
実際に替わっていなくても、その購読者が直接、その販売店の経営者と面識がなければ、「私との契約では、けっしてそのようなことはありませんので安心してください」というトークが活きる場合がある。
あるいは、「以前の経営者は死にました」というのもある。
ウソをついていることになるが、その契約者の意向を正確に販売店に伝え、二度とそういうことがないように持っていければ、その程度のウソは許されると思う。
ただ、この手は、その客について一回きりしか使えんがな。
また、あまり頻発に使うて評判の悪い販売店の場合は、その勧誘自体も噂になっている場合が多く、却って逆効果になる場合があるから注意する必要がある。
5.新聞の記事そのものが嫌で無読になったというケース
これも難しい。それには、かなりの理由がある場合が多いさかいな。
しかも、普通では、なかなか反論も否定もできんくらいの正当な論拠を持っている場合が多いから、よけいや。
加えて、そういう人は思い込みが強いから、生半可(なまはんか)な説得ではどうにもならんやろうと考える。
『第8回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■MDN醜聞の波紋』(注5.巻末参考ページ参照)や『ゲンさんのちょっと聞いてんかNO.12 私がM新聞の講読を止めたくなった理由……頑張れ小沢一郎さん』などがその典型的なものや。
これは、たまたま同じM新聞やが、他の新聞社の記事でも、それに似たケースは多い。
基本的に、これに関しては、その該当する新聞の勧誘は、まず無理やと考えといた方がええ。
その代わり、それ以外の新聞を勧誘しとる場合やと、そのことで比較的簡単に落とせる可能性もある。
せやから、まずはそれを聞き出すことが肝心になる。
「新聞の記事には偏向的なものや誘導するようなものが多い」、「捏造記事や不確かな記事が目立つ」と言われて、すぐあきらめるのやなく、どの新聞の記事がそうなのかということを掘り下げて聞くわけや。
その結果、競合他紙と分かれば、「それはとんでもない話ですね」と同調すればええし、勧誘している新聞なら、「そのことについては、お客様の意見は私の方で必ず本社に伝えて厳重に抗議しますので、もう一度、お考え直し願えませんか」というトークで勧誘することもできる。
6.たまたま、どこからも新聞の勧誘が来なくて無読になっているケース
こういう人たちに最も多いのは、引っ越して勧誘員が来ないまま時が過ぎたというやつや。
この人たちは新聞が必要ということでもなければ、特に拒否しているわけでもない。
どっちでもええわけや。
また、今まで購読していた競合他紙とトラブルを起こして止めて、他の新聞を読む気もなくしたという人もおる。
一般的に勧誘の初心者は、無読者と言えば、こういう人たちが多いと考えやすい。
どの新聞も取ってないのやから、契約を上げて当然やと。
せやから、無読やと聞くと喜ぶ。
確かに、そういう人たちも存在するし、すぐに契約になる可能性が高いということも否定せん。
そういう人に当たればラッキーになる場合も多い。
しかし、無読者全体の中からすれば、そういうケースはまれで、ごく僅(わず)かでしかない。
ごく僅(わず)かであっても、そのチャンスを逃すべきやない。
相手が無読者というだけであきらめんかったら、そういうケースにも遭遇するということや。
今のところ、こんなところやが、無読者を翻意させて契約を得るというのは、並大抵のことやないということが、これで分かるやろうと思う。
その確率も悪く、手間暇もかかると。
もっとも、そうかといって、現在のような厳しい状況下では、その無読者を避けてばかりいてもあかんがな。
ここで示したように、単に無読者と言うても、それぞれ違いがあるさかい、まず、その相手がなぜ無読になったのかという点を聞き出すことや。
それからでしか始まらんやろうと思う。
今回のことが参考になるかどうかは、それぞれやとは思うが、今まであきらめていた対象について、少しでもチャレンジしようという気になって貰えれば、それでええ。
参考ページ
注1.第66回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■新聞の利点
注2.第140回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■増え続ける無読者について
注3.第84回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■2010年からの新聞営業講座……その2 拡材について
注4.第94回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■2010年からの新聞営業講座……その4 工夫は拡材に勝る
注5.第8回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■MDN醜聞の波紋
ゲンさんのちょっと聞いてんかNO.12 私がM新聞の講読を止めたくなった理由……頑張れ小沢一郎さん
読者投稿 来年の7月からの地デジ化で難しくなります
投稿者 T.Yさん 投稿日時 2010.5.28 PM 10:47
いつも楽しく拝見させていただいております。
さて、本日のメルマガを読ませていただきましたが、一つ思ったことがあったので、メールさせていただきました。
無読者層の種類についてということでしたが、これの1番の完全なる無読者についてというう部分で、テレビ番組欄で勧誘できるのでは?
ということでしたが、最近はテレビ欄での勧誘もだんだん難しくなってきています。
地デジ化によって、テレビ本体でテレビ欄が見れるようになってきたからです。テレビのリモコンのテレビ欄というボタンを押せば、すべての番組が見られる状態で、ここから録画も可能になっています。
地デジで天気予報も確認できますしね。
とても困った事態だと思います。
来年の7月には全部のテレビが地デジ化になるわけですから。
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