メールマガジン・ゲンさんの新聞業界裏話・バックナンバー

第162回 ゲンさんの新聞業界裏話


発行日  2011.7.15


■転職……その甘い罠と実像


「話が違う……」

サチオはそう思い知ったが、すべては後の祭りやった。

サチオは以前、ある新聞販売店に勤めていて、そこでの待遇があまりに悪いと考え転職することにした。

その多くは給料に不満があったからやった。

月給は18万円で社会保険やら所得税やらを差し引かれた手取りは約15万円ほどにしかならんかった。

加えて、止押し(継続契約)や起し(過去読者契約)、新規契約のカード料(契約報奨金)が極端に安い。

止押し(継続契約)で1本につき200円。起し(過去読者契約)で500円。新規契約で1000円ほどしかない。

コンスタントに月100本以上、上げていたがその分は良くて2、3万円くらいにしかならんかった。

配達を完璧にこなしても、集金を人より早くしても手当が貰えるわけでもない。

反対に配達で不配らをするとペナルティとして1件につき、500円の罰金が科せられる。

年2回の賞与があるということやが、一度貰った額も働き始めて間がないということで、ほんの数万円ほどしかなかった。

それなら長期間働けばどれほど貰えるのかと、古参の従業員に尋ねても「賞与? そんなものアテにしてたらやってられんで」という答えしか返ってこない。

どうも、これ以上、給与の増える望みはなさそうやった。いくら独り者とはいえ、30代後半のサチオにとってはきつすぎる。

毎日生活するのがやっとで、将来に何の希望も持てない。

これでは貯金はおろか、結婚するのも無理や。何のために人より苦労してこの仕事をしとるか分からんという気にもなる。

頑張り甲斐がない。

そんな不満が充満していたとき、同じ地区で配達している全国紙の配達員から、「うちに来れば給料は最低でも月25万円は貰えるし、カード料も1本最低でも2000円ほどあるから、あんたやったらかなり稼げるはずや」と聞かされた。

それでサチオの心が大きく揺らいだ。

ただ、そうは言うても、さすがに、その全国紙の販売店はサチオの店とはすぐ近くにあるから、そこに勤めるわけにはいかんが、少し離れた地域の同じ系列の販売店やったらバレることもないやろうということで、そこへ面接に行った。

その販売店で、部長と名乗るオオイワという男と面接した。

条件は、配達員が言っていたのとほぼ同じで、月25万円で、カード料は1年契約で1本2000円、複数年契約やとそれにいくらかプラスされるという。

「あんたの成績やったら月35万円ほどになるんやないかな」と言われたことで舞い上がり、その場で即決した。

サチオはすぐに元の地方紙の販売店に辞表を出して、一週間後、その全国紙の販売店で勤め出した。

しかし、その販売店での勤務が始まった日から、サチオにとっては驚きの連続やった。

まず、最初の驚きは手書きの順路帳を渡されたことやった。

サチオのいた販売店では、コンピュータ帳票形式で出力した配達順路帳で、見た目にも分かりやすく、常に最新の状態になっていた。

しかし、サチオが店から渡された順路帳は、いつ書かれたもかも分からんような古いボロボロになった配達順路帳やった。

それには順路記号さえ書かれていない箇所も多く、とてもこれを見て配達できるといったようなものやなかった。

直接の上司でもある、その区域の前配達担当者イケシタと一緒に単車で回っていたとき、あまりにも不明な点が多すぎるので質問すると露骨に嫌な顔を見せる。

それならとサチオは、その配達区域全体の「地図を印刷してほしい」とイケシタに頼んだ。

そうすれば、自分で配達先を確認して、新たな順路帳を作れるからと。

そう言うと、「面倒くさい奴やな」と言いながらコピーした、その地図を渡してきた。

それと、実際の配達先を一緒に回る際に確認したが、その元の順路帳がまったくのでたらめやったというのが分かった。

その元の順路帳にあった家を飛ばすので、「なぜか」と聞くと「止め読者」やという。

つまり、そういった基本的なチェックである「消し」さえしてない。当然と言うべきか、反対に新規の「入り」の記載もしていない。

そういうのが多すぎる。

そんな状態でも不配すると、「お前は自分で作った配達順路帳で配っているんやろ。せやのに何で不配するねん、理由を教えてくれ」と、イケシタがネチネチと厭味を言うてくる。
 
それでも不配した自分が悪いのは確かやさかいと考え、サチオは「すみません」と謝るしかなかった。

しかし、そのイケシタが不配したときは、代わりを新聞をサチオに持たせて「客に謝ってきてくれ」と平気で言う。

ホンマに性格の悪い男や。加えて、人使いも荒い。

夕刊を配り終えて、ちょっとでも休んでいたら「何しとんねん、仕事中やで、さっさと拡張にでも行かんかい。お前はそれが自慢なんと違うんか」と、追い立てる。

集金も雨の日は単車では回りにくいと言えば、「雨が降ろうが、槍が降ろうが回れ。雨の日は客が家に居ることが多いから集金率は高いんや」と言う。

そう言うたイケシタも同じようにやっているのなら、まだ分かるが、当人は店の車を使って回っているから、雨風に晒されることはない。

サチオの方は、カッパを着込んでいるとはいえ、汗と雨でスブ濡れになった姿で集金や勧誘に行っても客には迷惑そうな顔をされるだけで思うような成果が上げられない。

そんな不満もあってか、「以前勤務していた販売店では集金や拡張は雨の日はせず、晴れた日の午前中や、夕刊配達後に効率よく回って、それなりの成績を残していた」と話してしまった。

サチオにしたら、「ちゃんとやるから自由にさせてくれ」と言いたかったわけや。

しかし、イケシタは、それを逆らったと受け取った。

「それなら、雨の日は仕事せんと言うのか。それで通ると思うとんのか? 前の会社は、前の会社、うちの会社にはうちの会社のやり方があるんや」と怒り出して、とりつく島がない。

拡張員の出入りの多さにも驚いた。日に平均4、5人は入って来る。

前の会社では止押し(継続契約)従業員がしていたが、ここでは、そのほとんどを拡張員がやっている。

サチオに与えられたのは拡張員が回って残った顧客への止押し(継続契約)だけで、後はすべて新規で上げろということやった。

普通に考えて、拡張員が断られるような客のところに行って店の従業員にカード(契約)なんか上げられるわけがない。

後に、その拡張員たちは、かなりあこぎな勧誘をやっていて評判が恐ろしく悪いと知ったが、それでは尚更救いがない。

それもあり、サチオの成績は前の販売店にいたときと比べると激減した。

拡張員が回って残った顧客への止押し(継続契約)に行くと、予期していたように苦情の嵐やった。

「あんたのところはウソばっかりで約束を守らん。そんなところと契約なんか二度とするか」と言うのが多い。

その主な事例として、拡張員が「店に内緒で、後から商品券を持ってくる」と言っておいて持って来なかったとか、「溜まった新聞は必ず回収します」と拡張員が言っていたにも関わらず誰も来ない。

それらの苦情を客が店に言うと、「それは拡張員が勝手に言うたことで店には関係ない」と突っぱねたという。

オマケに「こっちには契約書があるんやから、ちゃんと守って貰う」と、その客に高飛車に迫る。

その客の多くは、それで押し切られ泣く泣くその契約が満了するまで我慢するしかなかったと。

「そら、そんな店とは誰も契約したくもなくなるわな」と、サチオは納得するしかなかった。

また、勤め出して日も浅いということもあり、そう言われてまで「そこを何とか」と押す気には、とてもなれんかった。

店舗も汚い。以前の販売店とは大違いや。

パンクした単車が放置されたままになっていたり、ヘルメットをバックミラーにぶら下っていたり、キーが差し込んだままになっていたりと、ルーズというレベルをはるかに越えとる。

店の内外も、古紙や残紙を放置したままとか、チラシの残りがそこらに散らかっている。

性質的に、そういうのが我慢できんサチオは誰に言われるでもなく片付けて掃除した。

ヨシダという古いアルバイト配達員から、「店がこんなに綺麗になったのは久しぶりやな」と言うて貰えたことが救いやった。

ある日のこと、イケシタから「今日、店の2階でミーティングがあるから、お前も出ろ」と言われた。

その日は午後8時に仕事が終わった。いつもは夜の9時まで集金や勧誘をやらされる。

サチオが行くと、そこには缶ビールやらツマミやらが置いてあった。

仕事のためのミーティングがあるのかと待っていたが、そんなものは何もなく、すぐにビールが空けられ宴会が始まった。

サチオはアルコールがまったく飲めないということもあり、「仕事でないのなら帰らせてください」と言って、その場を後にした。

イケシタからは「付き合いの悪い奴やな」と言われたが、そんな厭味は聞き慣れとるから気にせず無視できた。

それよりも少しでも帰って寝ることを優先した。

翌日の午前2時。

サチオが店に行っても専業は誰も来てなかった。昨日の宴会で酔いつぶれとるのやろうと思うた。

それでも、そのうち来るだろうと考え、一人で店の前に置かれた新聞の山を店内に入れ、区域毎にチラシのセットされた束を新聞に挟み込む作業を始めることにした。

結局、アルバイトの人たちの方が早く来た。

サチオの話を聞いたアルバイト配達員のヨシダは、「またか」と言う。

「良くこんなことがあるんですか?」

「ああ、しゅっちゅうや」

ヨシダは、そう言うと片っ端から、イケシタら専業に電話していた。かなりきつい口調で怒鳴っている。

「ほんまにしゃあない奴らやで」

まるで、店長か何かの立場のような言動やった。

実際、それで出てきた専業たちは、そのアルバイト配達員のヨシダには頭が上がらないのか、ひたすら平身低頭やった。

そのイケシタらは、まだ酒臭かった。

そんなんで事故でも起こしたらどうすんねんと、サチオは考えたが何も言わず、ほっといた。

言うても無駄や。おそらく聞くことはない。それどころか反対に噛みついてくるのは目に見えている。

あるとき、サチオはヨシダに、「そう言えば、この店には店長がいてませんが」と聞いた。

店の最高責任者は部長のオオイワとのことやったが、店長がいないことについての説明は何も受けていなかった。

「前の店長は金を持ち逃げしたんや」と、ヨシダ。

ヨシダの話によると、つい最近、月末の集金集計日に専業員やアルバイトが集金した金をそのまま持ち逃げしたということやった。

ただ、その裏には、イケシタや他の専業員も一枚噛んどるのやないかという噂もあったが、それについては証拠のない話やから広言はせんといてくれと口止めされた。

どうやら、とんでもないところにサチオは飛び込んでしもうたようや。

事はそれだけに止まらんかった。

月末の給料日。

その給料明細書を見て、サチオは凍りついた。

給料は月25万円という話やったが、20万円しかなく、不配分のペナルティや集金不足分が、それから差し引かれていて、手取り額は10万円余りしかなかった。

サチオは、すぐさま部長のオオイワに苦情を言うたが、「話が違うやと? 話が違うと言いたいのはこっちや。お前は言うてるほど契約も上げてないし、不配も多い。集金率も悪い。まったくのアテ外れや。給料が20万もあるのはこっちの温情なんやで」と言い返された。

「嫌なら辞めてくれてもええんやで」と。

これなら前の販売店の方が良かった。

給料は安いが、社会保険などの福利厚生はちゃんとしているし、仕事もしやすい。

こことは大違いや。

もちろん、このままサチオは泣き寝入りするつもりはなく、労働基準監督署に訴えるつもりやった。

特に集金業務や勧誘営業だけ「請負業務」として切り離すのは違法性が高い。

サチオは、ワシらのサイトをいつも見ていて常々、過剰勤務について疑問を持っていたという。

これについてはそのとおりで、当サイトの法律顧問、今村英治先生から寄せられた見解があるので、その部分を抜粋して紹介する。


集金は業務外という理屈は、私には納得しかねます。100%歩合制だから労働じゃない・・・ここまでの理屈は分かります。

では労働じゃないんだから断る自由もなきゃおかしいです。私は労働である配達はしますが、請負の集金はしません。そんな自由が認められるとは到底思いません。

集金は業務に付随するどころか、業務そのものです。従業員の承諾なしにそれをやっているとしたら36協定違反や、残業代の未払いなども含め経営者サイドの責任は重いです。

契約上どのような取り決めになっていようと、外形上判断すると、集金業務は労働です。

多くの社会保険労務士及び労働基準監督官は、これを労働とみなすんじゃないでしょうか。


つまり、従業員、社員という立場でありながら、集金と勧誘は請負制にしているというのはおかしいということや。

本来なら、出来高ではなく、それに要した時間外手当が支給されてしかるべきやということになる。

従業員、社員は請負人とは違うさかいな。

サチオの訴えの根拠もそれや。そして、その時間外手当が認められたら、それ相応の請求ができる。

そのために、タイムカードをコピーし、日々の行動を克明に記録しとるという。

ただ、そうは言うても販売店が集金や勧誘を時間外労働として、その対価を支払えば、大変なことになる。

例えば、その住人となかなか会えず、何度も行かざるを得んことになり、結局、集金するのに、時間外労働として延べ5時間かかったとする。

この程度のことはざらにありそうや。

その場合、1時間の時間外手当が1000円と算出すると5時間やから5000円ということになる。

新聞代がセット版の1ヶ月3925円やから、販売店はその集金をするのに5000円の残業代が必要になるということや。

勧誘にも同じようなことが言える。

ワシらの世界でも、営業に費やした時間が多いほど、契約が多く上がるものとされとる。

結果として集金と大差ない費用か、それ以上かかることになる。

これでは新聞販売店は維持できん。そこで、その部分だけ請負という形にしとるわけや。

法律的には、今村英治先生の『では労働じゃないんだから断る自由もなきゃおかしいです』と言われるとおりなのやが、それを認める販売店は皆無やろうと思う。

どこの店でも集金と勧誘は強制的にやらされる。

違法やからと、その実態を労働基準監督署に通報しても、どれだけ効果があるかは疑問や。

今までの事例から考えても良くて、その販売店への注意、指導がされるくらいが関の山やと思う。

それで、その従業員が救われることは考えにくい。

当然やが、そんなことをした従業員に、その販売店の経営者がええ印象を抱くわけはないさかいな。

冷遇されるのは目に見えとる。

サチオは、それを承知で訴えるという。

そして、最終的には辞めるつもりやと。

そこまで腹を括っとるのなら何も言うことはない。

サチオがワシらに、この話をしたのは、自らのケースは上手い話に飛びついた「自業自得」の面があるから仕方ないが、自分と同じような過ちを業界の他の人にはしてほしくないという思いがあったからやという。

何でもそうやが、世の中、上手い話はないということや。そして、思わずそれに飛びつく人間も後を絶たん。

そのための警鐘になればということやが、哀しいかな人は、このサチオと同じように、そうなって初めてそれと気づくのやないかと思う。

事前にそれと気づく人間は少ない。

ごく稀に、迷ったときにワシらに相談して救われるというケースがあるくらいや。


追記 今回のメルマガを読んで思うこと

投稿者 やすくん  投稿日時 2011.7.29 PM 2:47  


前回(NO.1031)違法解雇にはならないのかの件で、お世話になった者です。

げんさんの回答を弟と二人で、よく読みながらあれこれと、話し合っていました。

事実無根であるならば、どんな事があろうとも、罪を認めてはならないと、げんさんの回答を読んだ弟は、かなり悔しい思いをしたようですが、これも勉強だと思います。

それを教訓にして二度と同じ過ち、失敗はするなと弟に話しました。

次の職場も直ぐに決まりました。

その採用されたところがまさに件名に表記されている、その職場だったのです。

最初は読んでいて、似通った事があるものだと、何気に読んでおりました。しかし責任者が金を持ち逃げした?

まさかとそこから食い入る様に、目を皿の様にして読ませて頂きました。

いやいや読めば読むほどに、弟から聞かされている事の全てに、怖いくらいに当てはまるのです。

職場へ弟を迎えに行き、その帰りに二人で回転寿司に立ち寄り、そこで弟にそのメルマガを、PCから携帯へ転送させているので、これを読んでみろと携帯を差し出しました。

弟は目が点になり、これはあの店の事に違いないと。被害者は他にも居るんだと、その悪質な販売店に対して、怒りが込み上げてきました。

本来なら二度と関わりを持たず、近寄らないのが得策なのでしょうが、まだ弟が給与を貰っていない段階だったので、静観の構えで様子を見ていたのです。

頻繁に行われる飲み会。店の2階で行われ、深夜の1時過ぎまでドンチャン騒ぎ、そのまま朝刊の仕事へと突入です。

酒臭い状態で仕事をするなんて、本当にだらしないし、いつ何時客と顔を合わせるかも知れないし、よくそんな状態で仕事をしてるもんだと、メルマガを読んで改めて思いました。

統括する立場にある、部長が先頭に飲み会をするとは。

店の前も店内もゴミだらけ。アルバイトの人も、掃除しているところを見た事がないと言われるくらいの有様です。

まぁ〜掃除に関しては何も社員だけがするものでもないし、アルバイトの者でも出来る事ですから、それをしなかった方にも、問題はあるのではと感じます。

そんな飲み会ばかりに出ていたら、業務に支障も当然出てきます。なので弟は飲み会を断ると、書かれていた様に付き合いが悪いと言われていたそうです。

地域的に田舎で街灯も殆どなく、真っ暗なところを単車の明かりだけで、しかもいつ作られたかもわからない、古い順路帳を手渡されて、それを3日間で覚えろ?

それを無理だと言うと、地図を見ればわかるだろうと言われる。夜9時も10時にもなって、周りは真っ暗な中で地図を見ながらなんて、凄く効率も悪いし危険です。

拘束時間も半日以上なんてざらにあり、それでも仕様期間の3ヶ月間は、一日6500円しか出ないと言うんです。これは全くおかしな話です。元々そんなに頑丈な体の作りではなくもう精神的にも辛いと言い始め、ついに弟はダウンしてしまいました。

暫くの間休養を要する為に、休暇届けを出して休む事になりました。

復帰する気持ちも失せている弟は、次のところを探しながら、何とか見つける事が出来たので、退職をする旨を責任者に伝えました。たった一月足らずの勤務でしたが弟に言わせれば、恐ろしく長い時間を過ごした様に思えると、退職してほっとした様子でした。

さて問題はこれからです。給与の事についてです。体調も優れない時は、店の責任者に連絡をして、許可を貰った上で朝刊を休んで、昼からの出勤をしたりしておりました。

そんな事が何日かありましたが、それらの出勤について、これは流動出勤だから、給与は出ませんと連絡がありました。

たまたま電話が掛かってきた時に、私も横に居たので聞いていましたが、「なんじゃそれは?」って感じで聞いてました。

明らかにこれはおかしいと、これは違法であると思い、いろんなところで聞き慣れない、流動出勤について調べました。

無料で法律相談をしている所で、その流動出勤について聞きました。

「明らかに違法だし当然給与は貰えるものです。それは要求して下さい」と、弁護士の方に言われました。

ただこの特殊な新聞販売店は、本社が府にありまして、その社長がややこしい存在だという事です。

それは面会の時に部長を名乗る人物から、「うちの社長はヤクザやからな」、「金を持ち逃げなんかしたら、何処までも追いかけられるで」と、言われたそうです。

ですから給与が出るのを待ち、その明細書を持って労働基準監督署へ、申し出をしようと弟と話していました。

まずハローワークに登録されている内容もでたらめであるし、監督署の担当者も「不思議ですね」と言われてました。

「明らかに違法ですので、こちらから行政指導は出来ますが、金銭面での請求は出来ませんから、ご本人から内容証明を送るなりして、一度期限を切った上で請求して下さい」と言われました。

その時に担当者から内容証明の、書き方の見本を手渡されて早速自宅で作成にかかり、郵便局へ走りました。

なんと数時間後に販売店の、責任者から連絡が弟の携帯へ入ったのです。

「本社へ内容証明を送ったんだって?」

そんなに早く内容証明は届くものなんだと、本当にその速さに驚きです。

「流動出勤した日の給与が出ない事に、君は納得してないんだね」と。

「仮にそれを支払ったとして、こちらも君が休んだ事で迷惑を掛けられているんだから、その分はこちらから君に、請求してもいいんだね」と、前代未聞の切り返しをしてきました。

確かに休んで何らかの形で、業務に支障をきたしたのであるならば、請求を会社から掛けられるケースは、実際にある事なのですが、この場合は無断欠勤でもなく、責任者に電話連絡をした上で、許可は出てるのですから、それには該当はしないのではと思います。

ですから「請求するのであるならば、どうぞして下さい。後は弁護士には相談していますので、勝手な事は言えないので」と、弟はそう言って電話を途中で切りました。

結果給与はこちらが指定した期日に、請求した流動出勤分が振り込まれていました。

違法は違法ですから、泣き寝入りせずに申し出て、断罪しないといけないのではと考えたことで今回事がうまく進みましたが、泣かされた被害者は一人二人の話じゃないと思います。

げんさんの言われるように、こんな店は近い将来潰れると思います。


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