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第107回 ゲンさんの新聞業界裏話
発行日 2010.6.25
■2010年からの新聞営業講座……その6 お世辞トーク集
営業する際、客をおだて上げ「お世辞」や「ヨイショ」、「褒め言葉」を駆使するのは半ば常識、当たり前と考えとったが、これをやってない、あるいは苦手やと言う勧誘員が多いというのには驚く。
特に、拡張員より新聞販売店の従業員にその傾向が強いと。
拡張員の場合は、1本の契約を得るためには、それこそ、米つきバッタの如く頭を下げまくり、卑屈なほど媚(こ)びた勧誘に徹する者も結構多い。
場合によれば土下座するような者も、それほど珍しい存在でもない。
まさか、こんな人間がと思うような、強面(こわもて)のいかつい拡張員でも、そうすることがあると。
彼らにとっては、その場のプライドと1本の契約を秤にかけたら、文句なく1本の契約の方が重い。
特に今は昔のように、脅して勧誘する「喝勧」や騙しの「ヒッカケ」といったやり方が通用せんようになっとるから、よけいそう考える拡張員が増えとるという。
しかし、専業と呼ばれる従業員には、その意識は薄いようや。
それには、「配達」、「集金」という他にも新聞販売店には重要な仕事があり、拡張員のように「営業」がすべてという考え方にならんからやと思う。
勧誘に関しては、「所詮、プロやない」と。「そこまでして客にべんちゃら言う気にはならん」と。
そう考える背景には、その勧誘報酬が拡張員のそれに比べると極端に安いということもある。
良くて半分程度で、販売店によればそれ以下という所も多いさかい、例え口には出さずとも「アホらしいて、やってられん」という思いになると。
加えて、例え勧誘ができんでも、その分の収入がないというだけで、拡張員のように、それが生活に直結せんという思いもあると。
もっとも、えぐい販売店の場合やと『第165回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■背負(しょ)い紙……その哀しき実態』(注1.巻末参考ページ参照)のように、その成績の悪い従業員には自腹で「新聞を取れ」と強要するケースもあると聞くから、必ずしも生活に直結せんとも言い切れんがな。
そこまで酷(ひど)くはなくとも、勧誘成績の悪い者に対しては某(なにがし)かのペナルティを科す販売店もあるという。
そういったことがあるにしても、販売店の従業員(専業)にとって、勧誘の仕事に対しては総体的にその優先順位が低く、積極的にやりたいと考える者は少ないようや。
何でもそうやが、やる気がなければ、そのための意識を持てと言うても無駄やし、どうにもならん。
このメルマガやサイトでは、勧誘営業については、それなりに講釈も垂れて偉そうな能書きも披露しとるが、実際のワシは、自分から積極的に何かを教えるというような人間やない。
教えを請(こ)うという謙虚な姿勢が感じられれば、その人間、状況次第ではアドハイスせんこともないが、そうでなければ、ほっとく。
実際に、そこまでの姿勢を見せた人間というのは過去にも数えるほどしかいてへんかったしな。
それどころか、何を勘違いしとるのかは知らんが、仕事は教えてくれて当たり前と考えとる人間がおるようやが、そういうのはワシにとっては論外や。
何を考えとんねんと思う。とてもやないが相手にする気にはなれん。
そういうこともあり、その意識のあるなしについて特に気にすることはなかった。
それでも一応、サイトの『ゲンさんの勧誘・拡張営業講座 第2章 新聞営業の実践についての考え方 拡張トーク編 その2 お世辞トークについての考え方』(注2.巻末参考ページ参照)で、そのことについて触れとるがな。
その中では、
営業の世界ではこれを抜きには語れんというほど重要なもんなんや。お世辞の一つも言えんというのでは営業は難しい。
例えそれが、歯の浮くようなお世辞であろうと、明らかにヨイショで持ち上げられとると分かるようなことであろうとも、人間、言われて悪い気はせんもんや。
それは、相手がそれを言うことの裏には、喜ばせようという気持ちが感じられるからやと思う。
とか、
営業的な考えから、お世辞は生まれたとも言える。
営業は自分を売り込むことが肝心やというのが、ワシの持論や。売り込むためには、その相手に気に入られたいと願う。
その思いがお世辞となって口から出る。
それは、おそらく人間の社会が確立した太古の昔から存在したことやと思う。
自分を売り込むことが営業。そう思えば誰でも自然にその売り込む相手にお世辞の一つも出るはずや。
また、そのお世辞というのは、自分の身を守るためにも有効やという側面もある。
営業の考え方は、客に向けてだけやなく、上司、とりわけ拡張員の場合やと班長や団長、販売所の所長なんかに向けても自分の立場を有利にすることにも役立つ。
その方法はきわめて単純で簡単や。たいていはお世辞の一つも言えばそうなることが多い。
せやから、昔からお世辞は処世術としても重要やったわけや。
時の権力者を怒らせたら命の保証もなかったわけやからな。自分の身を守るためには、お世辞を言わなあかん場面もあるということや。
まあ、そこまで切羽詰まった考え方をせんでもええけど、少なくてもお世辞を言うことに対して卑下する必要はないし、恥ずかしがる必要はないと思う。
営業手段の一つで、そうすることで利益を得られるものと割り切ることや。
あるいは、
お世辞を言おうと思うたら、何事も注意深く観察せんとあかんということや。そのお世辞に相手が反応するようになったら、一歩前進や。
それに、そういうことを繰り返してたら、自然といろいろなものに対して造詣も深まる。ちょっとした物知りやな。
そうなればまたお世辞トークにも磨きがかかってくると思う。
せやから、何度も言うように、無理にお世辞を言おうと構えんでもええ。
そんなことをすれば慣れてない実直な人間やと、かえってぎこちなくなるからマイナスや。
さりげなくということを心がけといたらええ。
慣れれば、自分でも不思議やなと思えるくらい、お世辞が言えてるもんや。
と言うてた。
もちろん、これで分かって貰えれば、それでええわけや。
しかし、そのための具体的な方法をもっと知りたいという人にとっては、その記述だけでは物足らんはずや。
営業を極めるために、どうしてもそれが知りたいと願う人たちに向けて、これから、ワシの知り得た限りの「お世辞トーク」について話したいと思う。
ただ、初めに断っておくが、それを役立てられるかどうかは、あくまでもその人次第やさかいな。
また、ここに挙げるトーク集は、あくまでも参考さかい、実際の現場では独自のトークを心掛けてほしいと思う。
世の中、どんなに素晴らしい教え、教訓を含んだ言葉に接したとしても、それをそれと気づかん、あるいは活かせんかったら何の意味もないさかいな。
どんなに崇高な名言を吐く人間より、それを活かせることのできる人間の方がはるかに偉いのやと知っといてほしい。
もっとも、ここで取り上げるものは、そんな高尚なレベルのもんやないさかい、気楽に見て、「こらええな」と思えるものだけ参考にしてくれたらええがな。
但し、恥とか外聞を気にするようやと、その「お世辞トーク」を会得するのは、とても無理やと言うとく。
それでは始める。
新聞営業における、お世辞トーク集
1.主婦に受けやすいお世辞トーク
【ステキなお住まいですね】
新築、および比較的新しい一戸建ての住宅の場合、こう言っておけば嫌がられることはまずない。
比較的古そうな家なら、【味わいのあるお宅ですね】と言うておけばええ。
他にも大きい家なら【立派なお宅ですね】。
庭が広ければ【お手入れが行き届いていますね】。
玄関を褒めるのなら【落ち着いた玄関ですね】、【綺麗な玄関ですね】。
花壇や植木があれば、【美しいお花ですね】、【立派な植木ですね】。
他にも気づくことがあれば、どんなことでもええから、それについても褒(ほ)めておく。
特に、外壁塗装して日が経っていない、カーポートを新設したばかり、屋根瓦を取り替えた、といったことが分かるような家の場合、それについて褒めるのは効果的やと知ってほしい。
そういう家の主は、ほとんどが住宅リフォームの営業員に勧誘されてとか、見栄っぱりな性格というのが多く、お世辞トークに弱いという傾向にあると。
あるいは、多少、周りとの調和が取れていない「奇抜な感じの家」の場合も、この【ステキなお住まいですね】というトークは結構活きる。
人から、そう言うてほしいがために、敢えて、その選択をしとるというケースが多いさかいな。
要は目立ちたがりなわけや。目立ちたがりな人間は「おだて」、「お世辞」に弱い。
【いい香りがしますね】
その家の玄関に入る、もしくは覗ける位置で応対して貰うたら、こう言うとく。もちろん、【いい匂いがしますね】でもええ。
たいていの家では、玄関口とトイレの臭いには気を使っている所が多いから、このトークは結構活きる。相手が主婦なら尚更や。
他にも下駄箱の上の花瓶やその中の花、置物、壁の絵などのように褒められる物はなんでも褒める。
玄関口は、その家の顔で気を使う場所や。そこにあるものを、さりげなく誉めるという癖をつけといて損はないと思う。
ワシの経験でも、何気なく誉めた花が、実はその家の人にとっては思い出深いもんやということがあった。
そんな場合、その人はその話をしたがってる場合が多いから、こちらは黙ってその客の話を聞くようにしたらええ。
話すばかりが営業やない。客の話を聞くのも立派な営業やさかいな。
その他にも、壁の絵がその家の家人の作品やったり、有名人から貰ったものやったり、高価なものだったりという場合も結構ある。
置物のような飾り物にしても同じことが言える。
そういう場合、それをさりげなく誉められたら誰でも悪い気はせんはずや。
というか、それに気づいてほしいという心理が込められとる場合が結構多い。
【かわいい、お子さんですね】
3歳くらいまでの小さな子供がいれば、こう言っておけば間違いはない。
人の親であれば、誰でも自分の子供を褒められて悪い気はせんさかいな。
他にも【お人形さんみたいですね】、【今が一番かわいいときですね】と言うのもええ。
これが幼稚園児くらいになると、例え小憎たらしい子供であっても【とても元気のいい活発なお子さんですね】と言うておけば間違いない。
大人しい、人見知りのする子供なら、【礼儀正しいお子さんですね】など、と言うておけば無難やと思う。
また、主婦だけやなく、その祖父母が出て来た場合には、【おじいさま(おばあさま)によく似ておられますね】と付け加えるのも効果的や。必ず喜ばれる。
【魅力的ですね】
こんな歯の浮いたような台詞(せりふ)でも喜ばれるケースが多い。
これが独身で容姿に自信を持っていれば、そう言い寄る男も多いやろうが、家庭に引きこもった主婦は、そう言われることが少ないから、インパクトとしては結構強いわけや。
十人並みに見える女性は、ほぼ間違いなく、過去、自身にそれなりの自信を持っていた人が多い。
そういう主婦は容姿をさりげなく褒められると弱い。
他にも【品がおありですね】、【笑顔がとてもステキですね】などが効果的な褒め言葉になる。
顔立ち、手足、スタイルなど褒めやすいところは、すかさず褒めとく。
その訪問先が二度め以上の場合で、その主婦の容姿を褒めるのなら必ず【いつも】というフレーズを付け加えておくのを忘れんことや。
【いつも魅力的な方ですね】、【いつも品がおありですね】、【いつもお若いですね】、【いつも笑顔がとてもステキですね】といった具合に。
これを【今日はとても魅力的ですね】と言うた場合、本人は褒めたつもりでも、「今日は例外的に魅力的なのか」という、ひねくれた受け取り方をする主婦もいとるさかいな。
褒め言葉と言えども、細心の注意が必要になる。
2.旦那に受けやすいお世辞トーク
【それは、すごいですね】
ワシは、拡張する際には必ず雑談から入るわけやが、そのポイントとしては、なるべく、相手の意見を引き出させやすい話題を振るようにしとる。
それもなるべく旬な話題の方が効果が高いと考えてそうする。
年輩の旦那なら「相撲協会の野球賭博をどう思われます?」と水を向ければ、「とんでもないことや」と、憤りを見せ、それについて批判めいたことを言うケースが多い。
たいていは、新聞やテレビの受け売りを、そのまま言うてるだけなんやが、そういう場合は、それと分かっていても反論せず、うなずき納得したという素振りで【なるほど、いやー、ご主人の見識はすごいですね】と感心して見せる。
ついでに、【ご主人と同じようなことを、本日の当社の新聞紙面で解説委員も言ってましたが、ご主人の見識は、まさにプロ級ですね】とでも言えば、その新聞を勧誘する糸口にもなる。
これが、比較的若い旦那なら、現在、開催中のサッカーのワールドカップに因んだ話題を振るのでもええ。
「今回の南アフリカ大会は有力チームが苦戦していますね。特に前回の優勝チームのイタリアや準優勝チームのフランスなどは予選で敗退しましたからね」と向ける。
すると、ちょっと興味のある人間なら、「イタリアはともかく、フランスの場合、あれだけ、監督やコーチおよび選手間の亀裂が激しくてチームワークが崩壊してたら当然だ。しかも、その選手のバックには、あの有名なジダンが選手側についていたというから、選手は誰も監督やコーチの言うことなんか聞かないよ」と言うケースも考えられる。
これも報道の受け売りなんやが、【へえー、そうなんですか。よくご存知で、すごいですね】と、何も知らん素振りで感心して見せる。
「まったく知りませんでした」、「驚きました」と。
さらに、参議院選挙が公示されたという話題を向けた場合、選挙に関心の高い旦那さんなら、熱弁を振るうこともある。
そんな場合、どんな意見であっても、【なるほど、そうだったんですか。大変勉強になりました】と、そう迎合しとく。
「お世辞トーク」に反論は禁物やさかいな。営業の場では、すべてを是とせなあかん。自分の意見は殺す。それが絶対の条件になると心得とくことや。
中には有名人と会った、知り合いやと吹聴する者もいとる。
そんなときにも、この【へえー、そうなんですか。すごいですね】と大袈裟に驚いて見せ、その話をさせるように仕向ける。
会社の役員や重役など肩書きを自慢げに披露する人間も、そのお世辞トークには極端に弱いから、ただひたすら褒めちぎることや。
つまり、その旦那が自慢したいことは何でも褒めとけば間違いないということやな。
その際、【すごい】の他に、【さすが】、【見事なご意見です】、【素晴らしい】、【参りました】、【頭が下がります】などと、タイミングを見計らって褒め言葉、ヨイショのかけ声を変えるというのも手や。
【すごい、すごい】の連発だけやと、どこか白々しく小バカにしたようにも聞こえ、逆効果になりかねんさかいな。心しとくことや。
3.若者に受けやすいお世辞トーク
拡張で気をつけなあかんのが、「上から目線」というやつや。
特に若い人はこれを嫌う。
営業というのは、今更言うまでもなく物を売る仕事や。
「買ってください」とお願いするのに、「兄ちゃん取ったれや」というのは本来あり得ん、あってはならんことやが、この業界には、なぜかそうしたことが平然と行われてきた。
「学生や若い人間は脅すに限る」といったような言葉を公然と吐く者も珍しいことなかったさかいな。
拡張員、専業を問わず、そういうアホな認識を持っていた者もおったと。勘違いも甚(はなは)だしいと。
いくら相手が若くてもお客さんになって貰うことには変わりはない。拡張、勧誘というのは、そのための「お願い事」なわけや。
年長者が、若い人に対して優位、上から目線で話してもええのは、その若い人を教え導く立場にある、またはその若い人自身がそう願う場合くらいなものや。
単に長生きしとるから目上やと考えるのは愚の骨頂、アホとしか言いようがない。
お互いの立場というのは、お願いする方が下で、お願いされる側が上と相場が決まっとる。
特に営業の世界では、これは絶対的なことやと認識しとかなあかん。
その基本を心得ていたら、この若い人に対しても、先に言うた『2.旦那に受けやすいお世辞トーク』のケースと大差ないということが理解できると思う。
それが分かれば、後はその立場を褒めるようにすればええだけのことやと。
【頑張っておられますね】
学生さんであれ、仕事をしている若い人であれ、こう言うとけば、まず間違いない。
学生さんで有名大学校に通っていれば、【まさに、あなたは日本の頭脳ですよ】、【将来、さぞかし名の通った立派な人になられるんでしょうね】と、おだて上げる。
それほどでもない大学に通っていても、褒められる部分があれば、それを褒める。
褒めるべきことがなさそうでも、【あなたのような聡明な学生さんもおられるのですね】と言うておけばええ。特別なのやとアピールする。
その上で【そんなあたにこそ、当社の新聞を読まれるべきです。必ずお役に立てるはずですから】と勧誘する。
有名大学校の教授、講師の中には、未だに新聞紙面を使っての講義というのが多いと聞くさかい、その事実を調べて、そう説得すれば効果的やと思う。
また、就職活動をしている学生さんなら、一流企業の面接官が、その新聞紙面を参考に面接試験の内容を作成しとると言うてもええ。
これは間違いでもウソでもないさかいな。
大学の教授、講師にしても、一流企業の面接官にしても、新聞記事を引用する方が、いろんな面で手っ取り早く自分たちの手間も省けると考えて、そうするケースが多いというから、それを強調するわけや。
新聞がそういった試験の最も有効な参考書、資料になると。
4.高齢者に受けやすい、お世辞トーク
【何でもよくご存知ですね】
高齢者には、こう言って褒めておけば間違いは少ない。
勧誘する者と歳が離れていればいるほど、それが単なる「お世辞」にはならんようになる。
また、高齢者ほど、「昔は良かった」という話をしたがる傾向があるから、嫌な素振りを見せずに、【すごい経験をされてますね】、【さすが博識でいらっしゃる】、【そんなことはまったく知りませんでした】と感心して見せるのも手や。
高齢者に対しては無理に売り込もうとしなくても、話し相手になるだけで、かなり効果が上がる場合が多い。
特に今は独り暮らしの高齢者が多く、新聞の勧誘員というのは結構、身近な存在になっとるということもあるしな。
ただ、高齢者への勧誘は何かと批判の対象になりやすいさかい注意しとく必要はあるがな。
現在、悪質な訪問業者が高齢者を騙して多額の商品を売りつけるという事例や犯罪などが頻発しとるさかい、よけいや。
新聞勧誘にしても、耳の良く聞こえない高齢者、目の見えにくくなった高齢者への強引な勧誘が行われているケースもあると聞くしな。
嫌がっているにも関わらず、騙すようなやり方で契約をさせるという事案もあると。
サイトのQ&Aへの相談も時折、その類のものが寄せられてくることもある。
もっとも、悪質で違法性の高いと思われるケースに対しては積極的に、その対処方法をアドバイスしとるがな。
そういう輩は絶対に許せんさかいな。
しかし、中には、新聞を必要やないと考える息子さんや娘さんから、その高齢者である親御さんの意志とは別に、新聞そのものが勧誘されて困るという相談をされるケースもある。
そんな場合は、まずその親御さんの気持ち、意志を第一に考えてあげてほしいと言うてる。
そこには、世代間の価値観の違いというのがあるからと。
インターネットに比重を置いた人から見ると、金を出して新聞を講読するという行為が、何かとてつもない無駄のように思える。
しかし、新聞が近くにあって当たり前という時代を長く生きてきた高齢者にとっては、それを読む読まないに関係なく、ないと困るという人が多いということを知ってしてほしいと思う。
新聞が、そこにあるだけで落ち着くのやと。
その価値を決めるのは、あくまでもその本人で、例え身内といえども、その干渉はするべきやない。
どんなに傍(はた)から意味のないように思える物でも、その当人にとって大事な物は世の中にはいくらでもあるさかいな。
それと同じことやと理解してほしいと。
5.商店主、及び会社経営者、責任者に受けやすい、お世辞トーク
【さすが、お目が高い】
商店主、及び会社経営者、責任者というのは、ある意味、営業のプロでもあるから、通り一遍の褒め言葉で落とすのは難しい。
これでもか、これでもかというくらい徹底した方がええ。それには【さすが】と言うのがポイントになる。
この【さすが】というのは、相手の自尊心をくすぐるには格好の言葉やさかいな。
【さすが、目のつけどころが違いますね】、【さすがは社長さん】、【さすがに、ご賢明な判断をされますね】、【さすが、私どもとは偉い違いです】、【さすがは研究熱心ですね】など、いくらでも使うことができる。
また、その相手次第では【努力が結果になって表れていますね】、【すごい行動力ですね】、【フットワークが軽いですね】、【大変なご活躍ですね】などと言うのも効果的な場合がある。
まだまだ、考えればいくらでもあるが、まずはこの程度を基本としてマスターしてほしいと思う。
日本人は昔から「お世辞」に対して、あまりええ印象を持ってないが、例え、それがあからさまな「おだて」であろうと、「ヨイショ」であろうと言われて悪い気のする人間は少ないと思う。
営業で物を売るという仕事は、まずその相手をええ気分にさせる必要がある。
そのためには使える「お世辞」は何でも使うべきや。
よしんば、その相手に軽薄に見られたとしても、それはそれで成功したと考えたらええ。
なぜなら、その相手に下に見られるということは、相手に優越感を与えたということになるさかいな。
つまり、「お世辞」や「おだて」、「ヨイショ」が功を奏したということになるわけや。
その状態にまで持っていければ、「それなら契約してやるか」と言わせるのは時間の問題になる。
まあ、そう上手くいくかどうかは保証できんが、その可能性が高まるのは確かやと思う。
ワシが、恥も外聞も捨てられるのなら道が開けると言うのは、そういうことや。
もっとも、それを知っても、実際に実行するか、できるかはそれぞれの器量、判断に任せるしかないがな。
参考ページ
注1.第165回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■背負(しょ)い紙……その哀しき実態
注2.ゲンさんの勧誘・拡張営業講座 第2章 新聞営業の実践についての考え方 拡張トーク編 その2 お世辞トークについての考え方
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