メールマガジン・ゲンさんの新聞業界裏話・バックナンバー
第148回 ゲンさんの新聞業界裏話
発行日 2011.4. 8
■新聞社がHP『新聞拡張員ゲンさんの嘆き』を危険視する理由とは?
「今から、各自の携帯電話を集めるから出してくれ」
ヤマダ新聞販売店の店長、オオタケが昼前に出勤した専業員たちを前にして、いきなりそう命令した。
事務所内に緊張が走り、ざわついた。
「何や?」
ショータが隣のマサルに、小声でそう聞く。
「さあ……」
マサルも訝しげな様子を見せる。
「今から、この箱の中にお前らの携帯電話を入れろ」と、オオタケ。
「なぜですか。その理由を教えてください」と、ショータが不満げに質問する。
ショータのような若者にとって携帯電話は一心同体、切っても切り離せないものという思いが強い。
例え、親にそう命令されたとしても、素直には従えない。
それを取り上げるぞと言わんばかりのオオタケの命令には、少なからず違和感と、腹立たしさがあった。
何の権利があって、そんなことをするのかと。
せめて、その理由くらいは知りたい。それが整合性のある理由なら、やむを得ないが、そうでなかったら、断固抵抗する。
ショータは、そう決めた。
「お前らの中に、ネットで店のことをいろいろ書き込みをしとる者がいとるようやと担当(新聞社の販売部)から言われたんや。オレは、そんな人間はうちにはおらんと言うたんやが、担当はそれでは納得せんと言うので、その潔白を証明するために仕方なく、お前らの携帯を調べることにしたんや。大人しく協力してくれ」
「そんなことを言われても、これには個人情報が詰まっているんですよ。そんな書き込み以上に、人には知られたくない秘密もありますし……」と、ショータ。
「せやな、ショータはどこかの人妻とのことがバレたら大変やさかいな」と、茶化し気味にマサルが言う。
「あ、アホぬかせ。誰がそんことしとるっちゅうねん。ええ加減なことを言うな!!」
どっと、笑いが起こる。
まあ、その真偽のほどは置いとくとして、専業に限らず、誰の携帯メールにしても、それなりに秘密が多いのは確かや。
比較的若い専業の場合、最も多いのが、客とのやり取りやという。
そこには、規定以上に特別にサービスする約束とか、形だけの契約でええから名前だけ貸してほしい、あるいは客が引っ越しをするのを承知で契約したといった内容のものまであるのも珍しくないと。
何で、そんなものまでメールに残すのやろうかと思うが、相撲の八百長メールと一緒で、今日びの若い人間同士の間では、そうすることの方がむしろ自然なことらしい。
最も証拠能力の高い危険なものという認識が薄いと。
「店長、それは、そうしろという担当さんからの命令なんですか」と、主任のミヤケが質問する。
「いや、特にそういうわけでもないんやが……」
これは、例え、そうであったとしても店長として立場的に、そうやと言うわけにはいかんやろうというのは分かる。
店長も自分の発案やと言うのは事実やないから、思わず新聞社の担当の名前を出したが、後でそのことが問題になるのはまずい。
実際、その新聞社の担当という人間の性質次第というのもあるが、たいていはこういうケースで、そんな命令や指示、依頼をすることは少ないしな。
あっても、せいぜい「この書き込み(相談)の内容は、お宅の人(専業員)ではありませんか? 困りますね、こういうのは……」という程度や。
「後はそちらで、お願いしますよ」と、暗に仄めかし、販売店がそれに沿った行動をするだけや。
今回の場合も、その可能性が高い。
あくまでも店長独自の判断。そいうことにしとかなあかん必要があると。
「その書き込みというのは、一体何ですか?」と、ショータ。
「お前らの中で、『新聞拡張員ゲンさんの嘆き』というホームページを知っとる者がおるか。知っている者は正直に手を上げてくれ」と、オオタケ。
ショータとマサルはお互いを見て、恐る恐る手を上げた。他の専業員たちも同じように手を上げていた。
「そうか。オレも知っとるし、見たこともあるからそれはそれでええ。問題は、そこのQ&Aに店の内情を書き込む人間がいとるということや。どうも、それはこの地域一帯のうちの新聞系列の販売店のようや」と、オオタケ。
その犯人捜しを新聞社が始めたということらしい。
「それでしたら、何も携帯だけ調べても意味がないでしょう? パソコンでもメールはできるんですから」と、ショータ。
「そうや」、「そうや」と、それに賛同する専業員たちで、事務所内がさらにざわついた。
できることなら、携帯電話を取り上げられて、プライバシーを覗かれたくない。
携帯メールで、その書き込みとやらをやっているという具体的な証拠を挙げて、そう言うのなら、ともかく、そうかも知れんという程度では説得力に欠ける。
専業員の多くが、そう言うてオオタケに詰め寄った。
結局、誰も携帯電話を渡そうとはせんかったということもあり、旗色が悪いと判断した店長のオオタケが、
「分かった。うちには誰もそんな人間はおらんかったと報告しとく。それから、今後は、『新聞拡張員ゲンさんの嘆き』というホームページには一切メールはせんといてくれ。うちの人間がそこに書き込みをしとるというのがバレたら、大変なことになるさかいな」
と言って、その場はそれで終わった。
そのシヨータからメールが届いた。
……というわけなんですが、一時はどうなるかと思いました。
それにしても、ゲンさんやハカセさんの影響力って凄いんですね。大新聞社がそれだけ慌てているということですもんね。
これからは今までとおなじようにメールすることはできないかも知れませんが、かげながら応援してますのでがんばってください。
なにかあったら、かくれてメールします。
と。
以前から、この手の話はあるにはあったが、最近、なぜかショータのようなあからさまなケースが増えてきとるようや。
同じような報告は他からも届けられとるさかいな。
今回の話が本当やったとして言うが、新聞社が何を怖がっとるのか分からんけど、少なくとも販売店の従業員の言論を封じ込めるような真似をしようとしたらあかんわな。
新聞販売店の従業員の方からQ&Aに寄せられる相談は、どれも切実なものばかりや。
その多くは劣悪な労働環境に置かれていると訴える。あるいは「金券廃止」、「正常化の流れ」により拡材の締め付けで営業が厳しくなったと嘆くケースが多い。
当たり前やが、どんな企業も、そこで働く人間の立場と生活を守るという姿勢がなかったら、絶対に伸びることはない。
従業員のことを顧みない企業は、間違いなく衰退の一途をたどる。
働く者の信頼を失ったら終いや。それが分かっとれば、こんな真似はできんはずなんやがな。
ワシらのサイトに相談する者を妨害、阻止することより、そのQ&Aを見たのやったら、まずはその人たちの切実な思いを汲み上げることに力を注いでほしいと思う。
また、そんなことで犯人捜しをするくらいなら、大元であるワシらに直接、意見なり、苦情なりを言うてきてほしい。
ワシらはどんな質問にも答えるし、請われれば新聞社のためになるような助言もする。
当然やが、ワシ自身、新聞社にはしっかりして貰わな困る立場の人間やさかい、敵対する気持ちなんかはさらさらないしな。
但し、いくら新聞社の頼みやからと言うても、臭い物に蓋をしろというのだけは聞けんがな。
そうしてきたツケが、今の結果を招いとるわけやさかいな。その愚を重ねん方がええ。
今回のように販売店の従業員たちの言論を押さえつけるようなことをしていたら、さらに悪い方向にいくだけにしかならんと考える。
従業員の苦情が外部に漏れるのを阻止するには、すべての隠し事をなくすことが一番やと思うのやが、違うやろうか。
実際、ワシらは、新聞のええところはええと認めて、その紹介も惜しみなくしとるつもりや。
近いところでは、2週間前に発行した『第146回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■情報を伝える人々の使命感と気概、そして新聞の存在意義について』(注1.巻末参考ページ参照)では、新聞社の震災時における姿勢に感動して絶賛もしとる。
他にも挙げたらキリがないくらい、その手の記述がサイトやメルマガにはある。
もちろん、悪いと思ったことは悪い、こうした方がええと思うことは率直にそう言うとるがな。
もっとも、それが逆鱗に触れたのかも知れんが。
ここで、ワシらが考えつく限りの新聞社と新聞販売店の嫌うと思われる事柄を挙げて、その検証をしたいと思う。
新聞社、および新聞販売店が触れられたくないと考える事柄あれこれ
1.新聞勧誘の実態。
ワシらのサイト、メルマガが登場するまでは、ネット上において新聞勧誘の実態が俎上(そじょう)に上ることはあっても無視することができた。
何の根拠、証拠のない書き込みやと。
実際、多くの告発者と名乗る者たちのサイトやブログには、自分の経験した狭い範囲のことを、さも業界全体の事でもあるかのように吹聴しているというのは否めん事実やったと思う。
それを一時が万事、業界のすべてやと言うには無理がありすぎる。
また、その被害に遭ったという人たちも、たった一件の事象を言うてるにすぎんということもある。
もっとも、それはある意味、仕方のないことではあるがな。
個人の知り得る限界ということもあるし、それに対して不満、嫌悪感を抱いていれば、自然に新聞に対して攻撃的な姿勢や言論になる。
多くの場合、それが誹謗中傷という形で表れる。
そういうものは、はっきり言うて見る者、読む者に嫌悪感を抱かせるだけで共感を得るというにはほど遠い。
せやからこそ、新聞社も今まで、ネット上のそうした記述、書き込みに対して「戯言(たわごと)」として放置することができたわけや。
そんなものを誰も真に受けるはずはないと。
実際、ネットで新聞社や新聞勧誘を悪し様にこき下ろすサイトやブログは多いが、それで社会現象にまでなることはなかったしな。
しかし、ワシらのサイトについてはその事情が違ってきた。
初期の頃は、まだワシという一拡張員の話が主体やったさかい、新聞勧誘を扱う他のHPやブログと、さほどの違いはなかった。
ところが、サイトを見て共鳴された一般読者や新聞拡張員、新聞販売店関係者といった業界関係者の方々からの投稿メールが日増しに増えるようになった。
サイト開設7年間で、日本中、いや世界中から延べ数万通にもおよぶ、情報や意見が寄せられてきている。
公開しとるQ&Aだけでも、現在、1000件を超す回答をしとるわけやしな。非公開分を合わせるとさらに多くなる。
そうなると、当然のことながら、ワシ個人だけの拡張話やなくなる。数多くの業界関係者や一般読者の話が結集しとるわけやさかいな。
その情報量はサイトを見て頂ければ、誰にでもすぐに、それと分かるはずや。
膨大な量やと。
しかも、それは業界関係者なら誰が見ても事実やと認識できることはがりや。
せやからこそ、新聞社が販売店に圧力をかけようとしとるわけやさかいな。
もっとも、それにしても公開しとるのは、その半分もないんやけどな。
ハカセの性格なのか、寄せられる情報については一応、その裏を取った上での公開ということにしとるさかい、それぞれの事情で、まだ未公開というのが多いわけや。
裏の取れん情報に関しては公開するとしても「〜と聞く」、「〜という話や」、と記述する程度で止めとる。
たまに「ネタ切れになりませんか」と心配してくれる読者の方もおられるが、日が経てば経つほど書くことが増えていっとるのが現状やさかい、その心配は皆無やと、ここで言うとく。
つまり、それらからしても、当サイトで示している新聞勧誘の実態は、限りなく実情に近いものやと自信を持って言えるということや。
おそらく、その情報量だけに関して言えば、どの新聞社よりも、業界のどこよりも豊富にあると断言できるほどに。
そして、それはこれからも毎日確実に集まってくると。
それに危機感を新聞社が抱いて本当に危険視、敵視しとるのやとしたら、何と狭い了見なんやと言うしかない。
そういうサイトがあるのなら、なぜ、それを参考にして自らのプラスに持って行こうと考えんのやろうかと不思議に思う。
新聞社には日本最高の頭脳、文章力のある人間が結集しとる類い希なる組織なんやさかいな。
2.押し紙、積み紙の実態。
新聞社は特に「押し紙」の記述について神経を尖らせとる。
当サイトでも、当然のことながら扱うことの多い事柄や。
ただ、事、「押し紙」についての情報量ということになると、『新聞販売黒書』(注2.巻末参考ページ参照)というサイトに1日の長があり、ワシらよりもはるかに詳しいと思う。
現在は、月額500円と有料になっとるとのことやが、そのための情報を詳しく知りたい、資料がほしいという方にはお勧めのサイトや。
『新聞販売黒書』では実名表記が多いから、より具体的な報道記事になっとるということもあり情報価値としても高い。
それについては、ハカセと黒藪哲哉氏との姿勢の違いによるところが大きい。
生粋のジャーナリストである黒藪哲哉氏は新聞社による「押し紙」のすべてを否定して糾弾するという姿勢に徹しているのに対して、ハカセは物事を探るという作家タイプの男で、なぜ「押し紙」が存在するのかという点に深く切り込んどる。
つまり、「押し紙」をするには、する側の理由があると考えて記述しとるわけや。
まあ、それでも「押し紙」を是とすることはないが、かといって、その行為を名指しで批判するつもりまではないという。
単に、この業界では、その事実があることを読者に知らせ、そんなことは止めといた方がええと言うだけのことやと。
そのためか、事、この問題に対してだけで言えば新聞各社は黒藪哲哉氏に対して、かなり神経質になっとるようや。
相当な妨害行為をされとるとも聞くしな。
ただ、黒藪哲哉氏は新聞社による「押し紙」のすべてを否定するという姿勢のためか、その最大の被害者とされる新聞販売店の経営者の立場に立つことが多いあまり、「積み紙」の存在にはそれほど触れていないようや。
「積み紙」というのは「押し紙」とは対極に位置するものや。
「押し紙」というのは、新聞社の販売目標に合わせて、専属の各新聞販売店に、その部数を強制的に買い取らせる行為のことをいう。
「積み紙」というのは「押し紙」とは逆で、新聞販売店自らの意志で顧客の存在しない余分な新聞を新聞社から買う行為のことをいう。
大型店と思われたいという見栄や改廃(廃業)逃れ、新聞社の担当員からの受け狙いなど理由は様々やが、この「積み紙」については新聞社の積極的な関与はあまり考えられん。
むしろ、新聞社はその「積み紙」を「販売店の虚偽報告による架空読者の計上」として「押し紙裁判」では、その被害を主張しとる販売店にその責任ありと責めとるくらいや。
違反行為やと。
この「押し紙」と「積み紙」の違いというのは外から見ただけでは分かりにくい。
余剰紙のほぼすべてを「押し紙」と見ることもできるし、一方では販売店側の事情で勝手にそうしたという「積み紙」が多くを占めとるという見方もできる。
その詳しいことは、その当事者しか分からんということやな。
ただ、これだけは言えるが、実際に「押し紙」を理由に裁判沙汰になったケースは、全国2万店舗ある言われている新聞販売店のうち、ホンの数件しかない。
これをどう見るかで、その捉え方が大きく違うてくる。
「押し紙」、「積み紙」が一般にそれほど知られてないのは、そういう報道が一切ないということもあるが、悪質な勧誘とは違い、購読者が直接、被害に遭うことがないからやと思う。
少なくとも、サイトで公開しとるQ&Aには、その押し紙のために困ったという相談は今のところ皆無やさかいな。
押し紙があろうが、なかろうが、それにより新聞代が徴収されるわけでも、安くなるわけでもないと。
それが一般読者の、この問題に対する正直な反応やと思う。
3.新聞販売店の労務事情の実態。
これについては、切実な訴えが多い。
深夜、早朝の仕事があるから、ある程度の仕事のきつさ、しんどさというのは誰しも覚悟をしていたと思う。
しかし、えげつない搾取まであると予想して、この世界に飛び込んでくる人間は少ない。
ごく一部にしても、そういう新聞販売店、新聞拡張団が業界に存在しとるのは事実や。
ワシが今までで最も過酷やと感じたのは、旧メルマガ『第165回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■背負(しょ)い紙……その哀しき実態』(注3.巻末参考ページ参照)での話やった。
「背負い紙」について詳しい実態を紹介しとるのは、ネット広しと言えども、ワシらのサイトくらいなものやと思う。
「押し紙」を問題視する人間も、それにより、「背負い紙」が存在しとるということまでは知らん人が多いようや。
それを取り上げとるHPやブログというのが、ほとんどないさかいな。
その情報を得られんということもあるのやろうが、その背景には「押し紙」行為を叩くことで新聞社を攻撃さえできれば、それで良しという風潮があるからのように思える。
もちろん、押し紙裁判にも、その存在のカケラすら登場することはない。
その「背負い紙」の被害者は、「押し紙」、「積み紙」分の負担をさらに強制的に押しつけられとる販売店の従業員たちや。
世の中の仕組みすべてについて言えるが、理不尽な事というのは、常に、より立場の弱い者へと順繰りに押しつけられていくという現実がある。
新聞社から販売店へ。販売店からその従業員へ。そして、従業員の中でも、店長、主任クラスから一般従業員へと、より立場の弱い人間に、その負担がのしかかるという構図になっとるわけや。
「背負い紙」というのは、そういった背景の中から生まれたものや。
事、「背負い紙」の場合に限って言えば、加害者は新聞販売店ということになる。
専業と呼ばれる販売店の従業員にも当然のように勧誘のノルマがある。そのノルマが過酷な販売店も多い。
ある販売店では、月最低でも新勧(新規勧誘契約)で10本というのがノルマが課せられとるという。
それに加えて止め押しという担当地域の顧客の契約更新を100%要求される。
そのノルマがクリアーできたら問題はないが、なかなかそれが難しく、できん者の方が多い。
きつい販売店やと、そのノルマが果たされへんかったら、かなり厳しく叱責されるということや。
その叱責を逃れる目的で「背負い紙」というのをする。また販売店から強要されてそうするケースもあるという。
つまり、「背負い紙」とはノルマの不足分の新聞を身銭切って買い取るというのを意味する言葉なわけや。
そこに「切り取り行為」というのも加わる。
『切り取り行為』というのは、新聞講読料の集金期日までに集金できんかった分をその担当従業員の給料から一時立て替え、つまり天引きするシステムのことをいう。
これについては労働基準法に定められた「賃金全額払いの原則」に反し、違法性が高いものや。
お恐れながらと訴え出れば、その販売店は叱責されるが、そうするとそうした従業員は確実に職を失うことになる。
それを怖さに大人しく黙っている者が多い。それをええことに、そうするわけや。醜悪極まりない。
もっとも、さすがに現在では、そういうことをする販売店は、ほとんどないとのことやがな。
しかし、それでも皆無になったわけやない。未だに、Q&Aにはその手の相談もあるしな。
それらのことに触れてほしくないというのが、新聞社の正直な気持ちやと思う。
それ故に、ワシらのサイトが睨まれているのやと。
4.「金券廃止」や「正常化の流れ」についての批判的な記述。
「金券廃止」や「正常化の流れ」について、ワシらは批判的なコメントを発し続けとる。
ワシらは、事ある毎に、『正常化の流れ』と称する拡材経費の極端な押さえ込みは感心せんからするべきやないと言うてきた。
そもそも「68ルール」そのものが今の時代に合わず、おかしいと。
本当に法律を遵守するだけのつもりなら、大元の公正取引委員会が景品表示法で景品付与の上限を現在、20%までに引き上げて緩和しとるというのに、何で新聞業界だけが頑(かたく)なに、『景品の範囲を「取引価額の8%又は6ヶ月分の購読料金の8%のいずれか低い金額までの範囲』、と決められた俗にいう「68ルール」を守り続けとるのかと疑いたくなる。
それでは意味はないのやないかと思う。
その「68ルール」が決められた当時は、公正取引委員会が景品表示法で景品付与の上限が10%やったから、それよりも僅かに下回っているということで、業界としての真摯な姿勢を見せるという意味合いもあったのやろうが、今となってはそれも怪しい。
単に以前決めたものやから、それを変更していない、その気がないというだけのことやと思う。
この「68ルール」というのは、新聞業界の自主申告によって公正取引委員会の認可を受け決められたものやから、その気さえあれば新聞業界次第では、いつでも緩和する方向に修正申告できるはずや。
そして、その修正申告が認められる可能性は高い。
法律というのは、その時々の世情により変化していくものや。守る方もそれに合わせていけばええことやと思う。
しかし、「68ルール」にはそれがない。
新聞社はその現実を無視するかのように、それに固執しとるわけや。そして、新聞販売店の多くも、それに異を唱えることなく従っている。
まあ、それには新聞社と新聞販売店の利害が一致したということなんやろうがな。
新聞社は、もともと昔から値引き行為というものを認めないという立場やから分かるが、新聞販売店が経費節減のために、それに乗ったというのは、営業畑一筋に生きてきたワシには理解し難いことや。
世の多くの営業主体の企業がそうであるように、売り上げが減ったからといって営業の経費を節減するという手法を採れば先細りして、売れるものも売れず、結局は倒産ということになるだけなのやが、その愚に気がつかんのやろうかと思う。
なぜ、そうなるのか。
それは、『経費節減』という考え方は、経営側のみに立ったもので、そこで働く従業員や顧客のことに考えが及ばんからやと思う。
それが、結局は自らの首を絞める結果になるんやが、そうとは気がついてないわけや。
確かに景品表示法の「68ルール」以上のサービスをすれば、現状では法律違反ということになるから、それをしろとは言えん。
ただ、これは一つのデータやが、その景品表示法の「68ルール」違反で、ここ10年近く新聞販売店が摘発された事例がないという事実がある。
これも折に触れて言うてることやが、その事実は、この景品表示法の「68ルール」においては、今やほとんど機能していないという証しになるのやないかと思う。
まあ、普通に考えて、その景品表示法で他の業界で景品付与の上限が20%なのに、それを下回る8%を超えとるという理由では、いくら違反になるとはいえ公正取引委員会も本気で摘発し辛いわな。
確かに、インターネットの普及による若者の新聞離れや長引く不況、人口減などが部数減の要因として挙げられるが、業界のその姿勢も、それに拍車をかけとると思う。
客側からすれば、今まで受けていたサービスが、急にもうできませんでは、それなら新聞を止めようかとなるのも無理はないさかいな。
何でもそうやが、極端な変化は必ず大きなリスクを伴うもんや。この場合は部数減に陥るというのが、それになる。
部数減を覚悟で収益が減るのも致し方ないと考えて、そうするというのなら、まだ分かる。
部数が減ったら減ったなりの経営をすればええわけやさかいな。
しかし、新聞社や販売店が、そんな理解、そんな考え方になるとは、とても思えん。
結局は、「営業成績が悪いのはお前らの責任や」と、販売店の従業員を責めて、その負担を強いることになる。
実際、そうしとると聞く。
客のことを考えず、従業員を大事にせん企業に未来など絶対にないと断言する。
はっきり言うが、このままの状態が続けば、どんなにこの業界で頑張ろうと決めとる人間でも生活ができんようになるから去らざるを得んようになる。
人の減っていく業界、企業の行く末は衰退しかない。惨めなもんやで、ホンマ。
今、新聞販売店のやるべきことは経費節減なんかやなく、いかに顧客を大事にしてつなぎ止めるか、いかに従業員に仕事のしやすい環境を与えられるかという点に尽きると思う。
それでしか生き残るのは難しい。
それに一刻も早く気づいてほしいのやが、ワシらの思いとは違い、その言動を封じ込めようとしとるわけや。
5.法律を盾に取ったQ&Aでの回答。
Q&Aという性質上、法律の条文を引用、駆使することが多い。
民法しかり、刑法しかり、商法しかり、消費者契約法しかり、景品表示法しかり、 特定商取引に関する法律しかり、労働基準法しかり、個人情報保護法しかりといった具合に新聞のトラブルには、実に様々な法律が適用される。
無法な相手に対抗するためには、相談者にその知識がなかったらあかんと考えるさかい、敢えてそれらの法律を引用して回答しとるわけや。
ワシは法律がすべてとは考えん人間なんやが、それでも「法律の決まり事」というのは、それなりに強力なインパクトがあり、説得力を持つものやさかい、ついそれに頼ってしまうんやな。
それを、「よけいな知恵をつけやがって」と言う新聞社や販売店の人間がいとるという。
6.業界の仕組みについての暴露。
例えば、契約事について、「契約は新聞社とするものではなくて、販売店と直接するもの」とか、「新聞販売店は宅配制度に縛られている」とか、「引っ越しをすれば自然解約なる」、あるいは「クーリング・オフの具体的で正しい方法」などについて微に入り細に入り説明しとるというのが、気に入らんという声も聞こえてくる。
また、無法な勧誘に対しての対処法とか、えぐい販売店との交渉方法、撃退法というのも、あまり言うてほしくないという。
一般読者に、変な知恵を与えれば与えるほど、読者が逃げていくからやと。
その論理はおかしいと言うしかない。
無法な勧誘をなくし、不法行為を駆逐して、顧客の喜ばれ、顧客のためにと考えれば、そんなことを指摘する必要すらない。
新聞は取らすものやなく、取って頂くものやという営業する者として当たり前のことに早く気づいてほしいと思う。
そうすれば、たいていのことは解決するんやけどな。
この他にも、まだワシらのサイトに近づかせたくない理由というのがあるのかも知れんが、またその情報が入ったときにでも知らせる。
今さらなことやが、現代社会において情報の遮断など、しようと思うてもできるもんやない。
まして、この日本で、そうしようと考えとるというのは救い難い愚行としか言いようがない。
今回の話を読んで心配になられた業界関係者の方に言うとくが、携帯メールまで調べられたというのは、どうやら事実のようやさかい、その危険を感じられるのなら、即刻、当サイトとやり取りしたメールを削除することを勧める。
心配せんでも、ハカセがそのすべての記録を残しとるさかい、必要であればいつでも、消去したメールの内容は教えるから心配せんでもええ。
あるいは、ヤフーメールとかGメールのように、ネット上のメールボックスに預けとくという方法があるさかい、それを勧める。
バレて開き直るつもりなら、それでもええが、サイトにメールしたことで職を失うことになったら、ワシらとしても心苦しいさかいな。
いくらその報復ができるとしてもや。できれば、誰も傷つかんことがベストやしな。
ワシらはワシらで、それだけ新聞社に注目されとるということなら、今まで以上に慎重な言動を心掛けるつもりや。
また、投稿者の素姓が探られんように、よりいっそうの配慮をしたいとも思う。
もっとも、一番ええのは、新聞社や販売店がそうする愚に1日でも早く気がつくことやけどな。
参考ページ
注1.第146回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■情報を伝える人々の使命感と気概、そして新聞の存在意義について
注2.新聞販売黒書
注3.第165回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■背負(しょ)い紙……その哀しき実態
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