メールマガジン・ゲンさんの新聞業界裏話・バックナンバー

第137回 ゲンさんの新聞業界裏話


発行日 2011.1.21


■隠れた不正勧誘の実態について


「最近、その手の相談がやけに増えてきたな」と、ワシ。

「ええ、これで去年の暮れから数えて5件目ですよ」と、ハカセ。

これは、サイトのQ&Aに寄せられた非公開を希望する相談件数のことや。

そのすべてが学生さんや若い独身者からの相談やった。

その相談内容の大半は、強引な脅し、もしくは脅されていると感じて怖くなったために、その勧誘に屈して契約してしまい、後悔しているといったものや。

まだ20歳前後の学生さんたちが、いかにもヤクザ風に見える拡張員を怖がるというのは無理もない話やと思う。

サイトのQ&Aは業界関係者も数多く見ているはずやと判断し、相談したのがその拡張員にバレたら大変やと考えるのも理解できる。

それで非公開を希望する。

しかし、実際には、そんなことを平気でする拡張員や新聞販売店などの業界関係者がワシらのサイトやメルマガに寄りつくようなことはほとんどない。

サイトの開設当初は、そんな連中も面白半分に見ていたと思うが、ワシらは不正な勧誘を嫌うという態度を鮮明にしとるから、自然と離れていったと確信しとる。

ワシらは、そんな連中を根絶やしにするために、Q&Aの相談者にはありとあらゆる手口を暴いて、その対処法のアドバイスをしとるわけや。

そうすることで、その無法な勧誘が少しでも減れば、その分、新聞勧誘員全体の評判を上げることにつながると信じとるさかいな。

世間の評価が変われば真面目に勧誘しとる者のためにもなると。

結果、その無法な勧誘をする連中からは毛嫌いされる存在になっている。

したがって、そんな連中が、Q&Aの回答文を見ることなどほとんどないから、それほど心配はいらんと思うのやけどな。

それでもその可能性がゼロというわけではない。

1年に1度くらいの頻度で、その手の人間が脅しメールを送ってくるケースもあるさかいな。

ワシらにとっては、そんなものは「カエルの面に小便」と同じやさかい何の効果もないがな。

ハカセは、それによりネタが増えるとでも考えとるのか、律儀に返信してそのやり取りを楽しんどるようや。

まあ、それはそれである意味、タチが悪いと言えんこともないが。

ほとんどの者は一、二度のメールを寄越すだけで終わっとるさかい、ネタとして使えるような情報はあまりないとのことや。

程度の悪さ、低さしか伝わってこないと。

その中には、数は少ないが剛の者というか偏執的な人間もおって、「サイトを閉じなければ殺す」といった類のメールを大量に送り付けてくる犯罪意識のカケラもないバカもいとる。

そんな連中でも、サイバーポリス(注1.巻末参考ページ参照)に通報すると警告すれば一発で止まる。

ワシらまでメールが届くようにするためには、ちゃんとしたメールアドレスから、送信せんとあかんようになっとる。

いかがわしい発信元のメールは、大半がブロダイバーの「迷惑メールボックス」行きになるだけで、ワシらの目に止まることはないさかいな。

そして、それ以外のまともなアドレスを晒して「殺す」といった類のメールを送り付けてくる者については、サイバーポリスなら比較的簡単に突き止めて、逮捕に至るケースも多いという。

せやから、それを説明して、「次に同じことをすると通報する」と一文書くだけで終わるということや。

実際、サイバーポリスの行動は恐ろしく早いという。

それには、一般の犯罪行為については警察は証拠を綿密に調べ上げ犯罪を確定させてからでないと迂闊に動けんが、「殺す」といった類のメールは、それだけで脅迫行為としての証拠能力が高く犯罪を確定しやすいさかい、相手さえ突き止めれば容易に逮捕できるということがあるからや。

掲示板などの書き込みについても同じや。

事実、この手の犯罪で、ほぼ毎日のように摘発、逮捕されとるさかいな。

やってる人間には罪の意識はほとんどないようやが、これほどワリに合わん犯罪もないと言える。

例えそれが冗談でやったと言うても聞き入れて貰えず、その罪から逃れることはできんということや。

その罪に軽重の差はあっても摘発されて逮捕されれば無罪放免とはまずならんさかいな。何らかの罪に問われる。

このことは、そのサイバーポリスを良く知るという、このメルマガ読者でもある警察関係者から教えて頂いた。

そんなサイトが、そういう無法な連中に好まれることはないから、例えその相談を公開していても、見るはずがないと確信しとる。

もっとも、先にも言うたように、その可能性がゼロというわけではないから、万が一のことも考え、その可能性を限りなくゼロにするためにも相談内容で投稿者が特定されんように、いろいろと工夫して配慮もしとるわけや。

加えて、学生さんを脅し、無理な押しつけで勧誘するといったケースに特異性は少なく、手口も同じようなものばかりやさかい、それがどこの誰に対して行った行為なのか、やってる本人にすら特定のしようがないと思う。

さらに言えば、勧誘員は少なくても日に十数人程度は同じような対象に同じような勧誘行為をするのが普通やから、そのうちの誰がワシらのサイトに相談したのかというのも分かりようがない。

実際、公開した分だけでも、もうすぐ1000件にも上るQ&Aの相談を6年半以上に渡って受け続けて回答しとるが、今まで、只の一度もその手の問題が起きたことはないしな。

しかし、それでも怖がる学生さんたちにすれば、自分のケースは滅多にない事で希な出来事やとどうしても考える。

恐怖心を抱く人に「大丈夫ですよ」と、いくら言うても説得できるもんやないさかい、非公開を希望されれば、それを受け入れるしかないわけや。

それにしても……。

以前から、そういう相談が後を絶たんかったが、1ヶ月も経たんうちに5件も立て続けにあったというのはやはり異常なほどの多さやと言える。

今までなら、多くても1、2ヶ月に1件程度やった。

何かある。

その何かを知るためにも、やはりその手口が多いということを広く知らせる必要があると思う。

それは、おそらくワシらにしかできんことやさかいな。

もっともそうは言うても、それぞれが非公開を希望されとるので、個別の事案を紹介するわけにはいかんが、各相談には共通項も多いので、それらをまとめた仮の事例として話すことにしようと考えたわけや。

それには、単に被害者となるであろう他の学生さんたちへの警鐘としてだけやなく、そうとは気づいていない新聞販売店への警戒を促す意味も込めとる。

実際、学生さんたちが受ける被害は精神的なものが多く、実質的な金銭被害は、その勧誘員を送り込んでいる販売店自身にあるさかいな。

そのすべてで契約者である学生さんには「販売店には絶対黙っているように」と、半ば脅し気味にそう強要してた。

せやから、業界関係者の方にも、そういう勧誘の実態があるということを実際の事例で知ってほしいということがあった。

もっとも、その証拠を掴めんだけで、そういう事実があるというのは多くの新聞販売店でも先刻、ご存知のことかも知れんがな。

それぞれの相談者には、それぞれの回答を送っとるからええようなもんやが、今後もこういうことが続くようやと、そうとは知らん新聞販売店の被害が後を絶たんだけやなく、業界全体としても由々しき事態にならんとも限らんさかいな。

その手の事例を公開することにより、少しでもそういった被害、事案が減るものと期待したい。

「どうしよう……、このままでええんやろうか」

マサヒロは、手にした1万円札を見ながら思案げに、そう洩らした。

つい今し方、新聞の勧誘員やという柄の悪そうな中年の男がやってきた。

インターフォンが鳴ったので出てみると、玄関口にその男が立っていた。

「この前は、どうもありがとうございました」と、その勧誘員が低姿勢を装いながら、「そのお礼と言っては何ですが……」と、ビニール袋に入ったいかにも安っぽいタオルを手渡してきた。

確かに数ヶ月ほど前、断り切れずに新聞の契約をしたことがある。

そのことを言うてるのやろうとは、すぐに分かったが、そのお礼と言うには日が経ちすぎている。

マサヒロは、とっさに次の新聞の勧誘をするための口実やと察知して、「いえ、結構です。いりません」と、断った。

「そんなこと言わずにさあ、受け取ってよ。受け取って貰えないと、おじさんが怒られるんだよ」と迫る。

その柄の悪そうな中年の勧誘員に押し切られた形で「そ、そうですか……」と、仕方なくマサヒロそのタオルを受け取ってしまった。

言葉づかいこそ優しげやったが逆らい難い無言の威圧感があったという。

「ところで、前にうちの新聞読んでいてくれたよね。また、頼むよ」

案の定、勧誘を始めた。

「でも、ぼくは学生で働いてないからお金も持ってないし、新聞も読みませんから……」

「おこずかいくらいあるでしょ。いくらくらいなら払える? 1ヶ月に2千円くらいなら払えるでしょ」

「そんなのとても無理です」

マサヒロとしては、精一杯の勇気を振り絞ってそう言うたつもりやった。

毅然として断る。それが一番ええと知っていたからや。

しかし、マサヒロはこのとき、すでにその中年の勧誘員の術中に嵌っていることに気がついていなかった。

「そうか、2千円は無理か。分かった。それならこうしよう。1ヶ月600円だけでいいから払ってよ。そうすれば、カタログギフトの商品もあげられるし、君に損はかけないから」

そう言いながら、カタログギフトなるものをマサヒロに見せた。

「その中の品物はどれを取っても2千円以上はするものばかりだよ。例えば、この『秋田こまち』のお米5キロにしても2千円ではとても買えないよ」

「……」

マサヒロが「そんなのとても無理です」と言うたのは、新聞を取ること自体が嫌で無理だと言ったつもりやった。

しかし、この勧誘員には、それは伝わらず、単に提示された1ヶ月2千円の金額に不満があったと受け取られた。

ただ、それにしても、なぜ1ヶ月2千円の金額が1ヶ月600円になるのかマサヒロには理解できず、つい、「どういうことなんですか?」と聞いてしまった。

そう尋ねると、その勧誘員はニヤリと笑い、「これをあげるから、この3ヶ月の契約書にサインして。そうすれば残りの1800円弱を払うだけで済むから」
と言って、半ば強引にマサヒロの手に1万円札を握らせた。

1万円を負担するから、その新聞代の支払いの際、正規の新聞代金である月3925円の支払いをしてほしいと。

そうすると、その差額分の1775円だけがマサヒの負担になる。それを3ヶ月で割ると1ヶ月600円弱という計算になるのやと。

その勧誘員が、そう説明した。

マサヒロは、このとき、それでも断るのは悪いかなという気がしたという。

正直、それほど損な話ではないとも感じたと。

それが、ワシが、その勧誘員の術中に嵌ったと言う所以になる。

これは、「ドア・イン・ザ・フェイス・テクニック」という古典的な営業手法を応用したものや。

最初に拒否すると思われるような要請をして、一度断らせるように仕向ける。

あるいは、断られてもええくらいの要望を出す。

その後に、それよりも負担の軽い要請をすると、それが受け入れられやすくなるという心理を利用したものや。

この場合で言うと、1ヶ月3925円の新聞代を2千円にすると持ちかけるところから始めるのが、ミソになる。

その最初の提示でも、相当に割り引きしとるという印象を与えとるわけやが、マサヒロのような新聞そのものに興味のない者にとっては、それでも承諾するケースは少ない。

それを見越しての提示でもある。

当然、断りが入るさかい、その次に1ヶ月600円ならと畳みかける。加えて、それに見合う商品、サービスもつけますよと言うて迫る。

「損にはなりませんよ」と。

こうすると、提示した要請を勧誘員が大幅に譲歩したことになり、客も譲歩せなあかんのかなという気持ちにさせるという効果が生まれやすい。

これを、心理学では「譲歩の返報性」という。

相手が一歩譲ってくれたんやから、こっちも一歩譲らなあかんかなという心理にさせるわけや。

そして、「これは、君だけにしか言うてないことだから、集金の人間や店の者には絶対に黙っててな。こういうことが分かると、クビになっちゃうから」と言うて止めを刺す。

この君だけと言うのも効果がある。自分だけが得すると言われると弱い人間も多いさかいな。

それに、これは特殊なケースやと釘を刺すことで、他に口外するのを防ぐことができるという効果もある。

同じようなケースは他にはないと勘違いさせるわけや。

事実、ワシらに非公開を希望するというのは、それがあるからやさかいな。

参考までに、これと正反対な手法に「フット・イン・ザ・ドア・テクニック」というのがある。

直訳すると、「玄関ドアに足を挟み込み中に入る」という意味になる。

玄関にドアを挟むと気の弱い住人はそのドアを閉めることができ辛くなり、仕方なく話くらい聞こうかとなったところに営業をかけるというやり方や。

最初は小さな承諾から始まり、その積み重ねで最終的に目的の承諾を引き出すというやり方のことをそう呼ぶようになった。

具体的には「一週間の試読でも」から始まり「せめて3ヶ月だけでも」となり最終的には「1年契約でお願いします」と、徐々にその要求を引き上げる手法のことを言う。

「でも……」と、それでもマサヒロは煮え切らない態度を見せた。

損はないけど、果たしてこの勧誘員の言うとおりにして、何らかの罪に問われることはないのやろうかと、その事を心配したという。

そこへ、「この話をした以上、おじさんも契約して貰えないと困るんだよ」と、急にトーンダウンした声で囁く。

顔は笑っているが、目は笑っていない。

明らかに脅かされている。

そう感じた直後、「実は、おじさんはこの先の○○町に住んでいるから、何か困ることがあればいつでも言ってくれたらいいから」と、ダメ押しとも取れる決定的な一言が告げられた。

この言葉の内容だけやと、いかにも親切そうやが、マサヒロには「近所に住んでいる」というフレーズしか頭に残らんかったという。

これで契約を断ったり、誰かにこの事を話したりしたら、どうなるのか。

マサヒロには、その恐怖心しかなかったという。

ワシも、この男の狙いは、その恐怖心を植え付けることやったと思う。

そういった勧誘特有のマニュアルもあると聞く。そのとおりに実行したのやないかと。

この勧誘員が拡張員やった場合、それしか、わざわざ、そのことを強調する必要性はないさかいな。

拡張員というのは、多くの場合、複数の販売店に赴いて勧誘営業をするのが普通や。

その拡張団(新聞営業専門会社)の規模や新聞社の地場(営業許可範囲)などの事情にも寄るが、たいていは広範囲で勧誘営業をする。

自分の住んでいる範囲もその中に含まれる場合もあるから、その勧誘員が言うてるような事もないとは言い切れんが、その可能性はかなり低いと思う。

すべての拡張員がそうやとは言わんが、たいていの場合、自分の住んでいる近所で勧誘するというのは少ないさかいな。

それも、バレれたらまずい勧誘手法を使うてるとなると、尚更や。

例は適切でないかも知れんが、泥棒や強盗でも、自分の住んでいる近所の家には押し入ることはほとんどないという。

それと同じや。

但し、その勧誘員が、新聞販売店の従業員やった場合は別やけどな。

新聞販売店の従業員は、その店の近所に住んでいるのが普通やから、その勧誘員の言うとおりやという確率は高い。

もっとも、その場合でも、わざわざ近所に住んでいると契約者に知らせる必要は、それを脅しの材料に使う以外、考えられんがな。

その勧誘員が新聞販売店の従業員やった場合、自身でも、そのエリア内に住んでいるのは当然という思いがあるさかい、今更な説明になるしな。

これで、断れば何かされるのやないか。

結局、マサヒロはその恐怖心に負けて契約してしまったわけや。

ただ、その勧誘員が帰った後で、冷静になって考えてみると、販売店に内緒にするというのは、どうにも解せんという思いに囚われたという。

明らかに不正の片棒を担がされているのではないかと。

そうすることで何かの罪になるのやないかと。

どう考えても褒められた事やないさかいな。

このことを正直に販売店に言おうかどうか迷ったが、そうすると近所に住んでいるということもあり、何かされそうで怖いから、それもできん。

その勧誘員からは、その日の夜に「販売店から確認の電話が入るけど、適当に合わせて上手く答えておいてほしい」と言われていたとおり、それらしき番号通知の電話がかかってきたが、マサヒロはそれに出ることはできんかったという。

クーリング・オフをしようとも考えたが、それも同じように怖い。

マサヒロは、どうしたらいいのか分からなくなって、何か類似の事案がないかとネットを検索しているうちに、ワシらのQ&Aを見つけて相談してきた。

それに対して、ワシは次のように回答した。


回答者 ゲン


『できるのならクーリング・オフしたいと思っています』ということやが、クーリング・オフをするのは、契約者の権利やさかい、そうしたいというのであれば誰でもできる。

また誰もそれを止めることはできん。

ただ、クーリング・オフをする場合は、その販売店に直接そう言うだけではあかんで。

法律上は、文書での通達をする事と決められとるさかいな。それでないと、クーリング・オフは成立せん。

たいていの販売店なら、そう言えば「分かりました」と応じて契約解除になるケースが大半やが、それは、あくまでも「任意による契約解除」で正式なクーリング・オフとは違う。

それを勘違いされる人が結構多いさかい、念のために言うとく。

具体的には郵便局(JP)の窓口で、内容証明郵便や配達証明付きハガキ、簡易書留ハガキなどで送付するというのが一般的とされとる。

その際の詳しい方法については、サイトの『ゲンさんのお役立ち情報 その8 クーリング・オフについての情報』(注2.巻末参考ページ参照)にあるから、それをよく見ておいてほしい。

そのクーリング・オフさえ出してしまえば、その勧誘員や販売店が何を言おうと契約の解除は、それで成立する。

また、それを理由にその勧誘員が脅しに来れば警察に通報すればええ。それだけで立派な犯罪になるさかいな。

特定商取引に関する法律の第6条第3項に、

販売業者又は役務提供事業者は、訪問販売に係る売買契約若しくは役務提供契約を締結させ、又は訪問販売に係る売買契約若しくは役務提供契約の申込みの撤回若しくは解除を妨げるため、人を威迫して困惑させてはならない。

罰則規定として、2年以下の懲役又は300万円以下の罰金が科せられる。

というのがある。

分かりやすく言うと、契約した客がクーリングオフを申し出ているのに、それを防ぐため脅したり威圧して困らせるような行為の禁止ということや。

実際にその罪が適用され逮捕された事例もある。

『NO.108 近所で販売店員が逮捕されました』(注3.巻末参考ページ参照)というのが、それや。

もっとも、すべての事案が逮捕されるかどうかは、それぞれの事情や所轄の警察署の判断もあることやさかい保証はできんがな。

クーリング・オフを送付した場合、それが相手に届いた頃を見計らい、「実は……」と本当のことをその販売店に伝え、貰った1万円とカタログギフト、および粗品のタオルを返せば終わる。

その勧誘員が『集金や店の者にはこのことは絶対に言わないでくれ、クビになっちゃうから』と念を押したとのことやが、こういうことを持ちかけるすべての人間は必ず、そう言う。

あんたに対して行った、この勧誘員の行為は業界では「爆行為」と呼ばれとるもので、禁止行為になっとるさかいな。

あんたが、そのクーリングオフを出せば、貰った1万円を返す際にその事情を販売店に伝えることになるのは分かり切っとるにも関わらず、何でその勧誘員は、そんな危ない橋を渡るのかという疑問が湧くやろうと思う。

答は一つ。

あんたが学生さんで、しかも脅しに弱そうやと踏んだからや。

要するに甘く見られたわけやな。あんたなら、大人しく言うことを聞いて、そのままにするやろうと。

事実、あんたからの文面でも、その勧誘員を怖がっているというのが、よく伝わってくるしな。

まあ、それほど心配せんでも先にも言うたように、クーリングオフをした者のところへ文句を言うのは法律で禁じられとるさかい、実際に脅しや何らかの危害を加えるようなことはまずないと思う。

そんなことをして事が公にでもなれば、その勧誘員の所属する拡張団(新聞営業専門会社)自体がつぶれる恐れすらあるからな。

あんたが、その勧誘員を恐れる以上に、その勧誘員も所属の拡張団のトップを恐れるのが普通やさかい、そんな危険を冒してまで、あんたに仕返しするとは、とても考えられんということや。

そうは言うても、世の中には、わけの分からん人間がおるのも事実やさかい、万が一、それでクビになった人間が、その腹いせでヤケクソになって本当に仕返しにやって来るということも考えられんわけやない。

もっとも、そんな事案は今までのところ一件もないがな。

ただ、『お金を貰って契約するのはいけないことでは?』というのは、業界としてはあってほしくない、あかん事やとはされとるが、それを受け取るあんたが法律違反に問われることはない。

倫理的にどうかという問題はあるが、それを受け取るかどうかは、あんた次第で自由やというのは言うとく。

法律的には、その行為は単なる「値引きした」というだけになる。

業界で、その値引き行為が禁止されとるというだけで、どうしてもその商品を売りたい人間にすれば、タダ同然の価格でも売り捌くというのは、世間一般の商取引でもありがちなことや。

それを受け取ることで罪悪感など感じることは微塵もない。誰からも責められるいわれもないしな。

あんたが、その金額を受け取ることで、その契約が容認できるのなら、そうすることには何の問題もないと思う。

ただ、この手の事は、次もあると覚悟しといた方がええというのは言うとく。

あんたは、次回も同じように迫れば簡単に落とせる人間やとリストアップされてしまったと。

そういう人は何度でも、そのターゲットにされる。

そして、いつかは「今日は持ち合わせがないので次に来るときに金を持って来るから契約してほしい」というようなことを言い出す。

その言葉を信用してしまいトラブルになったというケースも多い。

後でというのは、ワシらの知る限り、その約束が反故にされる確率は相当に高い。

つまり、そんな連中と関わってしまうと、今は良くても、いずれはそういうときが来る確率が高いということや。

それを心しておいてほしい。

それが嫌なら、クーリングオフをして断固とした意志を示すことや。

そうすれば、揉めるのは、今だけで済む。

もちろん、揉めるのが嫌で損をしたという気持ちがないのなら、そのままにしとくという選択肢も当然ある。

ただ、その場合でも、次の契約が嫌なら、「このことを親が知って怒っていますので、僕には契約できません。次も同じようなことがあれば、親は新聞社に掛け合うと言ってますので」とでも言うて断ればええ。

実際、親には、このことを伝えておいた方がええやろうと思う。

あんたは、未成年ということやから、本来なら、その契約そのものは親の承諾が必要やさかいな。

その上で、どうされるかは、あんたの判断次第やと思う。


と。

それぞれの回答者には、それぞれの事情に合ったアドバイスをしたが、大まかには上記のような内容や。

結論として、今までのところ、5件中3件の学生さんから返信があり、そのすべてで、「罪にならないのなら、揉めるのは嫌なので、このままにします」ということやった。

そして、やはり、引き続き非公開を希望されると。

それについては、ワシらは相談者の意志を尊重するさかい、その是非を問うつもりはない。

自由にされたらええ。

しかし、それでは、こういう連中のやっている事が闇に埋もれてしまい、新聞販売店への警戒を促すことができん。

また、他の学生さんたちへの警鐘にもならんから被害も延々と続く。

しかも、この手の相談が、ここのところ急激に増えているという点も気になる。

何かが起こっている。

それをくい止めるためにも、敢えて回答文だけでも公開することにしたわけや。

それには返信して頂いた人のすべてが、このままにすると言うておられるということもあるからやけどな。

そのまま非公開にしたままであれば、例えその不正行為をしとる連中がこのメルマガを見たとしても、どこの誰のケースか分かりようがないさかいな。

非公開を希望する人たちに迷惑がおよぶことはないはずや。

こういう連中は、誰もそれをバラすことはないやろう、他に知られることはないやろうという前提で、こんなことをしとるのやと思う。

確かに、その当事者が口をつぐんでしまえば、その証拠がない限り、どうしようもない。

しかし、どんな不正もそうやが、いつまでもそんな事が続くはずはない。

単純に考えれば分かることやが、それで利益が得られるわけはないさかいな。

それをやってる者は、今日、今だけのことしか考えとらんさかい、遅かれ早かれ、いつかはパンクする運命にある。

そして、それがバレて白日の下に晒される日が必ずくる。

その時点で、実はその勧誘員が上げた学生さんたちの契約の多くが、それと知ったのでは販売店も救われんし、堪らんやろうと思う。

また、新聞業界全体としても将来に渡り由々しき問題になる可能性もある。

当然やが、そういう学生さんたちが、これから以降、普通に購読料を支払って顧客になるということは、まず考えにくい。

中には、継続するのなら同じ条件を要求する人もいとるはずや。心理的にも、そうなりやすい。

新聞販売店とすれば、そんな要求に応じるわけにはいかんから、そういう人は切るしかない。

好むと好むざるとに関わらず、業界は「無読者」を増やす、作り出す結果になるわけや。

そして、その学生さんたちもいつまでも学生やなく、いずれは社会に出て、それなりの地位に就く人もおられるはずや。

そのとき、その人たちが、新聞業界をどう見るか。

好意的に見ることはないわな。

つまり、そういう人を増やせば増やすほど、業界は多くの敵を作り、自分の首を自分で絞めることになるわけや。

それを回避するためには、そういう連中を根絶やしにするしか、新聞業界として生き残るのは難しいのやないかと思う。

そうは言うても、その当事者たちが口裏を合わし、口をつぐんでいるものをどうして暴くのかという問題になると、その解決策が難しいのは確かやけどな。

そこで、提案なのやが、全国の販売店の中には、すでにこういうことをした者を見つけた、あるいは処分したというケースがあるものと思う。

それをワシらに教えて貰えんやろうか。

また、その事実がなくとも、当店ではそういった輩に対しては、こうしているという対処や、こうした方がええのやないかといった意見、アイデアも有り難い。

それらが集まれば、このメルマガ誌上で掲載したいと考えとる。

それにより、そういった連中の不正を暴く方法を考え出せ、結果として、その抑止力になるはずや。

引いては業界を救うことにつながることにもなると思うさかいな。



参考ページ

注1.都道府県警察本部のサイバー犯罪相談窓口等一覧

注2.ゲンさんのお役立ち情報 その8 クーリング・オフについての情報

注3.NO.108 近所で販売店員が逮捕されました


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