メールマガジン・ゲンさんの新聞業界裏話・バックナンバー

第121回 ゲンさんの新聞業界裏話

発行日 2010.10. 1


■我ら哀しき愛煙家……吸うべきか、吸わざるべきか、それが問題だ


いよいよ本日、10月1日から、たばこが値上げされる。

4年前の2006年にも、たばこの値上げはあったが、そのときは1箱あたり20〜30円程度のものやった。

しかし、今回はその5倍以上の1箱(20本)あたり110円〜140円という過去最大級の値上げ幅になる。

1本につき3.5円の増税ということは1箱20本入りとして、せいぜい70円程度やさかい、そこまで値上げせんでもええやないか言いたくなるが、それでは日本たばこ産業(JT)は企業の存続すら難しくなると訴える。

今回の増税により喫煙者が大きく減少するのは確実で、大幅な売り上げ低下は避けられそうもないから、増税分を上回る値上げ額を設定するしかなかったのやと。

やむを得ない苦渋の選択やったと。

「ふざけるな」と思う。

政府(厚労省)の建前は、喫煙が身体に悪いという健康面を理由にしての増税ということやが、要するに取りやすいところから税金を取れということやないのか。

それ以外に理由はないやろ。

今まで最も多い種類のたばこの販売価格は1箱20本入で300円やったが、そのときの税額ですら174.88円も取っていた。

それにプラス消費税分14.29円まで加わって、実に189.17円、約
63%もの重税を課していたわけや。

それのどこが不足なんやと言いたくなる。

それが今回の増税分が1本あたり3.5円で、1箱20本入やと70円の値上げ、それに消費税分が上乗せされ、その総税額は何と約275円という計算になる。

さらに先に言うたように、日本たばこ産業(JT)は増税分だけの値上げでは企業の存続すら危うくなるという理由で、1箱20本入300円を410円にするという。

それに40円分の便乗値上げ分も加わるということになる。

そのために、税率全体としては約67%で、なぜか微増という妙な結果になっとるが、いずれにしても、大幅な値上げが喫煙者の意志に反して行われたのだけは間違いない。

それを国が推進し決定した。

ワシは民主党政権に関して批判的な人間やなかったけど、これはあかん。

『過政は虎よりも猛し』という故事が、古代中国の五経の一つ、礼記(らいき)にある。

酷い政治は人食い虎よりも恐ろしいという意味や。

実際、どんな悪政を布いた昔の為政者でも、これほどの高い税率を課すのは躊躇するのと違うかなと思う。

それには、そんな無茶な税金を取る国や政府は必ず崩壊、転覆の憂き目に遭うとるという現実があるからや。

それが分からんのかと言いたい。

取れるところから取れという考え方は、まさしく、その道を突き進む愚を冒しとるとしか言いようがない悪政、悪行そのものでしかない。

また、この決定は、弱者であるワシら喫煙者に対する「いじめ」、「嫌がらせ」以外のなにものでもないと思う。

現在、喫煙者は年々減少傾向にある。

日本たばこ産業(JT)が8月に発表した今年の喫煙率調査結果によると、成人男性の平均喫煙率は38.9%で成人女性の平均喫煙率は11.9%。

男女合わせた喫煙率は前年比1ポイント減の23.9%やったという。

ワシがまだ中学生時分の1966年(昭和41年)が最高の喫煙率を誇った頃やったらしく、そのときの成人男性の喫煙率は83.7%ということやから、この44年間で半減以下になったという計算になる。

これに対し、成人女性の平均喫煙率はピーク時よりいくらか減ってはいるものの、ほぼ横ばい状態やという。

まあ、女性の場合は、たばこに対して感受性が男性より高くて身体に合わない、体裁が悪い、胎児に悪影響を及ぼす、肌などの美容に良くないということが言われとるからやとは思うがな。

その1966年(昭和41年)頃に、こんな無茶な税金をかけるちゅうなことを決行していたら間違いなく暴動になってたと思うが、今や喫煙者は少数派と成り果てとるということもあるのか、その反対のデモすら起きてない。

その少数派には重税が課せられ、喫煙している低所得者は、それに喘ぎ、悲鳴を上げとる。

もはや、たばこは一部の金持ちだけが吸える高級品になりつつあると言うても過言やない。

民主党政権は、「弱者を守る」、「弱者の味方」と宣言したのやないのか。そのための政治をすると約束をしたのやないのか。

今回のたばこの大幅な増税敢行は、それと大きく矛盾することやないのかと思う。

まあ、いくらここで、ワシがボヤいてみても、一旦決まったことは、どうにもならんのが、この国の常やさかい、あきらめるしかないやろうがな。

これを機に禁煙できるという者は、まだ救われるかも知れんが、ワシのように何度、それを試みても止められんかった人間は、嫌でも吸い続けるしかない。

それでもまだ、高額納税者ということで、喫煙者が優遇されるのなら、まだ我慢もできるが、政府の姿勢、世の中の趨勢は喫煙者に辛く、厳しいのが現実や。

実際、公共の場とか、飲食店でも「禁煙」というのが普通になっていて、パチンコ屋や喫茶店ですら「禁煙コーナー」があるのが普通になってきとる。

早い話が、たばこを吸うとるというだけで白い目で見られがちな世の中になってきたわけや。

ワシら、新聞の拡張員はタダでさえ、いつもそんな視線に晒されとるのに、息抜きのために一服しとるときまで、そんな目を向けられたら堪らんで、ホンマ。

たばこというのは、本来、個人の趣味嗜好に属するもので、他人からとやかく言われたり、国から健康に悪いから止めろと言われたりする筋合いのものやないと思う。

それに、そんなことを言い出せば、すべての飲食物についても同じようなことが言えると考えるがな。

食い過ぎると健康を損なうし、酒やコーヒー、ジュースなどの飲み物も飲み過ぎれば身体に悪いというのは、医学的な根拠を持ち出すまでもなく常識として誰もが知っとることや。

どんなものでも食べ過ぎ、取り過ぎは悪いと決まっていて、それは本来、その人間自身が責任をもってセーブ、管理するべきことやと思う。

それを自己責任と言う。

それと同じことで、健康に悪いと思えば、喫煙者が自身で気をつけたらええだけの話や。

たばこの責任やない。

どう考えても、今回の値上げは異常かつ非常識で無謀な悪行と言うしかない。

とてもやないが納得できん。

「でも、喫煙は、人に迷惑をかけることが多いでしょう」と、ハカセ。

ワシらは、たいていの事には意見が合うが、この喫煙に対してだけは、その意見、考え方がまったく違う。

ハカセは、子供の頃から、たばこは、ほとんど吸わんかったという。

そんなことは当たり前やと言われてしまえば、それまでやけど、子供には好奇心というものがある。

それが禁じられたものであればあるほど、子供にとっては興味が湧く対象になりやすい。

誰しも、と言うと語弊があるかも知れんが、ワシらが未成年、子供の頃の40年以上前には、たばこを吸うことが大人になるという証しのようなところがあった。

まあ、それは先の喫煙率を見て貰うたら分かるとは思うが、成人男性の8割強が喫煙してたということから見ても、大半の大人が、たばこを吸っていたわけで、そんな環境で育った子供は、それが大人のすることやと思い込んでしまうのは無理からぬことやと思う。

学校のトイレに隠れて、あるいは放課後の公園や空き地なんかで仲間と群れて良う、たばこを吸うてたもんや。

それには多少の罪悪感、スリルも加わるから、よけい面白いとなる。

その頃の子供なら、誰でも一度や二度は先輩や仲間から、たばこを吸えと勧められた経験があるのやないかと思う。

ハカセもあったという。

しかし、ハカセは、二、三度試みたが、すぐ気分が悪く吐き気をもよおすだけで、旨くも何ともなく自身の身体に合わんと判断して吸う気にはなれんかったという。

別に、ええ子ぶって吸わんかったわけやないと。

「未成年者喫煙禁止法」というのが、あるにはあるが、それには『満20歳未満の者が喫煙のために所持する煙草およびその器具について、行政処分としての没収のみが行われる』とあるだけで、特に喫煙者本人には刑事罰は何も科されない。

せやから、吸うてる未成年者、子供にしたら、そんなものはあってなきが如くの法律ということになる。

法律違反やから見つかれば、たばこを取り上げられて怒られても仕方ないとは思うが、罰せられるほどではないと。

もっとも、中学、高校の学生の場合、それが発覚すると「謹慎処分」くらいは喰らうかも知れんが、あってもその程度や。

喫煙が発覚した程度で滅多に長期の「停学」や「退学」処分にまでなることはない。

たいていは、親を呼び出しての厳重注意、叱責程度で終わる。

但し、未成年者の喫煙を知りつつ制止しなかった親権者やその代わりの監督者には1万円以下の罰金刑に処せられることがあるというがな。

つまり、親や教師が見て見んふりするとその罪に問われる可能性があるということになる。

ただ、それにしても、実際にそれで罰金を支払ったというケースを聞くことはないがな。

どこかには、そういうことがあるのかも知れんが、少なくともワシの知る限り、そういうのはない。

しかし、たばこの販売業者については違う。

2000年に制定された「未成年者喫煙禁止法及び未成年者飲酒禁止法の一部を改正する法律」の第5条に、

満20歳未満の者が自分自身で喫煙することを知りながらたばこや器具を販売した者は、50万円以下の罰金に処せられる。

とある。

さらに、販売業者は『未成年者』の喫煙の防止に資するために年齢の確認その他必要な措置を講じるものとされた。

つまり、相手が未成年やったとは知らなんだ、という言い訳は通用せんということや。

それがあるために、現在、コンビニをはじめ、たばこを扱っている店の多くで、その確認をしとるというわけや。

たばこの自販機でさえ、顔認証システムとやらを導入して、購入者が未成年かどうかを選別しとるという。

その精度には疑問符がつくようやがな。

まあ、それも無理からぬ話で、おっさん顔をした未成年は、そこら中にゴロゴロいとるさかい、そんなもので判別はできんやろうと思う。

それにしても、やってる当人には何の罰則もない法律の違反で、そこまでせなあかんのかとは思うが、まあ、それも一つの法律に基づいてやっとることやから、仕方ないと言えば言えるがな。

ただ、ワシには納得できんというか、おかしなことやと思えるというだけのことでな。

それにしても、ハカセのたばこ嫌いは徹底しとる。

初めて、やっこさんの車に乗せて貰うたときには正直、驚いた。

普通、使う使わんは別にして、車には備え付けの灰皿があるもんやが、ハカセの車には、それがない。というか、その灰皿があったという形跡すらない。

最初から、なくて当たり前という感じの自然な作りの車内になっていた。

聞けば、新車の段階で撤去するように特別に依頼して、そうしとるのやという。今まで購入した、すべての車がそうやったと。

もっとも、最近では新車の段階で、喫煙率の低下に伴い、灰皿が設置されていない車も増えてきとるとのことやが、ワシがそれを知ったのは出会った頃の7年ほど前で、その頃には、そんな車を見たこともなかったから衝撃的やったわけや。

さらに、驚くことにハカセ自身は30年以上も前から自動車メーカーに、そうするよう依頼し続けていたという。

最近になって新車から灰皿が設置されていないという車種が増えたのも、ひょっとするとハカセのせいかも知れんという気がせんでもない。

まあ、非喫煙者にとっては車の灰皿なんかは必要ないし、他人に自分の車内でたばこを吸われることを嫌う人間が増えれば、そうなるのが自然なのかも知れんがな。

そして、客の中に、そんなオプションを長年続けとる者がいとるということを知った自動車メーカーがその発想のきっかけを得たとも考えられるけどな。

ワシと付き合い始めて、さすがに気を遣ったのか、簡易的な灰皿を用意しとったが、それで「遠慮なく吸ってください」と言われても、とても吸う気にはなれんかった。

もちろん、家の中でもそれは徹底していて、ハカセの子供たちにも「たばこを1本でも吸うたら家には入れん」と言うてるらしい。

それも、未成年やからあかんという理由やなく、大人になってもそれは一緒で、「どうしても、たばこが吸いたかったら親子の縁を切ってから吸え」とまで言うてるという。

まあ、そんな家庭で育つと、子供も自然に、たばこ嫌いにはなるやろうがな。

サイトを開設した当初は、まだ中学生やった長男のシン君も、今は20歳の立派な社会人やが、ハカセを見倣ってのことか、たばこは一切吸わんという。

ついでに言えば、彼の所有する車にも同じように灰皿がない。

もちろん、ワシもハカセの家に行くときは、たばこは一切吸わんようにしとる。

というか、そんな家では吸えんわな。

あるとき、「そんなに、たばこを毛嫌いしていたら友達をなくさへんか?」と聞いたことがあるが、「そんなことで嫌がるような友人は必要ありませんよ」と、ニベもない返事が返ってきたことを覚えとる。

まあ、その一言で、今まで友人が少なかったやろうなというのは想像がついたがな。

今とは違い、世の中、たばこを吸う人間の方が圧倒的に多かった時代ですら、そうやったというさかいな。

やっこさんには、自分が嫌いなものについては、他人と合わせようという意識が、まるでない。

相手が誰であっても嫌いなものは嫌いとはっきり言う。

ワシはと言えば、根っからの営業員やさかい、例え嫌いなものでも、その相手、特に客に対しては、何となく、ごまかすというか、濁すクセが染みついとる。

場合によれば、それに迎合することすらある。

とても、ハカセのようにはなれん。

ワシのために、車に簡易的な灰皿を用意したというのは、ハカセにしたら、例外中の例外の配慮ということになる。

ワシ以外やったら、間違いなく「車内は禁煙やから、たばこは吸わんといてほしい」と平気で言うてたはずや。

「たばこを吸うことで、人に迷惑をかけるか、どうかというのは、あくまでも、その人間次第やないかな」と、ワシ。

確かに、たばこを吸う者でマナーの悪い者がいとるというのは認める。

公共の施設や交通機関、禁煙指定と分かっている場所での喫煙を平気でする者がいとるのは確かや。

混んだ歩道や駅やバス停などの人の多いところで、無神経にたばこを吹かしながら歩くという者もおる。

それは、単に迷惑だけやなく危険を伴うことが多い。

無意識のうちに、そのたばこの火が他人の服に触れて焦がしたり、幼い子供の顔や目に向けられたりすることがあるさかいな。

走行中、車外に向かって平気でたばこを投げ捨てるという輩もおる。

寝たばこが原因で火事になることも多い。

それらのマナーの悪さは、ワシから見れば論外で例外的な行為やとは思うが、たばこ嫌いの人間にとっては、喫煙者すべてがそうであるかのように見えてしまうらしい。

それはちょうど、ワシら拡張員に対する世間の目と良う似とると言える。

たいていの喫煙者は、マナーをきちんと守っているように、多くの拡張員も客に対して嫌われるような無法なことはせんものやが、それらの嫌いな者にとっては、いくらそうしていても、そのマナー違反、不法行為をしとる者と同列に見えてしまうのやと思う。

「マナー違反だけではなく、今は受動喫煙の怖さという問題もあると思うんです」と、ハカセ。

本人は、喫煙場所で人から離れていて迷惑をかけてないという気持ちで吸っていても、そこから風に乗って漂うたばこの煙を吸入することがある。

たばこの煙には不完全燃焼等による有害物質が多く含まれており、人の健康に悪影響を及ぼすと言われている。

ときにそれらが「副流煙」、「間接喫煙」、「不随意喫煙」、「不本意喫煙」ということで、非喫煙者の襲いかかってくると。

それらが「受動喫煙」と呼ばれとるものや。

この受動喫煙というのは、たばこの先から立ち上る煙たけやなく、喫煙中に落下した燃えた状態の火種や喫煙者から吐き出される煙、投棄された吸殻から立ち上る煙など、様々な形のものがある。

それらは、ときとして人の命すら奪う病気を引き起こすという。

当初は急性影響と言って、目のかゆみ、目の痛み、涙、瞬目、くしゃみ、鼻閉、かゆみ、鼻汁、のどの痛み、頭痛、咳、喘鳴、呼吸抑制、指先の血管収縮、心拍増加、皮膚温低下などを引き起こすことが知られている。

それが慢性化すると、子供では、乳幼児の突然死、肺の発育遅延、低出生体重児、学童期の咳、痰、喘鳴、息切れなどの呼吸器症状、急性反復性中耳炎、滲出性中耳炎とその治癒の遅延小児喘息、他の喘息性疾患、持続する低肺機能 、ペルテス病、髄膜炎などの直接的な要因になると言われている。

これが成人になると、心筋梗塞、狭心症、動脈硬化、肺癌、副鼻腔がん、乳がん、胃がん、喘息、気管支炎、肺炎、体臭の悪化、鼻の違和感などが挙げられるという。

ここに挙げたもの以外にも他にまだまだ考えられると警告する医学関係者も多い。

それほど、たばこの煙からは危険な成分が出とるということなる。

タイミング良くと言うてええのか、どうか分からんが、それに関連したニュースが3日前の9月28日に飛び込んできた。


受動喫煙の死者、年間6800人=職場が半数超、禁煙化を―厚労省研究班

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100928-00000097-jij-soci より引用


 受動喫煙が原因の肺がんや心筋梗塞(こうそく)で年間約6800人が死亡しているとの推計値を、厚生労働省の研究班が28日、発表した。うち職場での受動喫煙が原因とみられるのは約3600人で、半数以上を占めた。

 喫煙による死者は年間約13万人と推計されているが、受動喫煙に関する推計は初めて。

 主任研究者の望月友美子国立がん研究センタープロジェクトリーダーは「日本の受動喫煙対策は公共の場所から進んでいるが、長時間拘束される職場での禁煙を進めることで、これだけの人が救える」と話している。

 研究は、喫煙との因果関係が明らかな肺がんと心筋梗塞に絞って実施。国際的な研究や国内の統計に基づき、日本の女性の肺がん死亡の8.1%が受動喫煙によると算出した。

 同様に、女性の心筋梗塞の9.1%、男性の肺がんの1.3%、男性の心筋梗塞の3.7%が受動喫煙によると推計。これを実際の死者数に当てはめると、女性4582人、男性2221人となった。


というのが、それや。

こういう事実を並べられると、どうにも分が悪いが、たばこを吸うことには何の意味も益もないのやろうか。

反論はできんのやろうか。

それについて一応調べてみた。

イギリス、レディング大学のワーパートン教授という人が、被験者を喫煙グループ、非喫煙グループ、ニコチン投与グループに分け、簡単な数字のテストや単語のテストを行ったという実験がある。

それによると、喫煙グループとニコチン投与グループは正解率、反応時間、記憶力ともに非喫煙グループに比べ格段に良かったという。

また、ラットなどを使った実験では迷路学習能力が上昇したという報告もある。

このことから、たばこを吸うと思考力の増大、つまり、頭が良くなると言えるのやという。

それを裏付けるように、アルツハイマー型認知症、パーキンソン病などの脳疾患患者には、喫煙者が少ないというデータがある。

アルツハイマー型認知症は、脳細胞が萎縮し、自己の行動や周囲の状況を認識することが正常にできなくなる病気で、完治の望みの低い難病として知られている。

アメリカのある学者が、喫煙者がアルツハイマー型痴呆になる危険率は、非喫煙者よりも22%も少ないという研究報告をしている。

イギリスでも、喫煙者が痴呆にかかるリスクは、たばこを吸わない人より31%低下するという発表がある。

しかも、1箱以上吸う人が、そのリスクは、さらに低いという。

月刊誌「Forbes(フォーブス・日本語版)」の2007年11月号に、アルツハイマー患者に、ニコチンを使用した薬を投与して効果があったという記事がある。

そういった病気の治療、予防には、喫煙が効果的やと言われれば、そうかなとも思うが、たばこを吸うことで頭が良くなるというのは、どうも、ワシには納得し難いがな。

ワシら、拡張員の仲間にもヘビースモーカーと呼ばれとる連中は多いが、どうひいき目に見ても、そいつらが賢いとは、とても思えんさかいな。

目立つのはアホばかりや。まあ、他人のことはとやかく言えんが。

また、イギリスのある心理学者の調査報告によると、老人ホームでは喫煙者の方が対人関係は良くて、健康レベルも高いという。

喫煙者の方が対人関係が良くて社交的やというのは何となく分かる。

喫煙場所では、見知らぬ同士であっても世間話をすることが結構あるさかいな。

ごく自然な感じで、井戸端会議ならぬ、喫煙会議に花が咲いて、うち解けるというケースは多いように思う。

非喫煙者には、そんな場は少ない。

たばこ嫌いなハカセが、人付き合いが悪いというのは、たばこを吸わんせいやと言われれば、そうかなという気もする。

ひょっとすると、世の中が閉鎖的になり、人と人の付き合いが悪くなった原因の一つに、たばこの喫煙率の低下が関係しとるのやないやろうかとも思える。

喫煙者の減少と人間関係の崩壊した社会との間に何らかの因果関係があると。

もし、そうやとすると、ワシらが子供の頃と比べて、現代の社会情勢が大きく変わったというのも頷けるし、説明できそうや。

そういう意味で、たばこは、それなりに有意義なものやったのやないかという気がせんでもない。

「たばこを吸うことの利点は何や」と言われも、愛煙家のワシでさえ何があるのか良う分からんかったが、その気で探せば結構あるもんやと知った。

世の中、すべてに言えることやが、一方的に悪いと言えるものは滅多にないと。

ただ、その功罪の結果として挙げられている、人と人との人間関係を重視するか、健康を優先するかと問われれば難しい選択やとは思う。

いずれも二者択一で考えられるようなものとは違うさかいな。

ただ、世の中の流れとしては、ワシのそんな思いとは関係なく、確実に禁煙へと傾いとるのは確かや。

最早、この流れを止めることなど不可能に思えるほどに。

まあ、強いて止めるつもりもないがな。

喫煙者は、自身の健康に対しては自己責任を負い、喫煙することで他者に迷惑や害にならんように細心の注意を払う。

それしかないやろうと思う。

近頃、今回のたばこの値上げで、喫煙者の約半数が禁煙する方向に向かうということで、それに便乗した「禁煙グッズ」なるものが出回っとるそうやが、中には、ええ加減なものがあるから注意しといた方がええと言うとく。

特に「電子タバコ」と呼ばれとるものに怪しげなものが多いと。

「電子タバコの安全性を考える」(注1.巻末参考ページ参照)という国民生活センターのページに、それがある。

その一部や。


国内で販売されているほぼ全ての銘柄でニコチンを含まない旨の表示がみられたが、一部の銘柄からニコチンが検出された。

カートリッジの液体を調べたところ、全ての銘柄でジエチレングリコールは検出されなかったが、国内で販売されている25銘柄45味中、11銘柄15味中でニコチンが検出された。

カートリッジ内の液成分表示があったのは25銘柄中11銘柄のみで、表示されているものの中でも表示内容には大きな差があった。

安全である旨の表示がみられたが、対象や根拠が不十分であったり、不明瞭なものが多かった。

使用対象年齢に関する表示があったものは25銘柄中16銘柄であった。

事業者へのアンケート調査では、ニコチンが検出されたものがあったにもかかわらず、回答があった全ての事業者は、ニコチンは含有していないとの回答であった。

多くの事業者が安全性を把握しているとの回答であったが、多くは成分を飲み込んでしまった場合の安全性や衛生性と考えられるものだった。

多くの事業者は、電子タバコを禁煙あるいは減煙の目的で設計し、効果があると考えて販売していた。

多くの事業者は、未成年者は使用するべきではないと回答しながら、表示以外の対策を講じていなかった。

消費者へのアドバイスとして、電子タバコの安全性は根拠が不十分であると考えられるので、安易な使用は避ける。

禁煙あるいは減煙の効果ははっきりしないと考えられるので、その効果を期待して継続的に使用することは避ける。

未成年者が安易に使用しないよう保護者等が十分に注意する。

国外ではニコチンが含まれる電子タバコが販売されているので、購入、使用、譲渡には注意する。


というものや。

まあ、この電子タバコを使用するか、しないかについても自己責任ということにはなるが、何でもそうであるように、宣伝の謳い文句を無条件には信用せん方がええということやな。

少なくとも、それに関する情報くらいは調べてから使用した方がええ。

最後に、サイトのQ&A『NO.939 ゲンさんはタバコを吸われるのですか?』(注2.巻末参考ページ参照)の中でも触れたが、今回の事態を営業のチャンスと捉えることもできると言うとく。

サイトの回答では、


世の中、禁煙世界になりつつあると言うても、まだまだ愛煙家は多い。そして、その愛煙家のほぼすべての人たちも今回のことでは、それぞれ苦慮されとると思う。

それを逃す手はない。

どういうことかと言えば、拡材に、そのタバコを景品として使うことを考えるんや。

相手が愛煙家と分かれば、新聞の購読契約にタバコが景品として付いてくるというだけで結構、効果も望めると思うがな。

そのために、ワシは店の経営者も巻き込み、今せっせと買い溜めしとる最中や。必ず、そのときが来れば、それなりの効果があるはずやと信じてな。

ピンチはチャンス。悪いことは、ええことにもなり得る。転んでもタダでは起きん。何事もそう考えとれば浮かぶ瀬もあるということや。


と言うた。

喫煙者が禁煙しようとするのは、そのたばこの値段が上がって買い辛くなったというのが、その理由の大半なのは間違いない。

そうやとすると、それがタダで手に入る、つまり新聞を購読することで、景品として「たばこ」が付くとなったら、心を動かされる人もおるのやないかと思う。

ワシも経験があるが、禁煙したと言うても、実際に目の前で、たばこを見せられたり、吸っているところを見せつけられたりすると、どうしても心が揺らいでしまうもんや。

禁煙というのは、考えるほど簡単なものやない。

買えんというのなら、それでもあきらめるしかないかも知れんが、簡単に手に入る、サービスで貰えるとしたら、中には「悪魔に魂を売る」くらいの気持ちになる者が現れんとも限らん。

新聞は、それほど必要やなくても、たばこほしさに新聞を購読することもあると。

そういう人間を狙う。

節操がないと批判する人間は、悪いが、営業マンとしての適性に欠けるとしか言いようがない。

営業マンは、いついかなるときでも、利用しうる条件、状況は常に把握して、それを最大限活かす方法を考えなあかん。

チャンスがあれば、どんなチャンスも逃すなということや。

それに何も、法律に触れるような物を景品として付けようと言うてるわけやないから、節操がないと言われる筋合いもないしな。

まあ、このままいったら、いずれは法律で「たばこ」は禁止、違法薬物ということになるかも知れんが、そうなったら、そのときに、また新たな方策を考えたらええだけのことや。

今は許される範囲で許される事を最大限活かすようにすればええと思う。

但し、未成年の学生さんには気をつけなあかんで。

ヘタに、景品として渡すと、「未成年者喫煙禁止法及び未成年者飲酒禁止法の一部を改正する法律」の第5条の、「満20歳未満の者が自分自身で喫煙することを知りながらたばこや器具を販売した者は、50万円以下の罰金に処せられる」ということにもなりかねんさかいな。

しかし、そうは言うても、ワシらのような愛煙家にとってはホンマに住みにくい世の中になってきたなという実感がある。

まあ、それでも、しぶとく生き抜いていくしかないがな。それが、ワシら新聞拡張員の真骨頂でもあるしな。

そして、どんな迫害、非難、批判に晒され続けても挫(くじ)けん強さがある。



参考ページ

注1.電子タバコの安全性を考える

注2.NO.939 ゲンさんはタバコを吸われるのですか?



読者感想 私はタバコ増税大賛成です
 
投稿者 K さん  投稿日時 2010.11. 2  PM 8:05
 

ゲンさんは、タバコ増税で怒りまくっていましたが、私はタバコを吸わないので増税大賛成です。

10年ぐらい前のことですが、神奈川県に相模湖という所があり、ボートの大会が開かれます。息子が出場していたので見にいっていたのですが、湖畔の公園は観光客で一杯でした。

ゴミの持ち帰り運動をやっており、みんな袋にゴミをいれて持ち帰っていました。

ボートの大会も終わり観光客も皆帰った頃、公園へ行きました。

公園の広場が雪が降ったように白くなっていたので何だろうと思い近くへ行ったらそれはタバコの吸殻でした。吸殻のあまりの多さに唖然としたものです。

この時に確信したのは、マナーの悪いのは一部の人ではなく、大多数の人であるということです。(ゴミは殆んど落ちていませんでした。)

この時から、タバコ増税大賛成派になりました。


書籍販売コーナー 『新聞拡張員ゲンさんの新聞勧誘問題なんでも選集』好評販売


ご感想・ご意見・質問・相談・知りたい事等はこちら から


ホームへ

メールマガジン『ゲンさんの新聞業界裏話』登録フォーム及びバックナンバー目次へ