メールマガジン・ゲンさんの新聞業界裏話・バックナンバー

第151回 ゲンさんの新聞業界裏話
     

発行日 2011.4.29


■電子書籍化販売決定のお知らせ……出版に至るまでの流れについて


昨日の4月28日。

いきなりやが、「App store(アップル・ストア) 」より、当サイトの電子書籍『ゲンさんの新聞勧誘問題なんでもQ&A選集 電子書籍版パート1』の発売が開始されたことを、読者の方々にご報告する。

正確には、一昨日27日の深夜、アメリカでは昼間になるが、「App store(アップル・ストア) 」において公開されたということや。

アメリカで世界中に向けて、ワシらの本が発売されたというのは、すごい事で何か大袈裟なような気もするが、まあ、せやからと言うて世界中で売れることもないやろうから、その事実があるというだけの話やけどな。

日本語の翻訳機能がどうなっとるのかは知らんが、関西弁で書かれた書籍が、まともな外国語に変換されるとも思えんから、例え読んでも意味が分からんのやないかと思う。

これは、紙の書籍『新聞拡張員ゲンさんの新聞勧誘問題なんでもQ&A選集』の続篇とも言うべきもので、電子書籍版のみの販売になっとる。

「App store(アップル・ストア) 」にアクセスできる環境にある端末であれば買って頂くのには何の問題もない。

PC(パソコン)の方なら、

▼ゲンさんの新聞勧誘問題なんでもQ&A選集 電子書籍版パート1
http://itunes.apple.com/jp/app/id433814946?mt=8

にアクセスして、その指示に従って頂ければ購入できるはずや。

その他の購入可能な端末は、「iPad(アイパッド)」、「iPhone(アイフォン)」、「iPod Touch(アイポッド・タッチ)」のみとなる。

尚、ソフトバンクの「iPhone」以外のスマートフォンは対象外となっているので気をつけてほしい。

価格は税込みで350円。これが高いか安いかは、それぞれで判断して頂きたい。

販売予定期間は、本日より平成24年4月末日までの1年間。その先は、売れ行き次第ということや。

ささやかではあるが、特典も一応用意している。

紙の書籍『新聞拡張員ゲンさんの新聞勧誘問題なんでもQ&A選集』の場合は、発売前に予約して頂いた方に限り、小さめの色紙にワシの書いた言葉を同封させて頂いた。

今回は、その予約を募集することができんかったさかい、その代わり、平成23年7月末日までの3ヶ月の間に本電子書籍を買われた方に対して、ハカセ( hakase@siren.ocn.ne.jp)宛てにメールで、

「色紙希望」と記し、本電子書籍に収録されている「Q&Aその四十 ……」のタイトル名を書いて、郵送先の住所を教えて頂ければ、同じものを送りたいと考えとる。

その「ゲンさんの言葉」についてのサンプルは、

▼電子書籍販売コーナー ゲンさんの新聞勧誘問題なんでもQ&A選集 電子書籍版パート1
http://www3.ocn.ne.jp/~siratuka/newpage21.html

にあるので、その中から選んで頂けたらと思う。

ワシとハカセは、先日「iPad(アイパッド)」を買うたが、ハカセはともかく、ワシのような機械音痴のおっさんには新しい物を扱うというのは本当に骨が折れる。

そんなワシのような、おっさんでも購入できる簡単な手順を言うとく。

但し、これは「iPad(アイパッド)」でのものや。

もっとも、「iPhone(アイフォン)」、「iPod Touch(アイポッド・タッチ)」の端末でも同じやということやがな。


「iPad(アイパッド)」での電子書籍購入手順


「iPad(アイパッド)」のホーム画面から「App store(アップル・ストア) 」をタッチする。

「ブック」をタッチする。

上部の検索バーにタッチする。
 ↓
パソコンのキーボード画面が表れるから、それで「ゲンさん」と入力する。
 ↓
パソコンのキーボード画面の「確定」をタッチする。
 ↓
すると、パソコンのキーボード画面の「確定」が「検索」に変化するから、それをタッチする。

『ゲンさんの新聞勧誘問題なんでもQ&A選集 電子書籍版パート1』が表示される。

ワシのキャラクター画像のイラスト下部に「+350」というバーがあるから、それをタッチする。

「APPを購入」という表示にタッチする。

「iPad(アイパッド)」のホーム画面にワシのキャラクター画像が表示されて完了となる。


何の前触れもなく、いきなりメルマガ誌上でこんな話をしたが、それにはそれなりの理由があった。

今後、電子書籍を出版されようと考えておられる方、または興味のある方にとっても参考になる話やないかと思う。

話は、今から2ヶ月以上も前の2月10日に遡る。

その日、サイトの書籍を自費出版した際、お世話になった「みずほ出版」の担当編集者T氏から1通のメールが、ハカセに届いた。


白塚 博士様

いつもお世話になっております。みずほ出版のTです。

まだまだ寒さが厳しいですが、いかがお過ごしでしょうか。

さて、このたびはお伺いしたいことがあり、メールさせていただきました。

白塚様は、電子書籍にご興味はおありでしょうか?

近年印刷物のデジタル化が進み、書籍も例外ではなくなってきました。

弊社としても、その流れに乗り遅れないよう、電子書籍の制作を考えております。

そこで「新聞勧誘問題なんでもQ&A選集」を、テストケースとして電子書籍化させていただけないでしょうか?

もし制作させていただけた場合は、弊社の最初の電子書籍となりますので、当所の制作事例としていろいろなところで紹介することをご了承いただけますようお願いいたします。

「新聞勧誘問題なんでもQ&A選集」なら、文章も読みやすくて楽しいし、ほかのお客様に参考として見ていただくのに効果的ではないかと考えております。

弊社の都合でのお願いになりますので、制作費は全額弊社負担とさせていただきます。

また、電子書籍として販売した場合は、売上の収益は白塚様に帰属いたします。

恐れ入りますが、一度ご検討いただけますよう、お願いいたします。


というものや。

去年、2010年11月5日発行の当メルマガ『第126回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■電子書籍化時代の本格的な到来について』(注1.巻末参考ページ参照)の中で、ハカセは、「私も、その電子書籍での出版を考えてみようかと思うのですが」と言うてた。

実際にも、その方法についていろいろと模索していたようやから、その申し出は、ハカセにとっては渡りに船やった。

早速、返信したという。


T様

白塚博士です。

こちらこそ、いつもお世話になっています。

実は、私も現在、電子書籍での出版を考えていましたので、お申し出には大変興味があります。

具体的に、どういった方法でご協力させて頂ければいいのか、また私が他の電子書籍を出版するにあたり、何をすればいいのか、何が必要なのかを教えて頂けないでしょうか。

それでは、よろしくお願い致します。


その後、何度かのメールのやり取りの後、2月25日の午後1時、出版社で、それについて初めての打ち合わせをすることになった。

当初、T氏は出版社側からの依頼ということで、ハカセの所まで出向くと言うておられたが、さすがにハカセとしては、それは気が引けたという。

『制作費は全額弊社負担とさせていただきます』ということもあるが、それ以上に、当初予定していた書籍の増刷と新規の自費出版本が頓挫しとるということがあったからや。

みずほ出版のT氏には伝えてなかったが、ハカセは書籍の増刷と新規の自費出版本については、ほぼあきらめかけていた。

ワシらの自費出版本はネット販売が主力やが、それでは、売れれば売れるほど赤字になるというジレンマがあったからや。

当初から、儲けが出るとまでは考えてなかったが、まさか赤字になるとは予想してなかった。

第1作目は初期投資ということで、ある程度の損失は仕方ないとしても、その売り上げで次の本くらいは出せると踏んでいたのやが、どう計算しても難しいということが分かった。

それも、間違って大売れでもしたら大変なことになるという怖さがあるから、不用意には次作に手が出し辛い。

その内情を詳しく言うと、いろいろと差し障りもあるし、多くを説明せなあかんので簡単に説明する。

まず、本の原価、製本代に価格の6割程度、ネット販売の委託費用(アマゾン)に価格の4割が必要になり、この時点でほぼトントンになる。

代金引換郵便の場合は、代金引換手数料、買い物かご設置代などで3割強かかる。

これに加えて、送料やクッション封筒代などの諸経費が必要になる。

そんなことぐらい最初に分かってなかったのかと言われると何も反論できんが、それらの経費は、当初の予想をそれぞれ少しずつやが、オーバーする結果になった。

また、すべてが同時進行していて途中で止めるというわけにはいかんかったという事情もある。

それなら、次回の本は値段を高めに設定したらどうやという意見もあるが、そんなことをして売れる自信はない。

正直、今の価格でも、これほど売れるとは思うてなかったさかいな。

完全に読み間違えた、甘い見通しやったということになる。

どこかの出版社から依頼された商業出版本が1万部売れたとすると、普通は印税などで著者は100万円程度手にすることができる。

しかし、自費出版で委託販売をする場合、ワシらのケースでは1万部売れたとすると、単純計算で逆に100万円以上の大赤字になる。

それを考えたら、売り込みをするにしても力が入らんわな。外に向かって宣伝するのを極力控えていたというのは、それもある。

そんなわけで、次回作を期待して頂いていた読者の方々には大変申し訳ないが、あきらめざるを得んかったわけや。

ただ、それがまったくの無駄になったとは考えていない。

その書籍を出版することで、少しでも誰かの役に立てて頂けることができ、誰かの手元に書籍として残して貰えるという、当初の目的は、ほぼ達成できたさかいな。

後は残り僅かとなった本を売り切ったら、自費出版本の制作と販売は一旦終えるつもりにしとるという。

少し寂しい気もするが、ハカセは、それなりにそれで満足やと言う。

しかし、その決断は同時にその「みずほ出版社」との縁が切れるということも意味する。

それやのに、その「みずほ出版社」さんから無償で電子書籍化したいという話まで頂いた。

ハカセの気が引けるという所以(ゆえん)が、そこにある。

ここは一番、ハカセの方から出向くべきやという気持ちで三重県津市から、「みずほ出版社」のある名古屋市まで行ったわけや。

通された会議室には、担当者のT氏と電子書籍システム担当のネット事業部部長A氏、制作グループ担当のK氏の3名がいた。

軽い挨拶と名刺交換の後、ハカセが、

「Tさんの話ですと、『新聞拡張員ゲンさんの新聞勧誘問題なんでもQ&A選集』をそのまま電子書籍化されたいと伺っていますが……」

と、切り出した。

「ええ、うちの出した本の中では評判がいい方だとTから聞いていますので」と、A部長。

自費出版本としてはかなり反響が大きく、注文や問い合わせなど数多く出版社に寄せられていた。

それには一般読者からの引き合いだけやなく、大手の紀伊国屋書店や同志社大学生協書籍部などといった名の通った所からの問い合わせや注文があったということが、出版社にそう決断させる大きな理由になったようや。

出版社としては、初めての電子書籍化への試みということで、そこそこ売れる見込みのある自費出版本を選びたいという意向が働いたようや。

もっとも、「今回は、あくまでもテストケースなので採算は度外視しています」と、A部長が言うておられたがな。

とはいえ、いくら採算を度外視するというても、まったく反響のないものでは困るというのも事実やろうと思う。

自費出版本専門の出版社としても、これからは電子書籍の分野にも乗り出す必要がある。

そのためのノウハウや製作費用の価格設定などを決めるデータを得るには、実際に取り組むしかないと考えた。

まあ、当然と言えば当然な事ではあるがな。

しかし、それにハカセが異を唱えた。

「どうしても、その本でないとダメですか」と。

「と、申されますと?」

「というのは、ご存知のように『新聞拡張員ゲンさんの新聞勧誘問題なんでもQ&A選集』は、紙の本とはいえ、税込み定価1470円で売り出しているわけで、それと同じ内容のものを安価で売るというのは、私としては読者の手前、できかねますので……」

電子書籍で販売する場合、ある程度の制作費や委託販売費というのは必要になるやろうが、自費出版本で必要やった製本代に価格の6割、委託販売費4割などは、かなり減額できるはずや。

加えて、郵送料やクッション封筒代などの諸経費なども必要なくなる。

そのため販売価格は極端に抑えられる。

ちなみに、電子書籍化した場合の販売予定価格は、税込み350円やという。

もっとも、これは「みずほ出版」さんが制作費を負担するという、ご好意があったことで可能になった額なわけで、次回作以降の価格がどうなるかは未定やがな。

とにかくどんな理由にせよ、書籍を安く販売できるのは結構なことや。

また、ハカセにしても従来の自費出版本だと高額でありながら赤字になってしまうが、電子書籍の場合やったら、それでも若干の利益が出るというのもあり難い。

上手くいけば、商業出版した際の印税と同等のものが得られるかも知れん。

例え、そこまで行かないにしても赤字、持ち出しがなくなるだけでも、御の字やと思う。

読者にとっても、ハカセにとっても万々歳ということになる。

しかし、それはあくまでも、別の書籍の場合であればという思いがハカセには強い。

同じ書籍の内容のままで、安く売るのは抵抗があるし、何より、それでは今まで、紙の書籍『新聞拡張員ゲンさんの新聞勧誘問題なんでもQ&A選集』を買って頂いた読者に対して失礼やと。

これが逆に、電子書籍でしか出版されていないものが、紙の書籍になったことで、安く売っていたものが高くなるのは構わんと思う。

紙の書籍は手元に残って実物として存在するので保存も比較的長期間できるが値段は高い。

反対に電子書籍は安いが実物は存在しない。保存も端末次第という側面が強いので長期間の保存という点では疑問符がつく。

いずれにも一長一短がある。

どちらを買うかは読者の好み、判断に任せるしかない。

「実は、今すぐ書籍化が可能な原稿は、すでに数種類書き上げているのですが」と、ハカセ。

これは、去年、ある大手の出版社に対して企画用に書いた原稿が数点あったので、それを電子書籍化したらどうかと強調したわけや。

その大手の出版社では、今もその企画は棚上げ状態になっていて、完全に断られたわけやないが、ここ数ヶ月間連絡がないということもあり、正直、もう望み薄ではないかと、ハカセは考え始めていた。

もっとも、本というのは、そうして長い期間、寝かせるというか、タイミングとチャンスを見計らって出版するということがあるというさかい、一概にダメとは言い切れんということもあるようやがな。

本によれば、1年、2年企画待ちの状態から発刊されたというのも、ざらにあるということやさかいな。

万が一、その後、その大手出版社から引き合いがあったとしても、「みずほ出版社」のT氏とは、あくまでも電子書籍化についてだけ合意するという話で、行く行くは、その内容を紙の書籍にするのはハカセの都合で構わないという確認を得ていたさかい、問題はないやろうと踏んでいたわけや。

そういう契約になるはずやと。事実、そういう契約にはなった。

しかし、ついに、そのハカセの案が採用されることはなかった。

当初、「みずほ出版」は本として完成している『新聞拡張員ゲンさんの新聞勧誘問題なんでもQ&A選集』を、すぐにでも電子書籍化するつもりでいたらしく、すでにその試作が出来上がっていた。

それは「iPad(アイパッド)」に収められていて、よほど、そのままでOKを出そうかと悩んだくらい秀逸な出来映えのものやったが、それでは後で必ず後悔する。

ハカセは、そう言うて食い下がったが、それでは「みずほ出版」としても意味がないと判断したようや。

やんわりとやが、否定され、それらの作品を読んで貰ってから判断するということまでには至らなんだ。

もっとも、それは仕方のないことやがな。

もともと今回の話は、出版社としては電子書籍業界に参入するための試金石の一つとして、この作品ならと選んだもので、著者の意向で勝手に変更されるのは困るというのは、よくよく考えれば当たり前の話や。

そこそこ実績のある本で、ある程度売れているものを選ばんと、その事業が成功するかどうかの判断がつきにくいさかいな。

いくら著者が、「これはいいですよ」と売り込んでも実績のない本を、今回のように『制作費は全額弊社負担』でという出版社が、そうするはずなどないというのも、もっともな話やさかいな。

「白塚さんの仰ることは、よく分かるのですが、電子書籍を読まれる人というのは一般的に時間に制約の多いビジネスマンが、電車などの移動中に読むことが多いと思うのです。ですので、長い小説のようなものを買って読みたいという人が、一体どれだけおられるでしょうか」と、A部長。

つまり、その点でも、一問一回答式の『新聞拡張員ゲンさんの新聞勧誘問題なんでもQ&A選集』は、読む側にとっても手頃で電子書籍化するには向いているという。

それは一理ある。

名の通った作家の作品というのならともかく、小説の世界では無名に近いハカセの書いたものなど誰が読みたいと思うやろうか。

考えるまでもないことや。そんな冒険はできんと出版社が考えても仕方ないわな。

それが自然の反応やと思う。

もっとも、さすがに、その場で、そこまで辛辣なことは誰も言わんかったがな。

ハカセは、それをあきらめる代わりに、紙の書籍『新聞拡張員ゲンさんの新聞勧誘問題なんでもQ&A選集』の続篇として、サイトにある新たなQ&Aの中から抜粋したものを選んで編集し直し、『ゲンさんの新聞勧誘問題なんでもQ&A選集電子書籍版パート1』と題して販売するのはどうかと迫った。

結局、それなら傾向的には同じものになるということで、その案が採用された。

気がつかれた読者の方もおられるやろうが、今回は題名から「新聞拡張員」の文言を外している。

もうボチボチ、業界でも、この「新聞拡張員」という呼び方は、あまりせんようになったし、一般でも知らん人が増えたということもある。

それに、今は「ゲンさん」というだけで、当サイトのことやという認知度も高まったことでもあるさかい、特になくても差し支えないと判断したわけや。

事実、ヤフーでもグーグルでも「ゲンさん」で検索すれば、当サイトが第1位で表示されることでもあるしな。

誰かに説明するのでも、その方がしやすい。

早速、ハカセはその原稿の執筆に取りかかることにした。

出版社の計画を、ひっくり返したわけやから、急いで書き上げなあかんと、ハカセは考えた。そうせな、申し訳ないと。

ただ、急いで書き上げるとは言うても、これが傍で考えるほど簡単な作業やない。

自費出版の『新聞拡張員ゲンさんの新聞勧誘問題なんでもQ&A選集』にしても、原稿作成から本が出来上がるまでには3ヶ月以上も費やしたさかいな。

一部の人からは、サイトのQ&Aの中から単にコピペしただけやないかという批判も頂いていたが、事はそんな単純なものやない。

もっとも、実際に買って読んで頂いた大半の読者の方には、サイトのQ&Aとは違うというのは分かって頂けたとは思うがな。

まずQ&Aの選出と編集。

これは前書の『新聞拡張員ゲンさんの新聞勧誘問題なんでもQ&A選集』同様、一つの質問に一つの回答を心掛けて選び、編集した。

サイトのQ&Aは、あくまでも相談者個人に向けて回答しているもので、必ずしも一問一答とはなっていない。

書籍にするには幅広い読者が読むことを念頭に入れて書き直す必要があった。

分かりやすく言えば「よくある質問」形式のようなものにしたということや。

サイトのQ&Aは、現在1000件を超す相談が収録されとるということもあり、ワシらですら、どこでどんなことを言うたのか、アドバイスしたのかということが分からんケースも多い。

ワシらですら、そうやのに、こんなときどうすればいいのか、といったことが知りたい人にとって、サイトのQ&Aの中から、それを探し出すだけでも一苦労するのは間違いないと思う。

それを目次を見るだけで、望みの知りたいことが分かるようにせなあかんわけや。

当然、サイトのQ&Aとは、違うタイトルを付け直す必要がある。内容も、そのタイトルに即したものにしてな。

出版社が事前に制作していた試作品を見て、さすがにデジタルの電子書籍だと感心したと、ハカセは言う。

それは、その目次にリンクが貼られていて、その項目をタッチするだけで、その場所に飛ぶようになっていたからやと。

要するに電子書籍そのものが、一つの完成されたホームページになっとると思えばええ。

これなどは紙の書籍では絶対にできんことや。

前作は、その一冊を読むだけで、「新聞購読契約について」、「苦情トラブルについて」、「新聞営業について」、「新聞販売店について」、「拡張団、拡張員について」、「新聞全般について」といった事柄が、よく分かるようにしていたつもりや。

今回も同じように、その電子書籍を見るだけで、それらのことがすべて分かるようにせなあかんと考えた。

この点については、前作の自費出版本では、ページ数でその制作費用が違うということがあったため、思うように事例を詰め込むことができんかったが、今回の電子書籍に関しては、そういった制限はないという。

まず、ページ数の概念というものがない。

「iPad(アイパッド)」を使われたことのある人は分かると思うが、手で画面を触れることで、その画面を大きくしたりも小さくしたりもでき、それにつれてページ数も増えたり減ったりする。

無制限ということもあり、ハカセは前作36項目あった相談を、今回は40項目まで増やしたという。

それにより、前作の1ページ38字×15行、238ページあった自費出版本が、今回の電子書籍では同じ38字×15行で概算計算すると400ページ分ほどにもなったという。

前作と同じものが被らんようには心掛けたが、似た項目のものは必要やと考えたので、それは入れた。

例えば「クーリング・オフ」に関する相談は、サイトのQ&Aでも相当数あることでも分かるように、それについて知りたいという方も多いと思う。

そういった類のものを外すわけにはいかんわな。

いくら前作とは違う質問形式で掲載してあったとしても、その回答は似通ったものになるということや。

ただ、それについては、前作書けんかったような補足情報を追加しとるがな。

つまりは、そういうことやと理解して頂けたらと思う。

横書きを縦書きに変更するという点については表記のルールさえ知っておれば、それほど問題はない。

徹底した編集と推敲を重ねる。

何を今更と言われるかも知れんが、サイトのQ&Aの場合、相談者からの質問文は、よほどのことがなければ手直しするということは、あまりしない。

まあ、そのままにしておけばリアルティのあるものになるということもあるが、人によれば、明らかな誤字、脱字以外は勝手に書き換えられると気を悪くされる方もおられる。

せやさかい、なるべくなら、意味が分かる程度であれば、いじらないようにしとると、ハカセは言う。

しかし、それを本にする場合は、それではあかん。

読みやすさというのは言うにおよばず、やはり正しい文章表現は絶対せなあかんし、適切な用語の選択も必要になる。

不必要な箇所の削除、また言葉足らずな部分の補足など手を加えないと読み物として成立せんということもある。

さらに、サイトのQ&Aの回答は、基本的に相談メールを貰って2日以内に返信するようにしとるせいか、補足説明の抜け落ちたもの、推敲の十分できていないものというのが多い。

誤字、脱字などに関しては昔から、それを指摘して頂いている親切な読者の方がおられるから、その都度、直して、あまり瑕疵がない文章のようになっているが、それでも改めて読み直すと表記上のミスや、不具合な箇所があちこちにあるのが目立つ。

普段は、そういうのはなるべく見んようにしとると、ハカセは言う。

せやないと、見てしまうと、しょっちゅう直してなあかんようになるさかい、そこで立ち止まったまま前に進むことができんようになるのやと。

また、多少の誤字、脱字、表現のまずさは、新聞記事や週刊誌、広報誌など、どんな一般書物にも必ずあるという逃げ道もあるわけやけどな。

言えば、このくらいは許されるやろうという甘えの状態にあるのが、サイトでありメルマガの文章やと。

しかし、本にするとなると、ミスによる見逃しは仕方ないとしても、編集する限りは、それらの不具合な箇所は最小限に抑えなあかん。

言えば、それ自体が国語、漢字のテストみたいなもんやさかいな。100点満点で合格ということやなしに、それで当たり前と考えなあかんわけや。

プロの書き手としては、それ以上のプラスアルファ、面白さというのも出す必要がある。適切な比喩や誰もが、うなる文章表現もあった方がええ。

もちろん、読み手を納得させるのは当然で、「なるほど」、「へえー」という付加価値も加えるべきやという。

そんなことまで考えて書いとるのかと思われるかも知れんが、ハカセは、それが普通で、その先のことも数多くあると言う。

まあ、そんな文章談義をハカセに語らせたら、それだけで本が一冊出来上がってしまうくらい多いさかい、今回はこの程度の話で抑えておく。

サイト上の表記は、いくらでも修正可能やが、一旦、書籍になってしまうと訂正は不可能やというのも言うておく。

より慎重にならざるを得ん理由が、そこにもあると。

その点は、電子書籍であろうと、紙の書籍であろうと同じなわけやけどな。

今回の場合は、さらに考えなあかんこともある。

過去のQ&Aを取り上げる場合、その回答した当時は、そのアドバイス、法律論で良かったものが、現在、2011年の段階では、法改正などで大きく回答を変更せなあかん場合が出てきとる。

つまり、相談自体は過去のものでも、その回答は現在に即したものに書き直さなあかんということや。

それでないと、せっかく購入して頂いても役に立たんということも起きるさかいな。

それでは意味がない。

その確認と修正にも、結構な時間がかかる。

結局、その原稿を仕上げるのに1週間を要したという。

その後、ハカセと「みずほ出版」の編集担当T氏との間で、その原稿の手直しを3度ほど行った。

そして、すべての手直し作業を終え、その原稿をもとに電子書籍システム担当のネット事業部で電子書籍化された後、アップル社の最終審査待ちという状態になり、その結果が分かったのが、昨日やったということや。

電子書籍での出版というのは、楽しみな反面、不安も大きい。

販売元が「App store(アップル・ストア)」ということで、今のところ「iPad(アイパッド)」、「iPhone(アイフォン)」、「iPod Touch(アイポッド・タッチ)」のみでしか購入して読むことができん。

その「iPad(アイパッド)」、「iPhone(アイフォン)」は人気が高いということやけど、いずれも日本国内での売上台数は非公開やさかい、どの程度普及しとるのか分からんということがある。

「みずほ出版」の調べやと電子書籍としての知名度、人気度はトップクラスということらしいが、それやから売れるという保証はどこにもない。

読者の方で、この電子書籍を買って読むことのできる媒体、環境をお持ちで、読んでやってもええなとお考えの人は、ぜひご購入をお願いしたい。

そして、その感想なり、ご意見なりを聞かせて頂きたいと思う。



参考ページ

注1.第126回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■電子書籍化時代の本格的な到来について


ゲンさんの新聞勧誘問題なんでもQ&A選集 電子書籍版パート 
2011.4.28
販売開始 販売価格350円
 

書籍販売コーナー 『新聞拡張員ゲンさんの新聞勧誘問題なんでも選集』好評販売


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