メールマガジン・ゲンさんの新聞業界裏話・バックナンバー

第136回 ゲンさんの新聞業界裏話


発行日 2011.1.14


■新聞購読者に逃げ切り世代が多いって、ホント?


「そうか、これでもうシン君も立派な大人の仲間入りやな」

1月9日。

その日は、ハカセの長男、シン君の成人式の日やったという。

「図体ばかり大きくなっても、まだまだ子供ですよ」とハカセ。

親のハカセにとっては、子供はいつまで経っても子供としか思えんのやろうが、シン君はどこから見ても立派な大人や。

その大人が、ハカセの書斎に入ってきた。

いつものように、軽く挨拶を交わした後、「今日はゲンさんに少しお聞きしたいことがあるんですけど、よろしいですか?」

礼儀正しい口調でワシに向かってそう切り出した。

親しき仲にも礼儀あり。

そんなことは常識やと言うてしまえば、それまでやけど、それがごく自然に普通にできるというのは、大人でも少ないと思う。

「今時の若い者は……」というのが口癖になっとる年輩の人間は多い。

その後に続く言葉は、たいてい、「なっとらん」とか「思慮が足らん」、「礼儀を知らん」と相場が決まっている。

まあ、そう言えば簡単に若者を批判できると考えとるのやろうが、それは間違っている。

人の優劣とか人格、品性、人間性の善し悪しに年齢は関係ない。

歳を食ってても挨拶一つできん人間はナンボでもいとるし、若くてもしっかりした応対のできる人間はいくらでもおる。

シン君とほぼ同年代であるトッププロゴルファーの石川遼選手などがそのええ例で、あれだけ卓越した成績と人気があっても驕(おご)ることもなく謙虚な姿勢を貫き、言葉使いや品性についても非の打ち所のない人物が現実に存在する。

シン君はその石川遼選手ほどの有名人ではないが、その謙虚さ品性はけっして見劣りするものではないとワシは確信しとる。

「あまり持ち上げんといてくださいよ」と、ハカセ。

子供を褒められて悪い気のする親は少ないが、そこまで言われるとさすがに気恥ずかしいという気になるようや。

いずれにしても、そういう若者は他にも多いとワシは信じとる。

もっとも、「今時の若い者は」と言う者も、その昔、その当時の大人たちから同じように言われていたわけやがな。

そのとき、そう言う大人たちを嫌っていたにも関わらず、自分がその大人の立場になると同じ言葉を吐いとるわけや。

まあ、太古の昔から人とはそうしたもんやけどな。

「それは別に構わんが、それよりも昨日は成人式やったらしいな。どうやった?」と、ワシ。

「成人式て、あんなもんなんですか? ちょっと期待はずれでしたね」と、憮然とした様子を見せるシン君。

シン君の成人式は、三重県津市にある「メッセウイング・みえ」という多目的コンベンションセンター内で行われたという。

津市では比較的大きな施設の一つや。

その2階建てホールの1階部分、約1000坪ほどのメインホールに、津市の新成人約2900人中、7割強の2100人ほどが出席していたという。

会場にはイスなどはなく、出身中学校別に仕切られた範囲に集まるようになっていた。

そこでは、それぞれが思い思いに立ち話をしていて雑踏の中にいるような状態になっていたという。

式が始まっても、それに変わりはなく、市長や来賓たちはマイクに向かい盛んに大声を張り上げて喋っていたが、それでも何を言うてたのかさっぱり聞こえんかったと、シン君は言う。

これは明らかに主催者側の落ち度や。

若者に限らず、せめてイスに座らせるくらいの配慮がないと、そうなることくらい誰にでも分かりそうなもんやと思うがな。

その雑踏の中で、一人のアホな青年が、運動会などで使うスターターピストルを鳴らして騒いでいたという。

まあ、聞くところによると酒が入ってのことらしいが、こういうのは最近減ってきたとはいえ、毎年どこかで同じようなやってるバカがいとるのは確かや。

こういう連中を指して「今時の若い者はなっとらん」と言うのなら、まだ分かる。

言われても仕方ないと思う。

ちなみに、運動会などで使うスターターピストルくらい持っていてもどうということはないと軽く考えとるのかも知れんが、これはケースにより銃刀法違反に問われ、逮捕されることもあると聞くさかい、気をつけといた方がええと言うとく。

まあ、普通の人間は、そんなものを持ち歩いて喜ぶこともないやろうからいらん心配やけどな。

とにかく、最初から最後まで、何の緊張感もなく、ざわついた感じやったから、面白くも何ともなかったとシン君は言う。

「それは残念やったな」と、ワシ。

それしか、かける言葉がない。

主催者側にも、いろいろ事情があるとは思うが、その年の成人式を迎える若者にとっては、それが人生でたった一度のことやねんから、シン君を始め多くの新成人にそう思わせたというのは頂けん話やわな。

大いに反省する必要がある。

「その成人式の後で、僕たちの間で話題になったことなんですが、逃げ切り世代というのを知ってますか?」と、シン君。

「ああ、聞いたことはある」と、ワシ。

数年前から若者の間で大人たちを批判する際にそう呼んでいると、ネットや新聞の記事にあった。

年金にしろ、税金にしろ、今自分たちが生きている時代さえ良ければそれで良しとする大人たちはずるい、そのツケはすべて今の若い世代が被ることへの不満がそう言わせるのやという。

その成人式が終わった後、シン君たちのグループで、その話になったという。

普段はそんなものが話題になることはまずないが、この日は成人式ということもあり、その話で盛り上がったのやと。

その話の発端は、あるテレビ局の取材で、「将来への不安は?」とマイクを向けられ、仲間の一人が答えたことからやったという。

「そんなの不安だらけや。何か一つでもオレたちに希望の持てるようなことがあるんか?」と、仲間の一人、大学生のナオトが挑みかかるように、そのテレビ局のレポーターに噛みつくように質問した。

そのテレビ局の若い男性レポーターは、そのナオトの質問には何も答えず、「ありがとうございました」とだけ言うて、その場をすぐに離れたという。

まあ、他にも質問対象者はナンボでもいとるさかい、あえてナオトのような、ややこしいことを言う若者を相手にする必要はないと考えたのやろうとは思うがな。

テレビニュースで流されるインタビューは、一見、誰彼なくマイクを向けた結果、得られたものであるかのように写し出されとるが、さにあらず、たいていはテレビ局の意向に沿った回答をする者だけが編集で選ばれオンエアーされるケースが多いという。

せやから、テレビに映りたければ、ナオトのように反抗的な姿勢は見せん方がええ。

「何や、あれ」と、そうとは知らんナオトは無視されたと受け取り怒る。

「マスコミなんて、あんなもんや」と、カズキ。

この男も大学生や。

「オレもそう思う。街の声とか言うても、所詮、テレビ局の声やで」と、カズキと同じ大学に通うケンスケが言う。

「それにしても、お前らは就職しとるからええよな」と、ナオトはシンとタケルに向かってそう言い放った。

タケルというのは、昨年のクリスマス・イブの日のメルマガ『第133回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■クリスマスに永遠の命の話を』(注1.巻末参考ページ参照)に登場したシンの友人や。

子供の頃から不幸続きでロクな人生を歩んでない。そう自認しとる男やった。

「まあな」と、そのタケル。

2年前は大学に進学するというナオトたちを羨ましく思っていた。

いや、妬んでいたと言った方が当たっている。

その当時、タケルには就職するという選択肢しかなかった。

タケルは病気がちの母親との二人暮らしで生活保護を受けていた。

その貧しさ、みじめさから、働くことで少しでも、その母親を楽にさせたい、生活保護家庭から抜け出したいと、それしか眼中になく、大学へ進学するなど考えたことすらなかった。

しかし、その母はタケルの就職先が決まってすぐに死んだ。

つくづくタケルは不幸の星のもとに生まれたと感じずにはいられなかった。

何度も自殺を考えたこともあった。

今は違う。

タケルにはシンという、同じように高校卒業して就職した友人がいる。

もっとも、シンには両親もいとるし、弟もいて、タケルのように天涯孤独というわけやないがな。

傍目にもけっして裕福な家庭には見えんが、それでも幸せそうやというのはよく分かる。

シンが高卒で就職することにしたのは、タケルのように大学に行けなかったからやなく、ある企業のラグビー部の監督からの誘いがあったためやという。

ここでは三重県下の某自動車会社としとく。

その会社のラグビー部は全国的にも名が通っていて、中心選手として将来を期待しているので、是非にと口説かれた。

言えば、高校球児がプロに行くか大学に進学するかの選択をするというのと同じような環境やな。

シンの親、つまりハカセやが、それに対してはあまり口出しすることはなく、シンの判断に任せたという。

それには、常日頃から「好きなことを悔いのないようにやれ」と言い続けてきたということがあったからや。

シンは、さほど迷わず、その誘いに乗った。

タケルとは、その点の違いは多少あるが、結果として「高卒」に変わりはない。

それまで、あまり人と関わることのなかったタケルが、それ以降、唯一、心を許せる友人として付き合うようになった。

最初は、「同病相憐れむ」という感じやったらしいが、シンの何事にも堂々としている姿に、いつしか惹かれて行ったという。

今では、タケル自身「高卒で何が悪い」と開き直れるまでになったと。

タケルは、はっきり言うて、他の高校仲間であるナオトたちとは、あまり付き合いたくはなかった。

奴らは甘えたボンボン育ちで、理屈ばかりこねる人間的にも薄っぺらな連中やと考えていたからや。

シンと連んでいるいるから仕方なく付き合っているにすぎん。

ただ、事、ここに至って、かつて羨(うらや)んでいたナオトたちが、ある意味、可哀想に思えてくるようになったという。

それには大学に行ってても、それで前途が約束され開けとるとは、とても言えん社会情勢にあるからやと。

中でも近来、希に見るほどの現役大学卒の就職難というのが大きいと。

ワシらの頃は学歴偏重社会の真っ直中(まっただなか)やったさかい、ええ大学を出てさえいれば一流会社への就職もほぼ約束されていた。

また大学を出てないと出世など覚束(おぼつ)んかった時代でもある。

ワシなんかも夜間高校出ということで、実力をいくら示せても幾度となくその学歴の壁に阻まれ悔しい思いをしたもんや。

それを思えば、今は隔世の観がある。

大学出が、それほど幅を利かせる時代ではなくなったさかいな。

変われば変わるもんや。

ナオトたち大学生は今年で3回生になる。

今時の大学生はその3回生の時分から就活するのやという。4回生になってからでは遅すぎると。

今や、大学は就活予備組織と化していると。大学生活のほとんどの目的は、少しでもええ会社に入社することやと。

大学にさえ入れば、しばらくは安閑としていられるというのは昔の幻想やと。

それからすれば、タケルやシンは恵まれていると言える。

タケルもシンほどの企業やないが、それでも三重県下では一流の部類に属する会社に入社できとるさかいな。

いずれも今や、単に大学を出ているだけで採用されるような企業やなくなっとるという。

つまり、ナオトたちがタケルやシンと同じ企業に大学卒業後、就活で面接や入社試験を受けたとしても確実に採用されるかどうかは分からんのが現実やと。

今のタケルは、僅かながら、その優越感に浸っている。

今までやと、とても考えられんかったことや。

「親父たちの世代はええよな」と、カズキ。

「逃げ切り世代というやつか」と、ケンスケ。

「逃げ切り世代やったら、親父たちより、もう少し上の人間やないか」と、ナオト。

シンたちの親の世代というのは、40代後半から50代というのが多い。

たいていは、まだ現役の会社員や。

その上の60代というのは、すでに退職した世代で退職金も満額出て、企業年金や厚生年金も貰っているような、ナオトたちから見れば最も得をしている連中ということになる。

日本は、このままの状態でいくと20年先、30年先になると、ほぼ確実に財政破綻を引き起こし、退職金はおろか年金すら貰えんような時代になると危惧されていて、それを煽る報道やネットの論調が多い。

ナオトたちも、ほぼそれに間違いないと踏んでいる。

現在、60代の人間は、その20年先、30年先には、寿命が尽きてほとんど生存しとらんやろうから、最悪の状態を経験するまでに、ええ目だけして逝くことになると。

それを指して「逃げ切り世代」やという。

それに比べ、ナオトたちの20年後、30年後には、その最悪の状態になっている確率が高いと。

このままの社会、政治が続く限り、おそらく、その頃には年金制度そのものが崩壊しとるはずやと。

働き損になるのは目に見えている。

それなら、若い世代が中心となって、その政治を変えるべきやとなるが、そうしようとしても、現在の少子高齢化からすると、その逃げ切り世代と呼ばれとる連中の方が数が多い。

日本が民主主義の国である以上、どうしても多数派である逃げ切り世代の意向に沿った政治になりやすい。

また、その逃げ切り世代ほど政治に関心が深く、若いほど感心が低いときては勝負にすらなっていない。

加えて、政治家そのものも、逃げ切り世代の人間が中心で、自分たちの利権を守ることだけに汲々としとるし、役所に至っては先送りすることが、最も得意とするところときては救いがない。

若者にとっては暗い未来しか待ち受けてない。そこに何の希望があるのかと。

ナオトたちは、そう主張する。

シンは、なぜか、それには同調できんかった。

それは違うという思いはあったが、言い争いの嫌いなシンは、それには何も反論せず、ただ聞いていただけやった。

その点が、親のハカセとは大いに違う。ハカセなら、ほぼ間違いなく反論しとる。何事も黙っておられんという因果な性分がそうさせる。

それで、友人関係を壊したことも多いはずや。

とても同じDNA、血を引いているとは思えん。まあ、それについては常に控え目な奥さんの血を色濃く受け継いどるのとは思うがな。

ただ、最後にナオトが、ポツリと洩らした言葉がシンには引っかかって仕方なかったという。

「逃げ切り世代ほど、新聞を読んでいる人間が多いというのを知っているか」というのが、それや。

ナオトたち大学生にとって新聞を読むということは「ダサイ」、「格好が悪い」という代名詞でもあるようや。

大学生で新聞を読んでいるのは、拡張員に脅されたか、騙された根性なしやと。

シンは仲間には、ワシらがその新聞に関係したメルマガやサイトを運営しとるとは言うてないから、シンに向けてそう言うたわけやない。

たまたまそう言うただけの話や。

それについても、シンは違うやろうという思いはあったが、どこがどう違うのかが、もう一つ、よく分からんかったという。

「それについて、ゲンさんはどう思います?」と、シン。

「高齢者ほど新聞購読率が高いのは確かやな」と、ワシ。

その高齢者イコール逃げ切り世代という図式なら、そういうことになる。

しかし、新聞を読むことが「ダサイ」、「格好が悪い」と考えとるというのは少し違うのやないかと思う。

ワシらは、大学生を勧誘する際、「新聞を購読していると就活に有利ですよ」と言うて勧める。

実際、未だに面接時で質問する内容には新聞記事を問題することが多いというさかいな。

これは面接官が高齢、もしくは上の立場の人間であるほど、より顕著な傾向やという。

これは単にそういう世代やからという以外に、新聞の記事というのは、それ自体で問題として出題しやすいということがあるからやと思う。

何かの記事に対して意見を聞けば、その知識と分析能力が分かるし、何より常に情報を得ることが敏感な人間やということが、それだけで察することができる。

これは職種にもよるが、多くの企業の欲しがる人材やという気がする。

就活するのなら、新聞くらいは目を通しておいた方がええという所以や。

しかも、大学生の多くが、その新聞を敬遠しとるというのなら、逆にその新聞を読み込んでおくことで、他と差別化でき有利に働くのと違うかなと思う。

「ですよね」と、シン。

ちなみに、シンは小さな頃から、朝起きたら真っ先に新聞を読んでいるという。

それは弟のコウ君の同じで、朝、その奪い合いで兄弟喧嘩をすることも多いと。

ハカセのような、そういった状況の家庭の方が珍しいのかも知れんが、若い人間すべてが新聞離れしとるわけやないとは思う。

もっとも、その傾向にあるというのも否定はできんがな。

「そうか、お前たちでも結構、そういう議論を交わすこともあるんやな」と、それまで黙って聞いていたハカセが口を挟んだ。

「今度、彼ら会うときがあったら、『人間(じんかん)、万事(ばんじ)塞翁(さいおう)が馬』の話でもしてやるとええ」と。

『人間(じんかん)、万事(ばんじ)塞翁(さいおう)が馬』というのは、漢代初期。始祖、劉邦の孫にあたる淮南(わいなん)王、劉安によって編纂(へんさん)されたもので、よく引用される故事や。

こういったものも、就活するのなら覚えておいて損はない。

これには、ちょっとした物語がある。

胡(こ)という国に接した辺境の城塞に一人の翁(おきな)が住んでいた。

ちなみに、塞翁(さいおう)というのは、その城塞に住む老人のことをいう。

正確な名前が分からないため、そう言い伝えられている。

ある日、その老人の馬が胡の国の方角に逃げてしまった。

老人の馬は名馬で値も高いが、敵国の胡(こ)に探しに行くことができないので皆はもう帰ってこないものと考え、気の毒がって同情していた。

しかし、老人は「このことが幸福にならないとも限らないよ」と、一向に残念がることはなかった。

しばらく経ったある日。逃げ出した馬が胡の良馬を連れて帰って来た。

そこで城塞の知人たちが祝いの言葉を言うと、老人は首を横に振った。

「このことが災いにならないとも限らないよ」と。

すると、老人の息子がその馬から落ちて足の骨を折る大怪我をした。

今度は、皆が、かわいそうにと慰めると、老人は「このことが幸福にならないとも限らないよ」と答えた。

そんなある日、胡の異民族たちが城塞に襲撃して来て戦争になった。

城塞近くの若者はすべて兵士として駆り出され、何とか城塞を守ることができたものの多くの若者がその戦争で死んでしまった。

しかし、老人の息子は、足を怪我していたためにその徴兵を逃れ、戦うこともなく無事だった。

このことから、良いことも悪いことも、それが招く結果は必ずしも見かけどおりの幸、不幸になるとは限らないから一喜一憂する必要はないという例えに使われるようになった。

意味としては、「幸不幸は予想のしようのない事」だから、何があっても、常にその逆があるので注意しといた方がええという教えということになる。

ワシは、『悪い出来事が必ずしも悪い結果になるとは限らんし、良い出来事が必ずしも良い結果を生むとは限らんという教えや。

一喜一憂せんということやと。

例えば、交通事故に遭って運が開ける人間もおれば、宝くじに当たって奈落の底に落ちる人生もあると思えばええ』と、これについてそう説明することが多い。

それから言えば、ナオトたちが羨む「逃げ切り世代」というのも、必ずしもそれでラッキーになったり幸福になったりするとは限らんということや。

年金にしても、去年、問題になったJAL(日本航空)の企業年金削減などがあったようにいつ減額されるか、あるいは貰えんようにならんとも限らんのが実情や。

またデフレがこのまま続くという保証は何もないし、近い将来、財政赤字によりインフレ経済に突入することも十分考えられる。

そうなると、固定した年金受け取り額だけでは、たちまち生活苦に見舞われるということも十分考えられるわけや。

あるいは、将来的に日本の財政が破綻するようなことがあったとしても、それが必ずしも不幸になるとは限らん。

日本は、戦後、焼け野原となったところから奇跡的に復興したわけやさかい、どんな状態になろうと、もう一度、そうなることは十分に考えられる。

そうなれば、再び活気に満ちた社会が訪れる可能性もある。

つまり、人間にとって、何が起こっても生きている限りは最良も最悪もないということや。

あるのは、それぞれが、どう考え思うかで変わるだけのことでな。

そんな先のことを今から憂いても仕方ない。人生はなるようにしかならんものやさかいな。

「分かった。そう言うとく」

シンは、そう言うと、すっきりした表情になって部屋を出て行った。

「そういうことでしょ?」と、ハカセ。

「そういうことやな」と、ワシ。

それにしても、そういう悲観論をかざして未来を憂うというのは愚の骨頂やと思うのやが、それに気づく若者が少ないということなのやろうか。

それとも、単に大人を批判したいだけなのか。

いずれにしても、ワシらおっさんには理解し難いことではある。

「まったく、今時の若い者は……」と言いかけて、ワシは思わず手で口を塞いだ。

ヤバイ、ヤバイ。



参考ページ

注1.第133回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■クリスマスに永遠の命の話を


読者感想 今回のメルマガについて

投稿者 奥本さん 兵庫県在住 投稿日時 2011.1.14 AM 11:50


「新聞購読者に逃げ切り世代が多いって、ホント?」を
拝読し、感じることがあったので、2回目の投稿です。

私の父は、昭和19年生まれです。
高校卒業後、有名な電機メーカーに就職し定年まで勤め上げた後、子会社へ出向。
今では、私も羨むような悠々自適の生活を満喫しています。

俗に云われる、逃げ切り世代です。

しかし、この考え方は少しおかしいのではないか、と思います。

父の子供の頃(つまり60年前)には、

「家に電球が1個しかなかった」
「電気代がもったいないので、夜8時には消灯させられた」
「腹が減って、畑の野菜を盗んだ事も度々だった」

という、現在では想像もつかないような話しが、どこも当たり前だったと聞きます。

それをたった数十年で、日本を世界に名だたる経済大国に押し上げてくれたのは、これらの世代の方々が、家庭を顧みることもなく働いてくれたお陰だと思うのです。

それを享受しているのが、我々現役世代なのです。

いくら就職先がないと云っても、栄養失調で倒れている人を見たこともありませんし、昼は、ファーストフード店に毎日のように列が出来ています。

連休には高速道路が渋滞し、お盆や正月の出国者数は毎年記録を更新しています。

悪いところだけを見れば、確かに逃げ切られているのかもしれませんが、まず、自分が健康で成人式に出席できることを感謝する心さえあれば、「年配者=逃げ切り世代」には結びつかないと思います。

しかし多数の若者が、そのようにマイナスの思考しか出来ないのであれば、逆に、毎日を感謝できる若者こそチャンスを一人占めできると思うのです。

いつの時代も、諸行無常。

これからも、メルマガを楽しみにしております。


■当メルマガが清月社のレビューコンテストで大賞を受賞


昨日の1月13日、当メルマガ、

第131回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■ハカセの決断……書籍『インターネットに就職しよう!』に触発されて

の内容が、『インターネットに就職しよう!』の、レビューコンテストで大賞を受賞したという知らせが入りました。

正直言いまして、レビュー(批評記事)とは言っても、メルマガのネタの一つとして取り上げたにすぎず、作品を絶賛する趣旨で書いたものではありませんでしたから、まさか選ばれるとは考えていませんでしたので大変驚きました。

しかし、選んで下さったことには素直に感謝したいと思います。(発行者 白塚博士)


みなさまこんにちは!

お待たせしておりました
『インターネットに就職しよう!』
の、レビューコンテストの審査結果を
いきなりですが、発表させていただきます!

大賞:白塚 博士 さん
媒体:ゲンさんの新聞業界裏話
   http://bit.ly/fGdxWX

おめでとうございます!

なお、優秀賞以下は下記のサイトでご確認下さい。
http://www.seigetsusha.co.jp/blp/mo/riya/

今回のコンテストにご応募いただいた皆様、
本当にありがとうございました。

とにかく様々なタイプのレビューをご応募いただき
おかげさまで審査には、非常に時間がかかってしまいました。

その中でも、白塚 博士さんのレビューに関しては
審査員一同全会一致で大賞とさせていただきました。

なぜ白塚さんが大賞に選ばれたのか、
その理由をここでくどくど説明するよりも
百聞は一見にしかず、ということで
全文をご覧入れられるようにいたしました。

本コンテストにご応募いただいた方のみならず、
本書『インターネットに就職しよう!』を
買おうかどうか迷っている方も
是非ご一読下さい。

大賞作品の全文はコチラからご覧になれます。

http://www.seigetsusha.co.jp/blp/mo/riya/


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発行責任者:株式会社青月社 望月勝
編集責任者:黒澤 広太郎
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